2012年9月24日(月)、岡山県知事選挙ローカルマニフェスト型公開討論会が、倉敷市民会館で行われた。立候補予定者のうち、一井暁子氏、大西幸一氏の2名が出席し、岡田雅夫氏立ち会いのもと、事前に提出された両氏それぞれのマニフェストを中心に、有権者も交えて公開討論会が行われた。
(IWJテキストスタッフ・富山/澤邉)
2012年9月24日(月)、岡山県知事選挙ローカルマニフェスト型公開討論会が、倉敷市民会館で行われた。立候補予定者のうち、一井暁子氏、大西幸一氏の2名が出席し、岡田雅夫氏立ち会いのもと、事前に提出された両氏それぞれのマニフェストを中心に、有権者も交えて公開討論会が行われた。
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まず重要政策について大西氏は、介護保険料、特別老人ホーム、子供の保育、障害者に対して冷たい県政問題について述べ、高齢者に対しては、「施設や病院に入ることを嫌う人が、一人でも暮らしていけるサポート制度を作らなければいけない」と語った。また、企業の呼び込み方式が地域を疲弊させている問題、官製ワーキングプアによる問題を挙げ、解決策として「トップダウン型の県政を改め、地域の人々や業者とよく相談し、住民の福祉を向上させ、地域、産業の活性化を進めていく」ことを挙げた。
一井氏は、雇用を生み出せない地方の疲弊を念頭に置いて、教育分野で、試験の白紙回答率が高く、成績が上位の子と下位の子が二極化している問題、基本的な生活習慣が身についていない子の割合が高い問題を挙げ、「岡山のために尽くしてくれる人材、地域とグローバル社会を繋げる人材を作るための教育が必要である」と語った。また、基礎学力のほかに、これからの時代に立ち向かっていくための課題解決能力を身につける必要性を説き、そのために、「コミュニケーション教育を小中学校に導入し、高校では、カリキュラムを現場に即したものに変更する。幼児、小学生に対しては、農業体験などができるクーポンを配り、いろいろな経験をしてもらう」と、画一的な教育からの脱却を目指す方向性を示した。
続いて、一井氏は経済政策について、知事自ら現場に出て、きめ細かい政策の積み上げによる、魅力的な地域作りと雇用の増加を目標に、「地元の企業を使って、雇用創出を行っている岩手県を参考に、地域の経済を守り、その中でお金が回る仕組み作りを目指す」と述べた。それに対して大西氏は、少子高齢問題と併せて、町村の合併による地域の疲弊、雇用の減少、それによる若者の流出を問題とし、「地域を支える観点から、福祉の問題と岡山県の振興計画を結びつけ、他県からも岡山県に人材を呼び寄せられる介護、保育事業を興すことで、若者の雇用の受け皿を増やし、定住を進め、岡山県の活性化を目指す」と述べた。
一井氏は、少子化対策について、「抜本的な経済政策が必要である」と語った上で、「母親が働きやすい環境を整備するために、保育園、学童保育の保育時間を延長できる仕組みを、行政負担によって作ることが大事。子ども中心の観点に立った政策作りのため、縦割り行政を改め、それを乗り越えた子ども局のような新しい部局を作るべき」と述べた。高齢社会対策については、医療、介護、保険が連携して、地域の中で高齢者の暮らしの質を上げることが大事とし、「各地域に適した戦略を立て、地域包括的なシステムを作ることが必要であり、結果的に、それが子どもを育てるための基盤整備にもなる」と語った。
岡田氏から、住民参加を進めるための具体策について問われた一井氏は、県庁側の情報提供のしかたが問題だとし、生のデータとそれをわかりやすく加工した情報を提供すること、お互いの顔が見える距離で議論ができる場を作ることを提案した。そして「県庁の会議室で作った政策でなく、現場の声を形にする、現場主義を貫いた県政を目指していく」と述べた。
大西氏は、県政が信頼されていないという問題点を挙げ、「今ある岡山県の機構、自治体、議員、地域の人々が力を合わせることで信頼を取り戻せる」と語った。また山梨県の早川町を例に、「議会では住民目線の論議が必要である」とし、「オール与党ではなく、議員が地域の代表として県議会で提案し、知事からの提案に対してもチェックができる、裏表のない議会運営が大事」と語った。
最後に、岡山県と、政令市としての岡山市の課題について問われた両氏は、「住民のために連携し、協力し合う体制を目指す」と共通の思いを語り、閉会した。