2012年9月23日(日)、大阪市浪速区の討論Bar シチズンにおいて、東京大学東洋文化研究所教授の安冨歩氏を迎えて、なにわ市民セミナー団主催の「安冨歩氏講演会『金と政治と東大話法』」が行われた。安冨氏は、政治体制の変遷、現在の構造転換期における今後の方向性、私たちがどのように次の世代に向かっていくかについて語った。
(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)
2012年9月23日(日)、大阪市浪速区の討論Bar シチズンにおいて、東京大学東洋文化研究所教授の安冨歩氏を迎えて、なにわ市民セミナー団主催の「安冨歩氏講演会『金と政治と東大話法』」が行われた。安冨氏は、政治体制の変遷、現在の構造転換期における今後の方向性、私たちがどのように次の世代に向かっていくかについて語った。
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安冨氏は現在の政治情勢について、「民主、自民、公明、維新の会による巨大な翼賛体制は、ものすごく不安定な状態に入ってきている」として、それは単なる政治情勢ではなく構造的変化の問題だとして、3つの項目を提示した。
まず、1つ目は高齢化である。「高齢化は急激に進んだため、どのように社会を運営していけばいいのか、誰もわからない状況だ。象徴的なのは年金問題。年金制度が崩壊した時、現行体制では危機的状況への対応力がない。大きな政治的混乱が起きる」と指摘した。
2つ目として中国の存在をあげた。「中国は約100年間の低迷期から復活し始めている。こうした復元力というのは止められない。中国の復活により非常に大きなパワーシフトが世界的に起きていて、日本はアメリカと中国という二つの巨大な勢力に挟まれる国となり、地政学的な意味がまったく変わり始めている」と語った。
3つ目として、コンピュータの出現による生産体制の変化を挙げた。「昔の機械は検査や修正に大きな人間集団が必要だったが、今やコンピュータが代行する時代となってきた。全体のシステム設計と修正を行う技術者を、土地が安いところに何人か連れて行き、コンピュータでできない作業は低賃金労働者が対応する。このような生産方法しか生き残れなくなった」と話した。
「高齢化。中国の復活。コンピュータの出現。この3つによって、今の社会は1970年代に日本が想像していた未来とは根本的に異なる状況になった」と安冨氏は指摘する。「こうした構造の変化に対して、私たち一人一人が考えなければならないことは、どうすれば新しい状況に応じた政治や経済のシステム、社会のあり方を構築できるかである」と述べ、「大人は考え方ができあがっているのでリセットが必要だ。これから私たちがするべきことは、子どもを中心に考えること。子どもの創造性や自由な発想を大人がサポートすることが重要だ」と、今後の方向性を示した。