2012年9月23日(日)、大阪市北区の伊藤塾大阪梅田校に於いて平川秀幸氏講演会『311以後の科学の在り方 ─ 民主主義、市民参加の視点から』が行われた。
(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)
2012年9月23日(日)、大阪市北区の伊藤塾大阪梅田校に於いて平川秀幸氏講演会『311以後の科学の在り方 ─ 民主主義、市民参加の視点から』が行われた。
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映像は前半、後半と質疑応答の3本立てで構成。まず、主催者の岡林氏が、市民社会フォーラムの紹介と活動内容、および平川氏の紹介と講演の概略説明をする。
平川氏は、社会技術と社会とのあいだで起こる問題、市民との関わり、取り組み方などを調査・研究する科学技術社会論が専門で、現在、いろいろと物議をおこしている原子力問題を分析する。
現在、科学技術、科学者、政府、行政、マスメディアへの信頼が大変、失墜している。しかし、その布石は、3.11以前からすでにあった。阪神淡路大震災、サリン事件、もんじゅ、東海村臨界事故などを通じて、たびたび科学への信頼性の喪失、いわば原子力の安全神話の崩壊と復活が繰り返されてきた。そこで、3.11以降の科学技術と社会をめぐる状況で、三つの変化がおこっている、と言う。
それは、1 リスク・不確実性・科学をめぐる認識の変化。2「決め方」の正当性の変化。3「望ましい社会・生活」の変化。である。
そこから、前半のテーマ「3.11以降、原発事故をめぐって起きている問題は科学や技術の範囲を超えている」についてを語る。原発事故における放射能のリスクは、科学的な視点だけでは解決できないことへの根拠や実例をあげ、解説。また、ゼロリスク幻想、分断・対立の問題にも言及する。
後半のテーマは、「正統性」「物事の決め方」の問題について考える。平川氏は、官邸前の脱原発・再稼働反対デモに着目。そこには、普通の人が多く集まっている。彼らの中には脱原発、再稼働自体への抗議以外に、それらの決定システムについても疑問を表明している、と見る。
平川氏は、それらを「問い直し」「決め方の正統性」「お任せ民主主義への反省」「どういう社会が望ましいのか」というメッセージでもある、と指摘。そこで、急浮上してきた中のひとつが、ガバナンス(統治)のあり方だ。つまり、これから誰がどうやって、この世界を舵取りをして行くのか? という不安である。その課題を「3.11が露呈させたもの」のいくつかの実例を取り上げながら、現状を説明し、その解決方法などを提案する。