「SPEED」メンバー・今井絵理子氏が自民党からの参院選出馬を正式表明!安保法制への見解問われ「万が一のための備えは必要」と肯定!? 2016.2.9

記事公開日:2016.2.9取材地: テキスト
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(平山茂樹、岩上安身)

※本記事はIWJ会員・無料サポーターに毎朝発行している「日刊IWJガイド」2月10日号より抜粋し、加筆したものです。

 おはようございます。IWJでテキスト関連の業務を担当している平山茂樹と申します。2016年2月9日(火)16時から、人気ダンスボーカルグループ「SPEED」のメンバーで沖縄出身の今井絵理子氏が自民党本部で記者会見を行い、今年夏に行われる参議院議員選挙での立候補を正式に表明しました。

 今井氏は立候補の動機について、聴覚障害を持つ長男(11)の子育てに触れながら、「障害を持つ子供たちが希望を持てる社会づくりをしたい」と述べました。今井氏は会見中、終始笑顔で、手話を交えながら記者からの質問に答えました。

 IWJでは、今井氏の会見が9日にも行われるという情報を、前日の8日夜の時点でキャッチ。しかし、9日の午後12時頃、自民党本部の広報に会見の場所と時間を問い合わせたところ、「一切わからない。まだ話が降りてきていない」との答えでした。

 IWJとして会見の詳細をつかみかねていたところ、突如16時から自民党本部で今井氏の会見が開始され、それをニコニコ生放送が生中継しました。結果として、IWJは会見を取材・中継することができませんでした。

 会見が終了した16時30分、IWJが抗議の意味も込めて、自民党広報部に再度問い合わせると、「今回は平河クラブにしか通達していない。クラブ以外の勝手に来たメディアを排除したかどうかは分からない」との回答。平河クラブに限定しているにも関わらず、なぜニコニコ動画だけが会見に参加することができたのかという点については、「インターネット協会など、いろいろとお付き合いがあるところもあるだろうしね」などと答えました。

 「おつきあい」があるメディアには、会見参加を認めるが、「おつきあい」がなければ認めない、とでも言いたげな口調でした。これが政権与党の記者会見参加基準だとしたら、批判的な質問をするメディアは参加させない、ということになります。

 「公平性」「公共性」を著しく欠く態度です。

 現在、自民党役員(総裁、幹事長、総務会長、政調会長)の記者会見は、平河クラブ(自民党本部に設置された記者クラブ)に限定されており、IWJをはじめフリーランスの記者は参加することができません。

 今回の今井氏の会見についても、平河クラブにのみ通達を出していたことはもちろん問題ですが、「お付き合いがある」という理由でニコニコ動画だけを参加させたことはもっと深刻な問題です。インターネットメディアにも会見を開放するのであれば、公平に参加を認めるべきであり、また、オープンにしたことをきちんと事前に告知し、広く参加者を募るべきではないでしょうか。

 さて、肝心の会見の中身ですが、障害者支援や社会福祉の話題以外に、注目すべき発言がありました。今井氏は、国会で集団的自衛権行使容認にもとづく安保法制が議論され、SEALDsをはじめとする市民団体が抗議の声をあげていた昨年8月、以下のようなツイートをしていました。

 「戦争を経験した方で戦争賛成派の方いますか?もしそういう方がいらしたら、どうして賛成なのかを聞きたい。戦争を経験していない人が賛成!というのは、どこか説得力がないでしょ。今の日本の流れを拝見すると、どこかプチ戦争なら賛成!みたいに見えるのはわたしだけでしょうか?」

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 「今の日本の流れを拝見すると、どこかプチ戦争なら賛成!みたいに見えるのはわたしだけでしょうか?」という部分は、ごく普通に読めば、今井氏が安保法制に反対する意志を表明していると解釈できます。

 昨日の会見では、日本テレビの記者がこのツイートを取り上げ、「安保法制には反対なのか?」と質問しました。それに対し、今井氏は以下のように答えました。

 「私は沖縄出身です。沖縄は、唯一の地上戦があって、たくさんの県民の方々が犠牲になった、という話をですね、おじいちゃんや、おばあちゃんから聞きました。そこで、私は、もう二度と戦争はしちゃいけない。平和を守らなくてはいけない。みんなの命を守らなければならない、と強く感じました。

 しかし、平和を願うだけでは、守れないというのも現実です。一昨日、北朝鮮のミサイルが飛んで、沖縄の上空を通過した時に、緊張が高まりました。万が一のための備えは必要だと思います。

 ですが、それは戦争するためではなくて、平和を守る、皆さんの生活や命を守るために必要なことだと思います」

 沖縄出身として、「私は、もう二度と戦争はしちゃいけない。平和を守らなくてはいけない。みんなの命を守らなければならない、と強く感じました」という部分は、誰もが共感する部分だと思います。

 しかし、北朝鮮の「ミサイル」を持ち出し、「万が一のための備えは必要だと思います」と発言した部分は、とても気になります。平和のための「抑止力」として、「安保法制が必要だ」という、安倍総理が日頃から振りかざしているロジックそのままです。

 しかし安保法制の実態は、IWJがこれまで繰り返しお伝えしてきた通り、平和のための「抑止力」となるものではなく、自衛隊を、世界中で戦争を行なっている米軍の下請け組織として再編するためのものです。安保法制に仕組まれた危険性については、IWJの以下のアーカイブ動画をご覧いただければと思います。

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 また、今井氏がツイートで述べた「どこかプチ戦争なら賛成」という考えは、尖閣をめぐって日中が沖縄本島を含む南西諸島一帯で限定的戦争を行う可能性がある、少なくともそうした作戦が練られ、着々と準備をしつつある、という事実があることを、たとえば同じ沖縄出身の元宜野湾市長の伊波洋一氏は、岩上さんのインタビューにこたえて、詳細に論じています。

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 「沖縄あたりでプチ戦争なら賛成!」という考えの人間がこの世にいることに、今井氏自身、うっすら気づいていながら、その現実に目を閉じてしまう。残念でなりません。

 北朝鮮のミサイルが沖縄に届きうるとわかったら、「備えが必要」という考えに変わる?

 自民党が沖縄の辺野古新基地建設を進めていることは重々承知でしょうから、辺野古の基地が「備えになる」と言いたかったのでしょうが、基地はむしろ「標的」となります。相手の攻撃を引き寄せてしまうのです。

 「沖縄あたりでプチ戦争なら賛成!」と今井氏は考えを改めたのでしょうか?

 今井氏に関して、自民党本部は、夏の参院選で改選を迎える島尻安伊子・沖縄北方担当相と連携した選挙活動を展開させる意向のようです。その島尻大臣は昨日の閣議後の会見で、自らが所管する北方領土の「歯舞群島(はぼまいぐんとう)」を「はぼ・・・えー、何だっけ」などと言葉を詰まらせ、隣に控えていた秘書官に「はぼまい」とささやかれる始末。大臣としての適格性に疑問を抱かざるを得ません。

 そんな島尻氏とともに選挙活動をすることになる今井氏。はたして、どんな街頭演説をすることになるのか。そして、当選することになるのか。当選したとして、自民党所属の国会議員として、どのような活動をしていくことになるのか。IWJとしては、しっかりと注視し、取材をしていきたいと思います。

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「「SPEED」メンバー・今井絵理子氏が自民党からの参院選出馬を正式表明!安保法制への見解問われ「万が一のための備えは必要」と肯定!?」への3件のフィードバック

  1. 武尊 より:

    芸能活動が暇で、事務所から出馬を要請されたみたいですよ。障害のある子供為にも断れなかったんでしょう。
    安倍やその仲間達という人間はそういう卑劣な事には頭が廻るなァ(怒)

  2. nami より:

    ウチナーンチュです。
    今井氏にはがっかりです。
    自民党からの出馬がどのような意味を持つのか、
    本人は承知しているのでしょうね。
    少なくとも「沖縄の声を伝えたい」等と言わないでほしい。
    沖縄を売り渡してまで手に入れたいものは「金」ですか?
    「金」や「権力」に目がくらんだウチナーンチュが沖縄をダメにしている。

  3. 岡崎佳子 より:

    どんな脅しにあったんだろうか?子どもをダシにされた?自民党に目をつけられてしまったところが不幸の始まり。今井氏も私たち国民も。選挙活動の中で今井氏が立候補を辞退するようになる状況、どうしたらつくれるのかな、と思います。何としてもIWJの記者さんに直接今井氏の声を聞いてきてほしいです(本心かどうかはわからないけれど)。
    障害を持った人たちも幸せに、生まれてきて良かったと思える社会を作るためには、この自民党じゃダメですよね。ほんとに。自民党ってどこまで懐柔の術(だけ)に長けているのでしょうか。いいことを言って持ち上げるというより、むしろいうこと聞かなかったらどうなるかわかってるだろうね、見たいな圧力を感じていこわいです。もちろん私ごときがそれを裏付ける証拠を盛っているわけではないのだけれど、そういうイメージがあるというだけでもう退場!してほしいですね、自民党。

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