【第202・203号】岩上安身のIWJ特報!「日本が『戦争なしでは生きられない国』になってしまう」 元経産官僚・古賀茂明氏インタビュー 2015.4.2

記事公開日:2015.4.2 テキスト独自
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(岩上安身)

 「I am not Abe」――。

 テレビ朝日「報道ステーション」でレギュラーコメンテーターを務めてきた元経産官僚の古賀茂明氏は、シャルリー・エブド事件に際して使われた「Je suis Charlie(私はシャルリー)」という標語をもじって、安倍政権に対する国民の「No!」の声を、そう表現し、安倍政権のタカ派的姿勢と一線を画す姿勢を鮮明にした。2015年1月23日の放送回での発言である。

 新刊『国家の暴走』の中で古賀氏は、日本版NSCの設置、武器輸出三原則の事実上の緩和、特定秘密保護法の施行、そして集団的自衛権の行使容認により、日本が産業界をも巻き込んだ「軍事立国」の道を歩んでいると指摘する。

 湯川遥菜さん、後藤健二さん2人の殺害という最悪の結末に終わったIS(イスラム国)による日本人人質殺害予告事件についても、安倍総理が、日本を米国やイギリス、フランスのような軍事立国に比肩させたいがため、ISに対し強硬姿勢に出た結果によるものである。古賀氏は、そう指摘した。

 古賀氏は、今回の「I am not Abe」発言を機に、テレビ朝日上層部の怒りを買い、3月末をもって「報道ステーション」のコメンテーターを降板することになったのだという。これは、強大な権力を握るに至った官邸に対し、メディアが過度に萎縮している典型例であると言えるだろう。

 「軍事立国」へと突き進む安倍政権の「暴走」により、日本国民はどのような事態に直面するのか。それは、言うまでもなく、米国の主導する戦争に巻き込まれる、という事態である。

 そうした事態に抗うべく、古賀氏は「自粛という名の翼賛体制構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」を発表した。同声明には、ジャーナリストの今井一氏、憲法学者の小林節氏の他に、私も賛同人として名を連ねている。

 「暴走」する国家権力と大手メディアの自粛という状況について、私たちはどのように考え、どう行動すべきか。示唆に富んだインタビューである。

記事目次

  • 『I am not Abe』発言の真意~日本人は後藤健二さんと一緒なのであり、安倍さんと一緒なのではない
  • 外務省の制止を押し切った官邸の強硬姿勢
  • 安倍首相は以前から空爆を肯定していた
  • 戦争をするための「13本の矢」~元経産省官僚の視点から見た安倍政権の危うさ
  • メディアへの圧力と自主規制~安倍政権のアメとムチ
  • 安倍政権は今回の人質殺害事件を政治利用している
  • 軍需産業と戦争のメカニズム
  • 原発と核抑止力理論~矛盾と嘘、そしてその危険性
  • アメリカの機嫌を損ねることはできない―属国のような日本
  • 『翼賛体制構築に抗する声明文』~現状を変えるためになすべきこととは

『I am not Abe』発言の真意~日本人は後藤健二さんと一緒なのであり、安倍さんと一緒なのではない

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▲古賀茂明氏

岩上安身「皆さんこんばんは。ジャーナリストの岩上安身です。IS、自称イスラム国による人質事件が大変残念な結末を迎えてしまいました。このビデオが本物かどうか、まだどこか私のなかに、フェイクであってほしいという気持ちがあるのですが、事実であるとするなら、大変残念なことです。後藤健二さんのご冥福をお祈りしたいと思います。

 このタイミングで本日、非常に重要なゲストをお招きすることになりました。元経済産業省 官僚の古賀茂明さんです。古賀先生、よろしくお願いいたします」

古賀茂明氏(以下、敬称略)「よろしくお願いいたします」

岩上「古賀さんには以前、原発の件でお話しをいただいたり、各種の集会、シンポジウム等々でお話をされているところを取材させていただいております。しかしこうやって一対一でお話をうかがうのは久しぶりですね」

古賀「考えてみるとそうですね」

岩上「大阪にいらっしゃることもあったし」

古賀「テレビで拝見しているので、いつも会っているような気がしています」

岩上「同じテレビ局ですね」

古賀「そうなんです」

岩上「同じテレビ朝日です。私は明日テレビ朝日の『モーニングバード!』に出るのですが、古賀さんは『報道ステーション』に出演されており、先日非常に思い切った発言(※1)をされまして、大変物議を醸しています。アンチの人たちが、大変な攻撃をかけてきていると聞いているのですが、大丈夫ですか?」

古賀「ええ。ものすごい数の誹謗中傷的なツイートがきているようなのですが、一つひとつ読む時間がありません。そのため、私自身はほとんど何を言われているかよく知らないですね」

岩上「批判は流してしまっている?」

古賀「はい」

岩上「Twitterではメンション(※2)が大変なことになっているでしょうね」

古賀「そうなんですかね」

岩上「この事件の一番初め、動画が公開されたその翌日、元内閣官房副長官補で元防衛省官僚の柳澤協二(※3)さんにご出演いただきました 」

古賀「私も見させていただきました」

岩上「あの日は何の打ち合わせもなく、柳澤さんが『包装紙を取り替えたらいいのではないか』と発言された。支援の中身は難民支援であると証明するため、安倍総理の辞任を求めたのです。。あの発言もすごく炎上しました(※4)」

古賀「そうでしょうね」

岩上「しかしこれは、あれだけ見識も経験もおありになる柳澤さんが、覚悟を決めてご自身でおっしゃったことです。それに対して『謝れ』というような意見があり、『なぜ俺が謝らなきゃいけない。謝れるわけがないだろう。撤回も訂正もできない』ということでした。

 この古賀さんと柳澤さんの発言に対するリアクションは、ひどいものだと思っていました。そうしたら実際に人質事件で被害に遭った後藤さん、湯川さん、そのご家族への中傷がさらにひどかった」

古賀「そうですね。悲しくなりますよね。同じ日本人として。こんなことが許されるのかなと」

岩上「今回の件では、言論の自由、報道の自由、表現の自由、こうした問題が問われたと思います。同時に人権侵害が横行していて、これは許されるのかと思いました。

 それについても順々お聞きしていきたいと思うのですが、その前に、この報道ステーションで『I am not ABE』とおっしゃった。この発言の真意をお話いただけたらと思います」

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(※1)報道ステーションで思い切った発言をして、物議を醸している:2015年1月23日、テレビ朝日、報道ステーションにコメンテーターとして出演していた古賀氏が、イスラム国による日本人人質事件への日本政府、安倍晋三総理大臣の対応を批判し、『I am not Abe』というプラカードを掲げ、日本という国は必ずしも敵ではないと主張すべきだ」と発言した。

その後、古賀氏は2月25日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で開いた会見で、テレビ朝日から4月以降の報道ステーション出演の打診がなく、「I am no Abe」などの騒動のため、テレビ朝日の篠塚浩報道局長や経営陣の意向で番組を降ろされたと語った(J-CAST News、2015年2月25日

【URL】http://bit.ly/1HV8htV)。

(※2)メンション:ツイッターにおける特定の「@ユーザー名」を含むツイート(参考:ツイナビ

【URL】http://bit.ly/1b774EY)。

(※3)柳澤協二:元防衛官僚。現在、NPO法人国際地政学研究所理事長、新外交イニシアティブ理事、自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会代表。防衛庁運用局長、防衛庁人事教育局長、官房長、防衛研究所所長、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)などを歴任。

2004年から2009年まで、第2次小泉・第3次小泉・福田・第1次安倍・麻生内閣の下で内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)を務めた。第2次安倍内閣に対して批判的で、2014年2月28日、「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」に講師として出席した際、集団的自衛権をめぐる米国、アジアの動きを解説したうえで、安倍内閣が閣議決定で集団的自衛権の行使を容認できるよう憲法解釈を変更しようとしていることを批判している(参照:自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会

【URL】http://kenpou-jieitai.jp/yanagisawa.html)。

(※4)元内閣官房副長官補で元防衛省官僚の柳澤協二氏のIWJ出演:2人の邦人の命を救うため、イスラム国を挑発した張本人、安倍首相が「辞任」することを提案~岩上安身による元内閣官房副長官補・柳澤協二氏緊急インタビューが放送された。

番組内で柳沢氏が、『総理発言のキャンセルは無理、人質を見捨てることもできない。ただ、日本の支援は難民のためなのだから、対イスラム国のために、と書いてある攻撃的な包装紙を取り替えればいい』とし、『対イスラム国、と包装紙に書いたのは安倍総理なので、安倍さんがお辞めになれば交渉しやすくなるでしょう』と語ったところ、賛否両論が殺到した(IWJ、2015年1月21日

【URL】2人の邦人の命を救うため、イスラム国を挑発した張本人、安倍首相が「辞任」することを提案~岩上安身による元内閣官房副長官補・柳澤協二氏緊急インタビュー 2015.1.21

(IWJ、2015年2月4日

【URL】「政府にとって一番重要なのは西側(アメリカ)との連携」人質解放が優先ではなかった!? 安倍政権の対応「真剣に検証を」 元外務省国際情報局長・孫崎享氏に岩上安身が聞く 2015.1.31)。

外務省の制止を押し切った官邸の強硬姿勢

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「【第202・203号】岩上安身のIWJ特報!「日本が『戦争なしでは生きられない国』になってしまう」 元経産官僚・古賀茂明氏インタビュー」への1件のフィードバック

  1. sakuyak より:

    テレ朝でそんなに発言したいのなら、うまくやれよ。古賀が維新に言ったりテレ朝の犬になりたいように、テレ朝もいろいろ都合があるのだろう。懸命にテレ朝にゴマをすったのに蹴られたと恨み節は醜い。ネットででも発言しろよ。正当な発言なら、支持者は増える。
              
    テレ朝自体、人気がなくなって、視聴率アップに懸命なだけだろう。古賀のような時代遅れ発言は、みんな無視だ。時流に乗っているつもりが、時流から遅れた。ポピュリスト・コメンテーターは世の流れを読み間違えると、すぐに切られる。芸人と同じ扱いだよ。まだ、わからんのか。

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