死亡事故の根本原因、スケジュールを遵守するプレッシャーに押されたことも一つ ~東京電力人身災害に関する原因と対策についての臨時記者会見 2015.2.2

記事公開日:2015.2.2取材地: テキスト動画
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 2015年2月2日17時から、東京電力で人身災害に関する原因と対策についての臨時記者会見が開かれた。1月19、20日に東電の3つの原発で重大な人身事故が相次いだことから、全ての作業を中断、安全総点検を行っていた。福島第一原発については、過去の事故原因も改めて深堀りし、改善策を実施。全作業436件中安全を確認した392件を2月3日から再開する。2週間に渡る作業中断の工程への影響は、これから徐々に評価していくという。

■全編動画

  • 日時 2011年2月2日(月)
  • 場所 東京電力本社(東京都千代田区)

2週間ぶりに作業再開、安全第一で急がば回れでいく

 福島第一原子力発電所では、昨年2014年3月の死亡事故以降、繰り返し同様の事故を起こしている。2015年1月19、20日に東京電力の3つの原子力発電所で、作業員の死亡を含む重大な人身事故が相次いだ。3つの原子力発電所では、一旦、現在行われている全ての作業を中断、安全総点検を行っていた。

 福島第一原発では、436件の作業を全て中断。1月31日に、姉川尚史・原子力立地本部長、増田尚宏・福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント、小野明・福島第一原子力発電所長が、安全総点検の結果を現場確認した。その結果、392件については、安全が確認されたと判断。2月3日から作業を再開することが発表された。残りの44件は、今後、増田プレジデントと小野所長で確認していくという。

 約2週間にわたり作業が中断していたことで、全ての工程が2週間から1ヶ月月程度スライドする見込みだという。具体的に何日遅延するか、詳細な影響は今後、精査していくとしている。今回は作業の進展如何に関わらず、作業の途中で中断した。すんなり再開できるとは限らず、徐々に作業を再開しながら影響を調べていくことになる。このことに対して増田プレジデントは、「現場安全を徹底する、急がば回れが、廃炉の着実な進捗に必要だ」と安全優先の姿勢を示した。

 なお、同様に安全総点検を行った福島第二原発は、1月28日に、柏崎刈羽原子力発電所は、1月26日に、それぞれ作業を再開している。

発電所全体のリスク低減という思いがプレッシャーになった

 安全総点検では、事故の表面的な直接原因だけでなく、その背後要因も分析し、対策を施すようにしている。背後要因、つまり根本的な原因を調べ、対策することが不十分だったために事故を繰り返したと、東電は自ら反省した。

 その中で、スケジュールを遵守するプレッシャーに押されたことも、原因の一つだと分析している。

 姉川尚史・原子力・立地本部長は、今と同じ工程のプレッシャーでも、安全活動をとれたなら事故は防げただろうが、敷地全体、発電所全体のリスクを早く低減したいという思いが、個々の作業現場で勝ってしまったことがプレッシャーになったと説明。

 全体を見ることができる自分のような立場の人間が、注意しておく必要があったが、できなかったと、姉川氏は自ら反省の言葉を述べた。加えて、「安全第一からしか工程を守るすべはない」とも述べ、今後も”継続的に”安全対策を行い、工程ありきではなく、安全を確保することを優先していく姿勢を見せた。

■■■■■■ 以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2015年2月2日

2015年1月31日

2015年1月30日

プレスリリース

2015年2月2日

2015年1月30日

2015年1月29日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2015年2月2日

福島第一原子力発電所 データ集

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