予定していた年度内の汚染水全量処理は断念、新たな目標日程は検討中~東電定例記者会見 2015.1.26

記事公開日:2015.1.26取材地: テキスト動画
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 2015年1月26日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。安全総点検をまだ続けており、工事再開の目途はたっていない。これにより、トレンチ充填、凍土遮水壁工事などへの影響が懸念される。一方、年度内の汚染水全量処理は断念し、新たな目標日程は検討中だが、敷地境界線量を低減する目標日程へは影響しないという。

■全編動画

安全総点検継続中、工事作業の再開めどは立たず

 今月前半に福島第一、第二原子力発電所で作業者の死亡事故が続いて起き、柏崎刈羽原子力発電所でも重傷を負う人身災害が起こったことから、三つの原子力発電所は1月21日から全ての工事作業を中断し、安全総点検を行っている。26日現在もまだ終わっておらず点検を続けており、いつ工事作業が再開できるか、まだ目途が立っていない状態だ。ただし、水処理や滞留水の移送、サンプリング、分析、現場パトロールという安全を維持するための作業は行っているという。

 点検では安全のため、是正措置が必要とされた箇所は改善策を施し、所長の確認をとっている。その例をいくつか東電は発表した。例えば、3号機海水配管トレンチの充填工事現場では、足場台に乗って作業する箇所があり、その場所に『安全帯使用』という注意看板を掲示した。また、凍土遮水壁工事現場では、側に近くにあるサブドレンピット・ポンプの地上部に、重機が接触するのを防止するバリケードを設置した。安全総点検はまだ終わっていないが、是正箇所は多くあり、全てを個別に公表することは考えていないという。

 これらは、通常の工事現場では当然施されているような安全策である。今回、それらがされていないということが露見した。安全策を施されていない箇所が数多くあるということは、いかに労働上の安全、作業員の安全をないがしろにしてきたかが、明白になったと言えるのではないだろうか。

廃炉工程への影響、遅れは

 工事作業が中断していることから、廃炉へ向けた工程への遅れが懸念される。安全を確保するために総点検をおろそかにしてはいけない。しかし、これまでにもいろいろな工程の遅れがあり、全体への影響が懸念される。

 海水配管トレンチの充填止水工事について、2号機のトレンチは地下トンネル部分の充填を終え、水道の有無を試験、まだ評価中している。3号機は充填する直前に総点検が始まり、そこで作業は止まっている。4号機はまだ充填方法を検討しているところだという。

 凍土遮水壁は3月に凍結を開始する予定だったが、”非常に厳しい”状態だという。どれぐらい遅延するか、東電は改めて検討するとしており、安全総点検の終了、工事再開の時期が鍵となっている。

 1月29日は中長期ロードマップの進捗会見だが、そこでなんらかの目途が示されることを期待したい。

年度内の全量水処理断念の影響は

 1月23日に東電廣瀬直己社長は、当初計画していた今年度内(2015年3月末)の全量水処理完了が厳しいと資源エネルギー庁に報告した。

 原因としては、多核種除去設備ALPSの稼働率が想定通りに上がらないことを挙げている。特にストロンチウムを除去する吸着剤の性能低下が当初想定より早く、対策が必要だという。さらに、処理前の水にカルシウムや不純物が多く含まれており、頻繁に運転を止め、クロスフローフィルターの逆洗洗浄を行う必要があるという。これら停止が想定より多いため、稼働率が下がっているということだ。

 高性能ALPSで特にストロンチウムによる吸着剤性能低下の影響が大きいが、他の既設ALPS、増設ALPSでもフィルター洗浄が必要であることなど、どの設備も稼働率が想定まで上がらないということも原因として挙げられる。

 汚染水処理が遅れることで、RO濃縮塩水がタンクに溜まったままになる。これは敷地境界線量に影響する。東電は今年度末(2015年3月末)に敷地境界線量を2mSv/年、2016年3月末には1mSv/年まで下げると、原子力規制委員会に申請している。

 IWJは、その予定に影響はないのかと質問した。東電広報官・白井氏は、「厳しいが、処理の方法を工夫してなんとか達成したい」と説明。敷地に近い箇所にあるタンク内汚染水から、まずストロンチウムを除去し、”ストロンチウム除去水”とする。これにより目標を達成できると東電は説明している。

 しかし、こうした自信をもった東電の約束が、目標日の間際になって達成できずに遅延するということは、過去にも多々あった。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2015年1月26日

2015年1月24日

2015年1月23日

プレスリリース

2015年1月26日

2015年1月23日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2015年1月23日

福島第一原子力発電所 データ集

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