【佐賀県知事選】山口祥義氏初当選 安倍政権に反発した農協推薦候補が執念の組織選挙で大逆転 2015.1.11

記事公開日:2015.1.13取材地: テキスト
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(IWJ 中継市民 こうの みなと)

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 古川康前佐賀県知事の国政転身に伴う佐賀県知事選は、1月11日投開票され、元総務省過疎対策室長山口祥義氏(49)が、自民党、公明党からの推薦を受けた前武雄市長樋渡啓祐氏(45)と激戦を繰り広げたのち、初当選した。

 山口氏は、出馬表明会見をおこなったのが12月16日と4人の候補者中一番遅かった。

 しかし、安倍政権の農協改革に反発する佐賀県農政協議会や、対立候補である樋渡氏の急進的な政治手法に反発する多くの自民党・民主党の地元議員が、知名度のほとんどない元官僚の山口氏を推薦し、佐賀県知事選では2003年以来、12年ぶりの保守分裂選挙となった。

▲当選した山口氏 (12月29日 決起大会にて)

 樋渡氏を強力に支援した安倍政権にとって、昨年7月の滋賀県、11月の沖縄両県知事選に続く知事選3敗目となった。

 この他に、無所属で出馬した元国土交通省・現九州大大学院教授の島谷幸宏氏(59)は、佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備計画や玄海原発再稼働への反対姿勢を鮮明にし、県内外を含む市民団体を中心に草の根で運動したが、大多数からの支持は得られなかった。

 4人の中で、唯一、官僚出身ではない農業の飯盛良隆氏(44)は、食育改革などを訴えたが、支持はほとんど広がらなかった。

【開票結果】
山口祥義氏(49) 182,795 票
樋渡啓祐氏(45) 143,720 票
島谷幸宏氏(59) 32,844 票
飯盛良隆氏(44) 6,951 票

記事目次

山口氏は、佐賀県内20自治体中14自治体を制する

 選挙戦中盤にあたる元日に発表された、地元最大手、佐賀新聞による世論調査では、「樋渡が氏先行 山口氏が急追」と伝えられていたが、選挙戦終盤で追い上げ、20自治体中14自治体を山口氏が制した。得票率でも、最終的に山口氏が樋渡氏を10ポイント以上も引き離した。

 特に、一番有権者の多い佐賀市では、秀島敏行市長が山口氏を全面的にバックアップし、5万5千票あまりを獲得したことは大きい。

 それに対し、樋渡氏が山口氏よりも多く得票したのは、6自治体(武雄市・唐津市・鳥栖市・基山町・みやき町・有田町)に留まった。

 しかし、激戦にも関わらず投票率は54.61%と、多くの予想を下回り、過去最低を記録した。ちなみに、12年前(2003年)の保守分裂選挙は、69.72%であった。

急進的な民営化・規制改革に強い危機感=根底には、TPP反発も

 対立候補の樋渡氏は、武雄市長時代の実績として、「市立病院の民営化」「公立図書館のTSUTAYA(CCC)への業務委託」「民間塾・花まる学習会と提携した義務教育の導入」など市長時代の実績を強調しながら選挙戦を戦った。いずれも「民営化」を強調するもので、骨の髄からの新自由主義者であることがよくわかる。

 特に、武雄市民病院の民営化問題では、反発する地元医師会を中心にリコールを受け、街を二分する形で再選挙を実施しながらも民営化を断行した。

 樋渡氏が知事になれば、農業をはじめとした様々な分野で、民営化および規制改革が実施されるのではないかという強い危機感が、既存の団体組織の間に広がった。

 さらに、そこに加えて、佐賀県農政協議会には、2012年の衆議院選挙で、「TPP断固反対」を公約し、JAの支援を集めて選挙戦を戦い、政権交代を果たすも、その公約をいとも簡単に覆し、TPP参加を表明し、さらには「恩を仇で返す」形で、JA全中解体を掲げて切りかかってきた安倍政権への不信感も加わった。

 正組合員数・准組合員数合わせて約8万5千人を誇る佐賀県農政協議会としては、樋渡氏に代わる保守系候補の擁立がなんとしてでも必要不可欠だったのである。

 JA全農と佐賀農政協議会、2つの会長職を兼任する中野吉實会長は、12日29日、山口祥義候補にとって初めてとなる総決起大会(個人演説会)にて、「『農協が駄目』『TPPは賛成』『有明海諫早干拓の開門には反対』『オスプレイは大賛成』『原発も賛成』だと言っている人を、私達が応援するわけにはいかない」と強調。山口候補に対しても、改めて釘をさした。

 山口候補は選挙中、「佐賀のことは、佐賀で決める」「県民党」を強調し、「安倍政権が一方的に決めた樋渡氏と対決する」という構図を鮮明にした。

 また、山口氏は旧自治省の官僚として、「有珠山噴火」、「新潟県中越地震」、「東海村JCO臨界事故」など、現場の第一線で携わってきた行政経験を強調し、無名だが行政経験が豊富で、即戦力となることをアピールした。くわえて、自分の本籍地が白石町にあり、「私は100%佐賀の血で構成されている」と、決して、他県からの落下傘候補ではないことを強調することも忘れなかった。

 「佐賀県のことは佐賀で決める」というフレーズを聞いて、あれ? と思った方も多いのではないか。

 激戦となった沖縄県知事選で、勝利を手にした翁長雄志・前那覇市長を推した「オール沖縄」陣営からは、しばしば、「沖縄のことは沖縄で決める」という沖縄の自己決定権を強調する声が聞かれた。翁長氏は自民党沖縄県連幹事長も歴任した、生粋の保守政治家である。安倍自民党に反旗を翻した「保守」という点でも、よく似ている。

▲山口氏の決起大会(個人演説会)には、佐賀農政協議会の中野会長(左)や地元大物議員が連日駆け付け、組織選挙を鮮明にした

▲山口氏の決起大会(個人演説会)は、連日、熱気に包まれていた。

樋渡氏がFacebookに書き込んだ「ひまじんうんこ」という「暴言」

 樋渡氏が批判を浴びたのは、政策面だけでない。ネット上での樋渡氏自身の言動が顰蹙を買った。

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