「ターンオーバー元年」に向けて ―IWJ代表・岩上安身の2015年 年頭のご挨拶 2015.1.1

記事公開日:2015.1.1 テキスト
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 新年明けましておめでとうございます。

 IWJの岩上安身です。日頃はスタッフが交代で朝のご挨拶文を書いておりますが、2015年元日の本日は、私が年頭のご挨拶をさせていただきます。

 まずは、旧年中に大変お世話になりましたこと、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

 2010年12月に設立したインターネット報道メディアIWJは、おかげさまで昨年12月に4周年を迎えることができました。

 12月21日に開催した、IWJ設立4周年記念イベント「饗宴V」では、16名ものゲストをお招きして、5部に分かれて8時間におよぶシンポジウムを開きました。

 「最初で最後」の規模となるであろうこの「饗宴V」を無事開催することができましたのも、ご登壇いただいたゲストの先生方はもちろんのこと、ご来場者の皆様、協賛して下さった方々、会員・サポーターの皆様、中継市民やボランティアの皆様、そして懸命に立ち働いたスタッフの献身的な努力の賜物です。

 関係者の皆様、尽力くださった方々、そして御支援、応援してくださったすべての方々に、改めて御礼申し上げます。

 残念ながら、PPV(ペイパービュー)のサービスが停止されてしまったため、遠隔地の方々に同時中継でご覧いただくことはできませんでしたが、現在、DVDを鋭意制作中です。8時間にわたる真剣なシンポジウムがぎっしり詰まっています。今月半ばまでにはお届けできるようにいたしますので、どうぞ御高覧いただければと存じます。

 2014年は、日本にとってだけでなく世界にとっても大きな大きな転換点となる年でした。多様な問題が噴出しました。「饗宴V」のテーマを5つに分けざるをえなかったのはそのためでもありますが、まだそれらの多様な問題の噴出の意味は、十分に理解されていないように思います。

 2014年に起きた様々な出来事――

 ウクライナのクーデターと内戦、イスラエルによるガザへの侵攻、自由貿易協定反対を唱える台湾の学生たちの国会占拠、消費税増税の断行と、法人税減税への圧力(優遇される巨大企業としわ寄せをされる個人・中小企業)、アベノミクスというリフレ政策とその息切れ、株価をのぞき悪化の一途をたどる日本の経済指標、秘密にされるTPP交渉と、事実上の先取りの国家戦略特区、マレーシア航空機撃墜事件、ロシアへの経済制裁とその帰結としてのロシアと中国の急接近、サウジ等の原油増産と原油価格の下落、その結果としてのルーブルの暴落、集団的自衛権の行使容認の閣議決定、特定秘密保護法の施行、沖縄への米軍新基地建設の押しつけと、選挙を通じて「抵抗」の意志を示し続けた沖縄の民意、政府・与党による原発の維持・輸出政策の推進、ヘイトスピーチ横行への世界からの非難に対して、逆行するかのような政府・与党による歴史の書きかえのもくろみ、朝日叩きに象徴されるメディアへの圧力と、その裏腹の大手メディアに対する懐柔、衆議院の解散・総選挙と自公の微妙な勝利、そして迫り来る乱脈な世界戦争状態の予感――それらの出来事の数々を、私たちIWJは全力で追い続け、報じ続けてきました。

 これら、国内外の問題群は、それぞれに連関しあっています。と同時に、2014年にまかれた問題の種はどれもこれも年を越して持ち越されており、2015年に大きく芽吹く可能性が否定できません。

 国民主権が脅かされつつあります。

 基本的人権がおろそかにされつつあります。

 国家と資本の分離がよりあからさまになり、富を吸い上げた、越境する巨大金融資本が国家を超え出てのたうち回り、戦争のための戦争を欲し続けているように思われます。

 国家という「地上の神」が衰える一方、とってかわろうとするかのような金融資本という幻想的な神は、瞬間瞬間に姿を変え、消長激しく、とらえどころがありません。

 バブルの多発と破綻の連続、その破綻の後始末のために繰り返される出口なき量的緩和が、またしてもバブルの創出に拍車をかけています。

 神の幻影を生み出しているのは持てる者の飽くなき貪欲であり、幻影による支配に持たざる者の民意を反映させる手だては、まだ誰も見出だせていません。

 しかし、黙って指をくわえてやられっぱなしでいるわけにはまいりません。「饗宴V」が掲げたテーマ、「ぎりぎりからのターンオーバー!民主主義はいつも遅れて反撃する!」は、これからのテーマでもあります。

 サザンオールスターズの桑田佳祐氏がチョビひげをつけて「ピースとハイライト」をあの紅白で歌った2014年の年末。そのすぐあと、「朝まで生テレビ」で孫崎享さんが、「饗宴」や私のインタビューなどでいつも話していることをいつも通りに発言しただけで衝撃が走った2015年元旦。

 まだまだ「ターンオーバー」「反撃」の手だてはいくらでも残されており、「反撃者」の同志は世のあちこちに伏在していることを思い知らされた元旦となりました。

 IWJが2014年中に発行したメルマガの総本数は12月31日現在で99本(IWJウィークリーとIWJ特報の合計)、インタビュー115本、記事本数3101本、動画の総配信本数は3102本でした。3日に1本の割合で、ロングインタビューを行い、メルマガを書いて発刊し、1日に約8.5本の割合で動画を配信し、記事をアップし続けてきたことになります。

 多様化する問題群を局面ごとに正確にとらえてすみやかにお伝えし、同時に領域横断的な分析によって、その問題群の連関を明らかにする。そのためには、まだまだこの報道量では足りないかもしれません。

 しかし、この報道配信量を、2015年においても継続してゆくのは難しくなるかもしれません。

 IWJのサイトは年間1400万ビューを数えます。ですが、会員数は5000人を回復することができないまま、越年となってしまいました。増税と物価高、実質賃金の低下によって、会費の継続的な支払いが厳しくなった、という方々の悲鳴のような声が届いています。

 この趨勢が変わらなければ、IWJのダウンサイジングは避けられません。私個人の持ち出しによってカバーするのはもはや限界です。

 IWJの活動をスリム化し、報道量を減らす分、質を向上させる方向に注力しなくてはならないと思います。

 本年は5年目、真価が問われる年です。2015年を「ターンオーバー元年」にするためにも、皆さまのいっそうのお引き立てをよろしくお願い申し上げます。

 末筆ながら、皆さまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。この御挨拶が直接届く御縁のある方にも、届かない、御縁の薄い方にもすべての人々が平和で幸せであるようにと願いたいと思います。

株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
代表取締役 岩上安身拝

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