【IWJ・争点山盛り選挙日報23】国論を二分する秘密保護法の争点化避ける自民・公明 アベノミクスさえ言及避ける自民党候補 ~12月10日の動き まとめ 2014.12.11

記事公開日:2014.12.11 テキスト
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(IWJ・佐々木隼也)

特集 総選挙2014|特集 秘密保護法

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秘密保護法を公約で取り上げない自公、「是正」「廃止」掲げる民社共

 国会での審議が不十分なまま強行採決され、いまだに国論を二分している「特定秘密保護法」が、12月10日午前0時に施行された。

 国家安全保障会議(日本版NSC)や外務省、防衛省、警察庁など19の行政機関が、「秘匿すべき」と判断した特定秘密40万件以上について、秘密を漏らした場合に最高10年、秘密を知ろうとした者も最高5年の懲役に処される。今月12月1日に共同通信が行った調査では、「国民の『知る権利』に配慮する内容に改正すべきだ」、「廃止すべきだ」と応えた人がそれぞれ18.2%と40.1%だった。

 反対の声は根強く、この日、官邸前では抗議行動が行われた。

 菅義偉官房長官は9日の会見で、同法について「施行準備を慎重に丁寧に進めてきた」「しっかり(国民に)理解されるように努めていきたい」と語ったが、先月11月19日には秘密保護法について、「信を問う必要はない。何で信を問うかは政権が決める」と言い放っている(※)。

 国論を二分する政策については公約に盛り込まず、「信を問う」必要なしとする自民・公明の姿勢が浮き彫りとなっている。

 安倍首相は11月18日、TBSの番組で、同法について「まさに工作員とかテロリスト、スパイを相手にしているから国民はまったく、基本的に関係ない」と説明。その上で、「報道が抑圧される、そんな例があったら私は辞めます」とも語った。

 共同通信が7日に配信した記事によると、同法を所管する内閣情報調査室は11年11月、海外の学校で学んだ経験や外国企業での勤務経験があると国家機密を漏らす恐れが高まるとするメモを関係省庁に示していた。理由として「外国への特別な感情を醸成させる契機となる」としていたが、意見を求められた外務省が反論したという。

・争点

 民主党など野党の一部は同法の是正や廃止を公約に掲げているが、自民、公明両党は取り上げなかった。

 民主党は政権公約(マニフェスト)で、同法について「知る権利と報道の自由を確実に守るため、国会等の監視機関の不十分さを是正する」と記述。共産、社民両党も公約で「廃止」の文言を書き込んだ。維新の党は公約で触れていない。(ブルームバーグ 12月10日)

自信ない?「アベノミクス」ツイート避ける自民党候補

 国論を二分する秘密保護法、集団的自衛権を争点化させない自民党。しかし、安倍総理が自ら最重要争点とした「アベノミクス」すら、自民党候補はツイートを避け、論戦から逃げている実態が明らかになった。

 「アベノミクス」をつぶやいているのは共産党のほか生活の党79回、民主党52回。野党候補がアベノミクスの負の側面を批判しているのに対し、自民党候補は41回しかなく、ツイッター上での論戦に発展していない。民主党候補は「原発」を103回ツイートしている。

 自民党候補のツイートでは政策関連の単語は少なく、「経済」が「アベノミクス」より多い64回、「景気」が38回出てくる程度。世論の賛否が分かれる争点は避ける傾向がうかがえる。(毎日新聞 12月10日)

次々浮上する集団的自衛権の「嘘」と「矛盾」 自民党はこれもスルー

 菅官房長官は11月19日の記者会見で、集団的自衛権について「自民党は既に憲法改正を国政選挙の公約にしており(信を問う)必要はない。限定容認は現行憲法の解釈の範囲だ」と強調。これも、なるべく議論の俎上にあげるのを避けている。

 『日本人は人を殺しに行くのか〜戦場からの集団的自衛権入門』(朝日新聞出版)の著者で、世界各地の紛争地帯に乗り込んで、武装解除や平和構築に携わってきた伊勢崎賢治氏は、「集団的自衛権の嘘」を喝破する。

「集団的自衛権の行使を容認しないとアメリカは日本を助けてくれない」
「そのうち、中国、北朝鮮、韓国が日本に戦争を仕掛けてくる」
「国連PKOへの自衛隊派遣は世界の役に立っている」
「イラク戦争で自衛隊に戦死者は出ていない」
あなたはそう思っていないだろうか? でもこれが、「誰か」にとって都合のいいウソだったとしたら? 本当は集団的自衛権の行使容認なんて必要ないのに、「必要かもしれない」と思いこまされてるとしたら?(著書引用ここまで)

(略)

 安倍政権は、こんなありもしないことを前提として集団的自衛権行使容認を進めているということを、国民・有権者はもっと自覚するべきだろう。

 その結果、何が起きるかというと、我々の税金が人殺しのために使われ、自衛隊が人を殺し、自衛隊員に死者が出るという世界に突入することになる。しかし、実態を知らされていない我々国民はもちろん、安倍政権にもその「自覚」も「覚悟」もない。

 伊勢崎氏の前掲書によると、安倍政権が打ち出した「集団的自衛権の15事例」は、現実味が薄かったり、荒唐無稽なものであったりすることには目をつむっても、どれひとつとして集団的自衛権の行使容認をすべき理由になるものが含まれていないという。これは驚くべきことだ。

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