2014年12月8日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。サブドレンNo.20でアンチモン(Sb)125が検出されたが、東電は過去のフォールアウト(放射性降下物)の影響と判断。今後も観測データをみて海洋漏洩の有無や対策を判断する構えだ。
2014年12月8日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。サブドレンNo.20でアンチモン(Sb)125が検出されたが、東電は過去のフォールアウト(放射性降下物)の影響と判断。今後も観測データをみて海洋漏洩の有無や対策を判断する構えだ。
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福島第一原発5号機は原子炉内にある燃料の取り出しに向けて準備が進められている。事前確認中、空気圧低下の警報が発生し、燃料交換機マストを炉内に巻き下げることができなかったと報告された。
東電は今後、燃料交換機の点検を行い、原因等を調査する予定。これが今後の燃料取り出しに工程にどのように影響するか、調査の状況によって考えていく必要があり、現段階では工程上に何か影響を与えるかどうかは分からないという。
なお、現在5号機では原子炉内から燃料取り出しに向けた原子炉解放作業を行っているが、燃料の取扱いは行っていない。
建屋周辺から地下水をくみ上げ、建屋内への流入を抑制するサブドレンにて、10月22日にくみ上げ運用前の水質調査を行ったところ、一部で放射能濃度が上昇していることが確認された。
放射能濃度が上昇していたのはNo.18、No.19とよばれる井戸。分析した結果、セシウムと全ベータ濃度が上昇していた。これらは地下の水平パイプで、No.15から17の井戸とつながっている。それぞれの水質分析結果から、No.15から17の汚染がNo.18、19へ流れてきていると東電は判断。そこで、11月14日から21日にかけて、No.17に充填剤を注入し、他の井戸とつながる地下の水平パイプ部分を閉塞した。これで、汚染の拡散を防ごうという考えだ。
閉塞後、11月27日と12月2日ごろに2回に分けてNo.18、19から地下水を30トンずつくみ上げた。結果、No.17の井戸では水位の変動がなく、止水ができていることを確認。またNo.18、19 の井戸からくみ上げた水質を分析した結果、放射能濃度は下がっている状況を確認した。
以上より、No.18、19は、地下水のくみ上げ井戸として運用。No.15から17は高濃度汚染水が残っているため、今後、汚染水のくみ上げを計画しているという。スケジュールはまだ決まっていない。
4号機の使用済燃料プールからの燃料移送は、12月8日現在、残り新燃料70体のところまで進んだ。年内に全ての移送を終える予定だが、燃料の移動が移送し終わった後の4号機のプールの水はどうするのかと、記者が質問した。
東電の小林照明・原子力立地本部長代理は、「現段階でどうするかは決まっていない。単純に(水を)抜くと、そこからダストが上がることもあるので、考えた上で対処する。水の処理は明確に答えられる状況にない」と回答。
燃料がなくなることで冷却などが不要になり、保安上の制限も少なくなるが、大量の汚染水がまだある。しかし、それ以上に優先することがあるので、まだ決まっていないということだ。
燃料はなくなるが、機器貯蔵プールや汚染された建屋そのもの、地下水など、まだまだ多くの懸念事項が残っている。
2号機建屋周辺地下水を分析した結果、サブドレンNo.20にて、12月3日採取の測定値でアンチモン(Sb)125が47Bq/L検出されている。これについて東電は、検出されたのは今回初めてではなく、以前も検出されており、サンプリング時の何らかの影響で、事故当時のフォールアウト(放射性降下物)だと判断している。
Sb-125は炉内にしか存在しない核種。したがって、建屋内の滞留水が山側の地下にも流れている可能性があるかも知れない。しかし東電は、現在は建屋水位をコントロールして建屋から汚染水が漏れ出ない管理をしているため、以前のフォールアウトで出たものがなんらかの影響で検出されたと考えている。
海側の遮水壁などで過去に漏れ出たものが、海水に漏えいしにくい対策をしていると東電は言う。しかし、陸側遮水壁がまだできていないため、海側遮水壁はまだ間隙が残っている。そこから海に出ている可能性があるかもしれない。このような点についても東電は、「抑える必要があるので対策していきたい。全体的には対策をしてきているので下がって来ているとデータで見ている」と判断した。
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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示
2014年12月8日
2014年12月7日
2014年12月6日
2014年12月5日
2014年12月8日