福島第一原発4号機使用済燃料集合体の健全性確認へ、国家プロジェクトで実施する計画を発表~東電定例会見 2014.11.17

記事公開日:2014.11.17取材地: テキスト動画
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 2014年11月17日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。海水を注入した福島第一原発4号機使用済燃料プールから共用プールに移送した、使用済燃料の健全性を確認する計画を公表。共用プールからいつ、どこに搬出すかはまだ計画されていないという。

■全編動画

  • 日時 2014年11月17日(月)17:30~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

2号機配管トレンチの止水は不十分か

 福島第一原子力発電所2号機海水配管トレンチについて、東京電力は止水壁の効果確認を行っているが、現在評価中で結果はまとまったら公表すると発表している。

 2号機海水配管トレンチの地下水平箇所の汚染水を抜きとるため、氷の壁(凍結止水壁)を導入し、タービン建屋地下からの汚染水流入を止めようとした。しかし、凍結が予想通りに進まないことから、セメントなどの間詰め剤で氷の壁を補助する工事を行った。これら合わせ技の止水壁の止水効果を確認しているところだという。

 止水壁の効果の確認方法としては、壁の片方(タービン建屋側)の水位を下げ、反対側(トレンチ側)の水位が変化しなければ止水できていると判断する。水位が連動していれば、止水はうまくいってないと判断、このような方法で確認している。

 11月6日に間詰め剤の施工が終わり、その後、壁の効果を確認したが、壁の両方の水位がほぼ連動している。  トレンチは地下のトンネルであり、地震による傾き、ひび割れなどが生じて地下水が流入している可能性もある。トレンチ側の水位の上昇は止水壁の隙間を通してタービン建屋側から流れ込んでくる汚染水に加え、地下水が直接流れこんでいる可能性もあるわけだ。

 そこで、止水壁の効果が十分でなくとも、トレンチ水平部から汚染水を回収しつつ、グラウド(特殊なコンクリート)を充填、トレンチから汚染水を回収する工法を行おうをしている。

 この工法の実施に先立ち、凍結止水の効果の確認のため、2号機トレンチからプロセス主建屋へ水の移送を行った。約200トンの水を移送し、移送後のトレンチ水位等については確認、評価中であるため、具体的な数字はまだない。

 詳細結果は11月21日に開催が予定されている原子力規制員会の特定原子力施設監視評価検討会の中で、このトレンチの進捗状況を説明し、今回の水抜きの結果、評価はそこで説明される予定だ。

4号機移送済み使用済燃料集合体の健全性確認を国家プロジェクトで実施

 東電は、福島原発事故の際、海水注入により冷却を続行した4号機SFP(使用済燃料プール)にあった使用済燃料集合体の健全性を確認する計画を発表した。

 事故の際、冷却設備が停止したため、外部から消防ポンプで注水し、燃料集合体を冷却した。いくつかの設備では十分な淡水が確保できずに海水を注入したため、塩水に浸かった状態になった。そのため、改めて燃料集合体の腐食等の状況を確認するのが今回の健全性確認の目的だ。つまり、あと何年間この現状を保つか、ということではなく、腐食の進行状況を確認し、その結果を今後の研究等に役立てていこうというのがねらいだという。

 4号機SFP(使用済燃料プール)に収められていた使用済燃料集合体1331体は、11月7日に全て共用プールへ移送された。そこで、共用プールの中の専用架台に乗せ、カメラで点検する方法がとられる。

 新燃料(未使用の新品燃料)は線量が低く、人が直接触れて扱うことができるレベル。実際、4号機SFPからの燃料取り出しに先立ち、4号SFP中の新燃料2体を取り出し、目視で点検、検査を行っている。一方、使用済燃料は非常に線量が高く、水中から取り出して扱うことができない。今回、全ての燃料集合体を共用プールに移送したため、この段階で検査する。

 具体的には、共用プールに移送した燃料集合体から5体を選び検査。そのうちの2体は、燃料棒を固定している”ロックナット”をはずして点検する。

 これら調査方法や調査対象は東電が選択しているものではなく、国の委託を受けたIRIDが選んでいるため、このような方法で調査する理由は分からない。東電報道官は「詳細はIRIDに訊ねてほしい」と答えている。

 4号機SFPから取り出した燃料は、現段階で共用プールに移送するということまで決まっており、その先いつ、どうするのか、どこに搬出するのかなどの具体的なことは決まっていない。「長期保管」が何年なのかは未定だ。

 燃料集合体の健全性確認は、今のところ4号機において一回実施するところまでしか計画はない。2、3号機のSFPにも海水注入が行われたため、それぞれの状況を鑑みて、今後追加の調査をすることもあるかもしれないが、現段階ではない。国家プロジェクトであることから、今後のことは東電ではわからないということだ。

サブドレンNo.17ピットを閉塞、規制庁の許可・面談などの説明は?

 東電は、福島第一原子力発電所2号機近傍にある、地下水のくみ上げ井戸”サブドレンピットNo.17”を閉塞した。

 地下の横孔でつながっているサブドレンピットNo.18から高濃度の汚染が検出されたため、繋がっているNo.15、16、17も汚染が疑われた。これらは東日本大震災時に瓦礫などが入りこみ、地下水のくみ上げができなくなっている。また、周辺線量が高いため、作業できない環境であり、ほとんど放置されている。

 10月31日に開催された原子力規制委員会の”特定原子力施設監視評価検討会”にて、これらピットをどうするかが議論されたが、まだ結論はでていない状態だ。

 ところが、閉塞作業を開始したことから、作業を開始する前にあたって、規制庁に説明したはずである。いつ説明したのか、それは事業者面談なのかと、記者が質問した。

 東電広報官は、「面談なのか、現地にいる検査官に説明しているかは確認しないと分からないが、何らかの情報提供はしているはず」と回答した。

■■■■■■ 以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年11月17日

2014年11月16日

2014年11月15日

2014年11月14日

プレスリリース

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2014年11月17日

写真・動画集

福島第一原子力発電所 データ集

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