福島第一、4号機使用済燃料の移送が完了、小野所長「順調に作業が進められた」~東電定例記者会見 2014.11.6

記事公開日:2014.11.6取材地: テキスト動画
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 2014年11月6日17時30分から、東京電力で小野明・福島第一原子力発電所長の記者会見が開かれ、福島第一の状況などについて、報告した。4号機使用済み燃料の全てが共用プールへ移送を完了したと報告があり、共用プールでの冷却期間、その後の運び出しの有無などについては、いまだ決まっていないとした。

 冒頭、小野明・福島第一発電所所長から、トピックスとして以下のような項目を報告した。

  • 重層的な汚染水対策として、地下水バイパス、凍土壁、遮水壁、ALPS等浄化装置の作り込み
  • 4号機使用済燃料プールから使用済燃料の取り出しが終わり、残りは新燃料
  • 1号機建屋カバー解体工事で使用する飛散防止剤のデモンストレーション

 次いで福島第一廃炉推進カンパニー広報担当・川村信一氏が福島第一プラント状況を説明した。

  • 車両エンジンオイル、作動油の漏洩
  • 共用プール、採水冶具のゴムカバー(大きさ10cm×2cm程度)が隙間サージタンクへ落下

■全編動画

  • 日時 2014年11月6日(木)17:30~
  • 場所 東京電力(東京都千代田区)

4号機SFPから使用済燃料移送完了、残るは新燃料180体

 昨年2013年11月18日から開始した、4号機SFP(使用済燃料プール)からの燃料取り出し、移送作業は、2014年11月5日に1331体ある使用済み燃料を、全て共用プールへ移送した。変形燃料3体も同時に移送したという。残りは未使用の新燃料180体。年内移送完了の目標達成が見えてきた。燃料の取り出しは廃炉作業で最初に行う作業であり、「順調に作業が進められたと思っている」と小野所長は総括した。

 残る新燃料は、既に移送が完了した使用済燃料に比べ、放射線量も低く、燃料が壊れても中から放射線のガスが出てくることはないので、使用済み燃料よりリスクが低い。「とは言え、気を抜かずに安全に6号機の方に運んでいきたい」と小野所長は述べた。

 使用済み燃料は、空気中に出した途端に大きな被曝線量となるので、水中に留まるよう慎重に作業しなければならない。一方、新燃料はその前に人が立って検査できるレベル。事実、4号機燃料取り出し開始前に、燃料の状態を調べるため、新燃料を取り出して異常がないかどうかを目視確認している。

共用プール等で貯蔵、冷却、その後は未定

 4号機の使用済み燃料は、事故後プール内で冷却されていたが、まだ熱が出ているのでプール内等で冷却を続ける。しかし、冷却期間がどれぐらいかは「まだ決まってない」という。当面は共用プールに貯蔵し冷却。または乾式キャスクで1F敷地内に中間貯蔵、ため込むことになると小野所長は説明する。六か所へ移送するかどうかも「まだ決まっていない」ということだ。

 貯蔵する期間は見ていだが「1Fはこれ以上燃料が増える事はないので、安全に外に出して貯蔵することが大事だと思っている」と将来のスケジュールは未確定だ。

4号機建屋の解体は、まだ先のこと

 燃料取り出しが終った後、4号機建屋に燃料は無くなり、安心してしまいがちだ。今後、燃料取り出しが終った後は4号機はどのようなスケジュールでどうするのだろうか。

 小野所長は「4号機についてはまだ取扱いが決まっておらずスケジュールもない」と言う。通常の他の原発の廃炉作業では、燃料取り出した後もコバルトなどの核種が残るため、しばらく置いた後に解体することになるという。しかし福島第一4号機は、隣に3号機があるため、線量の影響がある。更に、作業場所の取り合いになる。4号の解体に入れば、3号の解体スペースが取れなくなることもある。そこで、よりリスクの高い3号に注力する方がいい、3号等の燃料取り出しに主力を移していく事になると小野所長は説明した。

 燃料の移送は終わるが、燃料プールに燃料以外の瓦礫や制御棒、機器貯蔵プール内に貯蔵されている炉内構造仏などまだまだ高線量のものが残っているはずだ。炉に繋がる配管等にも、どの程度の放射性物質が残っているのかなど未知の部分もある。東電は特に言及しないが、まだまだ気の抜けない懸案事項が山ほど残ってるはずだ。

今後1、2、3号機の燃料取り出しに移っていく

 4号機使用済み燃料の取り出し完了が見えてきたことから、今後関心は1、2、3号機の燃料取り出しに移っていく。4号機と違い、これらは「線量が極めて高い」。さらに1、3号機は水素爆発を起こしており、「不確定要因が多い」といった問題がある。

 したがって、人が立ち入ることはリスクが大きいため、遠隔操作での取り出しになるという。小野所長は4号機の経験を踏まえ、「事前準備をすることが、作業を安全かつ確実に進める上で重要」との考えを示した。

 精密な細かい作業を”遠隔作業”で行うことができるのか。小野所長は、いろんな設備を作り始めており、遠隔でできるか確認し、あちこちで検証を始めていると説明した。

 単に設計をした人が物を見てOKとしただけだと不安なので、実際の作業従事者に見てもらい、有人と同様に作業できるか、しっかり作り込むことが必須だという。作業員の安全がなによりも第一。作業員から見て太鼓判がないとダメだという考えを述べている。

11月2日ダストモニタの警報について

 1号機建屋カバー解体に関して、東電は敷地内に連続ダストモニタ、サンプラーを設置して状況を監視している。11月2日に一つのダストモニタがダスト高高警報を発令した。作業は休行だったことから、”機器故障と東電は判断”、機器を新しい予備品に交換している。

 ダストモニタが本当に故障したか、一時的に異常があったのかという機器の確認はしないのか。東電広報担当の川村氏は「我々は機械を製造している訳じゃないので、見てもらわないといけない」と言い、次のように回答した。

 「ろ紙は測定して全てが検出限界以下なので、それに対して高高警報を出したので、推定もできない。専門の人に見てもらい調査をしていきたいと考えている」

 つまり、ダストモニタのろ紙は保管されているということだ。ダストモニタの高高警報が発令された件は11月4日の定例会見で言及があったが、その際にはろ紙は「私は把握していない」という回答だった。

 なお、6日に 「福島第一原子力発電所 敷地境界付近並びに構内ダストモニタの最小値と最大値(PDF 177KB)」が公表、配布された。10月22日から11月4日までの測定期間で、16箇所中7か所が11月2日にダスト最大値を示している。気象データをみると、11月1日から2日にかけて少量の降雨があった。雨のあとの晴れ上がりにより、全体的にダストが舞い上がった可能性が高い。

 万が一、作業に伴うダストが発生した場合、風下方向のみダストが上昇、他は変化しない傾向であることから、全体的に上昇するようなものではないと東電は説明している。

地域防災計画は再稼働の必要要件ではないが、努力する

 6日、衆議院の原子力特別委員会で、柏崎刈羽再稼働における30km圏内の地域防災計画が整備されなければ、再稼働できないと東電が説明したことについて、記者が質問した。

 東電広報担当者は、「法令上は地域防災計画が策定できないことを理由に、再稼働ができないということはない。しかしながら、地域防災計画の策定は重要であり、最大限努力するいう主旨で応えたと認識している」と回答した。

琵琶湖畔へ放射能チップが不法投棄された件の裁判について

 滋賀県の琵琶湖に放射能チップが不法投棄されていた件について、裁判が行われている。初公判の内容や、東電の職員がキックバックをもらったという証言、4億円もの多額な賠償金を支払ったこと、初公判を受けてコメントはないか等、記者が質問したが、東電広報担当は、「今の件は、初公判が行われたことは報道等で確認しているが、本件は裁判の当事者でない。また、公判の内容を把握してない。現時点で把握してないので当社からのコメントは差し控えさせてもらう」と回答を避けた。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年11月6日

2014年11月5日

2014年11月4日

プレスリリース

2014年11月6日

2014年11月5日

2014年11月4日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

写真・動画集
2014年11月6日

2014年11月5日

福島第一原子力発電所 データ集

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