2012年6月14日(木)12時30分より、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で、院内集会「民意にそむく改憲論議にNO!〜審議を急ぐ憲法審査会に異議あり」が行われた。原発再稼動、消費増税の問題のなかで、憲法改正の勢いが、ジワジワと張り巡らされてきている。衆参憲法審査会委員から、審議の内容、経過など、現状を報告した。
(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)
2012年6月14日(木)12時30分より、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で、院内集会「民意にそむく改憲論議にNO!〜審議を急ぐ憲法審査会に異議あり」が行われた。原発再稼動、消費増税の問題のなかで、憲法改正の勢いが、ジワジワと張り巡らされてきている。衆参憲法審査会委員から、審議の内容、経過など、現状を報告した。
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主催事務局の高田健氏は「いま原発問題の影で、憲法審査会が、不穏な動きをとっている。そのため、急きょ院内集会を開くにいたり、注意をうながしたい。野党などが、4月28日、憲法改憲新草案を発表。マスコミもそれをバックアップしている。残念ながら、市民運動は、思ったように影響力を与えられない」などと話した。そして、衆・参議院 憲法審査会委員の各議員、そのあと非委員の議員が発言した。最初に共産党 憲法審査会委員 井上聡参議院議員がマイクを握った。
「改憲派は、311などに国家緊急権がなかったことは、問題だ。と言い、そこから改憲に持ち込もうとしている。参議院では『震災と憲法』と題した討議を、行った。震災と人権、震災と統治機構、震災と国家緊急権の3つのテーマで議論した。その討議の、一回目の参考人質疑のときは、双葉町井戸川町長に来てもらった。町長は野田総理に『私たちを、日本国民だと思っているのか』と訊いた。いま問題になっているのは、憲法ではなく、政府の取り組み方だ」などと話した。
次に、衆議院議員で憲法審査会の照屋寛徳議員がスピーチした。「憲法審査会では、現在、憲法の各章ごとに、議論をしている。天皇制議論で、自民党などは、改憲のうえ天皇を元首とすべき、と主張した。社民党は、その必要はないと反論した。沖縄県民は、遅れて天皇制の日本に併合された歴史がある。それに同化しようとして、沖縄地上戦で多大な不幸を招いた。旧日本軍を皇軍と呼んでいた。それで、敗戦後、1972年、復帰するまで、憲法にはかかわっていなかった。実質、安保法規範が最高にある、国家体系に成り立っている。平和憲法を捨て去るのなら、沖縄は独立する方がいい」などと述べた。
そして、福島社民党党首が参議院の憲法審査会について話した。「ある議員は、現在の憲法は、押しつけ憲法だ。今は、大日本国憲法だ、と憲法無効論を説く。国会内の委員会はセレモニーであり、別の次元で推し進められている感覚がある。それは、ある時期、一気に憲法改正の流れになったとき、審査会でじゅうぶん討議したから、という口実に使われるだけ。社民党は、国家緊急権を、持ち込むべきではない。現存の憲法の価値を生かすべき。国家緊急権のデメリットは、国家の立法権を剥奪、人権も制限する。しかし、その後、その施行で、起こった問題を検証方法がない。間違っていたときにどう糺すか、その方法がない、なども本討議から浮き彫りなった」などと話した。
共産党笠井あきら衆議院議員がマイクを握った。「憲法審査会は4年間、停止していた。それがやっと動き出した。今こそ、改憲を許すな、現憲法をよりうまく活かすべき。しかし、実際は、改憲派もおっかなびっくりで、躊躇している。だから、自民党も一気に改憲できない。96条を変えて、国民投票の3分2をクリアーしてから改憲を試みようとしている。そして、3つの宿題があった。18歳選挙権、公務員の政治的行為の問題、国民投票の問題」などと話し、また、衆議院憲法審査会での運営の経過と、所見を述べた。
次に、社民党の衆議院議員服部良一議員が、冒頭、「野田総理に言いたい。今、政治生命をかけるのは、消費増税じゃあ、ないだろう。原発の再稼動ではないだろう。政権交代では、三党合意で改憲はない、と決めて鳩山政権がスタートした。しかし、現状はどうなってしまったのか」と指摘した。それから、集会は、参加者たちからの意見表明や、質疑応答に移った。また、途中、遅れて到着した社民党幹事長 吉田忠智議員が挨拶をした。