福島第一、凍土遮水壁設置予定箇所の埋設物内溜まり水の調査を開始~東電定例会見 2014.10.2

記事公開日:2014.10.2取材地: テキスト動画
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 2014年10月2日(木)17時30分から、東京電力にて定例記者会見が開催された。福島第一原発凍土式遮水壁の設置予定箇所にある地下埋設物内の溜まり水の事前調査を3日から行うことを発表した。

■全編動画

  • 日時 2014年10月2日(木)17:30~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

凍土式遮水壁設置工事に向けた埋設物の事前調査を開始することを発表

 東京電力は、福島第一原発凍土式遮水壁の工事に向け、埋設物の事前調査を10月3日から1カ月程度かけて行うことを発表した。

 原子炉建屋やタービン建屋を囲むように計画されている凍土式遮水壁の造成は、地面を掘削し、凍結管を設置し、地面を凍結させて設置する。ところが、建屋周辺の地中には、トレンチや配管などさまざまな埋設物がある。さらに、東日本大震災の影響により、地下水や汚染水が溜まっている可能性もある。

 凍土式遮水壁の造成のために、これら埋設物を貫通させて凍結管を設置する箇所がある。貫通させる時に、中に溜まっている汚染水が漏れ出さないような対策を施さなければいけない。

 対策を施すにしても、埋設物の状況、溜まり水の水質などが分からなければ対策を施しようがない。そのために、事前に調査をすることになっている。

凍土壁の建屋海側部分はまだ手つかず

 埋設物を貫通させる工事は、汚染水が漏洩する可能性があるため、施工方法などについて、規制委員会から実施計画変更認可を受けなければいけない。

 建屋の西側、つまり山側の部分については、埋設物の中に水があったとしても貫通させる工事をするということについて、実施計画認可を受けている。そこで実際に中の水を調査し、遮水壁施工のための貫通工事の順序や、リスク低減策を検討する。

 一方、建屋の東側、海側部分についてはまだ認可のための申請もできていない。改めて地面の状態に応じた施工方法を検討、実施計画変更を申請し、認可後に、はじめて埋設物に穴を開けて採水する調査を開始することができる。

 凍土式遮水壁の施工工事は、まだまだ多くハードルが残っている。

初めて調査する埋設物もある

 埋設物にもいろいろあり、マンホールがあって内部の水を簡単に採水できるものもあれば、掘削して穴を開けないと採水できないものもある。東電によると、簡単に採水できる所の水は既に調査しているが、そうでないものは、今回初めて調査するものもあるという。

モバイルストロンチウム除去装置、運転開始

 代表的な全β核種である、ストロンチウム90(Sr-90)を除去する”モバイルストロンチウム除去装置”の処理運転を開始したことを発表した。

 建屋地下汚染水は、キュリオンやサリーと呼ばれるセシウム除去装置でセシウム(Cs)を除去、RO濃縮装置で濃縮し、RO濃縮水としてタンクに貯留している。高濃度に汚染されているRO濃縮水は、多各種除去装置(ALPS)により、2014年度中に62核種を除去し、東電の言うクリーンな状態にする計画だ。

 RO濃縮水はSr-90を4000万~5億Bq/L含んでいる。β線が高いことから、タンクによる制動X線が強く、被曝線量、敷地境界線量を高める原因になっている。さらにタンク貯留しておくと、漏洩のリスクが高い。

 モバイルストロンチウム除去装置は、これらのリスクを下げることが目的だ。

 加えて、ALPSで処理する前段階としてSr-90を除去することから、ALPSの負荷が減ることになる。年度内のタンクに貯留している汚染水を全て処理するという目標達成のために、助力になると東電は考えている。

 モバイルと名付けられているが、実際は大型コンテナ5つからなる装置だ。恒久設備のような設置工事をしていないので、モバイルだと東電は説明している。

 恒久設備でない分、対故障性や耐震性はどうなのかが、懸念される。また、Sr-90を除去した吸着材の取り扱いも、ALPSのようなHICに収容して専用クレーンで運搬などができるのか、作業被曝の点で問題はないのか等も懸念される。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年10月2日

2014年10月1日

2014年9月30日

プレスリリース

2014年10月1日

2014年9月30日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2014年9月30日

写真・動画集

2014年10月2日

2014年9月30日

福島第一原子力発電所 データ集

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「福島第一、凍土遮水壁設置予定箇所の埋設物内溜まり水の調査を開始~東電定例会見」への1件のフィードバック

  1. 矢車草 より:

    遮水壁について

    東電は情報を隠さず、もっと広く国民に意見を聞くべきです。
    事態は、東電の問題として傍観しているようなことではないと思います。

    以下、私の提案です。
    私の提案は百人一首32番「山川に風のかけたる柵は流れもあえぬ紅葉なるかな」春道列樹がヒントです。
    つまり、トレンチの中に先ず柵をつくるのです。

    トレンチの遮水ですが、コンクリートを流しいれる前に型枠に相当する物がなくて、どのように流水の中に留めるのでしょうか?まず、型枠を工夫して考えるべきです。

    1)トレンチの流れに鉄鋼のガイドレールを適当な間隔で差し込んで固定する。
    2)鉄筋で組んだ網目をレールに沿って差し入れる。(目の粗さは流す紅葉代わりシートの断片の大きさによる)
    3)紅葉にたとえて、軟らかい布状の断片を(東電専用の紙おむつ?)水上から流す。
    4)網目が次第に塞がってゆくことを期待する。
    5)部分的にでも流れの遮られたところが出来たなら
    6)そこを足ががりに型枠?を作ってゆく。
    以上です。

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