枝野内閣府特命担当大臣 記者会見 2010.3.18
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枝野幸男行政刷新担当大臣(以下、敬称略)「たくさんの皆さん、お集まりいただいてありがとうございます。私の方からお手元に資料を配らせていただいておりますが、ハトミミ『職員の声』について、昨年の12月から1月末までの間の集中受付機関に受け付けた705件の『職員の声』について、ある意味で第1弾の整理がつきましたので、それを配らせていただいて御報告をさせていただいています。『職員の声』に寄せられた声については、全件、行政刷新の担当の政務三役で内容を見させていただいた上で対応方針を決めて、必要に応じて各省庁に対して調査、検討を依頼しております。特に、今回、既に具体的な動きが出てきているものとして、これは既に何度か申し上げておりますが、予算の年度内使い切り、これは先週の12日閣僚懇でも各大臣にお願いをして使い切り排除を徹底してくださいというふうに申し上げている話でございます。そのほか、一個一個は決して大きな話ではございませんけれども、当事者の職員の皆さんでないとなかなか気づかない視点を提起をしていただいているもので、具体的に前向きに対応が動き始めているものを表にして出させていただいているところでございます。
今後も『職員の声』を通じて、職員の現場の皆さんの声を踏まえた対応をしていきたいというふうに思っているところでございます。
私のほうから直接御報告することは以上でございます。何かございましたらどうぞ」
小田「お疲れ様です。産経新聞の小田ですけれども。
すみません、大臣の業務とは違うんですが、民主党の話なんですけれども、今日、生方幸夫副幹事長が新聞紙上で党を批判したということで、高嶋筆頭副幹事長から辞職を求められております。これについて、枝野さんはどのように考えますかということを伺いたいと思います」
枝野「事実関係を正確に把握できておりませんので、直接的なコメントは避けたほうがいいかなというふうに思っておりますが、もし新聞紙上でということが事実であるとすれば、私も一応少なくとも4紙全部見ておりますが、生方さんが何か問題のあるようなことをおっしゃったことが最近あるというふうには認識しておりません」
小田「党内ではちょっと異様だとか、民主党らしくないんじゃないかという批判も上がっているんですけれども、それについてお考えありますでしょうか」
枝野「だから、副幹事長の辞職を求めた云々ということについての事実関係を今聞いたところでございますので、それについては事実関係を正確に把握していない上に、それに対する反応についてまでコメントするのはちょっと差し控えたいと思いますが、生方さんが何か問題があるようなことを、最近、新聞紙上でおっしゃったというふうには、私はそういうのはどこだったかなと首をかしげたいと思います」
小田「生方さんの記事を読んだ上でということでよろしいですか」
枝野「少なくとも一つあったのは間違いない、記憶にありますけれども」
河野「日経BPの河野と申します。
いつも科学技術政策関連の取材をしているんですが、ここに予算の執行について年度末無理に執行しないというのが出ていますが、科学技術関連ですと、例えば実験等がスケジュールどおりいかなくて、年度末にお金が余って、例えば業者にプールしてみたりだとか、伝票操作して年度内に納入されたり、指示しただとかという操作があって、それがばれて、研究費が取り上げられたりとか、犯罪者のように扱われたりすることがよくあって、私はいたたまれないなと思って見ているんですが、こういう年度末に無理に執行しないという案に加えて、複数年度での予算の管理という仕組みを恒常的に導入するというようなことを検討される可能性はあるでしょうか」
枝野「これは、閣僚懇で私がこのことを申し上げたときには、財務大臣のほうからも、しっかりと年度末から必要に応じて繰り越す制度について柔軟な対応をしているということなので、それをしっかり使ってほしいというような趣旨のことのお話もございました。なおかつ、さらに抜本的な制度論として、複数年度にわたる予算というのは、現状でも実は後年度負担みたいな形でやりようはあるわけですけれども、さらに憲法の枠の中で柔軟にできないだろうかということは、これは特に財務大臣が主導して検討を進めてきていただいているというふうに理解をいたしております。
そこまでやらなくとも、実は現行制度の中でも年度末に使い切らなかったからといって、それに正当な理由があれば、翌年度そこのことだけを理由にして予算を切ったりしないということを、これはこの政権ができてから繰り返し申し上げておりますので、過去についてはある意味では制度の中で一種気の毒な部分があったかもしれませんが、逆に、本年度そういったことがあったら、そこは逆に厳しく対応したいというふうに思っていますので、そこはしっかりと基準を守ってやっていただければと思います」
岩上「フリーの岩上です。よろしくお願いいたします。
年度末の使い切りを改めるという検証のところなんですけれども、かけ声だけでこれが改まって予算をきちんと無駄のない予算、無駄のない消化の仕方を全ての官僚の方々にやっていただければ問題はなかろうとは思うんですが、現実には色々な理由がついて、できるだけ得た予算は使い切ってしまうというインセンティブが働くのではないかということが予想されます。現実には、この考えを、大臣の考えを周知徹底して、全ての省庁にこの実施を徹底するための方法論、担保の仕方というものをもう少し詳しく教えていただけないでしょうか」
枝野「1つは、これ副大臣会議で、以前大島副大臣に言っていただき、今度は先週私が閣僚懇でも申し上げましたが、そういうレベルよりもむしろ大事なのは、それを踏まえて、各課、室長レベルのところまで具体的にこういうことですよということの周知を紙でしていただく手配をしております。そうした意味では、実際の予算執行している一番現場に近いところでも、使い残したからといってそのことだけをもって削られませんよということは徹底をしているつもりです。
それからもう一つは、行政事業レビューで、これは具体的に事業仕分けのときの事業シートのような形で、個々の具体的なお金の使われ方まで検証するということにしておりますので、そういったところで年度末駆け込みで変なところに使っていたら、出てきやすい構造をつくっているというふうに思っています。
それから、私はやはりこのハトミミ自体が一つの抑止力だと思っておりまして、現実に副大臣から徹底していただいただけでは止まっていませんよというようなことをハトミミで声をお寄せいただいて、それで改めて閣僚懇談会で申し上げました。もし、年度末にそういった使われ方があれば、こういったルートを使って、それをお寄せいただいて、摘発というと言葉はきついかもしれませんが、もし、そんなことをやったら取り上げられますよということになる。
それから、これは多分霞ヶ関の皆さんも大分意識変わってこられていると私は思っていまして、残したことが、おそらく各省内においても、当然予算全体、財務省的にも、我々行政刷新的にも、ここは残した、それはすばらしいじゃないかという積極評価をされるんだという、我々政治の側の視点の転換、発想の転換というものは、それなりに僕は周知ができつつあるんではないかというふうに思っていますし、また今日こうやって聞いていただいているので繰り返し申し上げることができましたので、使い残したところをよく残したぞということできちんと事後的にも評価をするということを、少なくとも政務三役レベルではしっかりとやっていきたい、これは各省にもお願いしたいと思います」
小川「フリーランスの小川裕夫と申します。よろしくお願いします。
行政刷新会議には、原口総務大臣もメンバーに加わっておりますけれども、年内使い切りをやめるという方針に関して、地方の財源なんかも枝野大臣としてはやはり是正していくというお考えであるのか、それともそれは総務大臣の原口大臣に任せるのか、もしくは各自治体の首長に任せるのかということをお伺いしたいのですけれども」
枝野「我々の目指している地域主権ということの趣旨から言えば、国から指揮監督するような形で地方公共団体に対して何か申し上げるということは、基本的には逆だというふうに思っております。ただ、もし国から地方に渡されているお金について、使い切らないと翌年国から行かなくなるみたいな話のことがあるとすれば、そういうことはしないということの中で、各自治体がそれぞれ厳しい財政状況の中で御努力をされるというふうに思います。したがって、基本的には各自治体、念のため、各省内における予算の使い切りだけではなくて、国から地方にお渡ししている予算について、財源についても使い切らないと損をするみたいなことはないですよということは、原口さん大丈夫ですよねと確認しておこうと思いますが、そこは原口さんと問題意識を共有していますから大丈夫だろうと思います」
飯沼「飯沼和正と申します。独立している記者でございますが、私の取材先、これは九大の人たちですけれども、名称としましては、農水省の農山漁村環境力強化実証事業と、これは8億円の予算が09年度の第2次の補正予算でつきました。これは、決まったのが1月15日かそのくらいでございます。これを3月の末日までに全部清算せねばならないということでありまして、結局これはいろいろと交渉いたしましたけれども、研究者の方としてはお受けできないということで、全額返上いたしました。これは、農水省としても財務省に返上することになろうかと思いますけれども、これのやりとりを見ておりますと、これは単なる担当者の努力が足りないとかそういうことではなくて、基本的に、現在の財政制度の中では年度を超えて使うということに対する基本的な構えができていないわけです。したがって、これは単に今回のこの1件ではなくて、いたるところで起きていることでありまして、これを直すためには、やはり財政制度をもう少し柔軟にしていって、返すものは返せるというようなことを基本的に検討せねば、民主党の政治家の方がちょっと注意をしたからそれで直るというようなものではなさそうに思います。したがって、政治家の方でもう少し基本的に、こういう、特に補正予算というのは後で出てくるわけです。年度の初めから使えないわけです。1月20日に決まったお金を3月30日に8億円使えだの、4億円使えだのというのは、どだいこんなものはできないわけです。それでも一生懸命努力して何とかやれないかといって努力いたしました。しかし、3月3日にやはりこれはどうしてもだめだと。それは悪いことをするというのを公然とやれば別ですけれども、大蔵省や、あるいは農水の財務当局が言ってきたことは、そのままやれば、要するに偽造しろと、報告書の偽造とか、お金の使い方を偽造しろということになってしまいます。したがって、研究者は断りました。これは厳然たる事実でございます」
枝野「御指摘ありがとうございます。今のことが具体的に制度上どうしてもできなかったことなのか、それともどこかの担当が制度の運用の仕方について理解が不十分であったのか、しっかりと検証させたいと思います。その上で、御指摘のとおり、1月に決めた補正予算を3月に、しかも何億も使い切れというのはそもそも困難なことで、そこは一般論としては柔軟にできるはずだというふうに理解していますが、それを妨げるような制度になっているとすれば、その制度自体改めたい、改めさせるような検討を進めたいと思いますし、先ほど申しましたとおり、一般論としての複数年度予算的なものの構築については、財務大臣がかなり積極的に検討準備を進めていただいていると聞いておりますので、これについてもしっかりと協力をして、これは憲法上の制約はありますけれども、具体的に今のような話が起きないような制度づくりを進めてまいりたいというふうに思っております。
川村「週刊朝日の川村と申しますけれども、先週時間がなくて伺えなかったのですが、この独法、公益法人仕分けの対象として出てきている50法人の抽出の方法を、裁量の余地のようなあいまいな部分が残らないような形で基準を示していただきたいというのが1つ。
あとこの集中期間というハトミミのもの、集中受付期間というのを設けた理由と、普段との違いは何が違ったのか。それから集中受付期間が終わった後の状況と何か違うのかどうか。
それとあともう一つ、独立行政法人の仕分けに関して、特に国立印刷局のことなんかで、国の機関に、国に戻したほうがコストが増えるのじゃないかという指摘がいろいろなところで聞かれているんですが、そういう話はハトミミにも届いているかどうかという3件をお願いします」
枝野「まず1点目なんですけれども、この間お示しした50は、その前に示した7つの基準でピックアップしたものの中から、その時点で表に固有名詞を出せるとすればということで、会計検査院や国会等で過去に取り上げられたことのある法人を、例えばこういうところを今ヒアリングしているんですよということで公表したということですので、その中から仕分けの対象になるものもあるでしょうし、ならないものもあるだろうというふうに思っています」
川村「これが全部ではないということですか」
枝野「もちろんです。候補、多分その時点では二百幾つあった候補の中の50です。なおかつ、現在ヒアリングを進めている中で、ある程度聞きながら絞り込みをしている段階でありますけれども、最終的には、現時点でもハトミミはまだ募集をかけているし、それからこの間、政策会議だからこちらが主催ですね、内閣府の政策会議で民主党の議員の皆さんにも、ぜひ情報があったらお寄せをくださいということで、来週締め切りぐらいで声をかけていますので、さらに候補が付け加わるということもあります。そうした中で、最終的にどういったものをピックアップするのかというのは、逆に言うと、これ裁量じゃないとできない範囲の世界のものだと僕は思っていまして、つまり税金の使い方、使われ方について、国民の前で具体的に議論をすることが行政刷新全体の進行に向けて意義があると予想される事業をピックアップするということになりますので、形式的な基準で選んだのでは、むしろ空振りが多くなるんだろうなというふうに思っています」
川村「ただ、圧倒的に補助金の額とか委託事業の委託費が大きいものからやっていったほうが、予算の削減額というところには影響が出やすいんじゃないかと思うんですけれども」
枝野「金額が大きかったりとか、委託費の比率が多かったりとかというのを考慮に入れてヒアリングをしているわけでありますけれども、じゃあ、例えば国に依存している比率が高いか、収入の中に占める国費の依存率が高いからといって、そのことだけをもって実は問題が大きいかというと、そうではないというのは、逆にヒアリングをした結果、今明らかになってきています。そこは非常に公益法人多種多様なものですから難しいです。つまり、例えばいわゆる1社応札的な形で、外に委託費で外注している、そこに天下りもたくさんいるということを考えると、何か問題ありそうだなということになりますが、例えば福祉的な事業をやっているようなところですと、公費からの助成に依存をしないとできないような仕事をやっているところもあって、そこは例えば金額が大きいからとか、国費依存率が高いからといって問題かというと、必ずしもそうは言えないということにもなります。
したがって、そこは形式的な基準だけでは判断できないというふうに思っています。それから、例えば国費が直接には入っていないけれども、私がいつも申し上げている『みかじめ料の問題』みたいな話というのは、これは広い意味での国民の負担、地方のお金であれ、あるいは国民からあるいは各種企業から集めている会費とかであれ、それは国民の負担ですから、そういったところは全くそういうところからは出てこないけれども、個別でピックアップをして、何とか取り上げてそういった問題にもメスを入れられないかというふうに思っていますので、率直に申し上げて機械的にやるのは、むしろ効率が悪いと私は思っております。ただ、こういう基準で絞り込んだ中で、こういう視点で対象を選びましたということは、この間も申し上げてきておりますし、最終的な事業、対象事業が固まるまでの間、申し上げられるタイミングごとに、こういう視点で絞っていますということは申し上げていきたいというふうに思っております。
ハトミミは、これは『職員の声』もそうですし、『国民の声』もそうなんですが、一般的にいつもやっていますという話だけではなかなか声を出していただくきっかけがないだろうということで、それぞれ期間を区切って、例えばテーマを決めてということで集中募集期間というのをやっています。私が担当大臣になった以降では、公益法人、独立行政法人を今回の事業仕分けの対象にするので、ぜひそれに関する情報をお寄せくださいという集中募集期間が今進行中ですよね。ということで、今日申し上げた、昨年の12月からというのは仙谷大臣のもとで進めていただいたわけですけれども、ハトミミを作って、こういう形で直接職員の皆さんの声をお聞きしますよということをスタートさせるに当たって、まずはこの期間にばーっと寄せてくださいよ、今まで色々たまっているものがあるでしょうからということで、集中期間ということにしたんだというふうに理解をしてください」
川村「具体的に呼びかけたりいろいろしたわけですか」
枝野「そうですね、集中期間でこういうことをやっていますということを呼びかけている。」
川村「どんなふうにされたんですか」
枝野「それはネットと、それから、そもそもハトミミが─すみません、担当大臣になる前の問題なので正確に申し上げられないですけれども、基本的には『職員の声』は職員の皆さんしか入れないようにIDとか必要になりますので、それを投げるに当たって、まず集中期間で今までたまっているものがあったらこういうときに投げてくださいということを、各職員の皆さんに、これはメールで投げているはずです」
川村「メールで一斉にメールしたということですか」
枝野「メールで全部に、全職員にメールしているということでいいですね。後ろのほうで事務方がうなずいていますので、ということだと思います。すみません、就任前のことなので、募集、集中受付を投げ始めたときが」
川村「その集中期間、1月末で終わっているわけですけれども、その後との寄せられる状況というのは変わっているんですか」
枝野「例えば、その後、今度、独法・公益法人事業仕分けのための意見募集ということでの、これはハトミミ全体、『国民の声』『職員の声』を通じてテーマ別募集としてお寄せをいただいておりますが、これは既に3月17日までに134件来ています。それから、いわゆる政策グランプリ、これもハトミミの一環として募集していますが、これも35件既に来ているというふうに報告を受けております。ですから、第1期の最初の集中期間でこれやったわけですが、今後はこういうテーマでどうだというようなことを折に触れてやっていかないと、いつもやっていますからいつでもどうぞというだけではなかなか来ないと思いますので、それはやっていこうというふうに思います。
それから、国に戻すことも考慮を、検討の余地があるということを申し上げてきていることについて、少なくとも直接私のところに報告が来ている『職員の声』や『国民の声』のところで云々ということはまだありません。ただ、全部自動的に、その瞬間に私のところに来るわけではありませんから、私のところに上げる前の段階に来ているのかもしれません。いずれにしても、視点は、どういうやり方が一番効率的で一番経費がかからないかということなので、国、独法でやるよりも、こういうやり方のほうが経費が少なくて済むということでなければ、そう変えるということはあり得ないわけです。我々は、従来の発想と違うのは、組織論ありきじゃなくて具体論ありきでやろうと思っているので、今独法ではこういうふうに経費がかかっているけれども、こう変えればこの分の経費が安くなるねみたいな、こういう発想でないとやりませんので、御心配のようなことにはならないというふうに確信をしながら進めていますけれども」
川村「そうすると、国立印刷局が国に戻されるということはないかもしれないということですか」
枝野「それは検討、それも一つの方法だというふうに申し上げていて、私は少なくとも国にいたときには管理部門が局長1人だったのが、理事が何人もいるという話は、そこはどっちにしろ、要するにそういった意味での幹部は1人でいいよねと。1人でするのを独法でできないんだったらほかのやり方あるよねという、そういう発想は持っていますけれども、そこの部分をどうするかという発想にすぎないので、例えば独法化したことによって、幹部じゃないところは効率化できている部分を元に戻そうだなんて発想は全くありません」
影山「毎日新聞の影山です。
今の質問にも関連するんですが、今日で公益法人の省庁ヒアリングを一応終えたということで、その御感想と、明日から独法の省庁ヒアリングが始まるということで、特に基準とか、独法は全部、全法人聞くということで、特に基準は示されていないと思うんですが、どういう切り口でヒアリングをして絞り込んでいくかという見立てなどを伺えればお願いします」
枝野「まず、公益法人の方については、私自身も部分的には直接聞かせていただきましたけれども、本当に多種多様なものですから、正直言ってなかなか難しいなというふうに思っています。
先ほどお話申し上げたとおり、機械的に金額とか何とか比率とかだけでは見れないところもあるし、かといって、非常に巧妙にこういう法人が今でもあるのか、みたいなことを思うところもあります。個別に問題のあるところをピックアップするだけなら、それはできるんですけれども、それだけにとどめず、制度論みたいなところに持っていこうと思ったときには、もう一ひねり、二ひねりぐらい工夫が要るのかなというのが正直なところです。ですから、一通り聞きましたけれども、もうちょっと時間をかけて、ヒアリングをした結果を踏まえながら、いろんな議論と整理をしていかなきゃいけないかなと、こんなふうに思っています。独立行政法人については数も限られていますので、まずはざっと一通り聞いて、なおかつ色々な議論がこれ長年されている話ですから、みんなそれぞれ一緒に聞いてもらっている国会議員も、それから刷新会議の事務局なども、問題点、視点は大体わかっているので、まずとにかくざっと聞いた上で整理していこうかなというふうに思っています」
舟崎「北海道新聞の舟崎といいます。
事業仕分けについてなんですが、これまで削減額ということについて、枝野さんは具体的な額というよりも、制度自体を考え直すほうが大事だというお話だったんですが、来年度の予算案を作るに当たって、寄与する額というのが成功の目安だと考えるのが一般的な考え方と思うんですけれども、公益法人、今日でヒアリング大体終わったと思うんですが、額については、今のところ、今までとお考えが変わったのかどうかということですね、基準を出すことについて、それについて一つお聞きしたいんですけれども」
枝野「全く変わっていません。ここは事業仕分けが行政刷新の全てではないですから、例えば行政事業レビューというのをこの間の行政刷新会議で決めていただいて、各省の内部でできることはやっていただくということもやるわけです。それも行政刷新で無駄の削減の一つですし、それから制度を変えることによって、そこで取り上げられた事業以外のところの無駄を削減するということもやっていって、そのトータルで行政刷新としての立場からの無駄削減をやるわけなんですよ。そのための手段である事業仕分けでいくら出すのかということにこだわったら、結果的にトータルとしての無駄削減は小さくなると私は思っていますので、そこでいくら出るかじゃなくてトータルとして、そこで直接やらないで、各省庁でやってもらってできることはそっちに任せたほうがいいんだし、それから制度改革でより本質的なところにつながっていくようなことをやったほうが、その場では一見大きな金額に見えているよりもずっと大事なことだというふうに思っているので、そういった意味では、目先のパフォーマンスに走るつもりは全くありません。
そういった意味では金額については基本的には考えないというのは、事業仕分けについてはですよ。もちろん、全体としての予算編成、財政立て直しという意味では、仙谷国家戦略担当大臣や菅財務大臣と御協力をしていかなきゃならない立場だというふうに思っていますので、その範囲においては行政刷新でどういった貢献ができるのかということは、それは当然御相談をしていくということにはなるとは思います」
畠山「フリーランスの畠山理仁と申します。
各省庁には記者室という無償で提供される記者のための部屋があるんですけれども、内閣府にも162平方メートルの記者室があります。ただ、現状では記者クラブ以外の記者は使えないということになっているんですけれども、これは公金の民間への支出を禁じた憲法89条に違反するのではないかという指摘もございます。今後、こうした記者室の使われ方について見直すお考えはございますでしょうか」
枝野「憲法上の問題には私は多分ならないだろうというふうに思うんですが、庁舎管理のあり方として、いろいろな歴史があるんだろうということは認識をしていますが、歴史は歴史として、いろいろな社会状況やメディアを取り巻く状況の変化に応じて、常に不断の見直しはする必要があるだろうなというふうには思っています。ただ、残念ながら、内閣府の庁舎管理の権限は私は持っていないものですから、そういう意味では行政刷新の立場として、全省庁についてそういった視点でも検討くださいということを申し上げる立場なのかなというふうには思っています」
木村「すみません、フジテレビの木村と申します。
今日、大阪府の橋下知事が21日に枝野さんとお会いになるということを表明されたんですけれども、橋下知事はこれまでにも国所管の公益法人とかに対する問題意識とかとても高い方だと思うんですが、お会いになることに至った経緯と、あと目的を教えていただきたいんですけれども」
枝野「橋下知事からは、既にお手紙で、公益法人、独立行政法人に関して御意見もいただいたことが過去にございます。私が就任した以降ですか。それで、さらに地域主権戦略会議で御一緒いたしましたときに、せっかくなんで、機会があれば直接お話をして、具体的に色々な御意見を聞かせてくださいということを私が申し上げたら、ああ、それはもう是非ということを言っていただきましたので、21日、日曜日の11時半に知事が上京されるそうでございますので、大阪府の東京事務所に私の方が、こちらがいろいろと御意見を聞かせていただく立場ですから、こちらから出向きまして、お話を聞かせていただこうというふうに思っております。知事という立場から、独立行政法人や公益法人、さらには規制改革も含めて、いろいろな御意見があるんだろうと思います。それは当然、地域主権戦略会議などの公の場でも御発言されているわけでありますけれども、逆に非公式にお会いをして、お話聞かせていただけること、また公式の場ではない話も聞かせていただける余地もあるのかなと。またいろいろございますので、いろいろな見解・見識を聞かせていただければなというふうに思っています」
松田「フリーランスの松田です。短く1点。
先週、岸本周平議員がCS放送で、事業仕分け第2弾について一つ提言をされています。お聞き及びかとは思うんですが、独立行政法人、特殊法人、法律でつくられている法人については閣議決定で原則廃止するとまず先に決めてから、残すべき事業を国に残すのか、地方に移すのか、民間にやるのか、新しい公共でやるのか、で仕分けていったほうが間違いなく仕分けられるんじゃないかと。ちょっとだけ事業だけ見直して、法人が残っちゃって、天下りも残るみたいなことにならない、取りこぼしがないやり方をするべきではないかという提言をされていますが、それらについての大臣のお考え方をお聞かせくださいというのが1点と、もう一つは岸本さんも含め、前回の仕分けのときにノミネートされた一、二回生の議員が、例の小沢ドクトリンで参加できませんでした。今回の仕分けについて、仕分け人として参加するのか、あるいは別の形なのか、何らかの形で一、二回生のそういった議員の力を、知恵を借りるやり方を、大臣はどのように考えておられるか、その2点をお聞かせいただきたい」
枝野「1点目は、発想は全く一緒のつもりです。そういう発想でやらなければ物事は前に進まないだろうというふうに思っていまして、これは昨年の事業仕分けでもそうでしたけれども、事業仕分けの場における立証責任はどっちにあるのかと言えば、その事業が必要であると主張する側にあるんだと。これは私も事業仕分けをやってみて、物すごい重要なポイントだというふうに確信をいたしましたので、第2弾においても、それぞれの事業が必要ないということを仕分け人の側で挙証、立証するのではなくて、必要だというふうにお考えになるならば、必要だと考えているほうが必要性を国民が納得するように立証しなければ仕分けると、この大原則でやりたいというふうに思っています。全部の事業を取り上げるわけではありませんから、今の御指摘の、先に全部ちゃらにしちゃってということの閣議決定をということとは逆になるかもしれませんが、マニフェストで原則廃止ということを言っていますので、そういった意味では、そこでちゃんと必要性を立証できなければ廃止をされるというのは、逆に言ったら政治的宣言としてでき上がっているんだと私は思っております。
後者についてなんですが、既に、先ほど申しました政策会議でも知恵や情報があったらお寄せくださいということを申し上げておりますし、既に何人かの議員の方から、こういうネタがあるとか、こういう視点でこういうふうに調べたらいいんじゃないかとか、そういった情報は、私やあるいは前回参加をした仕分け人、評価人の国会議員の皆さんのところにお寄せをいただいておりまして、それも活かせていただきながらやっています。
最終的な仕分け人、評価者をどうするのかということについては、まだ結論を出していません。4月の半ばぐらいまでに最終的に判断をしたいというふうに思っておりますが、これは私の希望だけで決められることではないというふうに思っておりますので、その時点で、様々な状況、事情を判断して、最終的に国会議員、そして民間の仕分け人の皆さん、どなたにお願いをするかを決めたいというふうに思っています」
岩上「フリーの岩上です。2点お伺いしたいと思います。
1点目は、先ほど私がした質問に関連してですけれども、年度内の予算の使い切りの件、これは先ほどのお答えですと、かなりの程度、省庁の職員の自主性に任せられる部分が大きいように私は聞こえました。仮にそうしますと、非常に上手に色々な理由をつけて、年度内の予算を使い切らないように、残すように、無駄を削減して努力はしました、しかし、実際のところ、この程度しか残せませんでしたというような、むしろ今回のアクションが省庁の言い訳のための方便に使われるかもしれない。その後、事後的にどのようにそれを検証する手だてがあるのか。検証しないと、結局はさして無駄の削減というのができないのではないかという懸念を感じました。この点について1点。
あともう一点、大変申し訳ないですけれども、欲張ってしまって。先ほどフリーの畠山さんが記者クラブに対して公金を支出して様々な便宜供与を行っている件、これについてどのように見直していくかという質問に対して、記者室の使用の件だけから質問しましたけれども、私はもうちょっと記者クラブ全体に対する便宜供与、全体、公金の支出ということの括りでお尋ねしたいんですが、これについて先ほどの大臣の御回答は、ちょっとややあいまいに聞こえました、正直。これは大臣の権限を持って、今回、今回といいますか、この先、確実にこの問題を取り上げ、俎上(そじょう)にあげて、国民に対してどれだけお金が使われているのか、あるいはどの程度これを見直す必要性があるのかということを論議するというふうに力強く断言されたわけではないように受け取れました。この点、もう少し明確にお答え願えないでしょうか。
その2点、よろしくお願いいたします」
枝野「まず第1点目なんですけれども、御指摘のとおり、事後の検証をしっかりやることが重要だというふうには思っています。事後の検証、一番間違いないのは、私があらゆる部局のあらゆるところに行って全部聞いてきて、全部見てきたら一番いいわけですけれども、まさに検証するためのコストの方がたくさんかかってしまうということになるんですね。そうした中で、検証コストを最小限化した上で、なおかつ、そういったことが起こらないようにしていくと。本来的、本質的には、やはり霞ヶ関全体の意識改革をいかに早く行うのかということが僕は本質だというふうに思っています。そういった意味では、実は個別の検証云々ということ以上に大事なのは、人事評価の上で、そういうごまかしをしたりして予算を使い切る人よりも、しっかりとできるだけお金を節約して予算を残す人の方が高く人事評価されるという人事評価の全体構造を早期に作り上げる。個別のところのモグラたたきは、モグラたたきもやります。やらないと、そういうインセンティブがわきませんから。でも、結局は、トータルとしての人事システムとそのことによる意識改革が行われない限りは前に進まない。私は、霞ヶ関性善説にも立ちませんが、かといって性悪説にも立ちません。しっかりとしたミッションと、それに対する人事評価がしっかりなされるということが、しっかり確立されれば、決して別に悪いことをしようと思って公務員になられた方はほとんどいないはずだと思っています。従来はミッションも、それから評価もしっかりできてこなかった。だから、年度末使い切りという悪弊が積み重なってきたと思っているので、そういった意味ではシステムを作っていくことだと思っています。
それから、後者の話なんですが、これは率直に申し上げますと、例えば、この記者会見も、一定のメディアの皆さんを対象に記者会見をさせていただいた。そのためにこの部屋も使っていますし、電源も使っているし、私の時間も使っています。じゃあ、私に直接話を聞きたいという方は、おそらくメディア以外の人たちもたくさんいるんでしょう。でも、じゃあ全ての人にこういう場でお話を、質問を受けてお答えができるかといったら、それは物理的に不可能です。そうしたところで、一定の何らかの線を引いて、一定の範囲の皆さんに、ある意味で国民の代表として質問をしていただく。それにお答えすることで、直接私に質問できない皆さんの知る権利に皆さんもかかわっていただくと、こういうことなんだろうというふうに思っています。そうした役割を担っていただく方に、一定の、結果的に便宜供与と見られるようなことが行われるのは私は当然だというふうに思っています。この部屋を今こうして使っているのもそういう一環でありますから。それが歴史的に記者クラブという、ある意味では現状で見れば若干閉ざされ過ぎているのではないかという声が上がる部分で、歴史的に作り上げられてきたんだということに対して、時代と合っていないのではないかという見解があるのは私は一種当然だろうと思います。ですから、私も今日このような、こういった形で記者クラブに限定されない、より広範な、でも全国民の皆さん誰でも来てくださいではない記者会見を開かせていただいているということです。
さあ、その上で、じゃあ現在記者クラブの内側におられるメディアの皆さん、記者クラブの外側にいるメディアの皆さんとの関係については、それは公権力の側がどうこうしろとか言って決めることでは私はないんだと思う。つまり、それはクラブの内側にいるメディアの皆さんも、クラブの外側にいるメディアの皆さんも、どちらも国民の立場に立って、公権力に対する一種の牽制とチェック、監視の役割を果たしているわけでありますので、時代状況、社会状況に応じて、どういう範囲の皆さんに、どういうサービスといいますか便宜を図って、それで国民の皆さんの知る権利に貢献していただくのかということについては、公権力の側がセレクト、選択をしてどうこうするということでは、逆に問題が生じると思います。そこは私は、クラブの内側におられるメディアの皆さんと、外側におられるメディアの皆さん、どちらもメディアという媒体を通じて、国民の皆さんに訴えかけることはできるわけですから、国民の皆さんを巻き込んで、そして国民の世論で最終的な結論を出していただくべき種類のことだと私は一貫して思っておりますので、私の側でどうこうするということではない。ただ、私の立場からは、クラブ以外の皆さんも、クラブの中に入っている皆さんと全く同じではないにしても、きちんとアクセスできるという場を提供する責任は私の側にはあるだろうと。従来持っている『既得権』-というとまた語弊があるかもしれませんが-をどうさせるべきなのかということについてまで、それは一定の歴史的な意味があって、記者クラブという制度とそこに対する部屋の提供とかがなされているわけですから、一刀両断に私の側からもう時代に合わないからやめましょうとかという話ではないんじゃないかなと思っています」
岩上「確認だけ。1点目のほうなんですけれども、意識改革という言葉と人事評価のシステムをつくるという話がありましたが、意識改革というのはどっちかというとスローガン的な感じがいたします。具体的な話ではないような気もします。しかし、人事評価をはっきりとした無駄を削減していく人間を評価するという、インセンティブを組み込んだシステムをつくるというお話もありました。
後段のことに関しては、これは具体的に何らかの形で政策提言をするとか、あるいはどういうシステム化していくとか、法制化していくとか、何か具体的なお考えがおありで今おっしゃっていらっしゃるんでしょうか」
枝野「意識改革は、僕はスローガンだとは思っていないんですけれども、結局、企業が伸びたり、だめになったり、あるいは再生したりというのは、企業の経営者が、リーダーが、社内における意識改革をちゃんとできるのかどうか、できたのかどうかということで企業が再生したりしなかったりしているんだと私は思っていて、それをできるかどうかが僕はリーダーシップだというふうに思っている。この特に使い切り問題みたいなところに象徴されるような税金の使われ方というのは、やはり霞ヶ関の何万人という皆さんがしっかりとした意識を持って取り組んでいただかなければ、どんなシステムを作ったって、それはもう漏れていくに決まっていると私は思うんです。そういった意味では、その意識を変えていくためのツールとして、でも人事評価ですから、何か機械的にいくら残したら昇格させますとか、こういうことができる話ではありません。ですから、とにかく形式的人事権は、各省内は大臣にあるんでしょうし、幹部については官邸にあるわけですし、そういったところから常に、税金を使い切るような発想の人間はだめなんだということを、繰り返し、繰り返しやっていって、各省ならばその人事を担当する幹部の意識から変えていくということの結果として、例えば3年後、5年後には役所全体の意識が変わっているというところに持っていくということしかないんじゃないかと。何か、何とかという制度をつくったら意識が変わるとかいう世界では僕はないと思うんですよね。」
岩上「そうすると数値目標とか、そういう目標設定とか、そういうものはないということでしょうか。今はお考えではないと」
枝野「いくら使い残せみたいな話の数値目標って、逆に言えば変な話ですよね。やはり部局によっては全部使い切っても足りなくて、予備費使わなきゃならないとかの状況もあるわけなので、機械的にできる話ではなくて、まさに意識の問題だと思いますので。どちらかというと、あえて申し上げれば、今まで機械的にできることしかやってこなかったのかもしれない、行政改革というのは。でも、今の使い残し問題みたいな話というのは、霞ヶ関の皆さんのミッションの意識とか、インセンティブとか、そういったところで意識を変えていくという意味での政治主導のリーダーシップということが、私はそれこそ、この間、刷新会議に新たに入っていただいた吉川さんのDOWAホールディングスにおける成功例とか、いろいろと企業再生の成功例を勉強させていただくと、形式的な話よりも、今のような話の方が本質なんじゃないかなと。
ただ、これは政治的に言えば、見えにくいので、アピールしにくいので、政治的には得なのか損なのかという話はあるのかもしれない。政治的には、いくら削れとか、こういうルール作ったんでこれを基準でやりますとかと言ったほうが、それは格好いいのかもしれない、パフォーマンスとしては。でも、そんなところでパフォーマンスしてもしようがないので、実質はそういった数字であらわせない、簡単には出てこないところで結果には変わっていく、あるいは変えていくことが僕は重要だと思っていますけども」