2014年7月24日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。1号機建屋カバー・がれき撤去の際の方針について小野明福島第一原発所長は、「影響のないレベル以上にはダストを出さない方針で対策をとっている」と説明した。
2014年7月24日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。1号機建屋カバー・がれき撤去の際の方針について小野明福島第一原発所長は、「影響のないレベル以上にはダストを出さない方針で対策をとっている」と説明した。
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福島県・Jヴィレッジ内「アルパインローズ」で記者会見が開催され、小野明・福島第一原子力発電所長は、最近の状況として「地下水バイパスの運用開始」、「凍土遮水壁の着工」、「ALPS全系統運転再開」といった汚染水対策の進展をアピールし、トピックスとして「タンク周辺の雨水・汚染水対策」、「エリアキーパー制度による現場管理」というタンクから海への汚染水漏洩防止策の進展を取り上げた。
昨年8月にH4エリアタンクから汚染水が漏洩したことから、東電ではタンク周辺に堰を設けたり構内排水路を暗渠化し、漏洩そのものや海洋への流出を防ぐ対策をとってきたという。堰の高さを上げたり2重化するなど強化し、既設のタンクエリアでは全ての対策工事を完了したことが報告された。タンクを増設している箇所には、増設と並行して対策も行っているという。
加えて、現場の状況を把握し、管理するための「エリアキーパー」制度を設けたことにも言及があった。タンクエリアを14区分に分け、区分ごとに担当者を決め、現場を適宜パトロールし、現場の状況を正確に把握・管理し、乱雑な箇所や不具合箇所の対策を行うという。トラブルや人身災害を未然に防ぐことを目的としている。
通常の現場であれば「現場の5S」(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は当たり前だが、それさえも満足にできていない「火事場の現場」だったというのだろう。
5、6号機で冷却系の弁付近から漏洩らしき水溜りが発見され、原因調査を行っている。5、6号機の点検、パトロールは、炉心とプールの冷却に絞って計画的に点検してきたが、今回の漏洩事象を踏まえ、保守管理の点検のあり方を見直すという。点検頻度の見直しなど、さらに頻繁に行うなどを考えているとのこと。
汚染水を貯留しているフランジ型タンクに中古品が含まれているという報道について、小野所長は「フランジ型タンクは、中古とか新品とかはあまり意味がない」と答え、フランジ型タンクはばらして使えるのがメリットだと話した。ただし、パッキン、ボルトは消耗品であるため、きちんと点検・交換しているという。
漏れたH4エリアタンクは、”新品”タンクから漏れた。それゆえ、新品か中古品かはあまり関係がないという考えだ。
2号機海水配管トレンチのパッカーを使用した凍結止水工事が、凍結開始後2カ月経過するも十分に凍っていない。原子力規制庁の検討会でも、大きな課題として取り上げられている。
凍結を促進する追加対策として、氷とドライアイスの投入を実施したことが報告された。7月24日の12時30分から15時頃にかけて、約2トンの氷を投入したという。25日はドライアイスを投入する予定だ。
氷とドライアイスを投入する効果を記者が質問すると、「やってみないとわからない」、「だから試験投入と呼んでいる」と小野所長は答える。しかし、「冷却能力を高めるのは間違いない」と答え、「きちんと止水できると思っている」と期待を込めた。
凍結止水は、配管トレンチの止水・水抜きが最終目的であり、凍らせることは目的ではない。しかしセメント等では失敗が許されないため、融かしてやり直すなど後戻りのできる方法、凍らせることを主眼にして「まずはやってみよう」との意気込みを示した。
配管トレンチは、一部が凍土遮水壁と重なっており、配管トレンチ凍結止水の工程遅れが凍土遮水壁の工事に影響してくる可能性がある。小野所長は「来年初めに止水終われば、スケジュール的に重なることはない。十分できると思っている」という考えだ。
2013年8月に3号機の瓦礫撤去を行った際、ダストが飛散して人体汚染などを引き起こした。そのため、これから予定されている1号機建屋カバーの解体・がれき撤去時にダストが飛散しないような防止策を東電は実施するとしている。
小野所長は現在予定している対策を「影響のないレベル以上にはダストを出さない方針で対策をとっている」と豪語した。放出量評価が必要ないレベルまで飛散防止を図りたいとの考えを示している。放出量はモニタリングポストの数値から逆算して出した。今後はモニタリングポストを反応させないようにするため、放出量は評価できないだろうということだ。
4半期ごとに行っている4号機原子炉建屋の健全性評価の結果が取りまとめられ、公表された。6月19日から7月24日かけて行った点検で、第9回目になる。結果はいずれも異常なく、健全性は保たれているということだ。
建屋の傾きは、SFP(使用済燃料プール)と原子炉ウェルの水面の水位を測定し、判定している。しかしDSP(機器貯蔵プール)は測定していない。その理由を白井功・原子力立地本部長代理は、「ウェルとDSPはゲートを開いたままで水位は同じ」だと説明している。
また、コンクリート強度評価は、DSPのある北東側は行っていない。その理由も「SFP周囲が重要なのでそこを重点的に点検している。DSP側は3号機側にあり、測定時の被曝線量があるから強度評価を行っていない」と説明した。
小野所長が福島第一原発所長に就任して一年目になる。所見を尋ねられた小野所長は、引き継いだ時の1Fの状況から、汚染水漏れなどが顕在化してしまい、いきなり後退したような感じだった」と振り返った。しかし、そのあとは十分進めたという。「昨年秋の雨のような心配は当面しなくていいだろうし、汚染水も処理できる設備できてきた。ALPSのトラブル経験は、増設ALPSに生かせる」と前向きなコメントを述べた。
また、2年目の抱負として「これまで3年間、トラブルの後始末をやっていた気がする。それを言い訳にしていた」と述べ、「これから30年40年廃炉がつづくことを考えて、設備の質だけでなく、仕事の質も高めていく」とし、「そのための土台を固めたい」と語った。
7月24日は6年後の東京五輪の開幕日だ。「そろそろ2020とか何かオリンピックまでの目標設定をしたほうがいいのではないか」と記者が尋ねると、「そういう目標設定も増田CDOと一緒になって考えていきたい」と答えた。
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2014年7月24日
2014年7月23日
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2014年7月23日
2014年7月24日