増田・廃炉カンパニープレジデント、凍土式遮水壁「6月頭着工目指す」~東京電力「中長期ロードマップの進捗」についての記者会見 2014.5.29

記事公開日:2014.5.29取材地: テキスト動画
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 2014年5月29日17時30分から、東京電力で「中長期ロードマップの進捗状況」に関する会見が開かれた。増田尚宏(ますだ なおひろ)CDO(福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント)は、「地下水バイパスの運用開始、ALPSの運転見通し、1-3号機PCV配管からの漏えい個所特定」が大きなトピックスだとした。また、作業環境改善のため、本日29日に給食センター起工式を行ったことを報告した。

■全編動画

  • 日時 2014年5月29日(木) 17:30~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

事故3年目のお詫びから会見が始まる

 福島県・Jヴィレッジ内「アルパインローズ」において、「中長期ロードマップの進捗状況」についての記者会見が開催され、増田尚宏 福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント、白井功(しらい いさお)原子力・立地本部 本部長代理の2名が会見した。会見は、東京電力のテレビ会議システムを活用し、Jヴィレッジと、本店会見室および福島市会見場(日生福島ビル3階会議室)と中継して行われた。

 増田尚宏氏は「原発事故から3年が経過した今も、周辺地域と社会に迷惑をかけていることをお詫びする」との言葉から会見を開始した。

 この1ヶ月の大きな出来事として、5月21日から地下水バイパスを開始したこと、1号機PCV格納容器側からの水の漏洩カ所を直接確認できたこと、ALPSの試運転状況および運転再開の目途等をトピックスとして挙げた。

 さらに、福島第一原発作業員の食生活の改善、充実をねらい、福島県大熊町大河原地区に給食センターを建設すべく、本日5月29日に起工式がとり行われた。増田氏は、給食センターの運用が開始されることで、「暖かい食事でリフレッシュし、食事を食べながら色々話すことで仲間の健康状態が分かって、仕事が良い状況になる」と期待を述べた。

汚染水のリスク低減策

 ついで白井功氏より、プラントに関するトピックスの説明があった。

 炉心を冷却するための注水は、PCVから漏れ出て建屋地下に滞留している。この滞留水を水処理装置へパイプで移送し、タンクに溜め、再び炉心へ注水している。これらパイプの長さは現在約3kmあり、運用上のリスクとなっている。これを水処理量や施設の配置を検討し、約800mまで短縮する計画がある。設備の設計が終わったことから、今後のスケジュールが発表された。6月から準備工事、9月ごろから据付工事を始め、来年2015年4月ごろの運用開始を目指しているという。

 続いて、ALPSよる水処理のリスク低減のため、モバイル型水処理装置、およびサリーの改造により、Sr-90(ストロンチウム)を事前に除去する取組みが発表された。キュリオン、サリーによりセシウムを除去しているが、Sr-90は高濃度のまま残り、その汚染水をタンクに貯蔵するため、線量の増加など様々なリスクとなっている。ALPSによる処理とともに、これら取組みによりリスクを低減するものだという。

ドクターヘリ緊急搬送が続いている件「環境改善を」

 今月5月8日、28日と作業員がドクターヘリで緊急搬送されるケースが続いた。何が原因か、どう対策をとるのか、記者からの質問を受けた増田氏は、作業環境が良くないことを挙げた。

 環境改善のため、全面マスク省略可能エリアの拡大や、食事場所や休憩場所を確保するなど、「どんどん整えながら、通常の原発と同じ環境で仕事ができるように、現場を元に戻していきたい」との意気込みを語った。

凍土式遮水壁「6月頭着工を目指す」

 凍土式遮水壁について、原子力規制委員会は、工事の準備作業など安全性に影響のない範囲であれば、着工可能だと言っている。

 しかし増田氏は、規制委に認めてもらい、安全に関わる部分の仕事を始めたときに初めて着工という言葉で表現することになるという。「準備工事は着工という言い方をしない」と説明した上で、6月頭の着工を目指す考えを示した。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

2014年5月29日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第6回事務局会議)

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