福島第一、建屋滞留水の誤移送は電源盤スイッチの操作ミスと判明~東電定例会見 2014.5.2

記事公開日:2014.5.2取材地: テキスト動画
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 2014年5月2日17時30分から、東京電力本店で定例記者会見が開かれた。福島第一原発におけるポンプ誤動作による建屋間の滞留水誤移送は、3月20日の電源盤スイッチの操作ミスであることが判明した。

■全編動画

  • 日時 2014年5月2日(金) 17:30〜
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

建屋滞留水の誤移送は電源盤スイッチの操作ミス

 東京電力福島第一原発にて、プロセス主建屋、焼却工作建屋に設置されている、通常使用していない仮設のポンプ4台がいつの間にか動作しており、地下滞留水の意図しない移送が行われた事故について、東電の調査の結果、電源盤スイッチの操作ミスであることが判明した。

 4月14日に分かり、16日の定例記者会見で公表された本件について、東電は当該建屋における作業に関する書類の調査や、作業者からのヒアリング、電源系統の現状調査などの独自調査を行い、現在までに確認できていることを公表した。

 その結果、3月18日に計画された停電があり、当該ポンプの電源スイッチを含む分電盤のスイッチを全てオフにしたことが確認された。その日以前からポンプの電源はオフだったが、分電盤には空調設備のスイッチもあり、そちらはオンであった。その後3月20日に復電、通電を復旧させる際、分電盤にある全てのスイッチをオンにしたという。

 電源スイッチには、何のスイッチかを示す”名称ラベル”がなく、識別する”数字だけのラベル”が付けられている。3月20日の復旧時、作業者は、当該分電盤付近の”電源結線図”を見ながら作業したが、何番のスイッチをオンにし、何番のスイッチをオフのままにしておくのか、明確な文書指示がなかったようだと、東電のスポークスマンである白井功氏は説明した。

ポンプは3月20日から誤動作

 建屋の地下に設置している水位計の測定結果を検討した結果、3月20日からポンプが誤動作していたことが判明した。つまり、4月14日まで、東電はポンプの誤動作を発見できなかったのである。当該建屋の水位は1日に3回程度測定しているという。水位の変化をグラフ化し、トレンドを見れば、水の移送元も移送先も上昇するという、異常な変化をしていることが直ぐに分かったはずだ。

 なぜ発見できなかったのか。東電によると、当該建屋付近で行われていた別の工事による影響だと考えたこと、誤動作したポンプは停止状態なので水の移送はなく、関連を考えられなかったこと等を原因として挙げている。

問題点と改善策

 東電は調査の結果、分電盤内にある各スイッチの機器名称が不明であること、仮設ポンプが即時に(誤)動作する状態であったこと、建屋水位の管理が不充分であったことを今回の問題点としている。

 従って、再発防止策として、これら原因を改善することとともに、福島第一原発全体の対策として、電源盤等の施錠、監視カメラの設置などを打ち出している。

残された疑念

 今回の事故では、当該分電盤に操作するスイッチと、操作しないスイッチが混在している。3月20日にどのような作業指示がなされたのかが一つのカギであるが、口頭指示であり、明確な記録がないようだと東電は説明している。仮に操作しないスイッチがあるという指示だった場合、現場の作業者は、その指示がよく分からずに全てのスイッチをオンにしたことになる。そうなれば素人なみのミスと言わざるを得ないが、そのような作業を行うのだろうか。東電の調査結果に疑念は隠せない。

降雨の影響でサンプリング値が10倍超の上昇

 5月1日に採取した、B排水路のCs-137が前回23Bq/Lから280Bq/L、全ベータが前回ND(14BQ/L)から240Bq/Lに上昇している。さらに、焼却工作建屋東側のサブドレン水の全ベータが、13Bq/L(4月30日7時49分採取)、170Bq/L(5月1日8時2分採取)、430Bq/L(5月1日16時30分採取)、430Bq/L(5月2日7時56分採取)と上昇している。

 東電は、これを4月30日の降雨の影響と考え、特に何も対策を講じていない。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年5月2日

2014年5月1日

プレスリリース

2014年5月1日

東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響

道関係各位一斉メール

2014年5月2日

写真・動画集

2014年5月2日

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