ALPS核種除去性能の異常により全系統を停止させて調査中~東電定例会見 2014.3.19

記事公開日:2014.3.19取材地: テキスト動画
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 2014年3月19日17時30分から、東京電力本店で定例記者会見が開かれた。多核種除去設備ALPSのB系統の核種除去性能に異常が見つかり、全系統を停止して原因調査をしていることが報告された。最大2500トンの汚染水がJ1エリアのタンク21基に移送された可能性があり調査を行っているという。

■全編動画

  • 日時 2014年3月19日(水) 17:30〜
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

ALPS核種除去能力が低下し、処理を停止

 3月18日、多核種除去設備ALPSのB系統で、3月17日に処理後の水を採取して分析したところ、10e7(10の7乗)Bq/Lだった。3月14日に採取した水は10e2Bq/Lで、これが正常な値だという。このことから東電は、3月14日以降にB系の処理に何らかの異常が発生していると判断した。A系、C系の処理後の水の分析結果は、10e2Bq/Lで正常に処理できているという。

 B系の処理を停止するとともに、汚染範囲拡大防止のため、A系、C系も処理を中断、すなわち全系統を停止し、原因の調査等を行っている。

 ALPSで処理した水は、1000トンタンク4基から成るサンプリングタンクに溜め、その後、受入タンク群に移送される。現在はJ1エリアタンクに移送している。

 サンプリングタンクは、A系、B系、C系それぞれの処理水が混じって溜められる。溜った水を3月18日に採取、分析した結果、全β濃度が10e6Bq/Lと高く、B系で処理が不充分である汚染水が混入していることが確認された。3月14日から18日までの間にALPS3系統で約2500トンの水を処理した。B系の処理不充分な汚染水は、A系、C系で処理された水と混ざった状態で、サンプリングタンク4基中3基に約800トンが溜っている。

 ALPS処理水は、サンプリングタンクからJ1エリアの1000トンタンク群に移送される。現在J1エリアにあるタンクの内、21基をALPS処理水の受けタンクとして使用する構成になっている。ALPSからの受入口になっているJ1-D1タンクの水を分析した結果も、全βが10e6Bq/Lと高く、汚染水が移送されていることが確認された。最大21基のタンクに汚染水が拡散している可能性がある。

ALPS運転再開のめど

 まだ調査に取りかかったばかりで情報はない。

 今後の対処の考え方として、東電はいくつかの方法を示した。サンプリングタンクに溜っている水は、J1エリアタンクへ移送する、あるいは再度ALPSで処理する方法がある。もし、処理が不充分なのがB系のみの場合、A系、C系は運転再開できる。その場合、サンプリングタンクのまだ使用していない1基を使う方法がある。ただし、サンプリングタンク、そこからJ1エリアタンクまでの配管、J1エリアタンクの洗浄を行わなければならない。

ALPSホット試験中のタンク運用方法に問題はないのか

 ALPSのサンプリングタンクは、処理後の水を溜めて分析し、確実に処理が行われたことを確認するために設けられていた。しかし、現在ホット試験中ということで、単にバッファとして使用していた。ホット試験では、各系統の処理能力を個別に確認するため、処理系統の出口でサンプリング分析していたが、週に3回の分析であった。

 ALPSでの核種除去能力はすでに確認済みで、試験が終了した項目である。したがって、単にバッファとして使用するのは、ホット試験中の工程として納得できる運用だ。

 また、J1エリアタンクは、1000トンタンク21基を一つのグループとして運用していた。他のエリアでは、5から6基を一つのグループとして運用している。大きいタンクグループとして運用していたため、汚染水が多くのタンクに拡散してしまった。

 多くのタンクを一つのグループとして運用すれば、タンク間の連結部分のバルブ操作の手間を省くことができる。ほんの少しの手間を惜しんだためのトラブルではないだろうか。

1-2号機間排気塔スタックの構造解析は、経年劣化を考慮せず

 1-2号機間排気塔スタックの中間部分で、構造を補強する斜材が破断していることがすでに発表されており、構造解析の結果なども発表されている。

 構造解析では、破断した斜材がないものとして解析しており、強度的に充分だと東電は発表しているが、経年劣化や風圧による力のかかり方などは未発表だった。記者がこれらについて質問した結果、経年劣化などは特に考慮していないことが発覚した。

3号機使用済燃料プールの冷却テストが終了

 3号機使用済燃料プール代替冷却系の、二次冷却塔の濾過水について、水の散布、水の停止による影響調査が2月26日から行われていた。冬季は気温も低く、発熱量も大きくないことから、空冷チラーに水をかけなくても冷却に問題がないかを確認していた。

 3月18日、冷却能力に問題がないことを確認し、調査を終了した。結果として、水をかける必要は特になく、逆に凍結するリスクを減らすことができる。次の冬期からは、水をかけない運用方法も検討されるという。

 なお、この調査の影響で、3号機使用済燃料プールの水温が約10℃程度上昇し、22℃程度になっていたが、水をかける運用を再開したことから、徐々に水温は低下している。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年3月19日

2014年3月18日

プレスリリース

2014年3月19日

東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響

道関係各位一斉メール

2014年3月19日

2014年3月18日

写真・動画集

2014年3月18日

お知らせ

2014年3月19日

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