東電臨時会見「中長期ロードマップの進捗状況(2014年2月分)」 2014.2.27

記事公開日:2014.2.27取材地: テキスト動画
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 2014年02月27日18時から東京電力本店で中長期ロードマップの進捗に関する記者会見が開かれた。4号機SFP燃料取出し作業完了までの予想被曝線量を発表、燃料取扱機の運転作業者は最大12.5mSv、キャスク取扱者は最大32mSvだと公表した。

■全編動画

  • 日時 2014年02月27日(木) 18:00~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

4号機SFP燃料取出し作業者の被曝低減策

 福島第一4号機の使用済燃料プール(SFP)からの燃料取出し作業における、被曝線量の低減対策の方針を発表、オペフロアの線量マップや作業被曝の実績が公表された。

 東京電力は方針として、雰囲気線量率、作業被曝線量を共に、取出し作業開始初期と比べ1/3に低減させることを目標に上げた。

 4号機のオペフロアの空間線量は、DSP(DSピット)のある北側では0.3~0.4mSv/hだが、南方向へ行くに従い低くなり、SFPのある南側では0.05mSv/h程度になっている。その他の測定結果も合わせ4号機の北側にある3号機からの直接線の影響が大きいを判断し、東京電力は鉛板の遮蔽を建屋北側に設置している。更に、作業箇所に局所的にタングステンマットを敷くなど被曝量の低減を図っている。そうした対策を行った結果、例えば燃料取扱機トロリ上(操作卓)では、0.055mSv/hが0.035mSv/hへと約36%低減している。

 その一方、キャスクピット回りは比較的線量が高いままであり、重さ約9kgのタングステンジャケットを着用して作業を行うなどの対策をとっている。

燃料取出し作業被曝の実勢

 燃料取出し作業について、キャスク一基当たり、作業者一人当たりの平均被曝線量の推移実績が公表された。当初の5基目ぐらいまでにくらべ、15基目あたりから被曝線量は半減している。その理由として尾野昌之・原子力立地本部長代理は、北側に遮蔽を設置したことや、作業に慣れてきたからだと説明した。

燃料取出し完了までの総被曝線量を予想

 4号SFPから1533体全ての燃料を取出すためには、約70回のキャスク輸送作業が必要になる。東電は、現在までの作業者被曝線量の実績から燃料取出し完了までの総被曝線量を予測。その結果は、燃料取扱機の運転作業者は最大12.5mSv、キャスク取扱者は最大32mSvだと公表した。

 東京電力はこの予測値について、「被曝線量の限度である1年間で50mSv、5年間で100mSvい比べて小さい」と評価、更に作業者のローテーション管理を適切に行うことで、特定の作業者に被曝量が集中しないようにするとしている。したがって、現在の体制で、燃料取出し完了まで作業できると判断している。

ALPS増設版/高性能版のスペック公表

 多核種除去設備ALPSの、増設版、高性能版の構成、基本仕様、設置予定場所等が公表された。増設ALPSは実施計画を申請済、高性能版は準備できしだい申請するということだ。

 現在ホット試験を続けている既存ALPSは、前処理として薬品による強沈処理を行っている。強沈処理で発生する廃棄物は水分を含むスラリーとなり、ALPSで発生する全廃棄物の95%を占めている。そのため増設版と高性能版では廃棄物発生量を削減するため、前処理に改善が施されている。

 基本構成は、増設版は既存版と同じだが、鉄強沈処理を削除し吸着塔を増設している。高性能版では前処理工程をフィルタ処理に変更しCs,Srの粗取りを行う。性能面では、既存版と増設版は1日250トン処理設備が3系統あるが、高性能版は1日あたり500トンの設備が1系統設置する予定だ。

 いずれもH26年に稼働させる計画である。

モバイルSr除去装置

 日々増加するRO濃縮水はタンクに貯蔵しており、タンク基数も増加している。RO濃縮水はセシウム吸着装置(キュリオン、サリー)でCs(セシウム)を除去しRO装置で濃縮した汚染水であり、Sr-90が非常に高い割合で含んでいる。

 そこで、ALPSによる水処理と並行して、モバイル型のSr(ストロンチウム)除去装置を設置し、主にSr-90による漏洩リスク、敷地境界線量、作業者被曝の低減を目的としている。モバイル型ということで、トラックの荷台に乗せる装置で、1日300トンぐらいの設備1系統を感あえている。

3号SFP内大型がれき撤去作業の進捗

 3号機の使用済燃料プールにはFHM(燃料取扱機)が落下している。FHMを取出すために、FHM周辺のがれきを撤去している。本年4~5月めどでFHMを取出し、6月末ぐらいまでにほとんどno
がれきを撤去する計画となっている。但し、がれき状況を確認しつつ、高低、手順の見直しを適宜おこなうというとだ。

燃料デブリ取出しについて技術情報を調査中~IRID技術開発

 IRID(国際廃炉研究開発機構)では、燃料デブリ取出しの工法について国内外から技術調査、情報提供を受けており、海外7カ国を含めた国内外から194件の情報提供を受けたことが公表された。

構内で採取した立木の放射能分析~IDIR

 IRIDは、今後の廃棄物処理方策の検討のために、構内がれきや、分析用に採取した試料、立木などの放射能分析を行っていおる。今回、立木についての分析結果が公表された。Cs-137とH-3との濃度の関係は特に相関はないが、Sr-90との間だには正の比例関係が見られることが分かった。

注水量変更時の温度変化から炉内状況を推測する

 原子炉内温度を調整するために、注水量を適宜変更し調整している。その時の温度変化の挙動を整理した。東電によると、炉内に滞留している水量が多いと、注水量変化してから温度変化が現れるまでの時間がかかる。このことから水量が推測できるということだ。

 これまでの注水量変化時の温度パラメータの変化から、PCV水位は3号が一番高く、1号2号の順に低くなっていると東電は評価した。又、熱源は1,2,3号ともにRPV底部と推定している。

港湾内被覆工事について

 福島第一港湾内の、1から4号機前の開渠部分と、5,6号機前部分は、海底面を被覆し、海底土に含まれる汚染物質の拡散を防止する措置を施してある。港湾内の残りの部分も被覆工事を行うことが発表された。既に被覆工事を行った部分は約7万3千平米だが、残りの部分は約18万平米もある。

 海底面の土砂の状態により、海底土の舞いあがりを防止するため下地層を設けるなど、改善された工法を考えている。2月27日から海底面の状態の調査を開始しており、平成26年度末ごろまでに、被覆工事を完了させる計画をとっている。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年2月27日

プレスリリース

2014年2月27日

東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響

道関係各位一斉メール

2014年2月27日

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