タンクから2億3千万ベクレルの高濃度汚染水が約100トン漏洩~東電定例会見 2014.2.21

記事公開日:2014.2.21取材地: テキスト動画
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 2014年2月21日16時から、東京電力本店で定例記者会見が開かれた。H6エリアタンクから約100トンの高濃度汚染水が漏洩。漏洩水の線量は、全ベータで1リットルあたり2億3千万ベクレル(70μm線量等量率50mSv/h、サンプリング結果全β2.3×10e8Bq/L)だった。

■全編動画

  • 日時 2014年2月21日(金)16:00~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

H6エリアタンクから100トン漏洩

 H6エリアタンクから約100トンの高濃度汚染水が漏洩した。漏洩水の線量は、全ベータで1リットルあたり2億3千万ベクレル(70μm線量等量率50mSv/h、サンプリング結果全β2.3×10e8Bq/L)だった。

 発端は、2月19日の14:01に当該タンク(H6エリア、C1タンク)内水位が98.9%に達し、”水位高警報”を発したことから始まる。2013年10月には、B南エリアタンクの天板から漏洩したため、汚染水を貯蔵するタンクには、個々に水位計が設置され、水位を監視している。

 そのため、14:05に直ちにタンクパトロールを実施し、タンク配管や水の移送作業に問題がないことから、東電は水位計の故障と判断した。さらに念のため、15:00と16:00にもタンクパトロールを行い、当該タンク周辺に漏洩がないことを確認している。

 その後、23:25頃に定時のタンクパトロールを行った時に、当該タンクからの漏洩を発見した。タンク内の水面を目視で確認すると、天板まで達しており、溢れ出たことが判明した。当該タンクへ水を注入する配管の弁を閉めると共に、当該タンクに接続する別のタンクへの配管弁を開け、タンク水位を下げ、翌05:40に漏洩を停止させた。

 漏洩水は土嚢により拡散を防止し、コンクリート面上に留まっている。現在も回収作業を継続しており、周辺に排水路がないことから、直接海への流出はないと、東電は評価している。

2月20日00:43に規制庁へ報告

 東電は、漏洩を確認した後の2月20日00時43分に、法令に基づき原子力規制庁へ報告した。規制庁はこの時点で、初めて今回の事故の報告を受けた。

 なお、法令は「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」第62条の3に基づき制定された「東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及 び特定核燃料物質の防護に関する規則」第18条第12号「発電用原子炉施設の故障その他の不測の事態が生じたことにより、核燃料物質等(気体状のものを除く)が管理区域内で漏えいしたとき」に該当すると判断したもの。

RO濃縮塩水を受け入れ貯蔵していた

 当該タンクは、RO処理装置で処理された”RO濃縮塩水”が貯蔵されていた。RO濃縮塩水は、セシウム以外の核種を含んでおり、特にβ核種であるストロンチウムの濃度が高い。

 RO濃縮塩水がある程度溜ると、自動的にポンプが動作し、貯蔵するタンクへ送られてくる。どのタンクへ送るかは、配管に取り付けられている弁を操作し、目的のタンクへ水を送るように運用している。

配管と弁の状態

 RO処理装置からH6エリアタンクまでの配管は、Eエリアタンクへ分岐し、さらに他のタンクへも分岐している。途中に複数の弁が取り付けられており、それらの開閉で水の流れ(移送先)をコントロールしている。2月17日からEエリアタンクへRO濃縮塩水を移送しており、Eエリアへの弁は開、H6エリアへの弁は閉になっていた。

 東電は、各タンクの水位計記録や、ポンプ流量の記録を解析した結果、偶然直前に行われた工事記録写真などから、2月19日10時32分頃から2月21日0時30分頃までの間は、Eエリアへの弁は閉、H6エリアへは開となるように弁の状態が変わっていたことが分かった。

 つまり、本来は

ポンプ-+-閉-開-開-H6エリア
    |
    +-開-Eエリア

のはずが、一時的に

ポンプ-+-開-開-開-H6エリア
    |
    +-閉-Eエリア

となっていたということだ。

 RO濃縮塩水をEエリアタンクへ流す操作をしていたはずが、実際にはH6エリアタンクへ流しこんでおり、H6エリアタンクから溢れ出したと推定される。

弁の操作は何故?

 弁が自動的に開いたり、閉じたりするわけではない。全て手動で操作する弁だ。いつ、だれが操作したのか、その記録はどうなっているのか、記者が質問した。東電の回答は、驚くことに、「個々の細かい操作記録はない」という。

 H、G、J1エリアの各タンク群に至る弁は約100個ある。これらの弁が、現在どのような状態になっているのか、任意のタンクへ送水する時には、どの弁を操作すれば良いのか、信じられないことに全体の状態を一度に把握するような記録はないということだ。その時々に必要な弁を操作する、従って、個々の作業指示書や、作業者からの聞きとり調査をもとに、詳細を調査することになる。

今後の対策

 東電は、人為的に操作された可能性はあるが、予断を持たずに弁の状態の調査を継続し、運用手順についても見直す方針だ。今回の事故では、

・水位計で警報が出たが、水位計の故障とみなしたこと
・EエリアタンクにRO濃縮塩水を移送しているが、Eエリアタンクの水位が上昇していないこと
・弁の状態を確認していないこと、記録していないこと

といった運用上の問題も多く見られる。これまで同様の事故が発生しなかったのが、不思議に思えるぐらいだ。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年2月21日

2014年2月20日

プレスリリース

2014年2月21日

2014年2月20日

東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響

道関係各位一斉メール

2014年2月20日

写真・動画集

2014年2月21日

2014年2月20日

お知らせ

2014年2月20日

2014年2月19日

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