「当時はそこまで考えが至らなかった」ストロンチウム分析値、7ヶ月後に初めて公表~東電定例会見 2014.2.10

記事公開日:2014.2.10取材地: テキスト動画
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 2014年2月10日17時30分から、東京電力本店で定例記者会見が開かれた。汚染水サンプリングのSr-90の分析値が7ヶ月後に初めて公表され、その理由として、「当時は速報値として公表するところまで考えが至らなかった」と釈明した。

■全編動画

  • 日時 2014年2月10日(月) 17:30~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

先週末の降雪の影響

 2月8日から9日の降雪により、多くの屋外作業に影響があった。東電からの報告は、以下の通りである。

 「タンクパトロールは、目視確認と水位計パラメータ確認を行い、異常はなかった。線量当量の測定は行っていない。採水は、2月8日は予定通り行ったが、9日は全て中止している。10日は、屋外の土木作業は中止している。建屋内の水処理や4号機の燃料取り出し作業は実施している」。

ALPS-B系、腐食対策はOK

 汚染水を使用した性能実証試験”ホット試験”が続いているALPS(多核種除去装置)は、核種を除去するために使用する薬剤により、腐食が発生し、対策が行われている。ALPS-B系について、1月25日に処理運転を停止し、腐食対策の効果を確認した結果、対策が有効であることが確認された。

 東京電力は以上の結果から、2月12日から13日に処理運転を再開すると発表した。今後、ALPS-A系とC系について、吸着塔を交換する予定があり、本格的な3系統同時運転は、その後になる見込み。

5-6号機タンクエリアで漏洩、凍結が原因

 5-6号機北側のFタンクエリアで、散水用の水を移送するポンプのケースが破損し、約20リットルが漏洩した。漏洩水は鉄板上に溜り、地面には落ちておらず、また漏洩は停止しているという。東電は、凍結の影響による破損が原因だと考えている。

地下水観測孔No.2-9で高トリチウム濃度を観測するも参考値

 護岸エリアの地下水観測孔No.2-9にて、2月7日に初めて採水した地下水の分析結果が出た。結果は、トリチウムが13000Bq/L、全ベータが1700Bq/Lだった。

 これら結果を、東電は参考値としている。その理由として、近傍にあるウェルポイントくみ上げ水のトリチウム濃度が、

2014年 2月 5日採水   4900Bq/L
2013年12月 6日採水 5100Bq/L (過去最高値)

に比べ、約2.5倍の値だからだと説明している。そのため、再度サンプリングし、分析することを計画している。

 さらに、東電が公表しているデータからウェルポイントの全ベータ値を比較すると、

2014年 2月 7日採水   1700Bq/L
2014年 2月 5日採水  130000Bq/L
2013年12月12日採水 240000Bq/L (過去最高値)

と二桁異なっており、2月10日に発表された7日の採水データの信憑性は、非常に低いと考えられる。

ストロンチウム、全βの測定ミスについて

 2月5日(水)の会見で、Sr-90(ストロンチウム90)測定時に計器の設定誤りによって、実際より低い値を公表していたことが分かった。さらに、2月7日(金)の会見で、高濃度の全ベータ試料の測定時に「数え落とし」によって、実際より低い値を公表していたことも判明している。

 今泉典之・原子力・立地本部長代理は、2013年10月2日に分析・測定手順のマニュアルを作成し、それ以降は数え落としのない正確な測定を行っているという。しかし、10月以前の測定手順は、測定者の個人技量に依存していたという。いつから、誰が、正確でない手順で測定していたのか、現在調査中だと応えた。

 2013年10月に手順書を作成したということから、それ以前に数え落としを把握していたと考えるのが自然だ。しかし東電は、経緯は調査中なので明確に答えられない。調査結果がまとまった時点で報告するが、調査結果が出るのも”なるべく早く”で未定だという答えしか返さなかった。

 Sr-90は、分析に時間を要するとともに、分析するべき試料が多数あり、まだ分析にとりかかっていないものが多数ある、と東電は主張している。まだ分析していない試料が相当残っているということだ。これから分析を行うが、結果がいつ出るかの目途さえ示されなかった。

 これについて、記者がさらに質問を続けると、東電は試料の分析を、次のような手順で行っていることが分かった。Sr-90の分析は、試料を分析装置にかけ、出てきた数値を他のデータや過去のデータと照らし合わせて確認し、ぬけ等がないかをチェックして、技術的に正しいことを、しかるべき立場の人間が判断し、「確定」が出されれば、その後公表するという手順である。測定を行う者と、確定を行う者は別の人だということだ。

 7月5日のSr-90の分析値が7ヶ月後に初めて公表された。それまでに、不確かながらも速報値として出さなかったのか、という記者からの質問に今泉氏は、「その当時は、そこまで考えが至らなかった」と答えた。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年2月10日

2014年2月9日

2014年2月8日

プレスリリース

2014年2月10日

東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響

道関係各位一斉メール

2014年2月10日

2014年2月9日

お知らせ

2014年2月10日

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