【岩上安身のツイ録】特定秘密保護法案成立を受けて 2013.12.7

記事公開日:2013.12.7 テキスト
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特集 秘密保護法
※2013年12月7日のツイートを掲載しています。

 11時23分、特定秘密保護法が参議院で可決。その間、NHKは何を報じているかと思いきや、ワールドカップの抽選の中継。国会前の抗議の群衆に議場内の様子が伝わり、コールは「採決撤回!」へ。ch4とch6で、IWJは今も中継中!

 特定秘密保護法は、可決したが、これからが本番。この法律は戦争遂行のための秘密保護法制。米中の覇権争いのために、原発を抱えたまま、日本にとって大義も国益もない戦争に突入し、この日本列島を戦場にしていいのか。破滅は回避できるか。それが問われ続ける。生き残りをかけた戦いが始まる。

 さて、休む間もなく明日からはシンガポールでTPPの閣僚会合。バイデン副大統領が、12/3に安倍総理と会談し、TPPの年内妥結を迫った事実も、12/1に来日したUSTRのフロマン代表が甘利TPP担当大臣に「聖域」を認めず、関税撤廃を迫ったのも、「特定秘密」扱いではなく、公然の事実。

 参議院の可決時の投票総数は212票。賛成は、自民党110票。反対欠席4。公明党は全員で20。合計 130票。反対票を入れた自民党議員は、二之湯智議員。間違えたらしい。欠席および不投票の自民党議員は3名。赤池誠章議員、有村治子議員(病気)。森まさこ議員。担当大臣のため。

 反対票は合計82票。民主党は58票。みんなの党は川田龍平、寺田典城、真山勇一の3名の議員が出席して反対票を投じた。共産党は11名、社民党は3名、生活の党は2名、新党改革は1名(平野達男議員)が反対。無所属は、山本太郎議員、糸数慶子議員、興石東議員(副議長のため)の3名。

 欠席は、維新の会は、9名全員。みんなの党は、先にあげた川田龍平議員ら、出席して反対票を投じた3名を除く15名。新党改革は、荒井広幸議員、浜田和幸議員の2名。無所属は山崎正昭議員の1名。

 明日、IWJはCh4とCh5で「大デモ」を中継。すごいタイトルです、大デモ。要はマルチイシューということらしい。たしかに問題はどれもつながってます。場所は代々木公園、あのすっとぼけたNHK前。11時から集会スタート。三宅洋平氏、 山本太郎参議院議員、 孫崎享氏ら。

 頭が冴えて眠れない。日米中の関係を考えている。不実な米国が、共依存関係にある日本から、相互依存関係にある中国に乗り換えつつある三角関係。米国を引き留めるために必死で「同盟」の絆を強調し、TPPや日米並行協議で身を売るようにして、すがりつく日本。「何でも秘密にするから」とも。

 つまづきの小石ならぬ、つまづきの岩礁は、尖閣諸島。領有権問題が表面化した70年代初頭、佐藤内閣の幕引きに沖縄返還が行われる。この時に尖閣諸島も「施政権」が米国から返還される。「領有権」ではない。ここがつまづきの始まり。尖閣一帯に石油の埋蔵が確認されたのもこの時期。

 その後、ニクソン大統領が日本の頭越しに電撃訪中し、これを追い抜かすように田中内閣が日中国交回復を行う。ここで、尖閣が棚上げにされるが、なぜ周恩来は棚上げを提案したか。

 周恩来の真意。尖閣は台湾に付随している、と見て、台湾と中共の二つの中国問題が解決していない時に、尖閣だけ問題にしても仕方がない、と見たからだ。

 ここで、尖閣を巡っての日米中の三角関係に、台湾という存在も絡んできて、複雑さを極める。これは、四角関係問題なのだ。そう理解すると、自由主義陣営対共産主義中国、という対立図式では、すっぱり割り切れないことが明らかになる。

 日本の保守陣営は台湾びいきだが、台湾が尖閣の領有を主張していることは見ない、聞こえないふり。台湾は自由主義陣営の一角に違いないが、そんな単純でイデオロギー的な「価値観外交」では、この領土問題は割り切れはしないのだ。

 米国は日本に「施政権」は返すが、「領有権」は返すとはせず、領有権については、中立を保つ、とした。台湾とは繊維交渉で行き詰まっていた時でもあった。

 イギリスが、第二次大戦直後、アラブとイスラエルの双方にいい顔をして「二枚舌」外交を展開したことが、今日に至るまで続くパレスチナ問題の起点となったように、尖閣問題は、沖縄返還時における米国の「二枚舌」外交が、日中間の不和の源となった。

 尖閣諸島は5つの島からなるが、そのうちの2島は、米国が射爆場として使うからと、租借し、返していない。昨年、石原氏が東京都で購入するとぶち上げたのも3島、野田内閣が国有化したのも3島。

 米国が2島を借りて射爆場にしてきたのは(今は使われていない、にもかかわらず返還しない)、台湾への配慮もある、と言われる。

 こうした40年前にひそかに埋め込まれた地雷が、今、日中間で炸裂。それが本格的な軍事衝突に至らないようにと間に入って善意の仲裁役を演じているのが米国である、というのは、よく考えてみれば実に厚かましく、腹立たしい話だと誰でもわかるはずである。二枚舌を使ったのは米国。噴飯物だ。

 これまでも何度も繰り返してきたが、米国は日中間で紛争が起きても、軍事介入はしない。尖閣を守るために中国軍と戦うなどあり得ない。では、日米安保の真の意味とは何か。よく言われてきたのは、ビンのフタ論。

 日本が二度と軍事国家にならないように、米軍の基地を置いて占領し、抑え込み続けるというのが本当の役割だ、というものだ。この理論が出たのは、米中首脳会談で、ニクソンが提案し、周恩来がそれを受け入れた。だからこそ、尖閣の2島を米軍の射爆場にすることにすんなりと合意ができたのだ。

 つまり45年の大戦集結から、49年に内戦に勝利をおさめた共産中国との間で、米国は、関係修復の模索を続け、40年前の70年代初頭の時点ですでに、日本は魔法のランプの中の魔神のように、ビンの中に封じ込めておこうという合意が早くもそんざいしていたのである。

 日本が二度と軍国主義ファシズムにならないようにと、米中は40年前の時点から合意していたのである。いい面の皮である。知ってか、知らずか、その間、日本は日米安保にひたすら忠勤し、同盟を「神聖にして侵すべからず」存在とあがめ、崇拝してきたのである。

 これから先、シナリオは複数に分かれる。が、それを列挙していくには、もう時間がない。夜が明けた。もう眠ろう。続きはまたあとで。

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