「いいなぁ・・・」―。駅で手を振っていた沿線住民の女性が思わず口にした言葉に、羨望の気持ちがあふれていた。2013年10月15日(火)、JR九州は、豪華寝台列車「ななつ星in九州」の運行を開始した。「ななつ星」とは、九州7県を表したもので、「自然、食、温泉、歴史、文化などの和の魅力にあふれた九州をめぐり、今までにない心ゆたかな時間を提供する」(JR九州)ことを目的として登場した、九州観光の目玉だ。
(IWJテキストスタッフ・久保元)
「いいなぁ・・・」―。駅で手を振っていた沿線住民の女性が思わず口にした言葉に、羨望の気持ちがあふれていた。2013年10月15日(火)、JR九州は、豪華寝台列車「ななつ星in九州」の運行を開始した。「ななつ星」とは、九州7県を表したもので、「自然、食、温泉、歴史、文化などの和の魅力にあふれた九州をめぐり、今までにない心ゆたかな時間を提供する」(JR九州)ことを目的として登場した、九州観光の目玉だ。
記事目次
■Ustream録画(19:15~ 3分間)
豪華寝台列車「ななつ星in九州」に沿線住民が手を振る
「ななつ星in九州」での旅は、「ツアー旅行」として実施するもので、火曜日出発の3泊4日のコースと、土曜日出発の1泊2日のコースを用意している。3泊4日のコースでは、福岡・大分・宮崎・鹿児島・熊本の5県をめぐる。このうち、2泊目については、鹿児島の名湯・霧島温泉の高級旅館に宿泊するほか、阿蘇駅(熊本県)や由布院駅(大分県)などで途中下車し、散策するなどの旅程を組んでいる。また、1泊2日のコースでは、福岡・佐賀・長崎・熊本・大分の5県をめぐる。
この豪華な旅には、「ななつ星in九州」の専用車輌として、新幹線車輌なみの約30億円を掛けて新造した、高級ホテルを意識した豪華設備を備える客車を使用し、ホテルやレジャー施設などでの高度な研修を受けた客室乗務員による上質の顧客接遇、さらに、九州各地で獲れた食材をふんだんに使った食堂車(ダイニングカー)でのディナーなどにより、特別な旅を提供する。客車は7両で、食堂車のほか、ラウンジカーも連結しており、ピアノやバイオリンなどの生演奏で乗客をもてなす。14ある客室は全てスイートルームで、総定員は30名。全室にシャワーとトイレ、個別空調設備を備えている。
「ななつ星in九州」の旅行代金は、これまでの国内旅行の常識を覆す料金設定となっている。「2名1室利用」の1名あたりの料金は、3泊4日コースの場合、「スイート」が39万1000円、特に、車輌最後尾に巨大な展望窓を備えた「DXスイートA」は56万6000円で、1室を1名で利用する場合は98万円という高額な料金設定だ。これらの料金は、「運賃」ではなくツアーの「旅行代金」のため、乗車料金のみならず、アルコール飲料以外の食事代や、ツアー中に立ち寄る観光施設等の入場料や送迎バス代なども含まれている。大量退職が本格化する団塊の世代や、アジア各国の富裕層などの利用を見込んでおり、一般庶民にはなかなか手が出しにくい高額な料金設定にもかかわらず予約が殺到し、6ヶ月先まで完売しているという。
15日に博多駅を出発した一番列車は、途中、大分や鹿児島などに立ち寄った後、18日に博多駅に戻った。沿線には、「ななつ星in九州」の一番列車をひと目見ようと、住民らが多数訪れたほか、いくつかの駅では歓迎セレモニーが行われ、1000人を超す人々でごったがえした駅もあった。また、セレモニーが行われた主要駅に限らず、一番列車が通過する無人駅にも、見物客が大勢訪れた。久大本線の無人駅である恵良駅(大分県)では、駅のホームや踏切などから約50人が一番列車に手を振った。列車最後尾のスイートルームから両手を大きく振る初老男性の姿を見送った後、「いいなぁ」と思わずつぶやく女性の姿も見られた。
JR九州は、本州のJR3社(東日本・東海・西日本)に比べて、ビジネス客主体のドル箱路線に恵まれていない。一方、九州には、山間部や太平洋岸などを走る、優れた眺望を誇る路線があるほか、伝統のある温泉地など、観光地としての見どころが多い。JR九州はこの強みを活かすべく、観光客の呼び込みに特に力を注いでいる。単に沿線の観光地や名所をアピールするにとどまらず、鉄道を単なる移動手段ではなく、エンターテインメントの一つとして位置づけ、数々の施策を打っている。以前から、工業デザイナー・水戸岡鋭治氏がプロデュースした、独特のデザインの特急列車や観光列車などを多数走らせているほか、通勤電車の内外装も、本州の鉄道とは一味も二味も違う、凝ったデザインや色遣いが目を引く。今回運行を開始した「ななつ星in九州」も、水戸岡氏が全面プロデュースしたもので、高級感あふれる漆色の車輌や、木材を多用した和洋・新旧のデザインを織り交ぜた内装などで、豪華な旅を演出する。
日本は、2007年に観光庁を設置し、「観光立国」として、国を挙げて世界中から観光客を呼び込もうと努力している。しかし、観光は様々な要因に翻弄される。2009年には、前年に起きたリーマンショックによる世界的な経済混乱と、新型インフルエンザの流行による旅行手控えの影響により、日本を訪れる外国人の数は678万人(前年は835万人)に大幅に減少した。2011年には東日本大震災の発生と福島第一原発事故の影響により621万人(前年は861万人)にまで減少した。2012年には835万人にまで回復したものの、福島第一原発の汚染水問題や、中国や韓国との外交関係の悪化といった不安定要素が、懸念材料として重くのしかかる。
日本政府観光局の資料によると、日本を訪れる外国人の数の、国・地域別のランキング(2012年)は、1位が韓国(204万人)、2位が台湾(146万人)、3位が中国(142万人)。ちなみにアメリカは71万人で、中国の半数にとどまる。日本を訪れる外国人の数は、トップ3をアジアが占めており、占有率は実に59%にも達する。やれ改憲だ、やれ集団的自衛権だと、勇ましい机上論がかまびすしい昨今だが、我が国のこのような観光立国としての側面をよく認識し、くれぐれも軽率な判断は避けていただきたいものだ。
いよいよ、日本にも、差別化が始まった。貧乏人は相手にしない、という商売のあり方だ。
戦後、一億人が、ほとんど、大差ない同じ、釜の飯を食ってきた。
頑張れば、あなたも、車が持て、飛行機で海外等へ行けた。
大体、一巡すると、次は、大きな差別化を図って、退屈な金持ち達の金銭の使い道を、商売につなげる、ななつ星という
仕掛け人と、金持ち達のランデブーだ、。そこに、低賃金で働く下級労働者や、年金暮らしや、ヤギ小屋のローンを抱えてる、子持ちサラリーマンは、はいっていない。
ありもしない、幻想にみんな、指をくわえて、みている。
豪華列車では、金箔のふりかけの、鳴り物入りのお弁当やお食事がでて、「ゴールドの蛇口」で手をすすぐことができる
かも知れない。あの、退屈な九州のど田舎を、3泊4日で、シンデレラになりきり、沿道、沿線の無知で素朴な人びとに、
わけの分からない、旗を振られて、上機嫌な28人の乗客をテレビで見ていて、口から、飯が吹き出しそうになった。
以前、テレビで、タイ北部かインドだったか、どこだったか、金持ちの豪華トレインを見て、線路沿いの裸足でかけよる、
子供達に手を振られながら、車窓を眺め、豪華ステーキに食らい付く「白人」たちの残酷さを思い出し、
ついに、日本人もそこへ、漕ぎ着けたか!とあっぱれである。
これからは、人びとが、自由に移動する時代が来る。
もっと、落ち着いた、謙虚な大人の、旅が、人間の成長とともに、できる、時代が早く、きて欲しい。
すばらしい映像です。虫の声、猫、遮断機の音、周りの山々、手を振る人々、犬の鳴き声、故郷を思い出させてくれました。
まさに冒頭の言葉「いいなぁ・・・」―。私にとってはこの言葉につきます。列車もさることながら、「恵良」駅は私が小学校の入学前の1年間を過ごしたところで、実に懐かしいのです。思わず、ややっと身を乗り出してしまいました。当時、この駅にはSLの転車台があり、それを眺めに良く通いました。それを絵に描いたところ金賞を頂き、アジアのどこかの国のおともだちに贈られたことを思い出しました。死ぬ前にもう1度行ってみたいリストのトップにあたります。だから「いいなぁ・・・」なのです。
配信ありがとうございました。
最後部の部屋に乗られたお客さんの話。
「沿線にわざわざ出て、列車に手を降ってくださっている人が沢山いた。
その人達と社内を少しでも繋ぐ役割を果たすのが、自分たちの役割だ」
と、のべ何時間も延々手を振っておられました。
ただ外を眺めて気楽に過ごしていたって、なんの差し障りもないのですが、
ご自身たちにできるささやかなお礼ということで、頑張っておられました。
ほんとうに頭の下がるお客さんです。