「言い方は悪いが、国でも何でも使えるものは使ってほしい」――。
福島第一原発の汚染地下水海洋流出を深刻に受け止めた原子力規制委員会は8月2日、「特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ」の第一回会合を開き、座長を務めた原子力規制委員会・更田豊志委員は「東京電力の手に余るのであれば、声をあげていただきたい。『東電の手に余るから出来ませんでした』では済まない。言い方は悪いが、国でも何でも使え」などと述べ、危機感をあらわにした。
このワーキンググループは、汚染地下水の海洋流出をどのようにして止めるか、規制庁、東電、外部有識者を交えての検討会である。
東電は、地下汚染水の海洋流出を防ぐ対応策として、地下「遮水壁」の設置を7月上旬から進めてきた。以降、徐々に地下水位は上昇し、海洋への地下汚染水の流出は止まったようにみえた。しかし、原子力規制委員会・更田豊志委員は、水位が上がりすぎた汚染地下水が遮水壁の上端部を越え、再び海へと溢れ出ている可能性が高いと指摘する。「すでに漏れているという前提で、今の対策では止められないという認識で対応し、地下水のくみ上げを始めるべきだ」と述べた。
最後に東電は、汚染水流出対策工事を実施した2011年5月から今年7月までの間に、20〜40兆ベクレルにものぼるトリチウムが海洋流出していたとの暫定試算を発表。海洋汚染の実態と、対応の難しさ、深刻さが浮き彫りになった。