川根眞也さんを招いて ~放射性物質による食材食品人体への影響 2013.6.23

記事公開日:2013.6.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)

 2013年6月23日(日)10時より、札幌市中央区のワインバーφ(ファイ)において「川根眞也さんを招いて ~放射性物質による食材食品人体への影響」が行われた。川根眞也氏はチェルノブイリでの調査を踏まえ、「子どもの食事の放射性物質は、0ベクレル/キログラムとするべき」と訴えた。

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 はじめに川根眞也氏は、「まだ、原発から放射能は出ているか」と聴衆に問いかけた。そして、「原発事故が起きた年の12月の朝日新聞によれば、3月15日がピークで1千兆ベクレル毎時あった。それからどんどん減っていき、12月には6000万ベクレル毎時。2012年の1月には、6000万から7000万に増えた。そして、2月は1000万ベクレル毎時と、前月の7分の1に減った。なぜかというと、2号機建屋をカーテンでふさいだから。最初からふさげばよかったが、そうすると高い濃度の放射性物質が、建屋に充満するので作業ができない。今でも、2号機建屋の中は73シーベルト毎時。1シーベルト浴びると死に至るような量だから、2号機建屋の中は人間が入ることができない。ロボットが入るしかないが、高い放射線量を浴びると、ロボットも半導体がやられて壊れる。だから、2号機建屋の中は、ロボットの死骸だらけだと思う。とんでもない状況だ」と説明した。

 川根氏は「これから日本で起こることは、ドイツの医師たちがまとめた『チェルノブイリ原発事故がもたらしたこれだけの人体被害』(合同出版2012年刊)という本に書かれている」とし、「たとえば、循環器系疾患、心臓疾患、脳疾患。これらが、チェルノブイリ原発事故が起きた1986年から4年目に爆発的に増えて、罹患者数は10人に1人を超えた。そして、神経疾患も5年目に爆発的に増えて、10人に1人を超えている。消化器系疾患、筋骨格系疾患、精神疾患、すべて5年後から爆発的に増加している。福島は、まだ2年3ヵ月しか経っていない。今後、とんでもないことが起きると思う。したがって、汚染された場所に住民を帰還させてはいけない。日本政府が、避難の基準をきちんと決めないといけない」と話した。

 小若順一氏らが、チェルノブイリ原発から400キロメートルほど離れた地域で食品を調べた結果、「放射性物質は全てND(不検出)だった。検出限界値は、日本のように25ベクレル/キログラム(以下Bq/kg)という検出限界値ではなく、0.01Bq/kg。これがどういうことかというと、食品から数ベクレル検出されれば、全員健康被害があるということ。健康被害にならないところはNDで、0.01Bq/kgも出なかった、ということである。この地域の近くで、食品の放射性物質を数値化できたところを1カ所見つけることができた。そこで生活している父母や子どもたち25人を調べると、72%に健康被害があった。ここの子どもたちが食べている食品を調べると、1.1Bq/kgある。つまり、日常的に食べるものから1Bq/kg検出されれば、健康被害があると思った方がよい」と警告した。

 続けて、トマトケチャップのデータを示した川根氏は、「製造場所は、和歌山県紀の川市だが、5.99Bq/kgある。これはなぜか。トマトの産地が、宮城県の亘理郡である。津波で大変な被害を受けたところだ。農家を復活させるために、政府も宮城県も力を入れ、多くの人が資金援助をしている。しかし、(農作物を作る前に)土地の放射性物質を測るのが先ではないか。茨城県沖でとれたカツオは21Bq/kg、少なく出たものでも1.2Bq/kgだ。こうした状況の中、子どもたちの体の中に、どれぐらいセシウム137が溜まっているのかを、2011年9月26日から12月27日にかけて、南相馬市の総合病院がホールボディカウンターで測った。その結果、体内のセシウムが、10Bq/kgから15Bq/kgの子どもが54人もいた。15Bq/kgから20Bq/kgは17人。10Bq/kgを超えると、ベラルーシでは保養に行く対象である」と述べた。

 子どもの食に関わる提案として、川根氏は「子どもたちの食事は、0Bq/kgにするべきである。また、放射能汚染されていない食材を、学校給食で出すべき。そして、子どもたちの食材を測定するなら、検出限界は最低でも0.1Bq/kgにしないと意味がない。さらに、妊婦や乳幼児が利用できる0Bq/kgのスーパーを作るべきだと思う。特に福島県では、保育園、幼稚園、学校で、0Bq/kgの給食を無償で提供すべきである」と訴えた。さらに、「ベラルーシでは、学校給食に汚染されてない食品を2年間提供した。ベラルーシにできて、なぜ、日本でできないのか」と疑問を呈した。

 最後に川根氏は、「今の状態は、見えない爆撃機が飛んできて、聞こえない空襲警報が鳴っている状態だ。放射性物質は目に見えず、降っているのがわからないからである。だが、放射性物質が今も出ているという話は、すべて、厚生労働省や文部科学省のデータに基づいている。これらは、インターネットで調べようと思わないと見えない。だから、自分たちが意識して放射線のことを調べようとしなければ、見えない、聞こえない状況である」と話し、「しかし、空襲警報は私たちの前で鳴っている。家族を危険からどう守るか、一人ひとりの出番である」と締めくくった。

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