都道328号線計画の住民投票、3日後に迫る 哲学者・國分功一郎氏「50年前の計画が『亡霊』のごとく息づいている」 ~小平市住民投票に関する街宣活動と市民インタビュー 2013.5.23

記事公開日:2013.5.23取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎ)

 「積極的に推進している人はほとんどいない。一度決められた計画が破棄できないというルールが『亡霊』のように、今に息づいている」。高崎経済大学准教授であり哲学者の國分功一郎氏は、こう語った。

 小平都市計画の見直しを求める住民投票日が今週日曜日に迫っている。國分氏は、朝と夕方の一日2回、新小平駅前に立ち、住民投票についての周知活動を行なっている。3・2・8号線都市計画は、1963年に持ち上がった。國分氏はインタビューで、50年前の計画を見直すことなく進めようとしている行政のやり方は、現代日本の民主主義の欠陥を象徴していると批判。週末26日に行われる投票に一票を投じることの重要性を語り、住民投票への参加を呼びかけた。

 2010年、事業主である東京都は、小平市民に向けた説明会を開催。都市計画道路の必要性や利便性をうたう映像を上映した。その後、住民からの質疑応答の場を設けたが、「再質問は禁止」というルールが設けられた。この説明会に居合わせた國分さんは、住民の声を聞かない行政の強制力に無力感を覚えたという。

 「道路はかならずどこかの地域に作られる。よっぽどの話題性がないと、注目を浴びない。これまで、声なき声のまま、行政の決定に屈した人が数えきれないほどいたと思うと、胸が痛む。葬り去られた無念の想いを供養する意味でも、今行動をしている」。國分氏は、説会の後、住民投票の実現を目指す運動と出会い、協力者となった。

 住民投票を実現するには、地方自治体に対し「住民投票条例案」の制定を請求する必要がある。これには、有権者の20分の1の署名が必要だが、「小平都市計画道路に住民の意志を反映させる会」は、定められた1ヶ月という短い期間で目標の倍以上の、7,000筆を超える署名を集めた。そして、これを市議会に提出。過半数を超える市議員から賛同を得たため、住民投票条例案は今年3月に可決された。しかし、直後の4月に再選された小林市長の基、「50%の投票率を満たさなければ開票もしない」という追加の要件が成立。小平市の有権者の半分、約72,000人の市民が投票に行かなければ、この住民投票が無効となるという、ハードルの高い条件が追加されたのである。

 しかし、國分氏は悲観していない。

 小平市の投票率はそもそも低くはないという。国政選挙の場合は60%、都議会選挙でも50%弱の投票率だ。住民投票で求められている50%は、実現不可能な数字ではないのだ。

 「(周知活動を)ここでがんばって(投票率)50%を超えるか、気を抜いて50%を切るか、瀬戸際の状況です」と國分氏は語る。

 実は、一度作られた都市計画は必ず施行しなければならない、という驚くべき法律がある。

 「50年という長い時間をかけて担当者や部局が変わり、事情を詳しく知る責任者ももはや存在しない。非物質的な観念だけが執拗に取り付いて、行政を拘束している。蓋を開けてみると、積極的に工事を推進している人はいないんです」。

 國分氏はその非物質的な観念を『亡霊』と呼ぶ。亡霊に力を与えたのは紛れもなく人間である。それを解体するのも、人間以外にない。2日後に実施される住民投票で投票率を満たし、旧弊を打破する突破口となるのか、小平の住民投票には大きな注目が集まっている。

 もし、開票まで漕ぎ付けた場合、市長は東京都に市民の声を届ける義務がある。しかし、そこに計画見直しの法的な拘束力はない。それに対し、「小平都市計画道路に住民の声を反映させる会」共同代表の水口和恵さんは、「小林市長には、市民参加型の議論の場を設けて欲しいと思っている。もし、それが実らなくても、住民投票の成果は、今後の行政に影響を与えることができるでしょう。住民の意向を無視して工事を着工するやり方は今後、難しくなるはずです」と語った。

 26日の夜、投票結果がでる。50%が満たされれば、翌日27日に、開票作業が始まる予定だ。

■街宣活動「プラカードを持ってただ道路に立つ」

■「國分功一郎氏インタビュー」

■周知活動「ねり歩き 大沼町」

■「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会共同代表 水口和恵さんインタビュー」

  • 日時 2013年5月23日(木)
  • 場所 新小平駅前(東京都小平市)

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「都道328号線計画の住民投票、3日後に迫る 哲学者・國分功一郎氏「50年前の計画が『亡霊』のごとく息づいている」 ~小平市住民投票に関する街宣活動と市民インタビュー」への2件のフィードバック

  1. わたなべ(小平市在住) より:

    住民投票は賛成。

    開票の云々は ‘成立要件’ というルールだから経費を上積みしてまでする必要なし、と思ってます。小平市、貧乏だし。

    道路、賛成です。

    ・・・なので、投票はたぶん行きません。

    で、道路について。多摩地区は南北の縦貫道が未だに酷いと思います。中央線の高架化や小金井街道のアンダーパス、、少しは良くなってきてはいますが。

    道路に反対される方、玉川上水や雑木林を守ろうという方の意見は理解できますし尊重されるべきですが、、緑成会病院が救急診療しなくなっちゃいましたから、府中病院へのアクセスがとても重要だったり、、件の区間を迂回して周辺住宅地内の細い道を猛スピードで走る通勤車や営業車のバカ者の減少だったり、、少なからぬ恩恵があると考えています。

    参考資料として、、

    小平警察署 交通事故発生状況 :警視庁( http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/8/kodaira/koutuu/koutuu.htm

    警視庁の ‘交通事故発生マップ’ ( http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/jikomap/jikomap.htm

    で、 ↓コチラがその画像。府中街道周辺、小平市・小川町や津田町の子供の事故が多いのが分ります。https://www.facebook.com/photo.php?fbid=521130284612375&l=8d2578d883

    都道17号 区間別詳細データ 
    小平市小川東町~国分寺市東恋ヶ窪付近(http://www.ktr.mlit.go.jp/toukoku/09about/jutai_kankyo/jyutai/mobility/tama/bt017-2s.htm )
    国分寺市東恋ヶ窪~小平市小川東町付近
    http://www.ktr.mlit.go.jp/toukoku/09about/jutai_kankyo/jyutai/mobility/tama/bt017-1s.htm

  2. がどがど(元小平市在住) より:

    元小平市在住ですが、50パーセントに満たないと開かないというのは、ひどい話です。小平市在住の家族は、自分で投票所に行けないので、アッシーくんで連れて行く予定です。

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