2020年10月21日(水)、午前10時30分から、東京都千代田区永田町の衆議院第一議員会館にて、「森友事件 キアラ&藤原両事業者への刑事告発受理報告」の記者会見が行われた。
学校法人森友学園が国や大阪府、大阪市の補助金約1億7000万円を騙し取ったとして、前理事長の籠池泰典氏と妻の諄子氏が詐欺罪などの有罪判決を受けた籠池刑事事件では、起訴状で共謀者として名指しされながらも、免罪され、公判では検察側の証人として出廷し、籠池夫妻の有罪証言を行った「キアラ建築研究機関(以下、キアラ)」と藤原工業。この両事業者への刑事告発が大阪地検にて受理された。
会見の冒頭、この刑事告発を行ったグループの代表を務める「森友ごみ問題を考える会」の小泉恵美氏から次のような挨拶があった。
「本件は、『森友ごみ問題を考える会』のほうから呼びかけをして、賛同をいただいた28人の市民の方々に告発人になってもらい、5月25日にキアラと藤原工業両事業者への告発状を提出したものであり、受理がなかなか進まなかったが、8月25日に追加意見書を、本告発について知りうる限りの事実を詳述して提出した結果、このたび、10月15日に正式に受理の連絡を受けた。
この間、安倍政権から菅政権へと変わり、黒川検事長が辞任した。この大きな流れの変化が告発状の受理に大きく関わっていると考えている。国会が始まる前に正式に受理されたということは、検察の中でも心ある方々の努力があったに違いなく、司法の正義を求める私たちにとっては大変な朗報だった」
会見に同席した、森友問題を追及し続けている環境ジャーナリストの青木泰氏は、告発の内容とそのポイントを次のように説明した。
「キアラ&藤原工業問題には、国交省の補助金は『施主が申請しないと補助金として受け取れない』ということがあった。一審の判決では、実際には、キアラと藤原工業の両事業者が手続きを進めながら、利益を得るのは森友学園の籠池さんたちである。だから、有罪なのだという基本骨格だった。
ところが、我々もこの間ずっと調査してきたが、実はキアラは籠池さんと建設費の交渉をしており、当初7億円で済ませるとしていた建設費を15億円に値上げして欲しいということをキアラは主張していた。ただ、お金がないからどうすればいいんだということで、騒音対策などで、国交省の『サスティナブル補助金』を使える。それを合計すれば2億4000万円くらいの補助金が入ってくる。
『それを手当して、なんとか10億円以上にやっていただけないか』そういう交渉をしていた。ところが、キアラは補助金の手続きを読み間違って、実際には、キアラが言っていたとおりの『サスティナブル補助金』が入ってこなかった。そこで籠池さんとの交渉を14億の値段で維持させるためにインチキをした。これが実態だ。
隠された事実は、『キアラが7億円から14億円への値上げを要求した』こと、そして、その後、そのために行った補助金のインチキが5600万円。実際に籠池さんがこのインチキによって増額された金額は2400万円。
つまり、こういう一番大事な話が今まで隠されていて、今回の告発の中に『誰がこのインチキをすることで儲かることになっていたのか?実は、事業者が儲かることになっていた』という事実を突きつけることで、検察が告発を受理するにいたったのだと考える。
現在係争中の籠池刑事裁判の中では、キアラと藤原工業が検察側の証人で、その証言が有罪の大きな根拠となっている。籠池さんたちに指示されてこのインチキを進めたということが大きな証言になっている。このたびの告発受理はそれが崩されていく大きなきっかけになると思う。赤木さん(文書改竄を苦に自殺した財務省近畿財務局の赤木俊夫さん)の問題も含め、このたびの受理により、森友問題の全面的な解決への一歩が切り開かれたと考えている」
今後の大阪地検の動き、そして菅政権の対応に注視していきたい。