【特別寄稿】佐川宣寿・元国税庁長官らは不起訴なのに!森友学園籠池泰典前理事長に実刑判決5年は最初から決まっていた!? 事実に反する論告求刑の「弁済されていない約1億2000万円」と検事も認めた国策捜査!前編 2020.3.20

記事公開日:2020.3.20 テキスト動画
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(取材・文:写真家 佐々木芳郎)

 学校法人森友学園が小学校建設をめぐり、国や大阪府、大阪市から補助金をだまし取ったとして籠池夫妻が詐欺罪に問われた裁判で、大阪地裁は2月19日、森友学園前理事長の籠池泰典氏に懲役5年の実刑判決、妻の諄子氏に懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡した。

▲「瑞穂の國記念小學院」

 折しも、佐川氏の部下で、近畿財務局につとめ、2018年3月7日に自ら命を絶った赤木俊夫氏のご遺族が、佐川氏と国を相手取って損害賠償請求を求める訴訟を起こした。同時に代理人弁護士が会見し、赤木氏の直筆の手記が公開された。そこには「すべて、佐川理財局長の指示です」と記されていた。

 赤木氏の手記には「刑事罰、懲戒処分を受けるべき者」という項目には、「佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産管理室長ほか幹部 担当窓口の杉田補佐(悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)」と書かれているが、指摘された6人のうち、佐川氏は2017年7月、国税庁長官に、当時の理財局次長(中尾睦氏)は2019年7月、横浜税関長に、中村(稔)総務課長は2019年8月、駐英公使に、企画課長(冨安泰一郎氏)は内閣官房内閣参事官に、田村(嘉啓)国有財産管理室長は2017年7月、福岡財務支局理財部長に、それぞれ栄転している。

 この6人に対する財務省の処分はそれぞれ、佐川氏が「停職・3カ月相当(すでに退職、懲戒相当)」、中尾氏が「戒告」、中村氏が「停職・1カ月」、冨安氏が「減給20%・3カ月」、田村氏が「減給20%・2カ月」の懲戒処分。また、杉田氏は「口頭厳重注意」の戒告という、軽い処分だった。

 その一方、大阪地検特捜部は、2018年5月、国有地売却をめぐる決裁書改竄について告発された、佐川宣寿・前国税庁長官や財務省の職員38人全員を不起訴処分にした。

▲参議院で国会証人喚問での佐川宣寿前国税庁長官(当時、参議院インターネット審議中継より)

 赤木氏の手記が事実であれば、佐川氏も財務省幹部も許されない。彼らこそが裁かれるべき犯罪者である。そして、彼らを不起訴処分とした検察も許されない。何よりも彼ら忖度官僚に司法と行政を歪めさせ、違法行為をやらせ、良心ある職員の赤木さんを自殺に追いやった責任は安倍晋三総理大臣と、その妻であり、事件に深くかかわった昭恵夫人にある!

 籠池夫妻に対する19日の判決に対し、大阪府在住で森友問題の取材を続けている写真家・佐々木芳郎氏から、IWJに寄稿があった。以下にその前編を掲載する。

記事目次

  • 判決公判直前に籠池夫妻が記者会見「検察の求刑理由には誤りがある」!
  • 8億円値引きの謎が解明されないままに裁かれた、5600万円と1億2000万円の補助金不正受給疑惑
  • 籠池氏自身が大阪府・大阪市からの補助金不正受給を認めている
  • 「詐欺罪が適用される余地はない」と郷原信郎弁護士も指摘!
  • 大阪地検特捜部が「詐欺罪」にこだわった理由は安倍総理がテレビで「籠池さんは詐欺を働く人間」と発言したから!?

判決公判直前に籠池夫妻が記者会見「検察の求刑理由には誤りがある」!

 学校法人森友学園の補助金不正事件で、国の補助金など計約1億7000万円をだまし取ったとする「詐欺、詐欺未遂罪」などに問われた森友学園前理事長籠池泰典(本名:康博)被告(67)と妻諄子(本名:真美)被告(63)の裁判の判決が2月19日、大阪地方裁判所の野口卓志裁判長から下された。泰典氏は懲役5年の実刑判決、諄子夫人は懲役3年執行猶予5年。

▲判決前日に東京で緊急記者会見を開いた籠池夫妻(2020年2月18日、IWJ撮影)

 この裁判は、昨年10月30日の論告求刑公判において、検察側は両被告にいずれも懲役7年を求刑し結審していた。ところが判決が20日後に差し迫った1月29日、弁護側は「弁論再開の申し立て及び証拠取り調べ請求書」を大阪地方裁判所に提出。2月10日大阪地方裁判所の記者クラブにて、籠池夫妻が主催で緊急記者会見を行なった。

 すでに審理が終了している裁判に、弁護再開請求を行うのは異例のことだ。その内容は、検察の犯罪事実についての事実誤認ではなく、犯罪後の被害弁償的な情状に有利な事情の証拠であった。

 「証拠」の内容は、補助金弁済についてであった。検察側は両被告に求刑7年とした理由の中で「国からの補助金は返還されているが、大阪府・大阪市の地方自治体からの補助金が全く弁済されていない」と述べていたが、実際には大阪府に対しては一部、大阪市に対しては全額が弁済されていたのである。つまり裁判所に対して、検察の指摘には誤りがあるので充分に考慮の上で判決を下してほしいと、判決を下す前にアピールしたのだ。

(…会員ページにつづく)

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