第2次安倍政権発足に伴い、27日(木)午前10時から農水省で、林芳正農林水産大臣の就任会見が行われた。就任した林大臣はTPP交渉について、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉に参加することは難しい」と語り、自民党の政権公約の内容に準じて対応していく考えを示した。
(佐々木隼也)
特集 TPP問題
第2次安倍政権発足に伴い、27日(木)午前10時から農水省で、林芳正農林水産大臣の就任会見が行われた。就任した林大臣はTPP交渉について、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉に参加することは難しい」と語り、自民党の政権公約の内容に準じて対応していく考えを示した。
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質疑では、TPP交渉参加に関する質問が続いた。林大臣は、「政権公約の『聖域なき関税撤廃』に反対という部分ばかりクローズアップされがちだが、他にも、かなり色んな事を書いている」と、ISD条項など、「関税撤廃」以外の懸念点への対応にも含みを持たせた。(※)さらに、民主党政権時代の情報開示のあり方を批判し、「いつまでに交渉参加の是非を決めるかよりも、情報開示をきちんとして、中身のある議論をしていく」と語った。
「『聖域』とは何なのか? 農林分野をさすのか? 何が守られれば交渉参加するのか?」という読売新聞の質問に対し、新大臣は「この段階からすでに交渉は始まっているから」と、その具体的な品目については明言を避けた。また、「自民党政権になり、日米同盟の強化が重要課題だが、その観点からTPPをどう考えるか?」という日経新聞の質問には、「安全保障上、日米同盟が最も大事だが、それとTPPは直接関係ないと思っている。TPPは経済関係の問題であり、安全保障とは分野が違う」と回答。TPP交渉参加を強く働きかけている米国の影響とは、切り離して対応する考えを強調した。
最後に、「メキシコ・カナダが加わった11カ国での新たな試算を、農水省は、前政権の意向でお蔵入りにした。これを開示できないか?」との日本農業新聞の質問に対して、新大臣は「事務方からしっかり説明を受けて対処したい」と回答した。
(※)「自民党選挙公約(案)」(平成24年11月21日)の「109 自由貿易への取り組み」では、TPPについて、以下のような踏み込んだ内容が明記されている。
1.自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
2.国民皆保険制度を守る。
3.食の安全安心の基準を守る。
4.国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
5.政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。