IWJガイド挨拶文で何度かご登場いただき、在宅でweb編集のお手伝いをしてくださっている川野茜さんより、「お米」に関するご寄稿をいただきました。
川野さんは、自然農を学ぶため、田んぼを借りて、ご自身で、稲からお米をお作りになっています。また、色々な野菜も自家栽培していて、最近では、モロヘイヤやゴーヤの種をまき、成長過程のレポートをしてくださいました。
この度いただいたレポートには、土鍋でお米を美味しく炊く方法をご紹介いただきました。また、「土鍋で炊く」となると、一見難しそうな気もしますが、川野さんがお教えくださった炊き方は、非常に簡単な方法です。ご寄稿を拝見した私も、思わず土鍋を購入したいと思いました!!(すこやか編集部)
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執筆者:川野 茜
読者のみなさまこんにちはー。IWJでWeb編集のお手伝いをしています、川野といいます。一年前に東京から福岡の田舎へ移り住み、自給のための畑や田んぼをつくるかたわら、在宅でお仕事させてもらっています。古民家シェアハウスに同世代の子たちと7人暮らし。ときたま日刊ガイドの挨拶文を書かせてもらうのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて松井さんの麹の記事、Kinariさんの梅の記事、ともに共感しながら読ませていただきました。どちらもふるくからつたわる暮らしの知恵、日本人のからだを支えてきた食べものについてのお話。
【寄稿第1弾】麹(こうじ)をほめる ~麹ともの会会長 松井なつ代さん
今年はご近所さんがたくさん梅をとらせてくれたので、Kinariさんの記事にも出てくる梅肉エキス、わたしもシェアメイトたちと作ってみたところです。梅を摩り下ろして延々煮詰めて、手間はものすごくかかるものの…、あれ、凄いです。本当に。
風邪をひきそうなとき、なんとなく食欲がでないとき、小指の爪の先ほど舐めるだけでぴしっと目が覚め、お腹の調子が良くなります。お時間があれば手作りされるのがベストですが、難しい方も自然食品店などで手に入りますのでぜひご参考に。
さあ味噌や醤油をはじめとした麹、日本のソウルフード・梅とくればもうこれしかありません。
今回のお題は、お米です。
いまの同居人たちに話すと「嘘やろ!」と言われますが、わたしは小さいころから、家での食事に対するモチベーションが非常に薄い子どもでした。
おなかがすけばごはんが食べたいとは思うのですが、空腹さえおさまればすぐ箸が止まってしまう。おいしい、もっとたくさん食べたい、という前のめりな感情はよほどの好物でなければ持てませんでした。そんなわたしを見て心配し、叱っては無理に食べさせようとする母。今思うとそれも食事を楽しめない理由のひとつだったのでしょう。
でも一番の原因が何だったのか、それに気づいたのは福岡の炊飯器のない家に引っ越して、毎日土鍋でご飯を炊くようになってからでした。
わたしの実家は炊飯器しかなく、とくに共働きで慌ただしかった時期は一度に大量に炊いたお米をラップに包んで冷凍し、レンジで解凍して食べる、ということが多かったのです。
それでもレトルトや冷凍食品に頼らず、おかずもきちんと作り置きしてくれた母には心から感謝しています。ただ、電子レンジで温めたおかずやお米は味が抜け、特にお米には冷凍庫やラップのにおいがついてしまうもの。
わたしがなんとなく家のごはんを好きになれなかったのは、母には申し訳ないけれど「お米がおいしくなかったから」だと今は思っています。炊きたてで握ってもらったおにぎりなどは喜んで食べていたものの、レンジでチンしたいつもの白米といえば「おかずの味でごまかして流し込むもの」という部分がありました。主食であるお米になんて失礼な態度だったんでしょう。
土鍋でご飯を炊くようになった今のわたしはかなり食欲旺盛で、食事をするのが大好きです。シェアメイトたちも本当によく食べます。お米や水自体が都会より質がいいのもありますが、とにかく土鍋のふっくらとしたご飯のおいしさといったら!「もう炊飯器生活には戻れないね」とみんな口々に言います。
ご飯自体が美味しく感じる、それはお米の栄養素をあますところなく調理できているということ。
健康は一日一日の積み重ねの結果です。毎日食べるお米をいちばんいい状態で頂く、これがすこやかでいるための基盤になっていくと思うのです。
土鍋でごはんをたく、というと「時間がかかって面倒そう」「火加減が難しくて大変そう」というのが先にきてしまいますよね。でも実はそんなことはないのです。さっそくうち流のレシピを。
1. お米を土鍋にいれて水洗いします。
研ぎ始めの最初に使うお水は特によくお米に染みるので、できれば美味しいお水を。
2. ざっと水を切って、土鍋に水をはります。
このとき入れるお水はお米と同量で。2合なら360ccです。
3. 土鍋を中火~強火にかけ、沸騰してくるまで放置。
10分くらいです。
4. グツグツと音がしてきたら、少し火を弱めてまた放置。
15分ほど。
5. ほんのり香ばしい香りがしてきたら火を止め、さらに放置。
蒸らしタイム、10分くらいでしょうか。
6. 完成!
しっかり底まで混ぜて召し上がれ◎
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どうでしょう。都合35分!非常にアバウトなのはわたしの性格もありますが、案外「几帳面にやらなくてもなんとかなっちゃう」ものだからです。微妙な水加減は季節やお米の状態によっても変わってきますが、あとは何度か試してご自分の好みの硬さを見つけてくださいね。
*1)土鍋はご飯用の二重蓋のものがあればベストですが、家にあるのなら平たい鍋料理用のものでも炊けます。新しく買われる場合、2000円くらいから売っています。一人暮らしの方は1.5合などの小さいものが便利。
*2)はじめチョロチョロ中ぱっぱ、という言葉がありますがおそらくあれは鉄の羽釜のお話。土鍋は厚底なので最初から強めに攻めて大丈夫です。
*3)慣れないうちは沸騰したかどうか蓋をずらして確認してもいいのです。赤子泣いても蓋とるな、ということは途中であけたら一巻の終わり…!と思っている方、ちゃんと炊けますのでご安心を。
*4)玄米の場合はできれば一晩水につけ、ひとつまみのお塩と一緒に多めのお水で炊いてください。お水がなくなった頃味見して固ければ差し水して少し加熱時間をのばせばOK。
では改めて土鍋でごはんをたくメリットをまとめてみます。
最近実家の炊飯器が「遠赤効果でおいしく炊ける」という最新式のやつに変わっていたのですが、わたしは炊きたてでもやはり土鍋には叶わないなあと思いました。
電気ではなく火で炊くごはんはもちもちふっくらとして香りよく、土鍋の厚みで火を消してからもじんわり火が通るのでお米の甘みが強く出ます。おこげも美味◎
土鍋は余分な蒸気を吸ってくれるので、炊きあがりにしっかり混ぜておけばあとは冷めても炊飯器のようにべたつきません。おひつのかわりになってくれるということですね。1~2日はそのままでおいしく頂けますし、温めたいときは小さな蒸し器を使えばレンジ加熱よりもはるかにいい状態で食べられます。
お米の量にもよりますがうちの場合都合35~40分。平均的な炊飯器の炊きあがりが45分~50分だそうですから、実は炊飯器よりも短くてすみます。火加減の調整も1回。おかずの準備のあいだに炊けちゃいます。
上記で述べたとおり土鍋の吸湿力により少しくらいお水を入れすぎてしまったなんてときでも大惨事にはなりません。水が少なすぎた場合も、後からお水を足してカバーがききます。
唯一デメリットがあるとすれば、炊飯器のような「予約」機能がないことくらいでしょうか。朝起きて15分で出るからすぐ食べたい!というような場合には向きませんので、上手に炊飯器と使い分けるのがよさそうです。もっとも、朝ごはんを炊いているあいだ他に家事などやることのあるお母さんたちにとって40分なんてあっという間かもしれませんね。
食べることは、生きることに直結する行為。
今日何を、だれと、どんな気持ちで食べたか。それが明日以降のわたしたちの体をつくります。
おいしい習慣を無理なく楽しんで続けていくこと。すこやかとは、その先にしか得られないものなのだと思います。
次回以降も、季節や体の状態に応じた食材の使い分け、野菜だけでガッツリ満足感を得られるレシピ、ヘルシーで簡単な手作りおやつ、家庭菜園のノウハウなど、わたしが知っているなかで健康であるためにシェアできることを少しずつお伝えしていきたいと思います。
それではまた!
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川野さん、この度はご寄稿いただきまして、誠にありがとうございました!!