民主党 野田佳彦代表 街頭演説(東京2区) 2012.12.4

記事公開日:2012.12.4取材地: テキスト動画
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特集 TPP問題

 2012年12月4日(火)、東京都台東区のJR上野駅広小路口前で、東京2区から出馬する民主党 中山義活候補の応援に駆けつけた野田佳彦代表が演説した。

■全編動画

  • 日時 2012年12月4日(火)
  • 場所 JR上野駅広小路口前(東京都台東区)

【以下、テキスト班による文字起こし】

 いよいよ今日から、日本の進路を決める、衆議院議員の選挙がスタートしました。今回の総選挙は、2013年以降の日本を、政権交代以前、到底出来なかった改革、前に進めていくのか。それとも時計の針を元に戻して、政治を後戻りさせるのか。それが問われる戦いです。この東京2区においては、政治を前に進めるために元気いっぱい頑張っている、民主党が自信を持って公認した中山よしかつさんへの御支援、心からお願い申し上げます。

 私たちは、去年の9月2日から、野田内閣としてスタートしました。震災からの復旧・復興、原発事故との戦い、日本経済の再生、大変大きな課題ばかり。真正面から立ち向かってまいりました。ぶれずに、逃げずに決断をしてまいりました。政権交代以降、3年がたちますが、ただし莫大な借金の山、少子高齢化への無策、歴代政権が先送りをしてきたがゆえに、負の遺産もいっぱいたまっていました。まだ改革は、残念ながら道半ばです。その改革を前に進めるか、後戻りするかが、今回の総選挙です。

 皆さん、社会保障の分野、政権交代の前と後では、その風景はまったく変わりました。安倍政権のときに、消えた年金記録の問題が明らかになりました。皆さんが、こつこつ納めていたはずの保険料が、記録されていない。もらえる人がもらえない。そういう事態が発生していた。消えた記録は5000万件。我々は、国家プロジェクトとして、探してまいりました。2860万件見つかりました。1300万人分です。1兆7000億円です。我々が気づき、探さなかったら、1300万人、1兆7000億円、80歳になっても90歳になっても、保険料を納めてきたのに、年金がもらえないという事態が、ここ日本で起こっていたのです。年金行政の信頼回復という意味においては、社会保障、政権交代の前と後では、まったく違うと思いませんか、皆さん。

 2つ目は医療です。小泉政権のときに、社会保障費を毎年2200億円削ることを決めました。今の制度を維持しているだけでも、社会保障は、自然増で1兆円増えるんです。高齢化が進んでいる分、毎年毎年
1兆円かさんでいく。1兆円は、1万円札を平積みしていくと、高さ1万メートルです。1万円札は、1グラム。1兆円分全部あわせると、100トンになります。毎日1億円づつ、宝くじが当たっても、1年間で365億円。1兆円貯めるには、30年間宝くじが当たらなければ駄目なんです。そんな、それだけの社会保障がかさんでいく中で、2200億円も削ればどうなるか。この上野の周辺もそうだったと思います。医療崩壊、たらいまわし、介護難民、そんな言葉が数年前まで飛び交っておりました。我々が政権をお預かりし、10年ぶりに診療報酬の改定を行い、プラスの改定を行いました。手薄になってきていた産科、小児科、外科、救急医療、勤務医の待遇、こういうものを変えることによって、国民の命を守る医療の建て直しを行ってまいりました。医療崩壊にも歯止めをかけてまいりました。

 政権交代の前と後で、決定的に違うのは、子育ての支援です。これまでは、あまりにも日本の子育て支援は、世界に比べて見劣りをしておりました。政権交代以降、子ども手当ては、月額2万6000円には届きませんでしたけれども、これまで小学6年生までの手当てを中学3年生まで拡充し、子どもに対する手当ては、政権交代前の1兆円から、今2兆3000億円へと、2.3倍に増えています。さらには、高校生の授業料の無償化も実現しました。政権交代以前、特に小泉さん、安倍さんのとき、リーマンショックの前ですから、ご記憶だと思いますが、アメリカの住宅バブルもあった。新興国の成長もあって、日本の経済は成長していました。企業も収益をどんどん上げていました。でも、みんなの暮らしはよくなりませんでした。なぜか?賃金が下がり続けていたからです。賃金が下がり続け、雇用形態も危ういものが多くなり、その結果、日本の格差が拡大していました。新しい貧困層も増えておりました。お父さんが仕事がなくなってしまった。お母さんが働けなくなった。

 その結果どうなったのか?高等学校を中退する生徒がたくさん増えていたのです。政治家の世襲も問題です。でも、もっと問題なのは、この日本で、貧困の世襲が起こっていたのです。これを変えようと、高校授業料の無償化を行いました。この日本は、教育は機会均等の国を目指していたはず。どんな家庭に生まれようと、学べる意欲があるならば、学べる日本を作ろうというのが、日本の○○○だったはず。それがつぶれていたのです。高校授業料の無償化によって、今経済的理由によって、中途で退学する生徒の数は半減しました。復学する生徒が増えてまいりました。効果てきめんでした。我々は、こういう政策を、さらにさらに、前へ前へ進めていきたいんです。

 社会保障、どなたでも人生のどこかで、そのサービスを受けなければなりません。子どもを産み、育てるとき、仕事に就いたはいいけれども、職をなくすときもある。事故にあう。怪我にあう。病気をするときもある。人のさだめとして、年老いていく。そのときに、必ず出番があるのが、社会保障です。でも、それは誰かが負担をしなければなりません。今までは、現役世代が中心でした。国民皆年金、国民皆保険、世界に○○○素晴らしい制度です。でも、その根幹は、人口の構成が変わることによって、変容してきています。

 半世紀前に作られたこの制度、その頃は、多くの若い人たちが、1人のお年寄りを支えていました。野球の胴上げのシーンと同じです。支える人がいっぱいいた。支えられる人は少なかった。だからよかったんです。今は違います。支える人が減ってきました。1人のお年寄りを今3人の人で支えている。運動会でいう騎馬戦です。これでもつのならまだいい。まもなく、支える人が1人、支えられる人が1人、肩車の社会になるのです。肩車の下になる人は大変です。だから、我々は社会保障の改革で、人生前半の社会保障を後押しをしようとしているのです。

 人生前半の社会保障、子育ての支援や、教育の支援や、若者の就労支援です。それをやらないと、この日本はもちません。医療・年金・介護、とても大事です。でも、重要な柱として、人生前半の社会保障も手厚くしていかなければ、持続可能性がありません。これまでは、ご負担は現役世代中心でした。今ではそれでも足りないから、子どもや孫たちのポケットに手を突っ込んで、そのお金を借りて社会保障をまかなっています。

 この日本で、一番の弱者は誰でしょうか? 将来世代です。これから生まれてくる人ほど、ハンデを負っていく国に、その国に未来があるでしょうか? 社会保障を持続可能なものにするには、将来の世代にツケの付き回しをさせるのではなくて、誰もが必要とするサービスです。だから、みんなで支えあい、分かち合おうというのが一体改革の趣旨です。是非皆さまにご理解いただいて、国民の皆様にご負担をお願いすることにはなります。でも、それはすべて社会保障に還元され、年金・医療・介護、揺るぎのない安心のものにしていく。そして、子育て支援や教育支援をさらに推進をする。こういう改革の道を、前に進めさせていただきたい。

 国民の皆様に、ご負担をお願いすることを、選挙で言えば不利になる。誰も思っている。誰もやりたくありません。でも、この大事なことを、景気の良いときに、経済が成長しているときに、自民党は決断しませんでした。これ以上先送りに出来ません。我々は、どの政党よりも次の世代を考えている政党です。だからこそ、社会保障改革を前に進めさせてください。その為にも、中山よしかつさんへの御支援を心からよろしくお願いします。

 2つ目は経済です。私たちが、政権をお預かりしたとき、リーマンショックの後でした。税収が9兆円も落ち込んでしまっている。その中でも、中山さんをはじめ、同志が知恵を出して、4四半期プラス成長を実現しました。大震災の後も、景気は冷え込みました。それでもみんなで知恵を出して、借金を作らずに、4四半期プラス成長を実現しました。足元の経済が厳しい情勢です。切れ目のない経済対策が大事です。今デフレの中、何が必要なのか。

 デフレの原因は、供給に比べて需要が足りないんです。ということは、需要を掘り起こす成長分野はどこなのか? そこに知恵を使って、そしてそこに雇用を作り出していくというのが、あるべき経済対策です。1つ目は、グリーンエネルギー。2つ目は、医療・介護・健康の分野。3つ目は、農林漁業。そして4点目は、中山さんが一番力を入れてきた中小企業です。こういう成長の可能性のある分野を、いよいよ掘り起こし、結果として雇用につなげていかなければなりません。

 政権交代の前、比較的景気がよかったとき、いざなぎ景気を超えた戦後最長の景気といわれていました。企業の収益は上がり続けていました。でも、働いている皆さんの、雇用者の報酬は下がり続けて、格差は拡大したじゃありませんか。新しい貧困が生まれたじゃあありませんか。成長は何のためにあるんですか? 国民の生活を豊かにするためなんです。物価だけ上げて、インフレにしたって、見せ掛けの成長じゃ駄目です。賃金が上がらなかったら、物価が上がれば、生活が苦しくなるのは当たり前じゃありませんか。結果として、雇用を作らなければなりません。我々は若い人、女性も含めて、400万人の雇用を作ろうとしています。現実に、麻生政権の時の完全失業率は5.4%でした。今、我々の政権のもとで、完全失業率は4.2%。1.2%改善しています。有効求人倍率も2倍になりました。成長させると共に、雇用を作らなかったら、賃金を上げなかったら、国民のための経済成長ではありません。ここは間違ってはいけないんです。

 日銀の輪転機をいっぱいまわして、お金をいっぱい刷れば景気はよくなるんですか? そんな簡単なものじゃありません。お金がいっぱいふったって、景気はよくなりません。お金が回らなければ、お金が動かなければ、景気はよくならないんです。だからこそ、成長分野を探していく。その知恵が必要です。その知恵を持っているのが、経産大臣政務官も務めた中山よしかつさんです。特に、中小企業の分野は、彼が先導してきました。バブル崩壊後、自民党政権の中で、中小企業の関連予算は毎年毎年、減らされ続けてきました。20年も続いたんです。政権交代前に比べて、中小企業関連予算を2倍にしたのは、私の隣の中山よしかつさんです。是非、みなさん、事実を知って下さい。事実を知った上で、応援をしていただきたいと思います。

 3点目は、エネルギーです。昨年の福島における事故を受けて、国民の皆さまの思いは、変わったと思います。すなわち、将来は原発を稼働しない世界を作って欲しい。ゼロにしなければいけない。これが、国民の覚悟だと受け止めています。私たちは、2030年代に原発稼働ゼロを目指す。このために、あらゆる政策資源を総動員するという大きな方針を閣議決定しました。大きな目標があるから、再生可能エネルギー導入に向けての努力を、決断しながら進めていくことが出来ます。省エネ社会に向けての努力を前に進めていくことが出来るんです。自民党のように、これから10年間立ち止まって考えるということで、再生可能エネルギーの普及や省エネの徹底が出来ますか?できません。これまで、50発を超える原発を日本中に作り、その政策を推進してきた政党は、結局は、続原発。惰性でエネルギー政策を変えないと私は思います。すぐにゼロにするという政党もいます。

 それは、実現困難だと思います。震災の前までは、原発稼働3割依存していたんです。30%依存していて、一気にゼロにして、日本の経済がもつでしょうか。国民生活に悪影響が出ないといえるんでしょうか。私たちは、2030年代にゼロを目指す。この方針は、ぶれずに、曲げずに堅持をしていきます。着実にゼロを目指して、現実的な政策を推進していきたいと思います。そのためにも、この東京2区では、中山よしかつさんへのご支援を心からお願い申し上げます。

 4点目は、外交政策であります。日本は、平和国家として歩んでまいりました。この歩みに、間違いはありません。これからも堅持しなければなりません。確かに、領土領海の問題、主権の問題が出てきています。私は、450日間にわたり、日本の総理大臣を務めてまいりました。厳しい国際会議、厳しい主導外交をやってまいりました。トップの大事な姿勢は、なんといっても○○○です。主権は、堂々と毅然として主張をする。国益を守らない????国民のためには一歩も下がらない覚悟が必要です。

 もう1つ大事な要素は、大局観を忘れない。冷静さをもっている。常に現実性を考えるという姿勢です。私は、この外交・安全保障政策を続けたいんです。残念ながら今、力強い言葉を言えばいいような風潮があるような気がしてなりません。時計の針を昔に戻すのもいいけども、戦前まで戻すような、ずいぶん復古調な議論も出てまいりました。外交安全保障は、冒険主義は駄目です。排外主義は駄目です。そこは、一線を画していかなければなりません。

 衆議院を解散をし、我々は政治空白を作ってはならないと思っています。北朝鮮が、また、人工衛星と称するミサイルを発射しようとしています。解散はしたけれども、でも、安全保障に空白はつくれません。国民を守るために、この国を守るために、危機管理は、万全を期していくことを皆さまにお誓いを申し上げたいと思います。外交で大きく変わったのは、経済外交です。中山さんも凄く頑張った。だから、爆撃型インフラ輸出????ずいぶん進みました。狭い国内の需要だけではなく、世界の需要を取り込み、世界と成長を共にしていく。

 こういう日本を○○○国家でなくてはならないんです。政権交代前に、日本の貿易量のEPAやFTAのカバー率はわずか16%でした。韓国は33%。韓国の周回遅れでした。でも、日本とEUのEPAの交渉がスタートすることになりました。これによって、全貿易の3割をカバーできます。日中韓もスタートします。全貿易の5割をカバーできます。そして、ASEANを巻き込んだEPAもスタートすれば、6割をカバーします。種を蒔いてきました。TPPについては、いろんな議論があります。国益を守り、守るべきものを守りながら、判断をしたいと思います。これは、○○○な決断を政府はしなければなりません。このように、経済外交を進めていくためにも、民主党にお力を貸していただきたいのです。特に経産省で仕事をしてきた、経済外交の最前線に立っていた中山よしかつさんは、是非必要です。

 そして、最後は政治改革です。先般の党首討論で、私は定数削減の問題を安倍さんに迫りました。公明党の山口さんに迫りました。我々のマニフェストには、3年前、衆議院の比例は、80削減と書いてあったんです。どの政党も、定数削減は書いてありました。私たちのマニフェストで、実現できないことが出てきてまいりました。財源の問題であります。例えば、高速道路の無料化は、復興財源を優先するからあきらめます。こういうことがあるから全ては実現できていません。でも、定数削減は、新たにお金を必要とするものではありません。

 政党の覚悟と、政治家の覚悟が問われました。でも、党利党略で、どの党も重い腰を上げてくれませんでした。17回も議論をしたのに、結論が出ませんでした。ラストチャンスだと思い、安倍さんにぶつけ、山口さんにぶつけました。さすがに、テレビ中継がある党首討論。国民が見てる前では、約束をしてくれました。でも、我々民主党の勢力がそがれてしまえば、定数削減を本当に協力してくれるかどうかはわかりません。脱世襲政治を推進すると共に、定数削減などの政治改革も是非、前に進めさせていただきたいのです。是非皆さまのお力が必要です。

 今回は、まさに日本の政治、国論を二分するようなテーマを、揺るぎない信念で、民主党と共に、政治を前に進めていくのか、社会保障・経済・エネルギー・外交・政治改革を中山さんと共に、前に進めていけることが出来るのか、時計の針を後ろに戻してしまうのか。理念や方向性も、合従連衡を急いでやったからよく分からない、第3極にこの国の未来をゆだねてしまうのか。それが問われる戦いであります。どうか皆さん、民主党と共に、そしてこの2区は、中山さんと共に、政治を前に進めていこうではありませんか。皆様の御支援を心から、心からお願いを申し上げて、民主党代表野田佳彦のお訴えとさせていただきます。どうもありがとうございました。

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