2018年6月6日、自民党の選挙制度関連部会の合同会議で、小泉進次郎・筆頭副幹事長は森友学園・加計学園をめぐる問題について「やっぱりおかしいんじゃないか。それなら、国会に特別委員会を立ち上げていただきたい」と述べたと、毎日新聞が伝えている。
▲2017年10月22日に投開票が行われた総選挙で、安倍晋三総理のお膝元・山口4区で第一声を上げた昭恵夫人
財務省は5月23日、衆院予算委員会の理事懇談会に、2017年の国会で佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(当時)が廃棄したと説明していた、森友学園への国有地払い下げをめぐる学園側との交渉記録約900ページ、決裁文書約3000ページ、メモ約30ページを提出した。
しかし、提出された文書からは安倍晋三総理夫人・昭恵氏の名が初めて登場し、ターニングポイントとなったとされる「2014年4月28日」の交渉記録が抜け落ちていた。
交渉打ち切り寸前から一転、「森友学園の希望に添う方向」
2014年4月25日、小学校の建設予定地で、安倍晋三総理夫人・昭恵氏が籠池理事長夫妻と並んだ写真が撮影され、昭恵氏は「いい土地だから前に進めてください」という言葉を口にした。写真と昭恵氏の言葉、このふたつの強力な「武器」を得た森友学園の籠池泰典理事長(当時)は、その3日後の4月28日に近畿財務局との面談に臨んだ。
▲2018年5月25日、大阪市北区の大阪弁護士会館で、保釈後の記者会見に臨む森友学園の前理事長・籠池泰典氏と妻・諄子氏
4月28日前後の交渉記録を見てみよう。4月15日に籠池理事長らと面談した財務省近畿理財局の担当官は、「国の対応の非難及び自己の主張の妥当性を一方的に述べるのみであり、今後も、当方指示に真摯に対応することは期待し難いという印象」と、籠池氏と面会した時の心象を交渉記録に書き記している。
さらに、近畿理財局は4月18日、小学校設置認可の権限がある大阪府との応談でも、「国としては、現状で処分等相手型決定手続きの審査を保留している状況であるが、いつまでも判断を保留できるものではない」として、森友学園側に「三下り半」をつきつける一歩手前という状況にあった。
しかし、4月28日に、籠池理事長から昭恵氏の写真と言葉を突きつけられた近畿財務局は、おそらく財務省本省に指示を仰いだことだろう。この日をはさんだ5月22日の交渉記録では、「現在、森友学園の希望に添う方向にて、承諾書の書式等について豊中市と協議を行っているところ」と、すっかり風向きが変わってしまった。
2014年4月28日の交渉記録、近畿財務局職員「つくった記憶がある」
財務省が森友関連文書を衆院予算委に提出した2018年5月23日夕刻、衆院本館で開かれた森友問題の野党合同ヒアリングで、日本共産党の辰巳孝太郎参院議員が財務省に迫った。
▲2018年5月23日、野党合同ヒアリングで財務省に迫る日本共産党の辰巳孝太郎参院議員
「(籠池理事長に)三下り半を下そうとしていた近畿財務局のメモに、ここ(2014年4月28日)で初めて安倍昭恵さんの名前が出てきます。非常に重要なやり取りでありながら、900ページ以上の交渉記録を出していただいたが、この日の交渉記録がない。これはどういうことですか?」
それに対して、財務省の富山一成理財局次長は「ここにあるものがすべてでございます」と答えている。
ところが、ここにきて、さらに新たな事実が発覚した。