「H27.1.9 当局が学校法人を訪問し、国の賃貸料の概算額を伝える」――。
財務省が新たに公表した内部文書にはこのように、近畿財務局から学校法人「森友学園」へ、国有地の賃貸料の概算額を伝えたという記録がはっきり記されていた。この文書により、佐川宣寿(のぶひさ)・前財務省理財局長(現・国税庁長官)が昨年、国会でおこなった答弁は「虚偽答弁」にあたるという指摘が野党などからなされている。
▲財務省が新たに公表した法律相談書 「貸付料の概算額を伝える」との記述が見られる(下線IWJ)
2018年2月14日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館において、森友学園問題に関する民進党と希望の党による合同ヒアリングが開催され、既に公表済みの5件の内部文書以外に、財務省が2月9日新たに公表した内部文書20件について、財務省担当者からの聞き取りが行われた。
- 財務省が新たに公表した「森友学園事案についての法律相談の文書」について
- 1月29日の会議において関係省庁に求めた件に対する回答
- 日時 2018年2月14日(水) 10:45~
- 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)
「国の貸付料の概算額を伝える」「土壌汚染対策費の言い値での支払いや貸付料の減額要請があった」――佐川氏の国会答弁との矛盾が明らかに!
財務省が新たに公表したのは、近畿財務局が森友学園と国有地の賃貸借契約に関する交渉を行っていた2013年8月~15年4月に、法的リスクに関する質問やその回答、交渉の経緯などをまとめた「法律相談文書」20件で、合計300ページを超える。
この中には、森友学園に貸付料の概算額を伝えたことや、土壌汚染を理由に森友学園から貸付料の値引きを要求された経緯がまとめられた文書が含まれていた。平成27年3月31日付の「軟弱基盤による各種の要請について」という文書には、森友学園との交渉の経緯として以下のような記述があった。
「H27.1.9 当局(近畿財務局)が学校法人(森友学園)を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える」――
「H27.2.9 学校法人から、貸付料について、コンビニに貸す場合の賃料と同じ考え方はおかしい、10年以内に購入する約束で契約するのだから、貸付料は売買代金に充当されるべきなどとの連絡」――
「H27.3.12 弁護士も同席し、学校法人と打ち合わせ。土壌汚染対策費の言い値での支払いや貸付料の減額要請があった」――
佐川氏は昨年の国会で、森友学園との交渉記録は「破棄した」、「事前に先方に価格をお伝えすることはない」などと発言し、国有地売却に関する交渉記録や面会記録は事案が完了したため残っていないとの答弁を繰り返してきた。
2月13日の衆院予算委員会では野党が、佐川氏の昨年の国会答弁を「虚偽答弁」だと追及したが、麻生太郎副総理兼財務大臣は、今回公表された内部文書は「法律相談書」であって、佐川氏が「破棄した」と説明してきた「面会記録ではない」と強弁し、事ここに至ってなお、佐川氏の国会招致も必要ないとの認識を示した。
IWJでは、森友学園の籠池泰典前理事長が近畿財務局、大阪航空局の職員と面会した際に録音された音声データを公表した共産党の辰巳孝太郎・参院議員に、岩上安身がインタビューをおこなっている。
実に4時間以上に及ぶ音声データの中には、国会でも、各マスコミでも一切公開されなかった生々しいやりとりが記録されていた。特に籠池氏らが安倍昭恵氏の名前を出したあと、近畿財務局の役人に対して激しく罵倒し、恫喝する場面は圧巻で、IWJは音声と文字起こしをつけて会員限定で公開している。会員登録の上、こちらもあわせてご覧いただきたい。
桜井充議員「一回この追及チームで見に行かせてもらうから!」と近畿財務局への現地調査を提案!
どうしてこれまで、この文書が報告されなかったのか?――