「今回の当社キャンペーン投稿に対して、ツィッター上でキャンペーン趣旨と異なるコメントが多くついている事態に残念に思っております」――
9月7日にツィッターに投稿されたサントリー「ザ・プレミアム・モルツ(プレモル)」のキャンペーン動画に対し、「偽日本人」「反日モデル」など、PRに登場する水原希子さんが「ハーフ」であることを理由にしたヘイトスピーチが多数、コメントとして投稿された。
IWJは13日、水原希子さんをPRに起用したサントリーホールディングス株式会社に取材。広報は今回の件について「残念に思っている」というのが公式見解だと述べるにとどまり、何か対応する考えはあるのか聞いたところ、その予定はないと回答した。日本を代表する大企業の一つとして、毅然とした態度を示してほしかったのは言うまでもない。残念である。
海外には差別反対をCSR(社会的責任)として掲げる企業も少なくないし、日本でもヘイトスピーチが社会問題となり久しく、条例が制定されてきた国内事情もある。そうしたことに言及しながら質問を重ねてみたが、糠に釘だった。差別問題にはあまり関心がないらしい。
▲9月7日、ツィッターに投稿されたサントリー「プレモル」のキャンペーン動画
「ヘイト行為」を禁じるツィッター社だが対応が追いつかず、ヘイトスピーチは事実上、野放し状態に
2013年から在日朝鮮・韓国人に対するヘイトスピーチを公然と連呼する差別デモが顕在化し、それに反対する市民運動の広がりがきっかけとなり、2016年7月には全国で初となるヘイトスピーチ条例が施行された。川崎や名古屋、神戸などの自治体でも今、条例制定への動きを見せ、路上で実施されるヘイトデモの数は半減している。
しかし、ネット上では相変わらずヘイトスピーチが吹き荒れ、実名を伏せられる上、情報拡散力の高いツィッターの特長を利用し、人種や性別などを理由に個人を攻撃する悪質な投稿が後を絶たない。
「チョントリーが朝鮮人を使ったCMwwwww」「日本人を騙るトンスル人擬きなんて宣伝に使っている以上…モルツ不買だわ…」「なんだ? 偽日本人か。ビールが不味くなる!」「エセ日本人がcmしてるから買いません」
水原さんは韓国人の母親と米国人の父親を持つ、アメリカ生まれだ。これらは、今でも確認できる水原さんが登場するキャンペーン動画に対するヘイトスピーチの数々のほんの一例だ。良識あるツィッターユーザーによって通報され、同社がすでに削除した投稿もある。PR動画が投稿された直後は今よりもはるかにひどい状況だったことは言うまでもない。
ツィッター社は利用規約の一貫としてルールを制定し、その中で明確に「人種、民族、出身地、性的指向」などを理由とした「ヘイト行為」を禁止しているが、対応が不十分なのが現状だ。ツィッター上に放置されているヘイトスピーチが個人を攻撃し続けていることを問題視し、市民有志「TOKYO NO HATE」の呼びかけでヘイトスピーチツイートへの即時対応を求めるスタンディングアピールが9月8日に行われたばかりだ。
▲抗議ではツィッター上に放置されたままの差別扇動ツィートが印刷され、ツィッタージャパン社の前に並べられた
海外には差別反対を社会的責任として掲げる企業も少なくないし、日本でもヘイトスピーチが社会問題となり久しく、条例が制定されてきた国内事情もある。そうしたことに言及しながら質問を重ねてみたが、糠に釘だった。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/398220 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/908425401516515328