盤石な自民党王国を崩せるか――。
参院選の群馬選挙区で野党統一候補として立候補した民進党新人・堀越啓仁(ほりこし けいにん)氏(36)。6選を目指す自民党現職のベテラン、中曽根弘文氏(70)と1議席を争う。中曽根氏は中曽根康弘元総理大臣の息子で、確固たる地盤を受け継いでおり、現状では堀越候補の劣勢は否めない。
ベテランで政治の実績もあり、知名度もはるかに上回る中曽根弘文氏に対して、新人の堀越氏が勝るものがあるとしたら、それは若さと庶民性しかない。作業療法士でバンドマンでもある若い堀越氏は、この選挙戦をどう戦うのか。2016年6月26日、板倉や館林などで街宣して回る堀越氏にIWJは密着取材した。
- 弁士 堀越啓仁氏(参院選群馬選挙区候補・新人、民進党)
- タイトル 参院選 群馬選挙区 民進党 堀越啓仁候補 街頭演説
- 日時 2016年6月26日(日)13:30〜
- 場所 ベルク・ベスタ大泉店(群馬県大泉町)
アベノミクスで広がった格差?「群馬の最低賃金は737円。週休2日で働いても手取りは10万円」!
マイクを握った堀越候補は、「アベノミクスが争点だというが、今の経済状況はどうか!?」と疑問を投げかけた。
「イギリスのEU離脱のニュースで株は大暴落。年金を株に投資して5兆円も損失しているのに、一昨日だけでまた2兆円も損失を出した。アベノミクスは続けてはいけないところまできている」
堀越候補は続けて、「安倍政権で富裕層の所得は2倍になったが、私たちの暮らしはどうか?」と問いかけ、「安倍政権で最低賃金は下がっていて、群馬の最低賃金は737円。週休2日で毎日8時間働いても月給は12万9千円。手取りだと10万円程度。社会の格差が増える経済政策がアベノミクスで、貧富の差は増えているのが現状だ」と指摘した。
その上で、こうした現状を変えるためには、富裕層への税負担を増やす累進制の強化、富の再分配を目指す必要があると述べ、法人税の減税やタックスヘイブンを念頭に、「大企業の内部留保が300兆円。儲かったものを海外の租税回避地に55兆円預けている。これは合法だが、社会保障にあてるべく、ちゃんと税金を徴収する法律を作らなければいけない」と訴えた。
「軍事強化の日本と社会保障は両立できない」?文化交流で外交強化を!
堀越候補は、「軍国主義」へひた走る安倍政権に対する危機感も口にした。
「安倍総理は今まで『アベノミクスが争点』と言いながら、特定秘密保護法、集団的自衛権、安保関連法…すべて軍事強化につながる国づくりを進めてきた。今回は裏で憲法を改正しようとしている」
自民党の改憲草案に反対している、と断言する堀越候補は、「自民党は国防軍を設立し、総理大臣が最高司令官だとしている。軍事強化がだめだとはいわないが、日本がテロの対象になる可能性は高まる。海外で武力行使できる国づくり、武器で経済をまわす国づくりに反対する」と主張した。
「軍事強化の日本と社会保障は両立できない。軍事にお金を突っ込む日本ではなく、例えば2000億を隣国の市民同士の文化交流費に、すれば戦争の抑止力になる。外交強化でアジアの均衡は保たれる。そういうお金の使い方に変えていこう」
「作業療法士の理念である、『その人がその人らしくあるように』という価値観が根底から覆される」