2012年9月13日(木)、大阪府大阪市天王寺区シェラトン都ホテル大阪で、民主党代表選挙立会演説会が行われた。現職の野田佳彦内閣総理大臣、赤松広隆候補、原口一博候補、鹿野道彦候補が出席し、それぞれが代表戦にかける意気込みを語った。
(IWJテキストスタッフ・福田)
2012年9月13日(木)、大阪府大阪市天王寺区シェラトン都ホテル大阪で、民主党代表選挙立会演説会が行われた。現職の野田佳彦内閣総理大臣、赤松広隆候補、原口一博候補、鹿野道彦候補が出席し、それぞれが代表戦にかける意気込みを語った。
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赤松広隆候補は、「3年前、民主党中心の連立政権が成立した時の国民の期待と熱意が、いまや厳しい批判に変わっている。政権を担う民主党としてもう一度原点に戻り、政治不信を取り除きたい」「民主党の原点とは、政治が手を差し伸べるのを待っている弱い立場の人たちのための党であることだ。179のマニフェストのうち20にはまだ手がつけられていないので、残された任期を、実現に向け、全力投球で取り組みたい」と語った。
原口一博候補は、代表戦にかける覚悟を「党の名前を変えるくらいの覚悟」とし、新しいエネルギー政策、金融政策、教育によって社会を甦らせ、一人ひとりの働く権利、人間の尊厳を大切にする新しい理念「実質国家・日本」の創造を目指すと宣言した。一方、政権交代総選挙で新自由主義との決別を謳って、国民の圧倒的支持を得たのに、現在離党者が続出していることに触れ、党の責任を問うた。
鹿野道彦候補は、この代表選に最も重要なことは「反省」であると表明。これ以上離党者を出さないことが政権維持の絶対的条件であり、新しい体制作りのために立候補したと語った。また「解散すればよいとの声があるが、東北の復興、難題が押し寄せる外交問題の前に、政治空白を作ってはいけない。今解散することは、国益を損ねることになる」との認識を述べた。
野田佳彦候補は、これまでの自らの政策について「原発事故との戦い、震災復興、日本経済の再生に全力で取り組んできた。最大の山場は社会保障と税の一体改革だった。今決めなければならない政治判断を、逃げずに決断したと理解してほしい」と振り返った。
経済再生の取り組みとしては、切れ目のない経済政策を講じる必要を述べた。また、経済成長の柱としては「グリーン」というキーワードを挙げ、「再生可能エネルギー、省エネに資金を投入し、成長を促していく」。さらに「ライフ」をキーワードに、「人類未体験のスピードでの高齢化を乗り越えて世界のモデルとなりたい」と語った。
各候補の演説のあと、党員サポーターからの質問があった。
「大阪維新の会に安易にすり寄ることがあるとすれば、大阪の現場の思いとしては看過できないが、どう考えるか」という質問に、原口候補は、「橋下市長は一方で地域主権改革を進め、一方でTPPに賛成という、その姿勢が理解できない。地域主権は内発的発展論であり、人を大切にする考え方だが、TPPは逆で、1つのルールの下での新自由主義であるからだ。敵を作り打ち破るという劇場型民主主義の対極を目指している。すり寄らず、違う考えの人も民主党に近づけていきたい」と答えた。鹿野候補は、「地域主権、二重行政廃止には賛成だが、消費税を地方税化する考え方は、大変困難だと思う。首相公選制度については、国民は大歓迎だと思うが、憲法上の問題もあり、現実的には大変難しい」と答えた。野田候補は、「橋下市長とは府知事時代から地域主権戦略会議で議論をしてきた。地域主権にかける思いを強く感じた。政策の方向性で一致できるものがあれば、協力する可能性はある。地域での実績は実績としてあるだろうが、国政に参加する政党として昨日からスタートしたばかり。他の政党と同じく、切磋琢磨できる関係であればよい。こちらが磨耗してはいけない」、赤松候補は「橋下市長は大阪では圧倒的人気だが、既成政党や今までの地方行政に対する不満の受け皿でしかないのではないか。維新八策には憲法を変えないとできないものもある。大衆受けする政策を掲げる子どもの政党だ。ナショナルパーティーになるというのに外交安全保障を検討していない。政党として機能するようになるなら、ケースバイケースの対応になる」と答えた。
政権交代の意義と党の態勢についての質問には、鹿野候補は「戦後初の本格的政権交代はそれ自体意義がある。農林水産大臣として、農業者戸別所得補償制度に取り組み、継続して、法制化が必要だと考える。党の再生については、内閣と党の関係を強固なものにする。意思決定を明確にするシステムを作る。同じ人たちだけでなく有為な人材を責任ある立場に配置して、政策決定をするよう改める」と答えた。野田候補は「社会保障改革に力を入れてきた。子どもに比重をおいて公立高校授業料無償制など行った。また地域主権改革に取り組み、地方交付税を一貫して増やしてきた。野党から『ばらまき』と批判されるが、安定財源を確保して行った『種まき』だ。党の綱領をすべての国会議員、地方議員、地域の党員サポーターの手で、時間をかけて練り上げていくことが党再生の第一歩だ」と答えた。赤松候補は、「オーナー課税制廃止、高校無償化、子ども手当てなどを行ってきた。農水大臣時代は農業者戸別補償制度に取り組み、斡旋天下りをなくした。『コンクリートから人へ』の概念のもと、公共土木を3分の1に減らして財源に充ててきた。党の原点に戻り、力を合わせよう」と答えた。原口候補は「増税の前にやるべきことをやる。行政改革特命政権を作りたい。総務省の予算を2割減らし、子どもへの政策に充てた。今回、野田総理が問責を受けていなければ立候補しなかった。問責で総理は参院に入れず、特例公債法案がいまだ通っていない。民主党の理念をもう一度確認し、応援の輪を広げたい」と語った。
3党合意、社会保障改革については、各候補は次のように答えた。
野田候補「税と社会保障の一体改革には8本の法律。1つが社会保障の推進法(基本法)で個別法が7つ。社会保障が手つかずという批判は間違っているが、宿題もある。最低保障年金の創設、後期高齢者医療制度の廃止は、国民会議で議論し、間違いなく日本の社会保障は前進したというところにもっていきたい。各党の代表選後、3党合意を確認し、検討課題をつめていく」。赤松候補「党と党が合意した3党合意だから尊重するが、先行増税の心配がある。逆進性の問題については、低減税率を採用すべきだと考えている。自民党は国土強靭化計画として10年間で200兆円を公共投資に使おうとしている。必ず社会保障にしか使わないという姿勢を示したい」。原口候補「党と党の合意であるのは確かだが、国民との約束はどうか。総理の発言は正しいのだが、選挙で正当性を語っていない。崩れている足場をもう一度固めよう。社会保障と税の一体改革はよくできているが、3党合意で公共事業条項が加わった。後退している。一度立ち止まって、主権者との契約をどう捉えるのか。次の総選挙で改善点を堂々と示し、新たな姿を示すのが筋」。鹿野候補「3党合意は遵守しなければならない。社会保障と税の一体改革は2つのエンジン。一緒に動かすべきだ。増税だけを民主党にやらせるような考えは認めない。財政、経済、社会保障は一体として取り組むべきで、財政と経済が先という考えは違うと思う。そして子どもに投資する考えを忘れてはいけない」。