県内の小選挙区で19人の候補者が出馬している新潟県。民主党は5区以外、全てに候補者を擁立し、議席奪還を狙う。そんな中、6区では社民が民主新人を全面バックアップするなど、共闘体制も見られる。しかし、その社民党自身は今回、新潟2区で渡辺英明候補を立てたのみ。同党の吉田忠智党首は12月11日、新潟市中央区の新潟駅前で演説を行い、「野党の選挙準備が整わないうちに、安倍首相は衆議院を解散した」と思うような選挙戦が展開できていないことを示唆した。
吉田党首は演説の中で、アベノミクスの転換、集団的自衛権行使容認の撤回、脱原発、脱TPPを訴え、「ぶれない」社民党を強調。農業者の経営安定を支援する「農業者戸別所得補償制度」については、次期国会で、民主党や生活の党と協力し、議員立法を目指したいと野党共闘ぶりをアピールした。
- 日時 2014年12月11日(木) 12:30~
- 場所 新潟駅前(新潟市中央区)
※以下、発言要旨を掲載します
吉田忠智社民党党首(以下、吉田・敬称略)「みなさん、衆議院選挙、いよいよ終盤戦に入ってきた。マスコミの報道によれば、自民党が300議席を上回るのではないかと報道されている。残念ながら現時点では、安倍総理の思惑通りの結果になっている。アベノミクスの失敗を隠し、二大臣の辞任に象徴される政治と金の問題の疑惑を隠し、野党の選挙準備や選挙協力が整わないうちに、一気に衆議院を解散して選挙をやってしまおうという。その結果が、今のマスコミの情勢報道です。
本当にそれでいいのか。自民党に300議席も与えて、今の安倍強権政治を続けていいのか。それが問われている。昨日(12月10日)、特定秘密保護法が施行された。去年の臨時国会、60年安保以来と言われる、国会を取り巻く反対の声、国民の切実な声を無視して、強行採決をし、国民の知る権利や、報道に自由を奪う、そういう稀代の悪法が施行された。
そして7月1日には、集団的自衛権の行使容認の閣議決定。まさに日本が、戦争ができる国に突き進む。これまでの憲法解釈を180度変える暴挙。マスコミに対しては報道する自由を著しく制限する。今回の選挙でもマスコミの報道が萎縮している。安倍強権政治が進められていいのか、まさに問われている」
ぶれない社民党を訴え「集団的自衛権行使容認撤回」「原発再稼動反対」「脱TPP」「消費税増税反対」
吉田「社民党は今回、4つの約束を掲げている。1つ目は、暮らしの問題。国民生活を破壊するアベノミクスを転換して、格差を是正する。家計を温める。2つ目が平和。集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回。平和憲法をいかし、平和を作っていく。3つ目が原発再稼動。再生可能エネルギーを促進して、脱原発の社会を実現していく。4つ目はTPP。即刻離脱をして、農林水産業をしっかり後押ししていく。アベノミクス、いろいろ議論されているが、アベノミクスで暮らしは良くなったでしょうか。
東京周辺の輸出大企業、富裕層以外には、ほとんど恩恵がおよんでいない。それが、アベノミクスの実態。やはり、雇用をしっかり立て直していかなければならない。雇用を正社員に戻していくための、ブラック企業など悪徳企業に立入検査ができる体制を整えていく。
税と社会保障の問題。民主党政権の時に、自民、公明と3党合意で、社民党も連立政権に加わったが、公約にもマニフェストにもなかった消費税増税が出てきた。原点に立ち返れと。消費税を戻せと社民党は言っている。儲けている大企業や高額所得者にしっかり税金を払ってもらう。徹底して、社会保障、介護、年金医療を充実させていく。前に掲げた税と社会保障の一体改革は、むき出しの消費税増税。一体改革にはほど遠い。真の改革を求めていかなければ。そして、中小企業をしっかり応援して、雇用を守る。
2つ目が集団的自衛権行使に反対する。集団的自衛権行使は、日本は攻撃されていないのに、他国の戦争に協力するということ。今までは9条があって、集団的自衛権行使ができなかった。だから、いくらアメリカから後方支援を求められても、断れた。集団的自衛権が法律に謳い込まれれば、断れなくなる。社民党は体を張って平和を守り、これからも憲法をいかして、70年間日本を守ってきた平和を作っていきたい。
原発問題。新潟は柏崎刈羽原発がある。安倍総理は『アンダーコントロール』と言いましたが、ご存知の通り、福島原発事故の収束はほど遠い。12万以上の方々がいつ、故郷に帰れるか分からない。一度、放射能に汚染されたら故郷を元通りにすることがどれだけ大変か、よくわかったのではないか。
全ての原発は止まっている。電力は賄うことができる。電力自由化が進むと、電気料金は下がってくる。原発立地自治体の原発に依存しない産業政策をしっかりやっていく。脱原発の仕組みは着実に進んでいる。原発の問題も選挙の大きな争点。
4つ目がTPP。TPPは輸出の経済連携です。経済連携は必要。でもTPPは規制の完全撤廃、交渉の内容は国会議員にも分からない。交渉はかなりハードルを下げているよう。日本の農業は立ち行かなくなる。農村も破壊される。(交渉の中の)21分野で国民生活に影響があると言われている。
中国やインドネシアなど、アジアの大国が加わった、柔軟で思いやりのある経済連携を進めていくべき。そして、民主党政権時代に制度化された『農業者の戸別所得補償制度』。安倍政権はこれを半減し、その後、廃止しようとしている。制度から一歩踏み込んで法制化していきたい。生活の党や民主党と協力して、議員立法で国会に出したいと思っている」