岡山2区に民主党より出馬している津村啓介候補の個人演説会が12月7日（日）19時より、岡山県岡山市中区の岡山プラザホテルにて行われた。津村氏は元・日銀行員としてアベノミクスの欠点を指摘。脱原発政策で自民党との違いを訴えた。

　演説会には同党で静岡5区から出馬している細野豪志・元環境相らが応援に駆けつけた。

• 日時 2014年12月7日（日）19:00～
• 場所 岡山プラザホテル（岡山市中区）

※以下、発言要旨を掲載します

年金で引き上げられた株価で潤った「1％」の世帯

細野豪志候補「個人的にも親友で、政治家としては盟友である津村さん。趣味は違って、津村さんは『ももクロ』が好きだそうです。私とは歳も一緒で、政治家として一番信頼しているのが、津村さんです。

　アベノミクスはどうでしょうか。アベノミクスでお金が入ってきた方はどれくらいいるのでしょう。一部は非常に儲かりました。典型的なのは株を持っている人です。この国には1億円以上の財産を持っているのが100万世帯いるそうです。その数が、株が上がるごとに増えていくのが、この国の実態なんです。

　これだけ景気が冷え込んでいるのに、なぜ株だけ上がるんでしょうか。実は、一度は株価は下がったんです。ところが、11月1日、皆さんが積み立てている年金が、株に投じられることが決まったんです。それで相当、お金持ちがさらに増えています。しかし、株は下がることもあります。リーマン・ショックが起これば、皆さんに1年間納めていただいた年金と同額がぶっ飛びます。

　このリスクをどう思いますか。

　かつてもあった。『グリーンピア』を覚えていますか？　あれに皆さんの年金が使われてきたことを覚えていますか？　その額、7兆円です。国民の厚生年金は消えてなくなりましたが、公務員の年金はそうはなっていません。

　もう、次の方針も示されていて、年金は不動産、未公開株にも投資され、商品先物取引にも買われることが決まっているんです。これは、株価対策で行われています。アベノミクスに、無理矢理、化粧するためにです。

　政治家の仕事はなんでしょうか。1億円持っている人の資産を2億円にすることでしょうか？　それで経済は盛り上がりますか？　私は違うと思う。

　まじめに年金を納めた人が、ちゃんと年金をもらうこと、その人が望めば正社員になって、子どもを作れる社会にすることではないでしょうか。今、安倍政権下で行われているのは、それとは逆のことです」

「元日銀行員」が指摘するアベノミクスの欠点

津村啓介候補（以下、津村・敬称略）「民主党が掲げた『コンクリートから人へ』『チルドレン・ファースト』などは間違っていなかったと思います。民主党は、政策理念は立派でもチームの力が弱かった。横のつながりがなかったんです。

　私は民主党青年委員長で連携を深めました。全国を回って、仲間に政策研修会を開き、議論を重ね、熱のこもったチームができたと思います。

　民主党内でも菅グループ、前原グループとでき、グループ内でも意見対立し、力を失っていきました。日頃から議論していれば、いざという時にはまとまれるはずなんです。日頃から困ったときに助け合い、理想の民主党を議論し、まとまりある民主党にする取り組みを、私はしています。

　この選挙、しっかり勝ち抜いて、次の統一地方選挙で、民主党の再生をやらせていただきたいと思います。

　なぜ今選挙なのか。私も不思議に思いました。700億円も使って、しなくてもいい仕事が増えました。でも私はこの1ヶ月、いろんな人の話を聞き、これは大切な選挙だと思うようになりました。

　アベノミクスは完全に行き詰まっています。アベノミクスは、2％の物価成長をして、国民の所得を増やし、その中から消費税をいただくという話でした。

　しかし今、物価は上がりましたが、国民の所得は、年金、賃金、目減りをしています。物価だけが上がり、生活が厳しい。しわ寄せが国民の皆さんにいっている。資産家が潤っているのは、年金を株に当てているからです。政策を変えなければなりません。この選挙を有意義にさせていきましょう。

　アベノミクスは、日銀からスタートしました。日銀がお金を刷って、それを公共事業にあて、公共事業がエンジンとなって、民間や地方の経済を良くしていく。それは間違っていません。

　私も昔、日銀で働いていて、金融緩和に携わっていました。でも、日銀にできることはそこまでで、その先は政治家が波及させていくんです。それができていないから、日本経済がよくならない。だったら私が日銀をやめて、それをやろうと、12年前に決断しました。

　これまで私は安倍さんの悪口を言ってきませんでした。しかし、『信を問う』というなら、この政策はだめだと言わざるを得ません。この流れを変えるべきです」

岡山の塩田跡地で日本一のメガソーラー事業を

津村「3つ、優先課題があります。

　ひとつは社会保障の充実。団塊世代の皆さん、この方々が60代後半にさしかかり、高齢化されていけば、今よりも医者や介護職員が必要になります。今は核家族化が進んでいます。一人暮らしの高齢者が増えました。老々介護で、介護疲れに苦労している夫婦がいます。

　国や行政がサポートし、民間も支えあう仕組みが必要です。医者の数は都会に集まっているせいで、地域では減っています。看護師も、介護士も足りません。介護士は150万人いますが、250万人まで増やさなければ間に合いません。しかし介護報酬を引き下げ、診療報酬を引き下げ、これでは職員は増えないでしょう。完全に逆方向に行っているんです。

　医学部の新設を進め、介護サービス、医療サービスを充実させる。それで高齢者の皆さんを、安心して今の消費活動ができるようにしたいと思います。

　二つ目は子育て支援です。働く女性を支える、保育園を増設する。民主党は子ども手当を出しましたが、『それよりも保育園を増やして欲しい』という声も寄せられました。働かざるをえない女性も多いかと思います。子育て支援の足りなさが少子化の原因になっています。経済の活力も失われます。保育園、保育士を増やしたいと思います。

　三つ目は、脱原発依存のエネルギー戦略です。岡山県は、新しいエネルギー政策の主役となる先進県なんです。岡山県は晴れの国で、江戸時代は塩の産地として栄えてきました。たくさんの平地の塩田があって、そこに降り注ぐ太陽。

　瀬戸内の塩田跡地は500ヘクタールありますが、その3分の2を使って、メガソーラーの建設が先月（11月）からスタートしました。完成すれば日本一、世界でも5本の指に入る太陽光発電の基地になります。

　日本に新しい原発を作ってはいけない。この点が、自民との明確な違いです。今ある原発は、世界最高の基準で限定的に運用しながら、一日でも早く脱原発をする。

　中国地方の自民党王国に風穴を開け、緊張感ある国会を作りたいと思います」