2012年6月8日15時15分頃より、大阪市役所で橋下徹大阪市長による定例記者会見が行われた。記者たちからは、先月5月31日に橋下市長が、大飯原発の再稼働を事実上容認したことについて質問が集まったが、橋下市長は、それがあらゆる権限を持たない中での現場の責任者として、やむを得ない決断だった事を何度も強調した。
(IWJテキストスタッフ・熊代)
2012年6月8日15時15分頃より、大阪市役所で橋下徹大阪市長による定例記者会見が行われた。記者たちからは、先月5月31日に橋下市長が、大飯原発の再稼働を事実上容認したことについて質問が集まったが、橋下市長は、それがあらゆる権限を持たない中での現場の責任者として、やむを得ない決断だった事を何度も強調した。
■全編動画
6月8日、大阪市役所で橋下徹(はしもととおる)市長による定例の記者会見が行われた。
冒頭では、今年初めに打ち出された「西成特区構想」に続き、浪速区の未利用地を、一定条件下において無償で貸し出すという「イベント特区」を新たに設置する旨の発表や、「子どもの家事業」補助金の見直し、パブリックコメント(計画案等へのご意見)の実施結果と、それを参考にした市政改革プランの素案作成等について報告を行った。
続いて行われた質疑応答では、外国人記者から、将来的な国政への進出の意思について問われ、それを笑顔で否定する場面があった。その他は、先月(5月)31日に関西広域連合としての声明を通じて、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を事実上容認した件について、質問が集中した。
記者からの「(再稼働を容認した)今回の安全基準があくまで暫定的なものであり、(この後行われる予定の)会見で野田総理がその旨を明言するか?」という質問に対し、橋下市長は「明言するだろう」という見解を示しながらも、もし明言をしなかった場合の対応については、「その時の状況を見て判断していきたい」と回答するにとどめた。
また、3月下旬の段階で橋下市長は「民主党政権が再稼働で来るなら、大阪市は反対のオプションを示す。最後は総選挙で決着をつければよい」と明確な反対姿勢を取っていたにも関わらず、一転容認に転じた理由については、「その後洗い出しを行った(再稼働しない場合に起こりうる)停電により引き起こされる様々なリスクが、想像以上に凄まじいものであると知り、原発事故の危険性を認識しながらも、それと天秤にかけ、現実の行政をあずかるものとして(そういった)判断するに至った」と説明。
それに対する記者からの「府市エネルギー戦略会議に議論を図って、(想定されるリスクへの対応策などの)議論をしていくことを、何故しなかったのか?」という質問には、「ここでいうリスクとは定量的なものではなく定性的なものであり、それは専門家に判断出来るものではない。最後は現場を預かる長が、その責任を取れるかどうかという政治判断の世界。今回僕は安全基準についての判断はしていない。政治的にそのリスクを取れるかどうかという政治判断をしただけ」という自身の見解を述べた。
また今回の自らの決断に対し、「関西の人たちから批判されるのはわかる。真摯に受け止める」としながらも、東京のコメンテーターなどから「安全性を無視している」などと批判されることに対しては、「責任を取る立場でもなく、停電のリスクもわかっていないのにいちいち文句を言うことには腹が立つ。地方分権地方分権というなら、関西で決めたことにとやかく言うな」という憤りも口にした。