2014年6月13日17時30分より、 東京電力本店にて「原子力の安全性向上に向けた取り組み」についての記者会見が行われた。姉川尚史原子力立地副本部長は、従来の確率論的安全評価(PSA)では不十分、意識改革として確率論的リスク評価(PRA)としたなどと説明した。
2014年6月13日17時30分より、 東京電力本店にて「原子力の安全性向上に向けた取り組み」についての記者会見が行われた。姉川尚史原子力立地副本部長は、従来の確率論的安全評価(PSA)では不十分、意識改革として確率論的リスク評価(PRA)としたなどと説明した。
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経済産業省の「原子力の自主的・継続的な安全性向上に向けた提言」を踏まえた、東京電力における原子力の安全性向上に向けた取り組みについての記者会見が行われた。
経済産業省の提言は5月30日に出され、電力中央研究所に「原子力リスク研究センター」が設置されたことなどから、6月13日、国内の各電力会社、電気事業連合会と同時にプレスリリースされている。
常務執行役 原子力改革特別タスクフォース事務局長兼原子力立地副本部長 姉川尚史氏が会見を担当し、原子力の自主的安全性に向けた提言に対する東京電力の取組みを説明した。
福島第一原発の事故は安全意識、対話力、技術力が不足したためと考え、ハード対策(設備の対策)とソフト対策(組織内の対策)を実施しているという。ソフト対策では6つの対策を進めており、組織のトップである社長の他2名が立ち、改革を進めている。
姉川氏は、経済産業省が提言した大きく三項目に分類できる14提言は、東電の立てた6つの対策で取りこぼしなく対策を立てられているという考えを示した。
その上で、東電では、確率論的安全評価(PSA)を20年に渡って活用してきたが、明文化はされておらず、経産省の指摘で対策に入れたという。また、意識改革を図る意味からも確率論的リスク評価(PRA)と称することにしたと説明した。
「情報開示の強化」が5月30日にエネ庁から出されているが、東電は、定例記者会見を来月7月から縮小することを公言している。「会見を減らすのは提言に真っ向から反してるのでは?」との記者からの質問に、姉川氏は、情報開示=会見ではないという。
情報開示は進んできており、「皆さんが知るべき情報に落ちがあってはいけないし、そこは留意して、効率をあげるという姿勢だ」と説明。会見や情報公開、対話は回数だけでなく、わかりやすさなどが重要であり、情報収集も充実してきたので、情報の量や質を向上させるといい、「情報発信は頻度だけでなく、面も重要」との考えを示した。
会見や広報は、「都合のいいことを知らせるのではなく、きちんと伝えるのが仕事なので、そうなっていないなら見直す。その意思として”リスクコミュニケーター”と称するようにしたことを説明した。
自然現象といった不確実性の高いことに対するハザード対策について、姉川氏は「想定が甘かったのが大きな反省だ」と述べ、30種類の自然現象を選び、再分析したことを説明した。”ここまででよし”とする考えではなく、それを超える事態が発生した場合について思考、準備を進めているという。
PRAはテプコシステム等で20年におよぶ実績があり、部分的に実用に供しているという。では、福島第一原発の事故は何故PRAで防げなかったのか?
姉川氏は、自然現象が発生するかどうかというハザードの部分の確立を軽々しく見積ることは、かえって安全性を損なうことになり、それが福島第一原発の事故だという。経産省の提言の中にあるPRAへの指摘については、PRAの取組みは行ってきたが、まだ海外に比べて低かったとの見解を示した。
「PRAは水晶玉のように、進むべき道を指し示す道具だとは思っていない」。姉川氏は福島第一原発の事故を反省するにあたり、広く自分達の足りなかったことを反省すべきだと心得ているという。
これまで、地震や津波のリスクを小さいものとしてきたのは、「発生頻度が低いということだけに頼っていた」と話し、福島第一原発事故が、「そうでないことを示した」と反省の弁を述べた。
PRA上で評価して、「余のリスクが一見小さくても、そうでない場合があることを恐れてハザードを見直さないといけないし、かつ、ハザードがいくら小さくても、それを超えるものが来たら、安全系が一網打尽に失われることがあってはならない」との考えを述べ、「そういうふうにやっていこうとしている」と方針を示した。
以下、東京電力ホームページより、リンクを表示
2014年6月13日