小泉政権時代、厚生労働省は生活保護費の圧縮を進めた。2005年度から2007年度には、16歳から18歳の子どもがいる母子家庭に支給されてきた可算が廃止され、2007年度からは、15歳以下の子どもがいる母子家庭への可算が廃止された。この2007年当時に厚生労働大臣だったのは、舛添要一氏である。
2009年8月18日、神奈川県内で行った街頭演説で、舛添氏は派遣村の取り組みについて触れた際、「4000人分の求人票を持って行ったが、一人も手を挙げなかった。大事な税金を働く能力があるのに怠けている連中に払う気はない」と発言した。そして、8月25日の閣議後記者会見でその発言を弁明する際に、「怠け者発言は生活保護の母子家庭(への母子加算)について言ったつもりだ」と語った。
この「母子家庭は怠け者」発言に対して、当然ながら抗議がなされた。「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」などの団体が、舛添氏に対して発言の撤回と謝罪を求める抗議文を送っている。
舛添要一氏は、今回、東京都知事選に立候補した。政策に福祉の充実を掲げているが、厚生労働大臣の職にありながら母子家庭を「怠け者」と呼んだ舛添氏に何が期待できるのか。「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の竹内三輪様からシングルマザーとしての声が届いたので、ここに掲載させていただく。
シングルマザーのひとりとして、生活に不安が募る毎日です。
児童扶養手当は減額に次ぐ減額です。
今度の東京都知事選挙では、シングルマザー、シングルファーザーと困っている子どもたちへの施策がどうなっていくのか、それが心配です。
以前、舛添元厚生労働大臣には、児童扶養手当の5年間受給後半額に減額されてしまう、それが決まるギリギリのときに、母子家庭団体のヒアリングを受けていただきました。
30分以上国会のご事情で待たされたのですが、私たちは魂込めて、シングルマザーの窮状をお話しました。
お寿司屋さんに昼働き、夜は7歳と4歳と2歳の子を寝かしつけたあと、また夜働きに行くお母さんが発言してくれました。子どもが起きてしまって携帯に電話が来る。「ママ、ママ、どこにいるの?」と。胸が締め付けられるようにつらかった、と話してくれました。手当が切られたらもっとつらい目に遭う子どもたちが増えてしまいますと伝えました。
舛添さんがその話を聞いてなんと答えるか、固唾をのんで待ちました。でも、「与党プロジェクトチームに任せています」という一言で、退出されました。
その後、舛添候補者は「働く能力と機会があるのに怠けている人に、貴重な税金を使うつもりはない」という趣旨の発言について弁明し、「怠け者発言は生活保護の母子家庭(への母子加算)について言ったつもりだ」という趣旨の発言をしました。
政府の調査で、生活保護を受けている母子家庭は病気を抱えている、DV被害者である、子ども時代の虐待被害経験など複合的な困難な状況を抱えていることが明らかになっています。
だから生活保護受給の母子家庭が怠け者というのはまったく間違いです。
生活保護を受けていることを子どもの通う学校で知られたらどうしよう、生活保護受給者は悪いことをしているように思われているので、とても言えないと思っている人もいます。
今必要なのは、DV被害や虐待、病気などの体験を次の世代に連鎖させないための、プログラムや支援です。
私は舛添候補者も今は考えを改めていただいているなら、ぜひ表明していただきたいと思います。
そしてすべての候補者により力をいれたシングルマザー政策をお願いしたいと思っております。
シングルマザー、シングルファーザーの置かれている現状を理解していただき、子どもたちの困難を救うために、必要な施策をぜひ実行してもらいたいのです。
児童育成手当の支給、子育て支援(ホームヘルパー派遣)、保育サービスがす
ぐに使えるようにすること、病児病後児保育などにとどまらず、孤立防止のためのアウトリーチやカフェなどもNPO団体と協力して各地で開いてほしいのです。また、非婚のシンママは税制でも不利益を受けていますので、ぜひ寡婦控除のみなし適用を進めていただきたいのです。
各候補者がどのようにひとり親の支援について認識しているのか発言を注視したいと思います。