日刊IWJガイド・非会員版「南海トラフ地震が起きれば大打撃を受ける、生産額も貿易額も日本最大の中京工業地帯! 長周期地震動で石油コンビナートは大規模火災の危険!」2024.8.19号~No.4305


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~南海トラフ巨大地震が起きれば大打撃を受ける、生産額も貿易額も日本最大の中京工業地帯! 津波で広く浸水する名古屋港周辺では、1ヶ月水が引かない可能性も! 長周期地震動で四日市などの石油コンビナートでは大規模火災の危険!

■8月1日から、IWJの第15期が始まりました! 新たなスタートです! 8月は1日から13日までの13日間で、23件、52万8000円のご寄付・カンパをいただきました! 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、月半ばにして、13%どまりであるとわかります。他方で、「IWJしか報じていない情報」が、増えてきています! どうか財政難のIWJが、独立メディアとして報道・言論活動を継続できるよう、皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます!

■【中継番組表】

■シカゴ大学のジョン・J・ミアシャイマー教授が「ウクライナ軍によるクルスク侵攻は(ウクライナとそれを支援する米国とNATOにとって)大きな戦略的失策」と断言!「クルスク攻防戦における占領支配面積の大きさは意味がない。重要なのは、死傷者交換率であり、その点はロシアに決定的に有利」だと一刀両断! クルスク侵攻のため、精鋭部隊をウクライナ東南部の防御線からはぎ取ったので、ウクライナ軍の防御は手薄に!「逆に、ウクライナの敗北は早まった」とミアシャイマー教授は分析!

■【本日のニュースの一撃】

■【第1弾 なんと、米国民主主義(アメリカン・デモクラシー)に限らず、世界の民主主義の基本中の基本である、選挙による平和裡の政権交代を、バイデン大統領が疑問視!】
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■はじめに~南海トラフ巨大地震が起きれば大打撃を受ける、生産額も貿易額も日本最大の中京工業地帯! 津波で広く浸水する名古屋港周辺では、1ヶ月水が引かない可能性も! 長周期地震動で四日市などの石油コンビナートでは大規模火災の危険!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 8月16日付『日本経済新聞』東海版は、東海4県(静岡、愛知、岐阜、三重)の自治体が、YouTubeなどで動画を使って、行政の取り組みや観光PRなど、広報活動に力を入れている、という記事の中で、「名古屋市は南海トラフ地震などの防災情報など関連動画に力を入れ、23年度の(※チャンネル全体での)再生回数は計300万回以上に上った」と報じています。

※名古屋市、南海トラフ動画など年300万回再生(日本経済新聞、2024年8月16日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD141HB0U4A810C2000000/

※まるはっちゅ~ぶ(名古屋市)
https://www.youtube.com/@maruhachitube

 3大都市圏の中でも、名古屋圏は、南海トラフ地震の想定震源断層域に接していることから、特に大きな被害を受けるとみられています。

※南海トラフの巨大地震の想定震源断層域(内閣府)
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku/pdf/1_1.pdf

 名古屋市は、市のホームページで、従来の「過去の地震を考慮した最大クラス」と、2011年の東日本大震災を受けて2012年に見直された政府の被害想定にもとづいた「あらゆる可能性を考慮した最大クラス」の、両方の被害想定を公表しています。

※南海トラフ巨大地震について(名古屋市)
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/405-2-1-0-0-0-0-0-0-0.html

※はじめに~「いつ大規模地震が発生してもおかしくない」南海トラフ震源域で唯一稼働する伊方原発周辺は、もろい地盤に加え、特異な地形で原発事故が起きても逃げられない! 四電の津波想定は最大8.1mだが、中央構造線の断層が動けば10mの津波に襲われるとの指摘も! 伊方原発が福島第一のような事故を起こせば、瀬戸内海は死の海に! 中国地方の西側と四国、九州の主要都市は壊滅!?(後編)(日刊IWJガイド、2024年8月17日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240817#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53801#idx-1

 名古屋市は、このうち「あらゆる可能性を考慮した最大クラス」の場合、「名古屋市内の最大震度は震度7、津波高30cmの津波到達時間は、最短96分、津波の潮位に地震による地殻変動の沈降量を加えた津波水位は、最高3.6m、津波高は最大2.4m」と公表しています。

 また、条件設定で死者数が最大となる、地震発生時刻が「冬・深夜」の場合は、「死者数約6700人、重傷者数約3000、軽傷者数1万2000人」とする一方、同じ条件でも「防災対策を講じた場合」は、「死者数約1500人、重傷者数約400人、軽傷者数約2400人」に被害が軽減する、との推計を示しています。

 同じく建物・経済被害についても、被害が最大となる、地震発生時刻が「冬・18時」の場合、「地震動による全壊棟数約3万4000棟」が、「防災対策を講じた場合」には「約2400棟」にまで減少することが示されています。

 この想定で、名古屋市が示した「防災対策を講じた場合」の内容は、以下の通りです。

 「建物の耐震化率100%の達成(現状約84%)、家具等の転倒・落下防止対策実施率100%達成(現状約55%)、全員が発災後すぐに避難開始(昼間5分、夜間10分)、既存の津波避難ビルの有効活用、耐震化率100%による津波被害を受ける自力脱出困難者の減少」。

 もちろん、ここで示されているような最大限の防災・減災努力は、行政も民間も地域社会も個々人も、惜しんではなりません。しかし、最大限の努力を行って、犠牲を最小にくいとどめたとしてもなお、想定される最大級の南海トラフ地震と津波に襲われた時、死者は約1500人、重軽傷者は約2800人出ること、全壊する建物が2400棟に及ぶということは、肝に銘じておかなければなりません。名古屋自慢の地下街も浸水し、復興、復旧には大変なエネルギーを必要とします。

 この名古屋市のシミュレーションのデータは、建物の耐震化や日頃からの家具の転倒・落下対策とともに、津波に対していかに早く避難するかが、生死の大きな分かれ目になることを示していると言えるのではないでしょうか。

 一方、8月17日付『現代ビジネス』は、「名古屋市を襲う津波は、一般的にイメージされる津波とは異なる」と報じています。

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■8月1日から、IWJの第15期が始まりました! 新たなスタートです! 8月は1日から13日までの13日間で、23件、52万8000円のご寄付・カンパをいただきました! 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、月半ばにして、13%どまりであるとわかります。他方で、「IWJしか報じていない情報」が、増えてきています! どうか財政難のIWJが、独立メディアとして報道・言論活動を継続できるよう、皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます!

 いつもIWJをご支援いただき、ありがとうございます。

 8月は1日から13日までの13日間で、23件、52万8000円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます。

 第14期最後の7月のご寄付・カンパの金額は、177件、390万9700円で、目標達成率は98%でした! 惜しくも目標額に達成しませんでしたが、98%という高達成率です。誠にありがとうございました!

 しかし、前期第14期の、IWJへのご寄付・カンパは、11月から6月まで、8ヶ月連続で目標金額に到達しませんでした。この8ヶ月間の不足額の合計は、1260万8589円です。零細な企業であるIWJにとっては、非常に厳しい数字です!

 支出を期の初めより、大幅に削ってきましたので、全体の収支がどうなっているか、赤字転落か、ぎりぎり赤字を免れるか、すべての計算が出そろわないとわかりませんが、出そろい次第、皆さまにご報告いたします。

 この8月1日から、新たに第15期が始まりました。今期の見通しは、7月中に立案するはずでしたが、岩上安身の体調不良と入退院を繰り返したことで、経理とのミーティングが十分にできておらず、ご寄付の月間目標額を今すぐただちにお示しすることができません。ご理解とご容赦をよろしくお願いいたします。

 とはいえ、おそらくは、ほぼ変わらない金額が必要になるものと思われます。第15期こそは、赤字にならないようにするために、有料会員登録と、ご寄付・カンパで、財政難のIWJへのご支援をよろしくお願い申し上げます!

 7月末現在、IWJ会員の総数は2277人、このうちサポート会員の方は852人でした。ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードをお願いします!

 また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、会員番号は変わりませんので、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です!

※会員の再開、新規会員登録はこちらからお願いします。
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※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 どうぞ、皆さま、権力に対し、一切忖度しないで真実をお伝えする独立メディアIWJの存在意義と必要性について、多くの人に口コミでも、SNSを通じてでも、広めてください!

 よろしくお願いします!

 岩上安身拝


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◆中継番組表◆

**2024.8.19 Mon.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2024.8.20 Tue.**

調整中

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◆「2024年8月23日」まで、フルオープン!◆

【川内・玄海・伊方3原発立地周辺レポート】鹿児島県川内原発編1.「原発は事故がなくても膨大に環境破壊を推し進めている」~ウミガメの産卵地に立つ環境破壊工場 2016.6.8
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/307193

【川内・玄海・伊方3原発立地周辺レポート】愛媛県伊方原発編~再稼働直前!立地も避難計画も問題だらけ!40年の歳月をかけ地元に根を張った電力会社の影響力 2016.8.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/323450

【IWJ検証レポート】「3.11」の教訓はどこへ!?被災県でさえ再発した「避難渋滞」!原発方向へ逃げる伊方原発の避難経路!地元住民は「事故が起きたらみな諦める」と証言! 2016.12.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/351558

「中央構造線が何回も動いているのは明らかなのに、電力会社や国は原子力発電所を作り、さらに再稼働をする」――岡村眞氏講演会「南海トラフ巨大地震の最新情報と伊方原発」2015.2.28
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/236157

川内原発2号炉再稼働前夜! 穴だらけの運転再開!? 巨大噴火リスクに阪上氏「3ヶ月でどうやって核燃料を避難させるのか。とても不可能だ」2015.10.14
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/270376

「国会は戦場のリアルに追いついていない」元レンジャー隊員・井筒高雄氏――元首相菅直人氏「避難計画の最終判断はどこが決めるのか?」川内原発再稼動に懸念表明 2015.9.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/261906

桜島は序章に過ぎない!?「充電」された姶良カルデラの脅威! 日本全土を襲う巨大噴火と川内原発再稼働の「愚」~IWJ×FFTV第2弾!(前編) 2015.8.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/258227

問題だらけの川内原発が再稼働「免震重要棟も土台しかない。ベント施設も完成していない。住民の避難計画もない。これが原子力社会、核社会の本質だ」2000人超が抗議 2015.8.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/257111

【岩上安身のニュースのトリセツ】御嶽山噴火から分かった、川内原発再稼働「新たな安全神話」の7つの欺瞞 2014.10.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/174819

◆「2024年8月31日」まで、フルオープン!◆

いつもと変わらず何も懲りない自民党。岸田派解散!? 安倍派・二階派ら4派閥が解散!? どれもこれも、目先の批判をかわすための偽装解散では!? 9月の総裁選を過ぎた時点で元の木阿弥なる可能性が高い!(日刊IWJガイド、2024年1月27日)
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非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53149#idx-5

核燃料再処理工場のある六ヶ所村で「想定される地震はマグニチュード8クラス」!? 浜岡原発も危険すぎる!! ~岩上安身によるインタビュー 第889回 ゲスト 変動地形学研究者・渡辺満久東洋大教授 2018.7.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/427608

六ヶ所再処理工場で事故が起これば福島1000基分の放射能が拡散!? 1万キロ四方の住人が急性被曝で死亡!?~ 岩上安身によるインタビュー 第224回 ゲスト 村田光平(みつへい)氏(元駐スイス大使) 2012.7.3
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◆しばらくフルオープン!◆

自民党は39人処分するだけで幕引きをはかる!?「裏金問題はまだ始まったばかり」! 自民党議員らと岸田総理と後援会を次々と刑事告発!~岩上安身によるインタビュー 第1153回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.5
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「1994年の政治制度改悪が裏金作りを生み『米国の利益のための戦争をする国作り』に直結した!」~岩上安身によるインタビュー 第1154回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/522670

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■シカゴ大学のジョン・J・ミアシャイマー教授が「ウクライナ軍によるクルスク侵攻は(ウクライナとそれを支援する米国とNATOにとって)大きな戦略的失策」と断言!「クルスク攻防戦における占領支配面積の大きさは意味がない。重要なのは、死傷者交換率であり、その点はロシアに決定的に有利」だと一刀両断! クルスク侵攻のため、精鋭部隊をウクライナ東南部の防御線からはぎ取ったので、ウクライナ軍の防御は手薄に!「逆に、ウクライナの敗北は早まった」とミアシャイマー教授は分析!

 ウクライナ紛争でも、イスラエルによるパレスチナ人のジェノサイド戦争でも、大手メディアからプロパガンダ報道が大規模に展開される中、一貫してブレることなく、戦場における現実を踏まえた発信をしてきた、シカゴ大学のジョン・J・ミアシャイマー教授が、『責任ある国家運営(Responsible Statecraft)』で、8月6日に始まった、ウクライナ軍によるクルスク奇襲・侵攻問題についての自身の見解を公開しました。

 『責任ある国家運営』は、「シンポジウム:ウクライナのロシア侵攻は実際何を意味するのか? 10人の専門家がキエフの大胆な侵攻が戦争に及ぼす短期的・長期的な影響を評価」と銘打った記事で、有識者10名の見解を紹介しています。

 「登壇者(執筆者)」は、掲載順に以下の通りです。

・ジェイセン・J・カスティーヨ(テキサスA&M大学ジョージ・H・W・ブッシュ行政大学院アルブリトン基本戦略センター共同ディレクター)

・モニカ・ダフィー・トフト(フレッチャー法律外交大学院・国際政治学教授、戦略研究所所長)

・イヴァン・エランド(平和と自由独立研究所所長)

・マーク・エピスコポス(責任ある国家運営のためのクインシー研究所ユーラシア研究員研究所、メリーマウント大学歴史学非常勤教授)

・ライル・ゴールドスタイン(アジア開発・防衛優先担当ディレクター、ブラウン大学ワトソン国際公共政策研究所客員教授)

・ジョン・ミアシャイマー(シカゴ大学R・ウェンデル・ハリソン特別功労教授、クインシー研究所非常勤研究員)

・スマントラ・マイトラ(アメリカン・アイディアズ・インスティテュート研究・アウトリーチ担当ディレクター、『ロシアの侵略の源』の著者)

・ラジャン・メノン(ディフェンス・プライオリティーズの非常勤シニアフェロー、ニューヨーク市立大学パウエル校アン&バーナード・スピッツァー国際関係論名誉教授)

・ピーター・ラトランド(ウェズリアン大学政治学教授、コリン&ナンシー・キャンベル世界問題・民主主義思想教授)

・スティーブン・ウォルト(イェール大学ロバート&ルネ・ベルファー国際問題教授)

 最後のスティーブン・M・ウォルト教授は、ミアシャイマー教授の代表的著作である『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』(2巻本、講談社、2007年)の共著者です。

※Symposium: What does Ukraine’s incursion into Russia really mean? Ten experts gauge the short and long term effects of Kyiv’s bold invasion on the war(Responsible Statecraft、2024年8月15日)
https://responsiblestatecraft.org/ukraine-kursk-incursion/

 昨年2023年6月からのウクライナ軍の「反転攻勢」の時には、「ウクライナ軍が**を占拠」「ウクライナ軍が**でロシアの防衛線を突破」などと、ウクライナ軍の戦果過大に報じるプロパガンダに徹してきた西側メディアも、ウクライナ軍によるロシア領内のクルスク侵攻に関しては、歯切れが悪く、一面トップ扱いで取り上げることはあまりありません。

 これまでのロシア国内へのテロ攻撃は、ウクライナ正規軍の仕業ではなく、非国家組織やテロ組織が担ってきたことにしたり、ウクライナ軍による攻撃とわかっていても、ミサイルやドローンなどの飛び道具どまりでした。

 しかし、今回は、ウクライナ正規軍の地上部隊が、国境を越えてロシア領内のクルスクに公然と侵攻しました。

 プロパガンダ戦略として、ウクライナは自国と「世界の自由と民主主義」を守るために戦っている、あくまで防衛戦争なのだと位置付けてきたことと、ウクライナ軍がロシア領内に侵攻した、という事実の整合性がうまく取れなくなりました。

 両者が互いに相手領内に攻め入っての戦争ならば、他方が善、他方が悪、などと簡単に決めつけることはできず、ただただ力づくの戦闘が繰り広げられているだけのことです。

 そこにあるのは、善悪ではなく、強弱であり、勝敗だけです。

 もうひとつの問題は、ウクライナ軍によるクルスク侵攻の戦略的な目的が不明瞭だということです。いくつかの目的らしきものがあげられてきましたが、どれも達成が見込めません。

 侵攻当初は、スジャの天然ガス施設を破壊し、ウクライナを通過するパイプラインによって、ハンガリーとスロバキアへと送られているロシア産天然ガス供給を止めることが目的ではないか、とも言われました。

 しかし、東欧への天然ガスパイプラインは、ウクライナ国内を通ってウクライナ国内のウシュゴロドに集められてから東欧に送り出されます。

 ウクライナを支持しない東欧諸国に対して嫌がらせをするならば、わざわざリスクをおかして、ロシア領内に進軍し、スジャでその進軍を停止する理由はありません。

 ウクライナ軍側は、ロシア領内に緩衝地帯を作り、ウクライナのドンバス地方で戦うロシア軍の兵站を混乱させ、ウクライナへの攻撃を阻止することが目的だと表明しています。

 事実、ウクライナ軍は、ウクライナとの国境地帯にあるロシア軍基地(特に航空機基地)に攻撃をかけています。しかし、ウクライナ軍はドンバスで必死の攻防戦をしている部隊までクルスク侵攻に振り向けており、むしろ、自軍のドンバス戦争を不利にしています。

 また、そこには「政治的な目的」があるのだ、という指摘もあります。

 今年の11月に行われる米国の2024大統領選挙で、「選挙に勝ったら即座にウクライナ紛争を停止させる」と宣言しているトランプ氏が勝利した場合、突如としてウクライナへの支援が細り、停戦交渉や和平交渉が進む可能性があります。

 その際に、少しでもロシア領を占拠しておけば、領土交渉を有利に運べるという計算がある、というのです。

 しかし、交渉という意味では、占拠している「面積」から見ても、まったく不足しています。占領している地域の「戦略的価値」も高いとは言えません。

 さらに、現在、ウクライナ軍が「支配している」と主張している占領地域を交渉まで死守しなければなりません。それには、膨大な戦力やエネルギーの投下が必要で、その見通しは決して明るくはありません。

 『責任ある国家運営』に回答を寄せた10名の有識者も、ウクライナ寄りかどうかはそれぞれ、違いがあるとしても、ウクライナ軍によるクルスク侵攻の目的とその賞賛については懐疑的です。

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■【本日のニュースの一撃】

■【第1弾 なんと、米国民主主義(アメリカン・デモクラシー)に限らず、世界の民主主義の基本中の基本である、選挙による平和裡の政権交代を、バイデン大統領が疑問視!】

 とんでもないニュースが舞い込んできました! なんと、米国民主主義(アメリカン・デモクラシー)に限らず、世界の民主主義の基本中の基本である、選挙による平和裡の政権交代を、バイデン大統領が繰り返し疑問視したのです!

 8月8日付『CNN』は、「バイデン大統領は7日、トランプ前大統領が11月の大統領選に敗北した場合に平和的な政権移行が行われるとは確信していないと語った」と報じたのです!

※トランプ氏が敗北した場合の平和的な政権移行、「確信ない」 バイデン氏(CNN、2024年8月8日)
https://www.cnn.co.jp/usa/35222544.html

 その理由を、同日付『CNN』はこう報じています。

 「トランプ氏は3月、自身が今回の選挙で負けたら、米国の自動車業界と国は血の海になると警告した。バイデン氏とその陣営はすぐにこの発言を取り上げ、トランプ氏が政治的暴力を扇動していると主張した。

 バイデン氏は長い間、トランプ氏が負けても選挙結果を受け入れる可能性は低いと警告してきた」。

 他方、8日付『AFPBB』は、『CBSテレビ』の7日のインタビューで、バイデン氏が、「大統領選後の2025年に平和的な権力移行が行われると思うか?」との質問に対して、「仮にトランプが負ければ、まったく確信が持てない」と回答したと伝えています。

 さらに、「『彼(トランプ氏)は言ったことを本気で考えている。我々は真剣に受け止めていないが、彼は本気だ』と語った」と続けています。

※「トランプ氏敗北」時の平和的権力移行に確信ない バイデン氏(AFPBB、2024年8月8日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3533175

★イスラエル支援と対中国への厳しい姿勢は、トランプ氏もバイデン氏とハリス氏も、どちらの陣営も同じなので、大きな違いはウクライナです。

 つまり、バイデン氏の発言は、一見、トランプ氏の側に、暴力扇動があり、平和的な政権移行を行わない用意があるとして、民主主義を擁護する観点から、トランプ氏を非難しているように取れます。

 しかし、ユーラシアにおける対ロシア代理戦争という観点で見ると、トランプ氏が大統領選に勝利することで、この戦争を途中で止めることは許さないという話になってきます。

 11月5日の大統領選挙で、ハリス氏が勝っても、トランプ氏が勝っても、平和的な政権移行はできないのではないかと懸念されます。(IWJ)

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

 ご支援のほども、よろしくお願いします。

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https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240819

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也)

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