日刊IWJガイド「ウクライナ紛争に欧米日の対露制裁連合諸国が釘づけになっている間に、世界はパックス・アメリカーナ峻拒の方向へ動き出した!!」2023.6.13号~No.3925号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~ウクライナ紛争に欧米日の対露制裁連合諸国が釘づけになっている間に、世界はパックス・アメリカーナ峻拒の方向へ動き出した!! G20の輪番議長国であるインドがゼレンスキー大統領の招待を拒否! さらにインドはNATOプラスへの加盟の誘いも一蹴! サウジアラビアのサルマン皇太子は米政権とは今後つきあわないと語ったことが明らかに! 米国覇権の2大源泉である軍事支配とドル基軸通貨制度から離れる動きが急加速!

■IWJは緊急事態が続いています! 5月のご寄付額は182万3000円でした! 5月の月間目標額の47%、207万7000円の不足でした! IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から5月まで10ヶ月間の累積の不足額は、1868万2900円となりました! 6月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成し、また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします! 新規の会員登録、会員の再開もお待ちしています!

■「アメリカが、やっとやっと…変わりつつあります」ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!

■【中継番組表】

■本日のニュースの連撃! 7連弾!! ウクライナが反転攻勢で初戦果!?「債務上限合意は本当の問題を無視している」! タッカー・カールソン、ツイッターでの新番組で、ウクライナのカホフカ・ダム破壊ロシア犯行説を疑問視! NATO軍投入の計画が明らかに!「特別軍事作戦」は終了し、「戦争」が始まる!! ほか
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■はじめに~ウクライナ紛争に欧米日の対露制裁連合諸国が釘づけになっている間に、世界はパックス・アメリカーナ峻拒の方向へ動き出した!! G20の輪番議長国であるインドがゼレンスキー大統領の招待を拒否! さらにインドはNATOプラスへの加盟の誘いも一蹴! サウジアラビアのサルマン皇太子は米政権とは今後つきあわないと語ったことが明らかに! 米国覇権の2大源泉である軍事支配とドル基軸通貨制度から離れる動きが急加速!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 日刊IWJガイド6月12日の「ニュースの連撃第10弾」でもお伝えしましたが、G20の輪番議長国であるインドは、9月9日、10日にニューデリーで開催予定の年次首脳会議にウクライナのゼレンスキー大統領を招待する予定はない、と明らかにしました。

※【第10弾 RT、9日】インド、ゼレンスキー氏のG20招待を拒否し世界的地位を主張。(日刊IWJガイド、2023年6月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230612#idx-6
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52384#idx-6

※India asserts global standing as it denies Zelensky a G20 invitation(RT、2023年6月9日)
https://www.rt.com/india/577746-zelensky-denied-g20-invitation/

 このニュースが、地味ながら衝撃的なのは、5月のG7議長国の日本の岸田文雄総理が、直前まで、秘密裏にゼレンスキー大統領の招待計画を進め、サプライズでG7に招いたことと対照的な点です。

 言うまでもなく、この秘密招待計画は、ゼレンスキー大統領の意向だけでなく、米国の意向を反映したものです。米国に忖度した、と言ってもいいでしょう。

 米国も、G20サミットの主要構成国です。

 米国の意向は、日本は忖度しても、インドは忖度しないのです。

 G20には、米国の意向が通用しない国家が、インド以外にも、中国、ロシア、サウジアラビア、ブラジル、南アフリカなどがあります。トルコ、アルゼンチン、インドネシアも、議題によっては、米国の思い通りにはいかないでしょう。

 G20は、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国の19ヶ国と欧州連合(EU)で構成されています。

 しかも、G20メンバーは、世界のGDPの約85%、世界貿易の75%以上、世界人口の約3分の2を占めています。現代の、国際社会の縮図となる国際会議は、G7ではなくG20です。

※G20について(インド外務省、2023年6月12日閲覧)
https://www.g20.org/ja/about-g20/#overview

 さらにもうひとつ、インドは米国中心の軍事ブロックに入らないかという誘いを一蹴し、世界最強の米軍の旗の下に集わないという国家意志を鮮明にしました。

 米国がインドを「NATOプラス」に引き込みたいという考えを示したことを受け、インドのジャイシャンカル外相は8日の記者会見で、「NATOプラスに参加するつもりはない」「NATOのテンプレートはインドにはふさわしくない」などと述べて拒否したのです。『Record China』が報じています。

※インド、米国からの提案を拒否「NATOプラスに参加するつもりはない」―中国メディア(Record China、2023年6月12日)
https://www.recordchina.co.jp/b915526-s25-c100-d0192.html

 NATOプラスとは、NATO(北大西洋条約機構)加盟31カ国にオーストラリア、ニュージーランド、日本、イスラエル、韓国の5カ国を加えた安全保障協定のこと。

 米国はここに、インドを加えようとしたのですが、お断りされた、ということです。これでは、インドを含めた、米国、オーストラリア、日本の4カ国を「クアッド」と呼び、「中国包囲網」にしようとしても、インドが従わないことは明らかです。

 モディ首相は、6月下旬に訪米する予定です。バイデン大統領との会談で両者が何をどう話しあうのか、要注目です。

 米国が単独覇権国家たりえたのは、その支配国に対して、軍事同盟とドル基軸通貨体制で支配を及ぼしてきたからです。

 G20の存在感の高まりと、G20議長国のインドが米国とウクライナの意向を一蹴したこと、そしてインドのNATOプラス参加の拒否は、すでに米国が世界の単独覇権国家ではなくなりつつあることを、証拠立てる「事件」だといえます。

 G20を中心に、米国の世界支配の2つの源泉である軍事同盟とドル基軸通貨体制から離脱する動きが急速に広がっていることを、これまで、IWJはたびたびお伝えしてきました。

 かつて米国の中東における軍事同盟国で、ペトロダラー体制と呼ばれる、米国に石油を売った金で、米国国債を購入し、ドルを循環させて、米国経済を支えるシステムを担ってきたサウジアラビアも、米国の支配から離脱することを明確に決定した国家の一つです。

 6月8日付『ワシントン・ポスト』は、ペンタゴンからの漏洩した機密文書『ディスコード文書』を引用して、「サウジ皇太子、石油をめぐる摩擦の中、米国に『大きな』経済的苦痛を与えると脅す」という記事を配信しました。

 副題は、次のとおりです。

 「ディスコード・リークス:バイデン大統領が昨年石油生産を削減したサウジアラビアに『結果』を課すと宣言した後、モハメド・ビン・サルマンは内々に関係を絶ち、経済的に報復すると脅したと、米国の機密情報文書に書かれている」

※Saudi crown prince threatened ‘major’ economic pain on U.S. amid oil feud(ワシントン・ポスト、2023年6月8日)
https://www.washingtonpost.com/national-security/2023/06/08/saudi-arabia-cut-oil-production/

 脅す、という言葉は穏やかではありません。それに世界最強の軍隊をもつ米国が、他の国から「脅された」などということがありえるでしょうか?

 これは『ワシントン・ポスト』紙の見出しのつけ方がセンセーショナル過ぎたものと思われますが、同時に、米国全体が、国際社会における自分たちの地位が脅かされているという不安の表出ともみなすことができるでしょう。

 『ディスコード文書』に記されたサルマン皇太子の本音は、サウジアラビアにとって、軍事的にも経済的にも、すでに米国は怖い国家ではない、ということでしょう。

 8日付の『ワシントン・ポスト』の本文は、見出しとは一線を画して、米国とサウジアラビアの関係が悪化している、というショッキングな現実を、できるだけ緩和する方向で書かれています。

 「昨年秋、バイデン大統領は、エネルギー価格の高騰と米国の選挙が間近に迫る中、石油の減産を決定したサウジアラビアに『結果』を課すことを宣言した。

 公的には、サウジアラビア政府は、外交声明を通じて、自分たちの行動を丁重に擁護した。しかし、『ワシントン・ポスト』が入手した機密文書によると、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、私的に、石油減産に対して米国が報復した場合、数十年にわたる米国とサウジの関係を根本的に変え、米国に大きな経済コストを課すと脅した。

 皇太子は『もう米政権とはつきあわない』と主張し、『ワシントンに大きな経済的影響を与える』と約束したと文書には書かれている。

(中略)

 国家安全保障会議の報道官は、『サウジアラビアによる、そのような脅威を認識していない』と述べた。

 『一般的に、このような文書は、しばしば、ある瞬間のスナップショットを表すに過ぎず、全貌を提供することはあり得ない』と、この関係者は、情報案件を議論するために匿名を条件に語った。

 『米国は、この地域の重要なパートナーであるサウジアラビアと協力し、相互の利益と、世界と相互接続した、より安全で安定した、豊かな地域という共通のビジョンを推進し続ける』と、この当局者は付け加えた。

 在ワシントン・サウジアラビア大使館は、コメントの要請には応じなかった」

 この8日付の『ワシントン・ポスト』の記事で注目すべきは、米国とサウジアラビアの関係が悪くないと言っているのが、「米国の当局者」だけで、「在ワシントン・サウジアラビア大使館は、コメントの要請には応じなかった」点です。

 サウジアラビアは、中露との軍事同盟を強化し、中国との石油取引も、基軸通貨ドルから離れ、人民元決済で行い始めました。

 昨年の12月9日には、サウジアラビアと中国が初めて人民元によるクロスボーダー取引(米ドルを介さない取引)を行ったことが発表されました。

※中国とサウジで初のクロスボーダー人民元決済(人民日報、2022年12月10日)
http://j.people.com.cn/n3/2022/1210/c94476-10182418.html

 今年の1月17日には、サウジアラビアのジャドアーン財務相が、現在ドル建てで決済されている取引も、今後はドル以外の決済通貨(ユーロ、もしくはサウジ・リヤル)を使った石油貿易決済にする話し合いに、サウジはオープンな姿勢で臨むことを明らかにしています。

※ドル以外の通貨での石油貿易決済、サウジはオープン-財務相(ブルームバーグ、2023年1月17日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-18/ROMN9WDWX2PS01

 さらに、外交面でも、安全保障面でも、雪崩を打ったように大きな変化がたて続けに起きています。

 ついこの間まで、長年の仇敵同士だったサウジアラビアとイランが、3月10日に中国の仲介により外交関係を正常化したことは、IWJだけでなく、主要メディアも大きく報じました。

 地殻変動のような変化は、この両国の和解だけではありません。

 カシミール地方の領有権を巡り、インドとパキスタンは対立を続けてきた歴史があります。しかも、インドもパキスタンも大国というだけでなく、両国とも核保有国なのです。第2次大戦後の世界で、史上2度目の核兵器の使用が行われるのは、インドとパキスタンの対立がエスカレートした時だろうと言われてきました。

 そんなインドとパキスタンに、にわかに雪解けの気配が出てきたのです。

 5月4、5日にインドで開かれた上海協力機構(SCO)外相会議に、パキスタンのブット外相が出席したのです。

※地域安保で連携強化 上海協力機構の外相会議―インド(JIJI.COM、2023年5月5日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023050500430&g=int

 インドのジャイシャンカル外相は、閉会後の記者会見で、パキスタンのブット外相を「テロ産業の推進者であり、広報担当者だ」と表現するなど、すぐに、全面的な「雪解け」に至ったとは言えないまでも、12年ぶりに、パキスタンの外相がインドを訪問したことは、国際政治に大きな地殻変動が起きていることを示しています。

 上海協力機構は、その名称に「上海」と冠されているように、中国が事実上のリーダーと目されている協力機構です。インドとパキスタンの対立を緩和しようという働きかけが、中国から行われてきたことは容易に想像されます。

 働きかけは、中国だけでは、おそらくないはずです。

 インドはロシアと軍事上の強いつながりがあり、パキスタンと中国は「鉄の同盟」で結ばれている、とまで言われてきました。

 中露間は、ソ連時代には厳しく対立してきた歴史がありますが、ロシアは今、西側から厳しい制裁を受けて、東のアジアの方向へ顔を向けています。

 中露関係はかつてないほど緊密な関係にあるという、中露双方の言い分は、美事麗句とばかりは言えません。中露が同盟関係を結ぶとき、それぞれの相方であるインドとパキスタンが不仲であれば、その距離は縮まらないでしょうし、西側からもつけ込まれる余地を残すでしょう。

 そこで中露がそれぞれ、相方に働きかけ、積年の敵対感情を抱く両国を握手させようとしたのではないか、と推察されます。事実、インドは米国からしきりに「こちらの仲間に入らないか」と誘いを受け、それにあわせてつきあっている風を装ってきました。

 外交・軍事・経済面の地殻変動は、中国とロシアとインド、そして中東の盟主であるサウジアラビア、BRICSに属する南米のブラジル、アフリカの南アフリカなどがからんで動き出しています。

 バラバラに見えたこうしたグローバルサウスの国々が、今、同じベクトルに向かっています。すなわち、米国の支配圏から、各国がほぼほぼ同時に、離脱する動きを加速しているのです。

 世界の中心に座しているかのようだったG7という座組みは、依然として米国中心の「特異」な存在になりつつあります。しかし、マクロン大統領率いるフランスは、中国に接近し、ウクライナ紛争の停戦を求め、米国中心の制度からの離脱をはかりつつあるように見えます。ドイツもいつか追随するかもしれません。ウクライナ紛争や対露制裁に対する不満が強いイタリアも、離れるかもしれません。

 そうなると、英米を中心としたファイブアイズ(米、英、豪、加、ニュージーランドの5カ国によるインテリジェンスを共有する同盟)と日本だけが取り残されます。

 この中でも、日本は、特異です。

 日米安保条約で米軍を駐留させ、軍事的支配下に置き、憲法の上位に日米地位協定と日米合同委員会という支配装置を置くことで、政治的に支配してきただけではありません。

 日本政府は、外国為替資金証券(外貨を買取るための円資金が不足する場合、それを補うために発行される)を発行し、国債の累積残高を増加させて、それによってドル建ての外貨準備を激増させ、その増えた外貨準備で米国債券を買い続けるという経済的な支配を受けているのです。米国に軍事・政治・経済の3重支配を受けているのが、日本という従属国の本当の姿なのです。

 米国単独覇権の解体は、それが解体の方向へ向かえば向かうほど、支配メカニズムの確立した日本支配を米国が強化する可能性が高いと考えられます。

 そのとき、日本は自らの内発的な力で、この国を自立へ向かわせることができるでしょうか?

 夏目漱石は、明治44(1911)年に行った、有名な「現代日本の開花」という講演において、明治維新後の日本の開化は、西洋のような内発的な開化ではなく、西洋の力によって外から無理やり押されて、外発的に起こった開化である、と述べました。

※『漱石文明論集』夏目漱石(岩波書店、1986)
https://www.iwanami.co.jp/book/b248828.html

 開化とは本来、内発的に進んでゆくものなので、無理な力による外発的な開化は不自然であり、人々の心理に影響をおよぼし、空虚感や不満などを抱えることになる。外発的な開化なのに、内発的であるような顔をするのはよくない。神経衰弱にならない程度に、内発的に変化してゆくことが解決策である、と漱石は締めくくりました。

 日本は今、戦後の平和主義国家から、米国との集団的自衛権のもと、在日米軍の下部組織として垂直統合された自衛隊が、米軍の指揮のもと、外国と、とりわけ中国とロシアを敵対視して、戦う国になろうとしています。この変化は内発的な変化ではなく、米国から押しつけられた外発的な変化です。

 敗戦後の武装解除も、占領軍に押しつけられた外発的な変化でした。しかし、その時代の変化は、誰でも理解できました。しかし、このたびの変化は、外発的な変化であると、日本国民の多くが、気づくことも、理解することもできずにいます。

 自覚もできないようであれば、米国の支配力に抵抗して、外発的に強いられた変化を断ち切り、日本がサバイバルできるような内発的な変化に切り替えられるでしょうか?

 できなければ、相当な困難が待ち受けることでしょう。

 中国の仲介で、中東において、サウジアラビアとイランが和解して、「反米」でスクラムを組み、さらに石油を運ぶインド洋上のシーレーンに関して、対立していたインドとパキスタンが和解して、中国中心の上海協力機構に本格的にコミットすれば、中東の湾岸から輸出された石油は、インド洋でも中国の「同盟国」に守られ、無事、中国に輸入されることになるだろうと、近未来の構図が見えてきます。

 米国や日本が、インドを抱き込んだ上で、「インド太平洋における中国包囲網」を形成するなど、夢のまた夢と雲散することでしょう。

 日本が米国への恭順を続けて、反中国、反ロシアという態度をむやみに先鋭化させていけば、中国を敵に回すだけでなく、ロシア、インド、パキスタン、サウジ、イランをも敵に回すことになります。

 日本は、輸入する石油の9割を中東に依存しています。中東産油国が米国の同盟国である日本に石油を売らなくなり、シーレーンでもインド洋における航行の安全が保証されなくなったら、日本は戦時だろうが、平時だろうが、お手上げです。

 この現実を、日本国民が直視して、自分たちが無理に押しつけられた外発的な変化で、米国の「代理戦争」を戦うはめになると気がつき、この外発的な変化を断ち切らねば、日本は東アジアにおける「第2のウクライナ」となってしまうでしょう。

 それは、なんとしても避けなければなりません。

■IWJは緊急事態が続いています! 5月のご寄付額は182万3000円でした! 5月の月間目標額の47%、207万7000円の不足でした! IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から5月まで10ヶ月間の累積の不足額は、1868万2900円となりました! 6月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成し、また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします! 新規の会員登録、会員の再開もお待ちしています!

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 6月に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、残り2ヶ月を切りました。

 5月のご寄付額の集計が確定致しましたので、ご報告いたします。5月のご寄付額は31日間で、122件、182万3000円でした。月間目標額の47%にあたるご寄付をいただきましたが、残念ながら月間目標額に届かず、月間目標額の53%、207万7000円の不足となりました!

 厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました!

 しかしながら、今期第13期5月末までの累積の不足額は、1868万2900円となりました。この累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 6月は12日までの12日間で、54件、117万8000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます!

 ぜひ、皆さま、今月6月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 また、現状の会員数をお知らせします。

 5月末時点での会員総数は2648人(前年同日比:1113人減)でした。会員の方々の会費と、ご寄付が、IWJの運営の二本柱です。ご寄付も、連日お伝えしているように、目標額を下回っていますが、会費も減少しています。

 経営は本当に赤字が連続し、厳しい運営状況が続きます。

 どうぞ、皆さま、IWJを知人・ご友人、地域の皆さまへIWJの存在をお知らせいただき、独立系メディアの意義と、米国に忖度する大手主要・メディアの「情報操作」の恐ろしさについて、広めてください。

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。近いうちに、また私がIWJにつなぎ融資をしなければならない見込みですが、本当に貯金が底を尽きます。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
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店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

 岩上安身

■「アメリカが、やっとやっと…変わりつつあります」ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!

 IWJにご寄付をいただいた皆さまから、応援・激励のメッセージをいただきました。ありがとうございます! ここに感謝を込めてご紹介させていただき、岩上安身がご回答させていただきます!

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 以下は、ロバート・ケネディ・ジュニア氏が大統領予備選立候補発表後に行ったボストン・スピーチをIWJが全文を仮訳し、お届けしている【IWJ号外】へのご返信です。このスピーチの全文仮訳は、今後も続きます。

※【IWJ号外】ロバート・ケネディ・ジュニア氏が大統領予備選立候補発表後に行った、歴史的なボストン・スピーチをIWJが全文仮訳!(第1回)米国最良の精神は、アメリカ独立戦争の精神だった! 2023.5.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516183

※【IWJ号外】ロバート・ケネディ・ジュニア氏が大統領予備選立候補発表後に行った、歴史的なボストン・スピーチをIWJが全文仮訳!(第2回)企業権力と国家権力の癒着が「分断」を生む! 2023.6.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516354

「岩上 様

 こんにちは。毎日毎日のニュース配信は、さぞ大変なことと拝察致します。ありがとうございます。

 岩上様のご努力の結果であるニュースを、私なりに最大限広めたく、京都、滋賀県の平和の運動をしている人たちに拡散しているのですが、一度許可をいただいた方が良いのかなと思いますので、添付させていただきます。

 お目通しを、お願い致します。

(京都 島津 様)」

 以下は、島津様が拡散していらっしゃるという、メール文面です。ご許可を得て、掲載いたします。

 「皆さま

 こんにちは。

 アメリカが、やっとやっと…変わりつつあります。

 この80年間、世界中で戦争の原因をつくり、紛争の種火に油を注ぎ大火事にし、そして世界の警察と称して介入する!

 この悪どさ極まりないアメリカの所業に、やっとやっと! 声を上げる連邦議会議員が現れました(IWJ注・ケネディ氏は民主党員ですが、議員ではありません)。

 「ロバート・ケネディ・ジュニア」氏が大統領予備選立候補発表後に行った、歴史的なボストン・スピーチをIWJが全文仮訳!「企業権力と国家権力の癒着が「分断」を生む!」

 アメリカが起こすほとんど全ての戦争は「企業権力と国家権力の癒着」が原因かと思います。

 この悪の枢軸の構図にメスを入れることができるのか?

 まだ、これからどうなるか? 未知数です。彼の勇気を世界中の人々が応援しなければならないと思います。

 これは、アメリカだけの話ではなく、G7先進国の…そして日本の現在進行形の話です。

 人間とは闘争の動物だ! と言われますが、「人間界」からでき得る限り「戦争」を無くしたい!

 これからの数年間の趨勢が、大きな分かれ道となりますね。

 ゴルバチョフ大統領が10年前に「このまま世界が、パックス・アメリカーナ」だとしたら世界そのものが存在しなくなる」と警告しています。ウクライナ戦争には、裏の裏があるようです。

 政治の裏は闇です。世界を牛耳るグローバル企業権力と国家権力の癒着!がつくる暴力に抗するには、78億の圧倒的多数の民衆が戦争の真実を知らなければなりません。それこそが、戦争を止める力になると信じます。

 権力に怯まず、真実を見抜き報道する貴重なジャーナリストIWJ岩上安身さん、政治塾主宰田中良紹さん、末浪靖司さん(5.3憲法集会講師)などへの応援をよろしくお願い致します。

 私たちにできることは、共有し、拡散し、声を上げること。

 どうか、共有、拡散をお願い致します」

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島津 様

 ありがとうございます!

 こうして、IWJを身近な人たちに、紹介してくださり、とてもありがたく思っています。

 ウクライナ紛争は、とても大きな姿見の鏡のように、私たちの姿を映し出しています。米国に隷従している者は、まるで何も考えない奴隷のように映し出され、紛争までに至る歴史を踏まえ、時代の流れを読んで動く者は、賢明な姿に映し出されています。

 かつてG7から見て、愚鈍で、貧しくて、ウスノロ扱いをされ、見下されてきたグローバルサウスの国々が、今、まったく別の姿を見せて成長を遂げつつあります。

 日本のマスメディアは、そうした21世紀の現実も、その未来も映し出そうとしていません。日本のマスメディアの基底にあるものは、G7は相変わらず「先進国」であり、国際社会の中心にあって、リーダーシップをとる。グローバルサウスの国々は、G7のリーダーシップに、これまで通り、従わざるをえないのだ、といううぬぼれです。岸田政権も、そうした古くさい思い込みの塊です。

 これは、明らかな見当違いです。

 日本はエネルギー資源に恵まれず、食料自給もできない島国です。海上封鎖で海路を絶たれたら、戦争どころか、日常の経済活動もストップし、多くの人々が餓死してしまう国です。

 海で他国と隔てられているので、ウクライナ人が陸路でポーランドへ逃げたようなマネは、日本人にはできません。こうした条件を、嫌だと言って駄々をこねてもどうにもなりません。

 これが、日本という国の「宿命」なのです。しかし、そのような「宿命」を背負っていても、日本の行動次第で破滅に陥ることなく、「運命」を切り開くことができるはず、と私は信じています。島国で、貿易を継続的に必要とする日本は、近隣の他国と争うのではなく、自国のためにこそ、近隣との平和を積極的に求め、ロシアとウクライナがいがみあっているなら、一方に肩入れすることなく、間に入って停戦するよう両国を説得するべきなのです。

 米国の顔色をうかがい、へつらう従属国から、殻を破って、米国に対しても、そんな暴力的な介入はやめよう、平和を求めようと訴えかけ、説得するべきなのです。

 日本にとって米国は真の友人である、というなら、へつらうべきではありません。米国の中に残された「理性」に訴えるべきです。地上のジャイアンであり続けたいという、米国のエゴイスティックな欲望に、スネ夫のごとくつきあってはいけないと思うのです。

 私とIWJは、日本が自立し、同時に米国が、地上で唯一の「帝国」であり続けようとするのを諦め、「小米国主義」に落ち着いて、グローバルサウスの国々とも平和共存することを望んでいます。そうした希望を捨てずに、険しい現実を見すえ続け、日々の報道と論評にあたりたいと思います。

 どうぞ今後とも、ご支援をよろしくお願いします。

岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.6.13 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】12:00~「辺野古新基地建設断念を求める請願署名 国会提出に向けた院内集会― 登壇:稲嶺進氏(オール沖縄会議共同代表)、高里鈴代氏(同共同代表)、福元勇司氏(同事務局長)ほか」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「オール沖縄会議」、「国会請願署名実行委員会」主催の院内集会を中継します。これまでIWJが報じてきた辺野古関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e8%be%ba%e9%87%8e%e5%8f%a4
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【IWJ・Ch5】14:30~「林芳正 外務大臣 定例会見」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 林芳正外務大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた外務大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%a4%96%e5%8b%99%e5%a4%a7%e8%87%a3

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◆中継番組表◆

**2023.6.14 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】18:30~「『平和と暮らしを破壊する軍拡・原発・増税まっしぐら 岸田悪政にNO!NO!NO!―そうだ、選挙に行こう!政策連合大集会―』―登壇:鳩山由紀夫氏(元首相)、孫崎享氏(元外務省国際情報局長)、鈴木宣弘氏(東京大学教授)、鈴木エイト氏(ジャーナリスト)、樋口英明氏(元福井地裁裁判長)」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「政策連合(オールジャパン平和と共生)」主催の集会を中継します。これまでIWJが報じてきた防衛費関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e9%98%b2%e8%a1%9b%e8%b2%bb

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

(更新)東京都下の水道水が危ない! 米軍と自衛隊の基地による汚染か!? 多摩地域住民650人中、半数以上から健康リスクのある高濃度血中PFASを検出!~6.8「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」記者会見 ―原田浩二 京大准教授ほか
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516456

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■本日のニュースの連撃! 7連弾!! ウクライナが反転攻勢で初戦果!?「債務上限合意は本当の問題を無視している」! タッカー・カールソン、ツイッターでの新番組で、ウクライナのカホフカ・ダム破壊ロシア犯行説を疑問視! NATO軍投入の計画が明らかに!「特別軍事作戦」は終了し、「戦争」が始まる!! ほか

【第1弾 BBC、12日他】ウクライナが反転攻勢で待望の初戦果、東南部の4つの集落を奪還!

 ウクライナ当局者は12日、ドネツク州のストロジョフ上空で「国旗が再びなびいている」と報告しました。

 ウクライナが奪還したとされるのは、ストロジョフ近郊のマカリフカ、ブラホダトネ、ネスクチネの4つの集落。

 親ウクライナのアカウントが共有するSNS上には、ブラホダトネで軍隊がウクライナ国旗を掲げる様子が映されています。

 また、州国境警備隊は、キエフ軍が「ドネツク地方のネスクチネは再びウクライナの国旗の下にある」と発表しました。

 ハンナ・マリアール国防副大臣は『テレグラム』で、ウクライナ軍がマカリフカ村も占領したと主張しました。

※Ukraine counter-offensive: Kyiv says it has liberated villages in Donetsk region(BBC、2023年6月12日)
https://www.bbc.com/news/world-europe-65873831

※ウクライナ軍、南東部で4つめの集落を奪還 激しい戦闘続く(ロイター、2023年6月12日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-offensive-idJPL4N3841BY

★ウクライナ軍の「反転攻勢」の戦果が、初めて報じられました。ロシアメディアの多くは、このウクライナ側の「戦果」について言及していませんが、『イズベスチャ』は11日、ウクライナ軍がザポリージャ州からドネツク州のバフムト近郊までの約200kmの戦線の3ヶ所から攻撃をかけ、ロシア軍の防衛戦の弱点を探っている、と報じました。

※В Запорожской области заявили о попытках атак ВСУ на трех направлениях(ザポリージャ地方でAFUの攻撃が3方向から試みられたと発表)(イズベスチャ、2023年6月11日)
https://iz.ru/1526915/2023-06-11/v-zaporozhskoi-oblasti-zaiavili-o-popytkakh-atak-vsu-na-trekh-napravleniiakh

 ウクライナ軍の反転攻勢の「最初の戦果」とされる4村落の奪還、つまりロシアの防衛線の突破ですが、ウクライナ側はこれを手放しで喜んでいいものか、一考する必要がありそうです。

 『フィガロ』は12日、「ウクライナ軍は3つの軸で攻撃をはじめた」と報じました。戦線の東から西へ、1つ目がバフムート近郊の軸、2つ目はヴェリカ・ノヴォシルカ村からマリウポリに向かう軸、3つ目はザポリージャ南東からドニエプル川沿いのトクマクとメリトポリに向けて進撃する軸です。

 3つ目の軸、トクマク周辺では、「レオパルト」や米国供与の歩兵戦闘車「ブラッドレー」などが破壊されている動画をロシア側が公開しており、ウクライナ軍は惨敗したと見られています。

※Contre-offensive: les forces ukrainiennes attaquent sur trois axes(Le Figaro、2023年6月12日)
https://www.lefigaro.fr/international/contre-offensive-les-forces-ukrainiennes-attaquent-sur-trois-axes-20230612

 ウクライナ軍の目的は、南下してアゾフ海まで道を開きロシアからクリミアやヘルソン州への供給路を分断すること、そしてゼレンスキー大統領が繰り返し表明してきたように、クリミアを奪還することだと見られています。

 しかし、ロシア側もクリミアへの南下経路には3重の防衛線を構築しているとされています。

 ウクライナ軍が「最初の戦果」をあげたのは、3つの軸の中央、ヴェリカ・ノヴォシルカ村からマリウポリに向かう軸でした。これを英国防省は「ロシアの防衛線の突破」と評価しましたが、長い戦線の「弱点」を突いて、防衛線の中央の奥深くへと入り込めば、両脇、または4周から包囲されてしまう危険性も高まります。戦線であえて弱い部分を作っておき、敵を誘い込んで挟み撃ちにするのは、古典的な戦術でもあります。

 「ロシア軍の抵抗はあまりなく、ウクライナ軍は容易に4村落を奪還した」という説もあります。現在のところ、これが、ロシア軍の「罠」ではないという保証はありません。もうしばらく、「最初の戦果」の行方を注意深く追ってゆく必要がありそうです。(IWJ)

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【第2弾! ヒル、10日】アームストロング・ウイリアムズ氏「債務上限合意は本当の問題を無視している」

 債務上限を2年間停止する債務上限合意は、根本的な問題は未解決のままです。

 債務上限の危機は、米国政府の浪費によって国家債務が31兆ドルを超えて急増し、記録的な低金利にもかかわらず、1兆ドルに近い維持コストが発生したことによって引き起こされました。

 議会予算局は、国家債務が今後10年末までに50兆ドルという驚異的な額に達すると予測しており、財務省証券の金利が歴史的平均にまで上昇すれば、連邦予算の大部分が債務の維持費の支払いに充てられることになります。

 その一方で、国家安全保障支出の増大は、ウクライナへの際限のない武器支援にみられるように、制御不能となっています。

 わずか14年以内に、給付金の支払いに必要な社会保障信託基金が枯渇すると予測されています。

 米国の財政危機は、日に日に増しています。日本と同じく、人口の高齢化が進み、新しい世代に法外な経済的負担が課せられています。1960年には、社会保障受給者1人当たりの労働者数は5.1人でしたが、現在2.8人まで低下しています。

※The debt ceiling deal ignored the real problem(The Hill、2023年6月10日)
https://thehill.com/opinion/white-house/4042853-the-debt-ceiling-deal-ignored-the-real-problem/

※Social Security trust funds depletion date moves one year earlier to 2034, Treasury says(CNBC、2023年3月31日)
https://www.cnbc.com/2023/03/31/social-security-trust-funds-depletion-date-moves-up-to-2034.html

※Hospital Insurance Trust Fund solvent until 2031, Medicare trustees project(AHA、2023年3月31日)
https://www.aha.org/news/headline/2023-03-31-hospital-insurance-trust-fund-solvent-until-2031-medicare-trustees-project

★(IWJ)西側先進諸国はどこも少子高齢化に悩まされ、高齢者を支える社会保障費の増大と、年々数が少なくなる若年層の負担増で、悩まされています。

 日本はその中でも、最も少子高齢化のスピードが早い国のひとつと言われてきました。

 対照的に、西側先進諸国の中で、米国は人口危機とは無縁といわれてきました。

 ひとつには、若い移民を大量に受け入れることが可能な国であること。

 また、戦後の第1次ベビーブームが長く続いた米国(日本は中絶を事実上合法化したため、3年で第1次ベビーブームは終わった)は、生産年齢人口が分厚いこと。

 また、合計特殊出生率(1人の女性が生涯のうちに何人の子どもを産む数)が先進国の中で唯一、人口を維持することができる水準(人口置換水準)をクリアしていることなどが、その理由でしたが、実際には、第1次ベビーブーム世代の多くが年金生活に入ると、人口ピラミッドは日本同様、均整がとれなくなってきたようです。

 日本は財政危機にしても、人口危機にしても、米国の現状を笑うことはできませんが、米国に頼っていれば大丈夫、という「親分まかせ」の子分思考では、もはや立ちゆかないのも事実です。(IWJ)

【第3弾! RT、8日】タッカー・カールソンの初の独立ショーは、体制に対する新たな挑戦である

 『フォックス・ニュース』に別れを告げてから数週間後、タッカー・カールソンは「タッカー・オン・ツイッター」という適切なタイトルの新シリーズでツイッターに再登場しました。

 カールソン氏の最初のエピソードは、ウクライナのカホフカ・ダムの破壊を中心としたもので、なんと1億回以上の再生回数を記録しています。

 カールソン氏は、ロシアが支配する領土内に、カホフカ・ダムが位置していることを考えると、ロシアはダムの破壊で失うものの方が大きかったと指摘。当初はロシアによる破壊であったと、西側メディアによって主張されたにもかかわらず、現在ではウクライナ人の仕業だと信じられているノルドストリーム・パイプラインの破壊との類似点を示し、一般的なメディアの言説に異議を唱えました。

※Tucker Carlson’s first independent show is a new challenge to the establishment(RT、2023年6月8日)
https://www.rt.com/news/577732-tucker-carlson-twitter-show/

★タッカー・カールソン氏の日本版は、マスメディアの著名キャスターの中からは1人も出てこないようです。

 報道ステーションのメインキャスターを降板させられた古舘伊知郎氏は、その降板当時は、反権力的な報道を貫いたため、権力からキャスターの座を引きずりおろされたのではないかと噂されたものでした。

 しかし、古舘氏自身がYouTubeで始めた時事的なニュース解説番組では、積極的にウクライナ紛争を取りあげ、そこで、大手マスメディア以上に、過剰にロシアを敵視し、ウクライナと米国に肩入れした、偏向した情報発信を行い続けています。自由に情報発信できるYouTubeなのに、タッカー・カールソン氏とは、まったく真逆の方向へひた走っているのです。

 我々は、古舘氏をかいかぶり過ぎていたのでしょう。タッカー・カールソン氏が、今日のカホフカ・ダムの破壊について、ロシアが破壊することに何のメリットがあるのか? という観点からロシア犯行説を否定し、同様の側としてノルドストリームの爆破について、今はウクライナ犯行説が濃厚となっていることをあげています。

 タッカー・カールソン氏と同じ視点に立つ我々としては、ここにザポリージャ原発の攻撃について、さんざん流布されたロシア犯行説のウソもつけ加えたいと思います。

 ロシア軍が占拠している原発に、別のロシア軍部隊が砲撃することなどありえないのに、あの時、ウクライナ政府の「ロシア軍が攻撃している」という発表を、西側各国の政府も各国のマスメディアも検証することなく、その発表を正しいものとしてたれ流しました。

 これも、今回のダム破壊とよく似た構図のデマです。ぜひ以下の記事もお読みください。

※はじめに~ウクライナのザポリージャ原発に「米国の機密性の高い核技術」が存在した! これは核兵器開発の技術なのか? Foxニュース元キャスターのタッカー・カールソン氏も言及した疑惑にIWJが独自検証!(日刊IWJガイド、2023年5月2日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230502#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52194#idx-1

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【第4弾! 英国防省、11日】6日のカホフカ・ダムの破壊により、クリミア半島への淡水の主要な給水源である北クリミア運河は、まもなく停止する

 北クリミア運河(NCC)は、カホフカ貯水池から水を引いていますが、9日までに貯水池の水位が流入口の水位を下回り、クリミアへの水の流入がまもなく停止する可能性が高まっています。

 これによって、ケルソン州南部とクリミア北部で利用可能な淡水が減少します。

 しかし、ロシア当局は、貯水池、水の配給、新しい井戸の掘削、ロシアからの水の入ったボトルの配送によって、住民の当面の水需要に対応するでしょう。

 氾濫したドニプロ川のロシア側とウクライナ側の両方のコミュニティは、安全な水へのアクセスが制限され、水を媒介とする病気のリスクが高まるという衛生上の危機に直面しています。

※Latest Defence Intelligence update on the situation in Ukraine – 11 June 2023.(Ministry of Defence UK、2023年6月11日)
https://twitter.com/DefenceHQ/status/1667768172907229188

★カホフカ・ダムを破壊したのはウクライナ軍であり、破壊の目的のひとつが、クリミアに水を供給する北クリミア運河を停止することだとするロシア側の主張を裏付けるような事実が、英国防省から出てきました。

 これは、我々やタッカー・カールソン氏が主張している、ウクライナ犯行説の可能性がさらに高まったことになります。

 しかし、なぜウクライナ政府は、自分が自国の領土だとして、取り戻したいと願うクリミアの、その現地の住民が苦しむようなマネをするのでしょうか? その謎は、ウクライナ紛争の前史を辿れば、ミステリーではありません。

 ウクライナのゼレンスキー政権にとって、取り戻したいのはウクライナの「領土」であって、国民ではありません。

 2014年のユーロマイダン・クーデターによって、親欧米政権が樹立されて以来、ウクライナ国内では、マイノリティであるロシア系住民への差別、弾圧、殺害が起き、その迫害に対する抗議への返答として「嫌ならば、ウクライナから出ていけ!」、「ウクライナには、ロシア人のいる場所はない!」という、イスラエルがパレスチナを占領した時に行なったのと同様の民族浄化を進めてきました。

 その延長線上に、ザポリージャ原発への攻撃も、今回のカホフカ・ダムの破壊もある、と考えれば、何も不思議ではありません。ウクライナ政府の民族差別主義は、ネオナチへの寛容にあらわれているように、きわめて危険なものです。(IWJ)

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【第5弾! スプートニク、11日他】ウクライナ軍が、黒海のロシア艦船に11日未明、攻撃を試みたが、失敗に終わった

 6月11日深夜、ウクライナは黒海で任務を遂行中のロシア艦船「プリアゾーヴィエ」に対し、高速無人艇6隻による攻撃を試みたものの、失敗に終わりました。

 セヴァストポリの南東300キロに待機していたロシア海軍艦艇の通常兵器によって、ウクライナのすべての高速無人艇が破壊されました。

 これまでの攻撃時と同じく、ウクライナ側が攻撃を行っている間、米空軍の戦略偵察機RQ-4B「グローバルホーク」が、黒海中央部の空域で偵察を行っていました。

 「プリアゾーヴィエ」は、黒海南東部を通る天然ガスパイプライン「トルコストリーム」と「ブルーストリーム」を守る任務に就いていました。

※ウクライナ軍 黒海のロシア艦船に11日未明、攻撃の試み=露国防省(スプートニク、2023年6月11日)
https://sputniknews.jp/20230611/11-16251975.html

※Kiev fails in attempt to attack Russian naval ship protecting Black Sea gas pipelines(TASS、2023年6月11日)
https://tass.com/defense/1630691

※Russia says Ukraine tried to attack Russian ship near major gas pipelines in Black Sea(Reuter、2023年6月12日)
https://www.reuters.com/world/europe/russia-says-ukraine-tried-attack-russian-ship-near-major-gas-pipelines-black-sea-2023-06-11/

★ウクライナ軍は、地上戦でも、ザポリージャからバフムートまで幅広い戦線に分散していますが、黒海でも「反転攻勢」をかけています。狙いは、パイプラインか、クリミアか。米軍はウクライナ軍の「お守り」をしているようです。しかし、失敗に終わったらしいこの黒海での攻撃について、毎日せっせと戦況報告を出している英国防省と、米国の戦争研究所は、今のところダンマリを決め込んでいます。(IWJ)

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【第6弾! イズベスチャ=MKRU、8日】NATO軍投入の計画が明らかに。「特別軍事作戦」は終了し、「戦争」が始まる

 元NATO事務局長、アナス・フォー・ラスムセンは、ウクライナ分割のための情報準備を始めています。彼は、ポーランド軍をウクライナに派遣する可能性について宣言しました。NATO加盟国の参戦は、もはや空想の話ではなくなりました。

 リヴィウ協定(2023年1月にゼレンスキーとポーランド、リトアニアの大統領が署名した宣言で、「ウクライナに強力な軍事、技術、防衛、人道、その他の支援を提供する」ことが規定されている)も、忘れてはなりません。

 ラスムセンは、リトアニアの首都ヴィリニュスでのNATO首脳会合で、「(事態が思わしくなければ)一部の国が個別に行動を起こす可能性は明らかだ」と述べて、ポーランドとバルト諸国の名前をあげました。

 そのための実質的な準備が進められており、「ウクライナの西側地域はEUに移管される」可能性があります。

 しかし、憂慮すべき不確実性もあります。ラスムセンは「戦場に軍隊を送る」という選択肢を語りました。ウクライナ軍が現在の攻勢を成功させることができなければ、それは実現しません。だからこそ、今行われている戦いは決定的なのです。

 米国はウクライナに対して、成功すればさらなる軍事支援を行う、成功しなければ自分たち(ウクライナ自身)の責任だと明言しています。ポーランドやバルト三国の人々は、米国の支援がなくなれば、争いに加わることはないでしょう。彼らは、すでに、事実上、自分たちのものとなっているウクライナ西部の地域にとどまるでしょう。

 そうでなければ、ロシア軍とNATO正規軍との衝突はほぼ避けられなくなります。これによって「特別軍事作戦」は終わり、「戦争」が始まります。そして、それがウクライナの分割を超えないのであれば、世界にとっては非常に幸運です。

※(NWOは終わり、戦争が始まる:NATO軍導入計画が明らかに)(イズベスチャ=MKRU、2023年6月8日)
https://www.mk.ru/politics/2023/06/08/zakonchitsya-svo-nachnetsya-voyna-raskryty-plany-po-vvodu-voysk-nato.html

★ウクライナ軍による「反転攻勢」の始まりを受けて、ロシア側からの厳しい見立てです。もし、ウクライナ軍の「反転攻勢」が成功しなければ、ウクライナを東西に分割する計画が進むのでしょうが、ウクライナ軍が戦果をあげて、そこに乗じる形で、ポーランドとバルト三国が参戦し、米国がさらに乗り出してくれば、もうロシア軍とNATO正規軍との正面衝突になり、「特別軍事作戦」という名前の「地域紛争」は、本格的な「戦争」となるでしょう。それはウクライナの東西分割では済まないだろう、というのです。昨日の日刊IWJガイドと合わせてお読みください。(IWJ)

※はじめに~ラスムセンNATO前事務総長が、「ビリニュスで開催されるNATOサミットで、ウクライナに具体的な安全保障を提供しない場合、ポーランドとバルト諸国が有志連合を組んでウクライナに派兵する可能性がある」と発言、エストニア首相は派兵を拒否! ~(日刊IWJガイド2023.6.12号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230612#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52384#idx-1

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【第7弾! ウォール・ストリート・ジャーナル、8日】複数の米当局者が「中国はキューバに諜報活動の拠点を設置し、見返りとして財政難にあえぐキューバに数十億ドルを支払うことで両国は基本合意に達した」と語った

 米南部フロリダ州から約160キロメートルに位置する社会主義国キューバに拠点を設置すれば、中国は多くの米軍基地のある米南東部全域の通信を傍受し、船舶の航行状況を把握できるようになる。

 バイデン政権は、自国の「裏庭」といえるほど近距離にあるキューバに中国が高度な軍事・情報収集能力を備える拠点を設立すれば、新たな脅威になるとみて警戒感を募らせている。

 長年、世界の主要国でキューバに最も近いのはロシアだったが、中国政府も同国との外交・経済関係を強化している。昨年11月にはキューバのミゲル・ディアスカネル大統領が北京で中国の習近平国家主席と会談した。

 米国が南シナ海上空や台湾への軍事支援を行い、台湾軍の訓練のために小規模な部隊を配置し、米海軍の船舶は台湾海峡を航行している。

 ワシントンのシンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」のシニアフェロー、クレイグ・シングルトン氏はキューバの諜報拠点について、中国に「米国の裏庭で同じことをする用意がある」ことを明確にしたとの見方を示した。

※中国、対米スパイ拠点をキューバに設置へ(ウォール・ストリート・ジャーナル)
https://jp.wsj.com/articles/cuba-to-host-secret-chinese-spy-base-focusing-on-u-s-d79fe0be

★(IWJ)ケネディ大統領時代の「キューバ危機」の再来を思わせるような記事です。早速『グローバル・タイムズ』は、「『ウォール・ストリート・ジャーナル』はいかにして、中国に対する『プロのデマ屋』になったのか?」という記事を出して、強く反発しました。

 『グローバル・タイムズ』は、「WSJは中国に関するデマを広める常習犯」であり、少し前にも「中国が『ウクライナの占領地域をロシアの一部』として承認することを提案した」というデマを流し、ウクライナのクレバ外務大臣は直ちにこの主張に反論したが、「WSJは虚偽の告発に対して責任を負わず、代償も支払わず、米国世論を煽っている」と強く批判しています。

※Why has WSJ become a ‘professional rumormonger’ against China?: Global Times editorial(Global Times、2023年6月10日)
https://www.globaltimes.cn/page/202306/1292317.shtml

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、六反田千恵、前田啓)

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