日刊IWJガイド・非会員版「イエレン米財務長官が『早ければ6月1日にも米政府は債務不履行(デフォルト)に陥る』と表明!『経済、金融的な大惨事』になると警告も!!」2023.5.3号~No.3884号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~イエレン米財務長官が「早ければ6月1日にも米政府は債務不履行(デフォルト)に陥る」と表明! 1月の債務法定上限到達依頼、繰り返し議会に対応を要請、デフォルトになれば「経済、金融的な大惨事」がもたらされると警告も!! 破綻寸前の、そんな国がなぜ、ウクライナへの巨額の兵器支援で紛争の後押しをしているのか!? 大量の米国債を保有する日本への悪影響は!?

■米財務省イエレン長官の「6月1日デフォルト」表明について、IWJはエコノミスト・田代秀敏氏に緊急取材!「余命宣告のような警告に戦慄が走った」!「G7広島サミットは債権者集会になりかねない」!! そうなれば米ドル基軸の国際金融システムは終わる!!

■<ニュースフラッシュ>パウエルFRB議長がウクライナのゼレンスキー大統領を名乗る偽電話に応対していた! ロシア国営テレビが映像を公開!! 米経済中枢の危機管理に疑念!

■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 4月のご寄付は126件、209万3200円、月額目標の54%でした! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

■【中継番組表】

■1歳の男子がワクチン接種後死亡! 厚労省と小児科学会はこの危険なワクチンの接種一本やりでいいのか?

■<IWJ取材報告 1>生成AIがもたらす未来と可能性~ChatGPTはビジネスの創造力をどう高めるか~ChatGPTの光が強くなるほど、その影も濃くなる! AIによる犯罪や情報操作、サイバー攻撃、謀略などに、対処するAIの開発や使い方の学習が求められていく!

■<IWJ取材報告 2>前川喜平氏「総務省文書の問題点は、明らかに政治が放送の自由に介入しようとしたということ」!~4.30「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」記録集 出版記念シンポジウム「公共放送NHKはどうあるべきか」
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■はじめに~イエレン米財務長官が「早ければ6月1日にも米政府は債務不履行(デフォルト)に陥る」と表明! 1月の債務法定上限到達依頼、繰り返し議会に対応を要請、デフォルトになれば「経済、金融的な大惨事」がもたらされると警告も!! 破綻寸前の、そんな国がなぜ、ウクライナへの巨額の兵器支援で紛争の後押しをしているのか!? 大量の米国債を保有する日本への悪影響は!?

 おはようございます。IWJ編集部です。

 5月2日付け『ウォール・ストリート・ジャーナル』日本語版は、「ジャネット・イエレン米財務長官は1日、議会が連邦政府の債務上限を引き上げなければ、早ければ6月1日にも政府は債務不履行(デフォルト)に陥るとの見方を示した」と報じました。

 この『ウォール・ストリート・ジャーナル』日本語版の記事によると、イエレン財務長官はケビン・マッカーシー下院議長への書簡で、「最近の連邦政府の税収を検証した結果、全ての政府債務を履行することは6月上旬までに不可能になる見通しが強まった」「議会が債務上限を引き上げるか上限の適用を停止しなければ、債務不履行は6月1日にも訪れる可能性がある」と指摘したとのことです。

※米デフォルト、早ければ6月1日にも 財務長官が警告(THE WALL STREET JOURNAL日本語、2023年5月2日)
https://jp.wsj.com/articles/treasury-chief-janet-yellen-says-u-s-risks-default-as-soon-as-june-1-without-debt-ceiling-increase-b8258914

 米国では今年1月19日、連邦政府債務が法定上限の31兆4000億ドルに達しました。

※米連邦政府債務が法定上限に到達、財務省がデフォルト回避の特別措置を適用開始(ジェトロ、2023年1月20日)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/01/04b8c4c7fa2e2f1d.html

 イエレン財務長官はこの直前の1月13日に、米議会の上下両院議長ら、民主、共和両党のリーダー4人に書簡を送り、債務上限の引き上げまたは一時停止を迅速に行うよう議会に求めました。

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■米財務省イエレン長官の「6月1日デフォルト」表明について、IWJはエコノミスト・田代秀敏氏に緊急取材!「余命宣告のような警告に戦慄が走った」!「G7広島サミットは債権者集会になりかねない」!! そうなれば米ドル基軸の国際金融システムは終わる!!

 前段のイエレン財務長官の「早ければ6月1日にも米政府は債務不履行(デフォルト)に陥る」という表明について、IWJ記者は、岩上安身によるインタビューでお馴染みのエコノミスト・田代秀敏氏に緊急取材しました。

 田代氏は、イエレン財務長官が期限を切って「デフォルトの危機」を表明したことについて、「この余命宣告のような警告には戦慄が走りました」と述べています。

 さらに田代氏は、今月行われるG7広島サミットについて、「米国を除く6カ国が債権者として債務者である米国に返済を約束させる債権者会議に変質してしまいかねません。そうなったら、アメリカが第二次世界大戦後に打ち建てた米ドルを基軸とする国際金融システムは、実質的に終了してしまいます」と、解説しました。

 田代氏のコメントは、以下の通りです。

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・米議会で政府債務上限の引き上げをめぐり、民主党と共和党とはチキン・レースを繰り広げている!

 アメリカ合衆国は、政府債務に法律で上限があります。日本と違ってアメリカは、手元にお金がないからといって、無際限に国債を発行することはできません。この債務上限を引き上げるには、連邦議会の議決が必要です。

 米国は財政収支が慢性的に赤字なので、政府債務上限の引き上げは年中行事化しています。現在、連邦下院は野党である共和党が多数を占めているので、民主党政権は共和党に妥協して賛成してもらわないと、政府債務上限の引き上げができません。

 共和党は政府債務上限の引き上げを「人質」にして、民主党政権から妥協を迫ります。逆に民主党政権は、政府債務上限の引き上げをしないと政府がデフォルト(債務不履行)に陥ることを「人質」にして、共和党に妥協を迫ります。こうして、政府債務上限の引き上げを巡って民主党と共和党とはチキン・レースを繰り広げています。

 共和党は、バイデン民主党政権に巨額の財政支出、とりわけウクライナに対して「白紙小切手」を渡すような軍事支援を削減しなければ、政府債務上限の引き上げを認めないと言っています。

・余命宣告のような、期限を切ってのデフォルト警告には戦慄が走った!

 アメリカの財政状態は、とっくに逼迫しています。今年1月にイエレン財務長官は、「何とかやりくりして賄っている間に、議会は政府債務上限を引き上げて欲しい。そうでないと政府がデフォルトする」と警告してきました。

 公務員の公的年金の積立金を借用するなどの非常手段を用い、デフォルトを回避しています。

 しかし今回、イエレンはそうしたやりくりをしていても、このままでは早ければ6月1日にデフォルトし、国債の償還や利払いができなくなると、明確に期限を切った上で警告を放ったのです。この余命宣告のような警告には、戦慄が走りました。

 アメリカ連邦政府の経済行政トップ職は、大統領経済諮問委員会委員長、連邦準備制度理事会(FRB)議長、財務長官の3つのポストです。アメリカ史上、この3つのポストにすべて就任したのは、ジャネット・イエレンただひとりです。日本では想像もできないくらいの重鎮なのです。

 そのイエレンが、「6月1日」と期日を明確に切って警告したのですから、実に大変なことなのです。

・イエレン長官の警告は、既に顕在化している脱ドル化の動きを、一段と加速してしまう!

 米国債がデフォルトすると、米国だけでなく世界にとっても大変な事態となります。

 アメリカ合衆国の通貨である米ドルは世界中で使われています。アメリカとの貿易の決済にだけでなく、第3国同士の貿易の決済にも使われています。そのため、日本の大企業の中には、幹部職の給与を米ドル建てにしているところもあります。会社の中を流れるお金の大半が米ドルだからです。

 そのため各国は外貨準備の多くを米ドルで持っています。紙幣を保有しても増えませんから、外貨準備の相当部分は米国債で保有しています。

 米国は経常収支も財政収支も巨額の赤字続きなのに破綻しないでいられるのは、米国債を対外的に販売して、資金を調達できるからです。そのためには米国債が最高度の信認を持っていなければなりません。

 その米国債が「このままだと早ければ6月1日にデフォルトする恐れがある」と、他ならぬイエレン長官が自ら警告を発したのです。

 イエレン長官の警告は、既に顕在化している脱ドル化の動きを、一段と加速してしまうでしょう。デフォルトが意識されてしまうと、米国の同盟国でさえ、ドル決済の比重を下げ、米国依存を低減しようとするでしょう。

・G7広島サミットは米国に返済を約束させる債権者会議になりかねない!

 イエレン長官がデフォルト期限とする6月1日の13日前の5月19日からは、広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催される予定です。そのとき米国債のデフォルトが強く意識されてしまうと、サミットは米国を除く6カ国が債権者として、債務者である米国に返済を約束させる債権者会議に変質してしまいかねません。

 そうなったら、アメリカが第二次世界大戦後に打ち建てた米ドルを基軸とする国際金融システムは、実質的に終了してしまいます。

 なのに日本の大手メディアは、イエレンの偉大さがわかっていないからでしょうか、あまり騒がないのが不思議です。

 『NPR』の記事を見ると、さすがにイエレンは、マッカーシー下院議長への書簡で「デフォルト」とは言っていません。「ランナウトする(期限切れになる)」と書いているんです。それなのに、民間の商業メディアではなく、なんと、堅実な公共放送の『NPR』が「デフォルトする」と書いているから、驚きました。

 バイデン大統領は、G7広島サミット後には、豪州を訪問し、シドニーで5月24日に開かれるクアッド首脳会議に出席する予定です。6月1日のデッドエンドの直前に、大統領がワシントンを留守にすることは、事態を悪化させても改善することはありえません。バイデン大統領は、ウクライナへの支援とロシアに対する制裁とに血道を上げた挙げ句に、米国の財政をデフォルトの淵へ追い込んでいます。

■<ニュースフラッシュ>パウエルFRB議長がウクライナのゼレンスキー大統領を名乗る偽電話に応対していた! ロシア国営テレビが映像を公開!! 米経済中枢の危機管理に疑念!

 4月27日付け『ブルームバーグ』は、「米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は1月、ウクライナのゼレンスキー大統領を名乗る人物から電話を受け、インフレ見通しやロシア中央銀行などについて質問に答えた。しかし相手は著名人へのいたずら電話で有名なロシア人の2人組だった」と報じました。

※パウエルFRB議長、いたずら電話の被害-偽ウクライナ大統領と会話(ブルームバーグ、2023年3月27日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-27/RTS0KPDWLU6A01

 この『ブルームバーグ』の記事は、電話をかけたのは「いたずら電話で有名な2人組『ボバンとレクサス』」だとした上で、「これまで、ジョンソン元英首相(被害当時は外相)やラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ドイツのメルケル前首相などが被害に遭っている」と報じています。

 また、4月28日付け『時事通信』によると、このパウエル議長への電話を記録したとされる映像を、ロシア国営テレビが公開したとのことです。

※偽ゼレンスキー氏とビデオ通話 FRB議長、今年1月に―米メディア(時事ドットコム、2023年4月28日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023042800269

 前述の『ブルームバーグ』の記事は、FRBの報道官が「機密や部外秘の情報は一切話していない」と説明したと報じた上で、「火消し目的のコメントのように受け止められるが、いたずら電話がパウエル議長本人に届いた事実は、FRBの安全性を巡る疑問を生じさせかねない」と懸念を示しています。

 一方では財務長官が、米国がデフォルトに陥ることを警告し、その一方で財務長官が、脇の甘いことに、米国自らが「弱体化をはかる」べき「敵国」として名指ししているロシアのいたずら好きに、翻弄されている、という「絵面」は、「超帝国」としての米国の凋落を象徴しています。

 「帝国」の崩壊は、世界全体にとってはプラスの出来事かもしれませんが、「従属国」である日本は、壊れてゆく「帝国」の瓦礫(がれき)に押しつぶされてしまうかもしれません。

 米国へのひたすらの隷従をやめ、可能な限り自立を急ぎ、「米帝国」の崩壊の過程で受ける損失を最小に食い止めるべきです。

■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 4月のご寄付は126件、209万3200円、月額目標の54%でした! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 5月に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、残り3ヶ月となりました。

 4月の1日から30日までの30日間でいただいたご寄付は、126件、209万3200円でした。これは月間目標額390万円の54%にあたります。

 厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました!

 しかし、今期第13期4月末までの累積の不足額は、1600万円を超えています。

 ぜひ、皆さま、今月5月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 そして、累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費(最近の流行語ではサブスク)とご寄付・カンパ(最近の用語でいえばドネーション)の両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、ウクライナ紛争と続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」の、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 2月、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出しました。日本の新聞・テレビなどのメインストリーム・メディアは、一切このスクープを報じませんでした。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての独自の判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見-令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230225#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、ロシアを弱体化させるための米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 つまり、米国は「敵国」のロシアだけでなく、米国の重要な同盟国であるはずのドイツにも大損害を与えた疑いがあるのです。これが真実であるならば、同盟国への重大な背信であり、裏切りです。犠牲を払わされたドイツと同じく、同盟国とは言いながら、ジュニア・パートナー(主権のない従属国)扱いされている日本も、同じ目にあわされる可能性があります。

 IWJでは、独自のIWJ検証レポートによって、ドイツとロシアを直接結ぶノルドストリームの建設を米国政府・議会が何度も妨害してきた事実、そして、完成はしたもののウクライナ紛争の勃発と対露制裁によって使用できなくなり、さらに爆破テロに見舞われるまでの経緯を、お伝えしています

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプラインノルドストリームの阻止!!」~2022.4.27
(その1) https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505188
(その2) https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508187

 お読みいただければわかりますが、この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。

 岸田文雄総理は、1月早々、昨年末に閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて鼻高々でした。

 国会での議論と承認がなされなくても、米国からの要請があれば、「安保3文書」を閣議決定し、軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の4月24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」、「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。

 しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。

 3月28日、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案は、政府案どおり成立しました。

※令和5年度予算(財務省)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/fy2023.html

 日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政負担を背負うのはあまりに愚かではないでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?

 4月12日の日刊IWJガイドの記事(※)も、ぜひあわせてお読みください。米国は、同盟国に対して、当たり前のように盗聴を仕掛けています。ドイツなどは米国政府に抗議しましたが、日本政府は、まったくしていません。

※『ニューヨーク・タイムズ』が報じた、ウクライナ紛争をめぐる米国とNATOの戦争機密文書漏洩事件! 漏洩文書に韓国政府内の議論が含まれていたことから、CIAによる韓国国家安保室盗聴が発覚! 謝罪を求めない尹政権に韓国与党も「卑屈極まりない」と批判! 2013年のスノーデン氏による盗聴暴露問題も再燃し、米国のダブルスタンダード、繰り返される同盟国への盗聴に韓国メディアが猛批判を展開! 日本も盗聴されているはずだが、沈黙し続けるのか!?(日刊IWJガイド、2023年4月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230412#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52117#idx-1

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

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 岩上安身

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◆中継番組表◆

**2023.5.3 Wed.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2023.5.4 Thu.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

前川喜平氏「総務省文書の問題点は、明らかに政治が放送の自由に介入しようとしたということ」!~4.30「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」記録集 出版記念シンポジウム「公共放送NHKはどうあるべきか」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515768

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■1歳の男子がワクチン接種後死亡! 厚労省と小児科学会はこの危険なワクチンの接種一本やりでいいのか?

 厚生労働省は、「生後6か月から4歳までの子どもを対象としたワクチン」を接種した1歳の男の子が死亡したと、4月28日に開いた専門部会「第93回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和5年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)」で、発表しました。

 4歳までの子どもを対象としたワクチン接種後の死亡例は初めてですが、「因果関係は評価できない」としています。

※1歳男児がコロナワクチン3回目接種後に死亡 厚労省「因果関係は評価出来ず」生後6か月~4歳対象ワクチンで国内初事例(TBS NEWS DIG、2023年4月28日)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/462415?display=1

 ツイッターでは、懸念と怒りの声が溢れました。

 南出賢一大阪府泉大津市長は4月29日のツイートで市の行政を預かる立場から深い懸念を表明しました。

 「ワクチン接種後1歳男児の死亡事例も報告されたが、『ワクチンと死亡との因果関係は評価できない』『現時点においてワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない』これだけ多くの方が亡くなり、苦しみ、危険性が指摘されても毎回の決まり文句。安心して打てと言えるはずがない」

※南出賢一大阪府泉大津市長の4月29日のツイート
https://twitter.com/minakenbo/status/1652266763336417281

 ワクチンに一貫して反対している参政党事務局長の神谷宗幣参議院議員は29日のツイートで怒りの声をにじませています。

 「何回もいいます。子供には打たせちゃいけない。

なぜ、接種を止めないんだ我が国は?」

※神谷宗幣参議院議員の4月29日のツイート
https://twitter.com/jinkamiya/status/1651982282436284416

 宮澤大輔医師は29日のツイートで、長期的な懸念を表明しています。

 「厚労省『因果関係は評価出来ず』

 96%の親が打たせない選択をする中で、打って2日後に突然亡くなったら親はどう思うか

 私はこう言った稀な接種直後の死亡ももちろんですが、長期(その子が中高年になった時)の影響がまだ分からない事の方を警戒しています」

※宮澤大輔医師の29日のツイート
https://twitter.com/blanc0981/status/1652212604696420352

 生物学者の池田清彦氏は、子どもへのワクチン接種はメリットよりもデメリットがはるかに大きいと指摘します。

 「1歳男児、コロナワクチン3回接種後に死亡というニュース。
まだ分かっていない人がいるのは驚きですが、子供に新型コロナのワクチン打つのは、デメリットの方がメリットよりはるかに大きいです」

※池田清彦氏の29日のツイート
https://twitter.com/IkedaKiyohiko/status/1652116642959364097

 しかし、日本政府だけでなく、日本の医学会の態度は頑なです。

 日本小児科学会の子どもへのワクチン接種の考え方は「日本小児科学会は、生後6か月以上5歳未満のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します」と接種一本やりです。

※生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方(日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会、2022年11月2日)
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=466

 特に、基礎疾患のある小児に関してはさらに強硬に「COVID-19重症化リスクが高い基礎疾患のある小児に対しては、重症化予防効果の観点から、年齢にかかわらず新型コロナワクチン接種を推奨します」と主張しています。

 「COVID-19重症化リスクが高い基礎疾患のある小児に対しては、重症化予防効果の観点から、年齢にかかわらず新型コロナワクチン接種を推奨します。

 基礎疾患を有する小児へのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます。

 詳細については「新型コロナワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方および接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等」(http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=409)を併せてご参照ください」

※生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方(日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会、2022年11月2日)
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=466

 ここでは、強くワクチン接種を推奨したうえで、「基礎疾患を有する小児へのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます」と但し書きを付けているのです。

 この基礎疾患の中には、死亡した男児の基礎疾患であった腎疾患も含まれています。「基礎疾患のある小児に対しては、重症化予防の観点から、年齢にかかわらず新型コロナワクチン接種を推奨します」という日本小児学会の見解は、1歳の男児の死亡という事実の前に、謙虚に見直しを図るべきではないでしょうか。

※新型コロナワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方および接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等(日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会、2022年2月14日(2022年8月17日改訂))
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=409

 厚労省は、4月28日に開催した「第93回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和5年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)」の資料の中で、死亡した1歳の男子の基礎疾患について詳細に公表しています。

※新型コロナワクチン(コミナティ筋注6ヵ月~4歳用、ファイザー株式会社)接種後に死亡として報告された事例の一覧(令和4年10月24日から令和5年4月14日までの報告分)(第93回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和5年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)、2023年4月28日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001091375.pdf

 それによると、

※ここから先は【中略】とさせていただきます。御覧になりたい場合は、ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して御覧ください! 会員へのご登録はこちらからお願いいたします。

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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 さらに、そもそも、この小児科学会の基本方針「新型コロナワクチン接種を推奨します」には大前提あります。

 それは、このワクチンが、まっとうに製造され、発がん性のDNAウイルスなどの混入がなく、各国の公的機関の基準をクリアしていることです。

 4月27日の日刊IWJガイドでもお伝えしたように、ファイザーとモデルナのmRNAワクチンに、入っているはずのないDNAが混入していたことが一部で指摘されています。DNAの残ったままのワクチンを接種すれば、細胞の遺伝子組み換えが起こります。しかも、今わかっているだけでも、発がん性のDNA(SV40とその強化バージョン)が細胞に組み込まれるのです。どの細胞にどれだけ組み込まれるかもわかりませんので、いったん組み込まれれば、それをすべてゲノム編集して取り出すなど不可能です。

※はじめに~ファイザーとモデルナのmRNAワクチンに、入っているはずのないDNAが混入していた!!!「もう、『なんか間違って残ってました。すいません』で済まへんやないですか」!!「できるだけ安全に作らなあかんわけですよ。健康な世界中の人に打つもんやからね、元のデザインも実験方法も、安全に念には念をおさなあかんのに、わざわざ不要なはずの配列を有害性を増して作ってて、しかもそれがワクチンにそのまま混入してた」!「私、終わりの始まりと言いますかですね。もうこうなってしまった以上ですね、あらゆるロットを調べないといけないと思うんです」!(日刊IWJガイド、2023年4月27日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230427#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52176#idx-1

 あらゆるロットを調査して危険なリスクの正確な評価をすることもなく、ワクチンをどんどん打てという厚労省と小児科学会の接種一本やりの方針は、どう見ても理性的とは言い難いものです。

■<IWJ取材報告 1>生成AIがもたらす未来と可能性~ChatGPTはビジネスの創造力をどう高めるか~ChatGPTの光が強くなるほど、その影も濃くなる! AIによる犯罪や情報操作、サイバー攻撃、謀略などに、対処するAIの開発や使い方の学習が求められていく!

 4月27日(木)に東洋経済新報社ブランドスタジオ主催のウェビナー「生成AIがもたらす未来と可能性~ChatGPTはビジネスの創造力をどう高めるか~」が行われました。

 講師はIT批評家の尾原和啓(おばらかずひろ)氏です。

 冒頭モデレーターの長瀧菜摘氏(東洋経済新報社記者)から、重要な指摘がありました。これまで、先端的な技術は、アーリー・アダプター(時代を先取りする人)が使うものだったが、ChatGPTについては、違っているというのです。ワイドショーでも特集されるなど、マスで盛り上がっているというのです。

 これに対して尾原氏は「ここに置いて行かれると自分がダメになるから、恐怖症になっているのではないですか」と答えました。

 さらに、ChatGPTのような、生成系AIにインパクトがある背景に2つあると尾原氏は指摘します。

 第一に、今回のイノベーションは、ウェブにアクセスできる人はみな享受できること。スマホやタブレットなど、アクセスのためのインフラの普及がインパクトの大きさを支えていると述べます。

 第二に、日常言語で扱えること。

 モデレーターの長瀧氏が、岸田文雄総理がG7の指導者の中でもっとも早く、ChatGPTを開発したオープンAIのサム・アルトマンCEOと会うなど、これまでの新しい技術に対する距離のある対応と異なっていると指摘すると、尾原氏は次のように答えています。

 「日本はテクノロジーに積極的な国になっています。AIのようなテクノロジーは指数関数的に発展して、いつか人間を越えて神のような存在になるのではないかという話があって、キリスト教圏の方々は(ChatGPTを)タブー視し、それが原因で、イーロン・マスクさんとかハラリさん(歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏)とかが、半年は(開発を)止めた方がいいんじゃないかというようなポジション・トーク(主張やポリシーに一貫性がなく、その時々で、自分や自分の立場に都合がいい発言)をされます。

 アメリカはターミネーターとしてAIやロボットに言及するけれど、日本は鉄腕アトムとかドラえもんとして見ています。もともと、神を越えるものと一緒に戯れるのが日本とかアニミズムの国なので、そういうところに対する受容性が高いというのが文化ベースとしてあります。

 もう一つは、三世の議員の方々に、デジタルネイティブの方々がすごく増えてきています。伊藤良一(筑波大学准教授)さんとか松尾豊(東京大学教授)さんだとか、安宅(安宅和人(あたかかずと)慶應義塾大学教授)さんとか、そういう方々が、フェイスブックでメッセンジャーグループを作って、新しい技術が現れたら、これは何なんだということを最先端の方に直接質問してメッセージグループの中でランニングしているところがあって、最近自民党から出ている、ホワイトペーパーと呼ばれる、彼らとしての政策提案の質はものすごく向上しています(後略)」

※自民党AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム(note)
https://note.com/akihisa_shiozaki/n/n4c126c27fd3d

※日本独自のAIモデル開発は難しい 自民党が「AIホワイトペーパー(案)」公開(ITmedia、2023年3月31日)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2303/31/news119.html

 また尾原氏は、今後の進化の方向性として、LARGE LANGUAGE MODELからMULTI MODEL LARGE MODELへ進化していく流れがあるといいます。

 要するに、これまで、一般的な言葉から文章とか要約を作るという流れから、たとえば、冷蔵庫の中の食べ物の写真をアップして、家族が喜びそうなレシピを作ってくれ、というような命令を出すと、画像解析して、量を推定してレシピを作ってくれるような流れです。入力が言語だけから絵や画像も入り、出力も言葉だけでなく、絵や音楽で返すこともあるような形です。さらには、メタバース(※)の3G空間を作ってしまうというようなアウトプットもありえるというのです。

(※)メタバースとは、「超(メタ)」と「宇宙(ユニバース)」を組み合わせた造語で、コンピュータの中に構築された3次元の仮想空間やそのサービスを指す。

 さらに、興味深いことに、尾原氏は、現在、13歳から14歳のアルファ世代について、「メタバース・ネイティブ」だと述べています。メタバースになると全部データの中で暮らすので、生成系AIと非常に相性がいいといいます。

 記者も、ChatGPTを、日常的に、資料の探索や問題解決の参考に使用しています。

 一回で、完全な答えが出てくることは少なく、間違いも多いので、論理的な整合性のチェックや外部資料との突きあわせなどで、検証する作業が必要になります。

 たとえば、あるテーマの資料を出させ、その資料がすでにリンク切れでも、そのタイトルに含まれたワードで、グーグル検索をかけると、当初のテーマに近いものがヒットしたりします。また、翻訳上、言葉の解釈に迷った場合、ChatGPTに参考意見を求めると、問題解決に役立ったりします。

 尾原氏は、ChatGPTの回答の精度を上げるために、質問の最後に、思考プロセスと制約条件を提示するように命令するといいと述べています。これによって、ChatGPTの思考のプロセスのどこをもっと詳しく知りたいのかがわかり、回答の有効性を上げるからです。

 尾原氏は、インスタグラムの登場で、この10年、投稿される写真のセンスが格段に上がったと指摘します。これと同じように、ChatGPTの登場によって、こうした「質問力」とどんな世界を実現してほしいのかを表現する「妄想力」の二つのセンスが磨かれるだろうと述べています。

 このウェビナーは、ビジネスパーソンの受講が前提とされていますので、どのように、ChatGPTを仕事で使えるのかという面が語られました。

 しかし一方で、負の側面に目を向ければ、ChatGPTを使えば、受け取り者の性別年齢収入趣味などの社会的属性を想定した、詐欺メールは簡単に作成できてしまいます。

 特殊詐欺のマニュアルを覚えさせ、受け取り人のネット情報を収集していけば、トクサギはできてしまいます。トクサギの「省力化」にもつながってしまうのです。

 また、もっと大金を稼げる投資詐欺や金融詐欺、暗号通貨詐欺なども、簡単に、できてしまうでしょう。

 AIは、倫理がなく、良心の痛みを感じない知識の集合体ですから、物理的な暴力を行使するターミネーターのような姿をしていなくても、詐欺的な犯罪を行うにはもってこいです。

 こうした犯罪をどう見抜くのか。試験や論文がAIで作成されたものかどうか判断がつかないのと同様に、こうした犯罪を見破るのは至難の業でしょう。

 戦争においても、正規戦ではなく、非正規の謀略や諜報、情報操作、サイバー攻撃などにはもってこいです。

 AIによる犯罪や情報操作、サイバー攻撃、謀略などに、対処するAIの開発や使い方の学習が、同時に、求められていくことになるでしょう。

 何よりも、倫理や、正義と不正義、良心、共感共苦、について、AIに装填することはできるのか。そのために、現代において普遍的な倫理とは何か、どうあるべきなのか、根本的な命題について、考え、論じてゆくことがなければ、やはり危険です。倫理なき技術は、必ず悲劇を招きます。

■<IWJ取材報告 2>前川喜平氏「総務省文書の問題点は、明らかに政治が放送の自由に介入しようとしたということ」!~4.30「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」記録集 出版記念シンポジウム「公共放送NHKはどうあるべきか」

 4月30日午後1時30分より、東京都練馬区の武蔵大学にて、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」の主催により、「『市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会』記録集 出版記念シンポジウム『公共放送NHKはどうあるべきか』」が開催されました。

※『公共放送NHKはどうあるべきか~前川喜平さんを会長に』(三一書房、5月刊行予定)
https://31shobo.com/2023/03/23003/

 シンポジウムは、会の活動報告、講演、パネルディスカッション「公共放送NHKはどうあるべきか」の3部構成で行われ、講演の部では、元文部科学事務次官の前川喜平氏と、ノンフィクション作家の森功氏が登壇しました。

 前川氏は、今年3月2日に立憲民主党の小西洋之参議院議員が公開した、安倍晋三政権下での放送法をめぐる一連の文書について、「今回の総務省文書から見えてくるもの」というテーマで講演を行ない、以下のように語りました。

※日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか?総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参議院議員 記者会見 2023.3.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514480

 「元NHK会長『勝手』候補の前川でございます。(笑)

 総務省の文書について、これは小西洋之さんという方が、参議院の予算委員会でオープンにされたわけですね。小西さんはもともと総務省、旧郵政の官僚だった方ですから、その小西さんの、おそらく、元後輩か元同僚にあたるような方々が、何とか、このおかしな放送行政の歪みを世の中に伝えて、国会でも追及してほしいと、そういう思いで文書を託したんだろうと思うんですね。

 これは、私は、もう6年前になりますけども、加計学園問題と同じことが起きたわけです。加計学園問題というのは、安倍さんが、勝手に、自分のオトモダチのために、本来作れない獣医学部を作らせてやるという『無理強い』を文部科学省にさせたという話で、文部科学省の中にも『これはおかしい』というのは、私だけではなくて、そういう職員はたくさんいたんです。

 というよりも、これがおかしいと思わない人間はいなかったんです。ですから、どこから文書が漏れてもおかしくない状態だったわけです。おそらく、あの時は、私が想像するに、3人か4人の文部科学省の職員が、加計学園問題の文書をリークしましたね。

 今回は、おそらくどなたかおひとりだろうと思いますけれども、非常にまとまった文書を、総務省から小西さんに手渡したと。

 私は、こういう行為は民主主義社会では正当な行為だと思います。これを政府側の人たちは『守秘義務違反』だというようなことで、『こういう職員は国家公務員法に照らして、懲戒処分にすべきだ』と、こんなことを言う人が必ず出てきますけれども、そんなことはない。民主主義のために奉仕しているわけですから。

 これはむしろ、『行政の透明性』、『政治の透明性』を高めるという行為であって、こういう行為を決して処罰すべきではないと思います。

 この手の文書というのは、日々、各省庁で毎日毎日作られています。(中略)

 これはなぜやっているかというと、何を言われたかを決して忘れないように記録する。そして、それを組織内で共有して、それを踏まえて次の対処を考えていく。こういうことが必要になるからであって、そこに書いてあることは、できる限り、正確に書くということが大事であってですね、できる限り正確な情報を共有するために文書を作っているわけですから、そこに捏造があるわけがないわけですね」

 前川氏によると、前川氏自身が官僚として働いていた当時は、まだ『官僚主導』であり、官僚の方で大事なことは決めて、それを大臣に伝えれば、大概の場合、それで終わりだったとのこと。しかし、『政治主導』となり、その裏返しとして、政治家の発言を逐一記録するということが広がっていったとのことです。

 前川氏は、さらに次のように続けました。

 「総務省文書の問題というのは、ちゃんと追及しなきゃいけない。この総務省文書の問題点は何かといえば、これは明らかに政治が放送の自由に介入しようとしたということ。(中略)

 放送法というのは、『放送の自由』を守るための法律なのに、政府側・政権側の人たちは、『放送を取り締まる』ための法律だと、こういうふうに考える人たちがどんどん増えてきている。決して、『放送を取り締まる』ための法律ではない。(中略)

 小西氏が、ちょっと『サル』って言っただけでですね、サルの思いのほうにばかり報道がいくというのは、どう考えてもおかしいわけであって、やはり、彼が追及した総務省文書の持っている問題というのを、ちゃんと追及しなきゃいけない」

※立民 小西議員「憲法審査会 毎週開催はサルがやることで蛮族」(NHK、2023年3月29日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230329/k10014023801000.html

 森功氏の講演、パネルディスカッションなどシンポジウムの詳細については、ぜひ全編動画を御覧ください。

※前川喜平氏「総務省文書の問題点は、明らかに政治が放送の自由に介入しようとしたということ」!~4.30「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」記録集 出版記念シンポジウム「公共放送NHKはどうあるべきか」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515768

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230503

IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、浜本信貴、前田啓)

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