日刊IWJガイド・非会員版「ウクライナ紛争の終わりの始まり! 西側諸国、NATO、国連がウクライナに対して手の平返し! 相次ぐ領土分割と停戦のすすめ! と報道!」2022.6.17号~No.3564号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~ロシアとの結束をアピールしつつも、西側との経済関係を重視し、独自の外交姿勢を保つ中国! 一方、ロシア制裁に前のめりな「日米欧」は、「生活費が1年で1割上昇」と15日付日経が報道! ロシアへの制裁でインフレと食糧危機が加速!!

■SOSです! IWJは経済的に大ピンチです! 緊急のご支援をお願いします! 6月に入り、IWJの今期も残り2か月を切りましたが、赤字が拡大し、非常に苦しい状態が続いています! IWJの活動には市民の皆さまのご寄付・カンパが欠かせません! 6月16日までのご寄付は、月間目標額の48%です。第12期の5月までの10か月間にわたる累積の不足金額は513万7517円とあわせると6月末までに必要な金額は721万2127円となります! ぜひ、IWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!

■【中継番組表】

■ツイッター「IWJ_Sokuho」6月15日16日、ウクライナ紛争の終わりの始まり! 西側諸国、NATO、国連が一斉にウクライナに対して手の平返し! 相次ぐ領土分割と停戦のすすめ!『CNN』が「ウクライナでの戦争が長期的な結果を左右する重大局面を迎えている」と、ウクライナ劣勢を認める報道! セベロドネツクでロシア軍がウクライナ兵に投降を呼びかけ、ウクライナ軍がNATO供与武器で産科病院などを砲撃、国連事務総長の報道官が「明らかに国際法違反」と懸念!
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■はじめに~ロシアとの結束をアピールしつつも、西側との経済関係を重視し、独自の外交姿勢を保つ中国! 一方、ロシア制裁に前のめりな「日米欧」は、「生活費が1年で1割上昇」と15日付日経が報道! ロシアへの制裁でインフレと食糧危機が加速!!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が15日、電話会談を行いました。

 16日付け『人民網日本語版』は、習主席が「中国はロシア側と共に、二国間の実務協力の安定した持続的な発展を推進することを望んでいる」と述べ、「主権や安全保障など核心的利益と重大な懸念に関わる問題において支持し合う」ことを望んでいると表明したと報じています。

 一方、この『人民網』の記事によると、プーチン大統領は「ロシアは中国側の打ち出したグローバル安全保障イニシアティブを支持し、いわゆる新疆、香港地区、台湾地区などの問題を口実にした、いかなる勢力による中国への内政干渉にも反対」を表明したとのことです。

 また、習主席はウクライナ問題については、「中国は常にウクライナ問題の歴史的経緯と理非曲直の観点から、自主独立的に判断し、積極的に世界平和を促進し、世界経済の秩序の安定を促進してきた」と述べ、問題解決に向けた役割を果たしていきたいと述べたと報じています。

※中露首脳電話会談、習近平国家主席「各国はウクライナ危機の適切な解決を後押しするべき」(人民網日本語版、2022年6月16日)
http://j.people.com.cn/n3/2022/0616/c94474-10110580.html

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

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■SOSです! IWJは経済的に大ピンチです! 緊急のご支援をお願いします! 6月に入り、IWJの今期も残り2か月を切りましたが、赤字が拡大し、非常に苦しい状態が続いています! IWJの活動には市民の皆さまのご寄付・カンパが欠かせません! 6月16日までのご寄付は、月間目標額の48%です。第12期の5月までの10か月間にわたる累積の不足金額は513万7517円とあわせると6月末までに必要な金額は721万2127円となります! ぜひ、IWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、代表である私、岩上安身への報酬をゼロにすることを筆頭に、支出をぎりぎりまでにしぼった上で、IWJの運営上、1カ月の間に必要なご寄付・カンパの目標額を月額400万円と見積もらせてもらっています。

 昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、6月で11カ月目に入りました。

 今期スタートの8月1日から5月31日までの10か月間の累計の不足分は、513万7517円となっています。

 6月は1日から16日までの16日間で、142件、192万5390円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! この額は月間目標額400万円の48%です。

 6月は30日しかありません。あと14日間で残り52%分を確保しなければなりません。また、それだけでは累積の不足分を解消することはできません。

 6月の未達成分207万4610円に、5月末までの累積の不足分513万7517円をあわせると、6月末までに721万2127円が必要になります! 赤字幅が拡大してきました! 皆さまのご助力、ご支援が、IWJの存続のために必要です!

 IWJの今期は残すところ6月と7月のみとなりました。今期末までの残り1か月半で、この赤字を削って、不足分をゼロにし、次の期につなげられるように、どうか皆さまのお力で、ご支援ください!

 IWJの会員数は現在3177人です。そのうちサポート会員は1099人です(2022年5月31日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が2271円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人6563円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします。
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※ご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからもお振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2022.6.17 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh1・滋賀】「参院選に関する内容」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach1
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【IWJ・Ch7】8:45頃~「後藤茂之 厚生労働大臣 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch7

 後藤茂之 厚生労働大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた厚生労働大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%A4%A7%E8%87%A3
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【IWJ・Ch5】16:00~「原発事故損害賠償4訴訟(千葉・群馬・生業・愛媛)最高裁判決後の記者会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」主催による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた生業訴訟関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%94%9f%e6%a5%ad%e8%a8%b4%e8%a8%9f
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【IWJ_YouTube Live】17:30~「原発事故損害賠償4訴訟(千葉・群馬・生業・愛媛)最高裁判決後の報告集会」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」主催による最高裁判決後の報告集会を中継します。これまでIWJが報じてきた福島第一原発事故関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e7%ac%ac%e4%b8%80%e5%8e%9f%e7%99%ba%e4%ba%8b%e6%95%85
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee
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【IWJ・エリアCh6・岩手】18:30~「第272回 脱原発盛岡金曜デモ」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach6

 「脱原発盛岡金曜デモ」を中継します。これまでIWJが報じてきた脱原発盛岡金曜デモ関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e8%84%b1%e5%8e%9f%e7%99%ba%e7%9b%9b%e5%b2%a1%e9%87%91%e6%9b%9c%e3%83%87%e3%83%a2

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◆中継番組表◆

**2022.6.18 Sat.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「種子法廃止は飢餓につながる」「防衛予算より自給率向上を」! 採種農家、一般農家、消費者の原告3人が種子法復活へ強い訴え! 憲法違反認められれば種子法復活へ!~6.3 種子法廃止違憲確認訴訟 原告本人尋問
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/507145

東京都医師会・黒瀬(旧字体の「せ」)理事「セルフケアとしての抗原定性検査と医療機関でのPCR検査を併用する。抗原検査での『偽陰性』の問題については現在、解決に向け調査中!」~6.14東京都医師会記者会見―内容:新型コロナウイルス感染症拡大防止対策等について
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/507041

【IWJ速報6月11日】米州首脳会議が終了、バイデン政権はIPEFに続きまたも関税引き下げなどを伴わない、南米北米諸国による対中包囲網「経済的繁栄のためのアメリカパートナーシップ(APEP)」を提案!
米国は人権問題などを理由に3カ国を排除するも、メキシコなどが反発し大統領が欠席! 中国『環球時報』は「『もはや米国の裏庭』ではない、ラテンアメリカ諸国は連帯のメッセージを送る」と論評、仏『フィガロ』は移民政策をまとめるのがやっとの「中途半端」な会談、お土産は中国製品だったと皮肉! ロシア『RIA』は「米国にとって致命的な脅威が、米国の裏庭に出現した」と論評!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/507163

【IWJ速報6月12日13日】急速な円安が進行、20年4カ月ぶりに135円台へ! 米国では、5月のインフレ率が8.6%と40年ぶりの高水準、10日にはガソリン価格が史上初めて1ガロン5ドルを超えた! バイデン大統領は自身の政治的責任をウクライナ支援に転嫁!
ウクライナ東部セベロドネツクではアゾット化学プラントから民間人の退避が始まる! ウクライナ国防相は「西側の支援がないからウクライナ人の血が流れる」と恨み節! ウクライナのEU加盟申請、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟承認に暗雲!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/507167

【IWJ速報6月14日】ウクライナのポドリャク大統領顧問、西側がこれまで投入した兵器をはるかに上回る300基の多連装ロケットシステム、500台の戦車、1000門の榴弾砲をNATOに要求! 15日からのNATO国防相会議で検討!! ストックホルム国際平和研究所が「核兵器が使用されるリスクは冷戦の最盛期以来のどの時期よりも高くなった」との報告書を発表!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/507169

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■ツイッター「IWJ_Sokuho」6月15日16日、ウクライナ紛争の終わりの始まり! 西側諸国、NATO、国連が一斉にウクライナに対して手の平返し! 相次ぐ領土分割と停戦のすすめ!『CNN』が「ウクライナでの戦争が長期的な結果を左右する重大局面を迎えている」と、ウクライナ劣勢を認める報道! セベロドネツクでロシア軍がウクライナ兵に投降を呼びかけ、ウクライナ軍がNATO供与武器で産科病院などを砲撃、国連事務総長の報道官が「明らかに国際法違反」と懸念!

 IWJは、ツイッターアカウント「IWJ_Sokuho」で、ウクライナ情勢をツイートしています。テレビでは流れない情報や、石油・天然ガスなどの資源問題、ウクライナの実情もあわせて、多角的にウクライナ情勢をお伝えしています。ぜひ、一度御覧ください。

※IWJ速報@IWJ_Sokuho
https://twitter.com/IWJ_Sokuho

 米メディア『CNN』が15日、「ウクライナでの戦争、長期的結果を左右する重大局面に到達 西側当局者」という記事を出しました。初めて、ウクライナの不可逆的な劣勢を認める記事です。冒頭を引用します。

 「ウクライナ軍が旧式装備に適合するソ連時代の弾薬を使い尽す中、同国は西側諸国に重火器の追加投入を要請している。その間にも東部の2つの戦略的要衝では、ロシアが砲撃で極めて有利な状況を築いている。

 米国や西側の諜報(ちょうほう)事情に詳しい複数の情報筋によれば、西側の情報機関および軍の関係者は、ウクライナでの戦争が長期的な結果を左右する重大局面を迎えていると考えている。

 この転換点となる場面は、西側諸国にも厳しい決断を強いることになるかもしれない。これまでウクライナを支援してきた各国では、国内経済や武器備蓄に対する負担が着々と増加している状況だ」。

 『CNN』は、NATO高官の話として「一方か、他方か、いずれかが成功を収めるという段階に差しかかっているようだ」とも伝えています。言うまでもないことですが、ロシア軍の勝利と、ウクライナ軍の敗北を渋々ながらNATOすらも認めつつある、ということです。

※【速報8190】CNN、15日「米国や西側の諜報事情に詳しい複数の情報筋によれば、西側の情報機関および軍の関係者は、ウクライナでの戦争が長期的な結果を左右する重大局面を迎えていると考えている。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537393486877839360

 『CNN』は、「重大局面」後の展開についても西側関係者の予測する3つのシナリオを紹介しました。

1)カギを握る東部2州でロシアがこのまま徐々に進撃を続ける
2)前線が激化して膠着状態になり、数カ月ないし数年と長引いて双方に膨大な死傷者が出る
3)ロシアが戦争の目標を再定義し、勝利を宣言して戦闘終結を図る

 2)については、「ゆっくりと展開する戦争が今後も世界経済の足を引っ張り続けるだろう」、3)については「今のところ、この筋書きは希望的観測に過ぎない」と述べています。

 米国関係者の間で最も恐れられているシナリオは1)です。ロシアが東部2州を制圧し、そこからさらに西に進むのではないかと、ゼレンスキー大統領は警鐘を鳴らし、更なる迅速な武器の供与を求めています。しかし、これに対して、「ロシア側の前進が決まったわけではない」と、これまでは言われるがままに武器を供与してきたバイデン政権の高官は述べています。

 こうした米軍関係者らの分析には、強い違和感を覚えます。いまだに何もわかっていないと毒づきたくなるほどです。

 ロシア軍は、ロシア語話者が多くを占める地域であるからこそ、東部ドンバス地方での勝利に集中したのです。2014年に住民投票を経て併合したクリミア半島も同じことです。ロシア語話者が多く住んでいて、ロシア軍による「保護」を求めていた(2014年段階での介入を両人民共和国は求めていたが、プーチン大統領は8年前、軍事介入を決断しなかった)からこそ、侵攻、敵の掃討後、受け入れられるとのメドが立ちます。

 これがウクライナ語話者ばかりの、例えば、ウクライナ西部ガリツィア地方を軍事占領したとしても、そこでは抵抗が続き、統治がうまくいかないでしょう。統治のコストが高くつくエリアに、一時的な軍事占領ならばともかく、永続的な占領をし続けるコストは、ロシアとしてはかけたくないはずです。

 ウクライナ領土を面で占領し、さらにはバルト3国やポーランドなど東欧まで侵攻するというのは、どういう軍事的合理性や計算なのでしょうか。ゼレンスキー大統領が「我々に武器を送って助けないと、次に襲われるのは欧州だぞ」とわめき立ててきたのは、オーバーすぎるほどオーバーな表現で、欧州の尻を叩くためで、もともと根拠はありません。

※【速報8192】CNN、15日「西側関係者は、今後展開が予想される3つのシナリオを注視している。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537393701437472768

 しかし、そうしたゼレンスキー大統領の、「もっと、もっと」という武器のリクエストに、いくら武器を注ぎ込んでも無駄だと、欧米の判断は急速に傾いたようです。

 前線からのもっと武器をという要請は、「果たして供給ラインが効果的に機能しているのかという疑問」が起こると『CNN』は指摘しています。ウクライナ兵は、慣れ親しんだソ連製の武器を好んで使い、欧米諸国から供与される最新鋭の武器の使用には消極的だと『CNN』は分析しています。

 先日、ウクライナのレズニコウ国防相は、訓練の不十分な志願兵が最前線に送り込まれ、死傷者の数が増えていることを認めています。NATO関係者は「人員確保も大事だが、果たして彼らに戦う準備はできているのか。それも(状況を左右する)要因の一つになるだろう」と指摘しました。

 『CNN』は、以下のように、これ以上欧米諸国はウクライナへ武器を送り続ける意味を問いました。

 「戦闘が長引くにつれ、西側諸国の負担も増え続けている。米国も含め一部の西側諸国は、ウクライナへの武器供与が続いたことで自国の防衛に欠かせない武器備蓄の枯渇を懸念している。(略)

 そこに、燃料費の高騰とインフレ率増加という痛手も加わる。こうした代償が米国や欧州の一般市民にも影響を及ぼし始め、メディアの関心も日々の戦況から離れつつある。一部の当局者は、西側のウクライナ支援が先細りする可能性を危惧している」。

 『CNN』によると、ウクライナ軍外国人部隊の広報担当者は13日の会見で、西側諸国の武器供与が不十分だと批判した後、「とんでもない! 我々が戦場でロシア軍を打ち負かせるような状況に近いところまで彼らは全く来ていない」と武器不足の不満を述べた、ということです。ウクライナからは、不足の不満の声は毎日上がるものの、武器支援への感謝の声はほとんど聞いたことがありません。これはとても奇異な光景です。

 誰のための戦いなのでしょうか? ウクライナは誰のために戦っているのでしょうか?

※【速報8196】CNN、15日「こうした代償が米国や欧州の一般市民にも影響を及ぼし始め、メディアの関心も日々の戦況から離れつつある。一部の当局者は、西側のウクライナ支援が先細りする可能性を危惧している。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537393869591318530

 ロシア国防省は14日、ウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツクのウクライナ兵士に、「以前マリウポリで降伏した同志がそうしたように」武器を置いて投降するよう要求しました。こちらも『CNN』が15日に報じました。

 ロシアメディア『RIA』は15日、ロシアのミハイル・ミジンツェフ准将が同日、「キエフは、セベロドネツクのアゾット工場でマリウポリのシナリオを繰り返すことを決定した」と述べたと報じました。そうであれば、ロシア側はまだ500人残っているとされる民間人を退避させ、それから残っている兵士らを投降させるということになると思われます。

 ロシアメディア『TASS』(15日)によれば、ミジンツェフ准将は「人間の盾として人々を維持するというキーウ当局と民族主義者の決定を除けば、セベロドネツクのアゾット工場からの民間人の退出に障害はない」と述べています。

※【速報8160】CNN、15日「ロシア国防省は14日、ウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツクのウクライナ兵士に、「以前マリウポリで降伏した同志がそうしたように」武器を置いて投降するよう要求した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537390811327102977

 『TASS』(15日)は、オースティン米国防長官が、戦場の状況に関してウクライナ当局にターニングポイントが来ると信じている、と報じました。

 わずか2ヶ月ほど前、4月26日、米国が主導する形で、ドイツのラムシュタイン空軍基地で、米国とその同盟国40カ国による国防相会合が開催されました。その時、オースティン長官は「戦争の速さで行動しなければならない」と、檄を飛ばしました。戦局の移ろいゆきは、なんという早さでしょうか。

オースティン長官「賭け金は高すぎる。ウクライナは戦場のターニングポイントにある。ウクライナが直面している課題を過小評価することはできない」

 オースティン長官は、「ウクライナに自衛のために緊急に必要な手段を提供するという揺るぎない決意のために、今日集まった」として、米国とそのパートナーは「減速すべきではない」と主張したということです。オースティン長官は、ウクライナのレズニコフ国防相と緊密に連絡をとっており、「特に長距離システム、装甲車両、沿岸防衛システムの必要性に関して、ウクライナの新しい資産の要求を満たすために協力して」いると述べました。

 そもそも操作する人員が足りないのに、なぜウクライナ兵が習熟していない米国製の最新兵器を送り続けるのでしょうか? オースティン氏は、レイセオンの元役員でした。米国民の血税で、軍需産業の株価を支え続けるのが目的なのでしょうか?

※【速報8167】TASS、15日「米国国防長官のロイド・オースティンは15日、戦場の状況に関してウクライナ当局にターニングポイントが来ると信じており、キーウへのさらなる軍事援助を求めています。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537391128915640320

 この重大局面に際して、バイデン大統領は15日、さらなる「対艦ミサイルシステムやロケット弾など、ウクライナに対する総額10億ドルの新たな武器支援」を明らかにしました。『ロイター』が16日、報じました。

 今回の支援には「榴弾砲18門と弾薬3万6000発、ハープーン沿岸防衛システム2基、砲弾ロケット、無線、暗視装置、訓練資金」などが含まれるとのことです。

※【速報8172】ロイター、16日「バイデン米大統領は15日、対艦ミサイルシステムやロケット弾など、ウクライナに対する総額10億ドルの新たな武器支援を発表した。ゼレンスキー大統領と電話で会談し、伝えたという。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537392508074065922

 一方、ロシア国防省は15日、ウクライナ西部リビウ地域の武器・弾薬庫をミサイル攻撃で破壊したと発表しました。この施設は米国製「M177」榴弾砲の砲弾など、NATOがウクライナに提供した軍装備品を保管していたと主張しています。『ロイター』が15日、報じました。

※【速報8174】ロイター、15日「ロシア国防省は15日、ウクライナ西部リビウ地域の武器・弾薬庫をミサイル攻撃で破壊したと発表した。この施設は米国製「M177」りゅう弾砲の砲弾など、 NATOがウクライナに提供した軍装備品を保管していたとしている。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537392597463101441

 欧米諸国が供与した兵器が、民間人攻撃に用いられている、と駐英ロシア大使館が14日、英国政府による武器供与を批判しました。

駐英ロシア大使館「ドネツク市長のAlexey Kulemzin氏は、6月13日、市内中心部での無差別砲撃が6時間以上続き、少なくとも5人が死亡し、33人の民間人が負傷したと報告した。

 ドネツク人民共和国の平和な都市や他の町や村に700を超えるロケットや砲弾が落下する火の激しさは、本格的で意図的な軍事作戦に相当する。

 最近では、爆撃は、ヴィシュネフスキー産科病院やマイスキー市場など、多くの純粋な民間地域と標的を対象としていた。民間の物体を意図的に標的にして砲撃することは戦争犯罪である。

 これらの攻撃中にウクライナ軍が使用した装備には、NATO標準の155mm砲が含まれていることが確認されている。したがって、このような民間人への暴行は、英国が主導的な役割を果たしているキーウへの西側の激励と西側の軍事物資によってのみ可能であることは明らかである」。

 西側は、ロシア軍の攻撃がマリウポリの産科病院を直撃したとされる事件のときは大騒ぎしましたが、ウクライナ側の砲撃で産科病院が破壊されても、各国政府も、各国マスメディアも、だんまりです。不自然であると思われないでしょうか?

※【速報8175】駐英露大使館、14日「ドネツク市長のAlexeyKulemzin氏は、6月13日、市内中心部での無差別砲撃が6時間以上続き、少なくとも5人が死亡し、33人の民間人が負傷したと報告した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537392636096827392

 ドネツク人民共和国(DPR)の指導者デニス・プシーリン氏は13日、「敵は文字通りすべての線を越えた。禁止されている戦争方法が使用されている。ドネツク市の住宅地と中央地区は砲撃を受けており、DPRの他の市や町も攻撃を受けている」(RT、13日)と声明をだしています。

 13日の攻撃では「ウクライナ軍による砲撃があり、子ども1人を含め少なくとも5人が死亡、22人が負傷した」と、『ロイター』も13日、「親ロ派およびロシアの通信社」からの情報として紹介しています。

※【速報8180】デニス・プシーリンDPR「敵は文字通りすべての線を越えました。禁止されている戦争方法が使用されています。ドネツク市の住宅地と中央地区は砲撃を受けており、DPRの他の市や町も攻撃を受けている」(RT、13日)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537392948811546624

※【速報8181】ロイター、13日「ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派支配地域で13日、ウクライナ軍による砲撃があり、子ども1人を含め少なくとも5人が死亡、22人が負傷した。親ロ派およびロシアの通信社が明らかにした。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537392983473291265

 ようやく国連事務総長の報道官である、ステファン・ドゥジャリック氏が14日、「ドネツク人民共和国(DPR)の産科施設の砲撃の申し立ては、これが国際人道法の明らかな違反である」と懸念を表明しました。この表明を掲載したのは、なんとレバノンのウェブメディア『アル・マヤディーン』でした。14日に報じました。

 他の国のメディアはどうか、ざっとリサーチしましたが、見当たりませんでした。他に報じたところがあったならば、ぜひIWJ編集部までお知らせください(https://pro.form-mailer.jp/fms/9ac630ed27381)。

ドゥジャリック氏「ドネツクの産科病院に関するメディアの報道を見た。これは非常に厄介だ。民間のインフラ、特に医療施設への攻撃は、明らかに国際法違反である」。

 『アル・マヤディーン』は、砲撃の詳細を以下のように伝えています。

 「13日の初め、停戦レジームの管理と調整のための合同センター(JCCC)に、DPRの使節が、ドネツクの前例のない強烈で持続的な、MLRSとさまざまな口径の大砲によるものを含む砲撃、共和国全体の町とコミュニティへの重要な砲撃を報告した。その1つが爆発し、近くの産科病院が燃えた。

 ウクライナ軍は積極的にDPRを攻撃した。2014年以来の最も深刻なエスカレーションは5月30日に発生。ウクライナ軍は155mm砲とUS M777榴弾砲、およびSmerch多連装ロケットシステムからの4発のミサイルを使用し、民間人が死亡した」。

※【速報8182】Al Mayadeen、14日「ドネツク人民共和国(DPR)の産科施設の砲撃の申し立ては、これが国際人道法の明らかな違反であると付け加えた国連事務総長のスポークスパーソン、ステファン・ドゥジャリックが懸念。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537393029904224256

 『TASS』(14日)は、「英国政府は、ウクライナへの武器の供給に責任を負うべき」だと、英国政府の武器供与の責任を問いました。

※【速報8187】TASS、14日「英国政府は、ウクライナへの武器の供給に責任を負べきである。キーウ当局がドンバスの民間人の標的を攻撃するために使用した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537393358074966022

 『RT』によると、DPRの指導者、プシーリン氏は、15日にサンクトペテルブルク国際経済フォーラムを訪問した際のインタビューで、「DPRはロシアに加わるのか、それとも人民共和国のままなのか」という質問に対し、プシーリン氏は「どちらかしかないのか」と問い返しました。「DNRは別の組織となってロシアの一部に加わるのか」、という質問には肯定的な答えを返したということです。

 プシーリン氏は「ドネツク州」という名称について「響きが悪い。ウクライナの過去に引き戻されるようだ。悪いイメージを与えてしまう」とも述べています。改名・改組してロシアに編入する可能性を示しました。

※【速報8197】RT、15日「ドネツク人民共和国の長であるデニス・プシーリンは、アントニミー・プログラムのジャーナリスト、アントン・クラソフスキーとのインタビューで、DPRが別の組織としてロシアに加わる可能性を表明した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537393916093558784

 ロシア連邦の安全保障理事会の副議長であるドミトリー・メドヴェージェフ前大統領は15日、しばらくしたとき、ウクライナが世界地図上に存在しているだろうかと疑問を呈しました。『TASS』(15日)が報じました。

メドヴェージェフ氏「質問です。そして、2年後にウクライナが世界地図にまだ存在しているだろうと誰が言ったのでしょうか?」

※【速報8201】メドベージェフ氏「質問です。そして、2年後にウクライナが世界地図にまだ存在しているだろうと誰が言ったのでしょうか?」(TASS、15日)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537394200865808386

 ウクライナ軍の敗色が濃くなってきた事態を受け、ポーランドのヤロスワフ・カチンスキ副首相が、「ウクライナでの西側、主にアメリカの敗北は、アフガニスタンは言うまでもなく、ベトナムよりも深刻なものになることを考慮に入れてください」と警鐘を発しました。

 『TASS』(15日)によると、カチンスキ副首相は、ロシアとの対立において戦争を避けたいという西側世界の願望は、(ポーランドと)反対であるとして、「技術、備品、設備、トレーニングの面では、私たちは一線を画している」と述べたということです。

 ポーランドのマテウシュ・モラヴェツキ首相は15日、NATO加盟国に対し、ウクライナにさらなる兵器供与を行うよう呼びかけました。『スプートニク』(15日)によると、モラヴェツキ首相は「重要なのはウクライナに対する効果的な協力と支援を今すぐここで実施することだ。数週間後、数ヶ月後ではなく」と主張しています。

※【速報8202】TASS、15日「ポーランド副首相:ウクライナでの米国の敗北は、ベトナムやアフガニスタンよりも深刻だろう」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537394239709278208

※【速報8205】スプートニク、15日「ポーランドのマテウシュ・モラヴェツキ首相はNATO(北大西洋条約機構)の加盟国に対し、ウクライナにさらなる兵器供与を行うよう呼びかけた。 」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537394471020941312

 ポーランドがNATOとは別に単独でウクライナ西部に進出するのではないか、ポーランドがウクライナに進出しようとする背景には米国がいる、といった指摘を、これまでロシアメディアは繰り返し警告してきました。

 その中には、ウクライナが税務サービスなど、国家主権に関わるデータをポーランドに共有し、事実上、主権を明け渡した、というものもありました。

 「IWJ速報6月12日13日」でお伝えしたように、ラブロフ外相が「ポーランド人の特別な権利に関するゼレンスキー大統領と議会の決定、ポーランドがウクライナの税務サービスを管理する並列システムを作っているという最近の発表、これらすべてが非常に雄弁に語っている」と述べています。

※【速報8061】RT、11日「ワルシャワはウクライナの領土を積極的に支配し始めていると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が述べている」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1536320498916700160

※【IWJ速報6月12日13日】急速な円安が進行、20年4カ月ぶりに135円台へ! 米国では、5月のインフレ率が8.6%と40年ぶりの高水準、10日にはガソリン価格が史上初めて1ガロン5ドルを超えた! バイデン大統領は自身の政治的責任をウクライナ支援に転嫁! ウクライナ東部セベロドネツクではアゾット化学プラントから民間人の退避が始まる! ウクライナ国防相は「西側の支援がないからウクライナ人の血が流れる」と恨み節! ウクライナのEU加盟申請、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟承認に暗雲! 2022.6.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/507167

 『ウォール・ストリート・ジャーナル』(15日)は「ウクライナはすでに、政府データの一部をポーランドにある特別なプライベートクラウド上に保管」していると報じました。ロシアメディア『RT』(11日)の報道を、おそらく初めて、西側の代表的メディアである『ウォール・ストリート・ジャーナル』が裏付けた形です。

 「ウクライナ政府がセンシティブな情報を国外に移して保管を始めたことが分かった。ロシアによる物理的攻撃やサイバー攻撃から保護することが目的で、より多くのデータベースを移せるよう複数の欧州政府と交渉しているという。

 ウクライナのデジタル改革省のジョージ・ドゥビンスキ副大臣によれば、同国政府は開戦以降、さまざまな政府機関やオフィスの約150のレジストリやそのバックアップを国外に移したか、そのための交渉を行っている。(中略)

 ウクライナはすでに、政府データの一部をポーランドにある特別なプライベートクラウド上に保管。ドゥビンスキ氏は技術面の詳細についてコメントを控えたが、このサーバーにはウクライナ政府の情報のみが保管されていて、ポーランド政府当局者らと共にテストを実施したとしている。またエストニアやフランスなどとも同様の取り組みができるよう話し合っているという」。

 キエフまでロシアが侵攻してくる事態を想定して、ゼレンスキー政権がポーランドにウクライナ政府の情報を渡しているという指摘が、ロシアメディアだけではなく西側メディアによって報じられたことは、重要な意味をもちます。ロシアメディアは「フェイク」であり、「モスクワのプロパガンダ」であるとして、その内容に耳を傾けないように西側メディアは呼びかけてきましたが、その西側メディアによって、ロシアメディアが先行して報道した内容が「真実」であったことが立証されたわけです。

※【速報8207】WSJ、15日「ウクライナ政府がセンシティブな情報を国外に移して保管を始めたことが分かった。ロシアによる物理的攻撃やサイバー攻撃から保護することが目的」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537394539904004096

 ウクライナの敗色が濃くなってきた「重大局面」に際して、西側諸国から「紛争の終わり方」に関する発言が増えています。

 『UKRINFORM』は15日、ドイツ政府のヘーベシュトライト報道官は同日、「いかなる国も機関も、ウクライナに対して平和の条件について忠告を行う権利は有していない」と発言した、と報じました。

ヘーベシュトライト氏(15日)「このロシアとの紛争において、ウクライナがどのような解決を求めるかについては、ウクライナが自分で完全に独自に決めることである。誰も外から同国に忠告を与えることはできない」。

 他国、特に米国がどういおうと、ウクライナ自身が、自ら決定すればいいんだよ、敗北を受け入れる時期については、とも聞こえるような表現です。

※【速報8212】UKRINFORM、15日「ドイツ政府のヘーベシュトライト報道官は15日、いかなる国も機関も、ウクライナに対して平和の条件について忠告を行う権利は有していないと発言した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537394841889677315

 風向きの急な変わりように驚く方々も多いと思いますが、おそらく、どの国の政府も、「その日」が近づくにつれ、手の平を返す準備をしてきたのだろうと思われます。

 『RIA』は14日、「西側は、領土譲歩の必要性をウクライナに納得させ始めた」と題した、ウラジミール・コルニロフ氏による論説記事を出しました。

 コルニロフ氏は「西側は、ロシアとウクライナの紛争に関する少なくともある種の戦略を完全に欠いている」と切り出しています。

 「英国で最も影響力のある退役将軍の1人、2010~2013年に英国軍を率いた70歳のデイビッド・リチャーズ卿は、『デイリーテレグラフ』の記事で、ロンドン・ワシントンおよびNATO本部によるリビア、シリア、イラクなどでの戦闘と『同様の首尾一貫した戦略の欠如は、現在ウクライナでも明らかだ』と主張した」。

 コルニロフ氏は3月26日に行われた、「ロシアの合法的な政府を転覆させる試み」を露わにしたバイデン米国大統領のワルシャワにおける演説は、政治的に「反ロシア」が長い間公式のイデオロギーであったポーランドでは、大成功したように見えたと述べました。しかし、ジェン・サキ報道官が全面的に「ロシアの合法的な政府を転覆させる試み」を否定した後、ロシアに対する西側の戦争の目標は不明瞭で、誰も問うことができなかったとコルニロフ氏は指摘しました。

 「ワシントンとそれに仕える集団の西は、最終的に何を得たいのだろうか?」

 コルニロフ氏は、ダボス会議におけるキッシンジャー氏の5月23日の発言が沈黙を破ったと指摘しました。

 キッシンジャー氏の発言は、それまで「どんな犠牲を払っても勝利する」と主張してきた西側の人々に、「ウクライナの紛争で西側の究極の目標を策定した人は誰もいない」ことに気づかせた、とコルニロフ氏は指摘しています。

 例えば、ヨーロッパの道徳的権威の1人とされる70歳のオランダ人作家イアン・ブルマ氏は、「ロシアの完全降伏は幻想である」という記事を出しました。ブルマ氏は、記事の中で、ロシアを打ち負かすことはまだ不可能であると認め、ウクライナは痛みを伴う妥協に備える必要があると主張し、ウクライナに領土譲歩の多くの成功例があると促しました。

ブルマ氏「すべての譲歩を拒否するように海外から助言し、プーチンの崩壊だけが民主主義を救うことができると主張することはあまり建設的ではありません」。

 この言葉は、キッシンジャー氏と同じく、5月24日のダボス会議で演説したジョージ・ソロス氏の「文明を維持するための最善かつおそらく唯一の方法は、一刻も早くプーチンを打ち負かすことです」というプーチン打倒宣言が、敗れたことを宣告しています。

 続いて、コルニロフ氏は好戦的な軍事アナリストのエドワード・ルトワックを取り上げています。

 「ロナルド・レーガン大統領の軍事顧問を務めたアメリカの政治アナリストである79歳のエドワード・ルトワック氏は、実際に領土の譲歩を直接求めた。彼の意見では、ウクライナでの紛争を終わらせる唯一の方法は、ドンバスの『係争中の』地域で国際的に認められた国民投票を保持することであると述べた。(中略)

 紛争を平和的に解決するための、まさにそのようなシナリオが、1年半前にDPRとLPRの代表者によって提案されたことを覚えている人は少ない。2020年12月、国連安全保障理事会の非公式プラットフォームで、ドネツク共和国の外務大臣、ナタリア・ニコノロワ氏が提案した世界社会へのコメントは以下。『このような状況では、直接民主主義のメカニズム、つまり国民投票が唯一の方法です。国際原則に従って開催された、国際的に認められた結果を伴う、正直で自由で開かれた国民投票です』。西側の誰かがそれを聞いていたら、多くの犠牲者を避けることができただろう」。

 実際、ルトワック氏は『自由ヨーロッパラジオ(Radio Free Europe)』のインタビューで以下のように述べています。一部を抜粋して紹介します。

ルトワック「私はこれが起こる、または起こるべきだと言っているのではありません。私が言っているのは、彼らは廊下に閉じ込められており、出口は1つだけであり、その出口は国民投票の出口であるということだけです。(略)

 ウクライナにとって、(領土)を取り戻すためのコストが問題です。彼らがその費用を喜んで受け入れるかどうかにもよるが、これらの領土を取り戻すための費用は非常に高い。(略)

 プーチンは動員を宣言していないので、彼らはまだ契約兵士に依存しています。そして、契約兵士の死傷者の影響は、政治的および社会的にはるかに(重要性が)少ないです。これらは、政治的な観点からは『消耗品』です。(略)

 ロシアのエリートはこの戦争によって意気消沈している。これは国民投票に大きな影響を与えるだろうし、ゼレンスキーは国民投票に勝つチャンスがある。彼は民主的な国民投票で戦争を終わらせ、ロシアへの制裁は解除されるだろう。(ウクライナにもロシアにもメリットがある)」。
 
 ルトワック氏は、「ロシア軍は毎日良くなっている」、一方、「ウクライナの死傷者は増加」し、実質的な支援をしている国もポーランドと米国だけで、早く停戦したがっているとし、まずは「停戦が必要」だと主張しました。

※【速報8214】RIA、14日「2010~2013年に英国軍を率いた70歳のデイビッド・リチャーズ卿は、デイリーテレグラフの記事で、「同様の首尾一貫した戦略の欠如は、現在ウクライナでも明らかです」とリチャーズ卿は主張した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537394919069077504

※【速報8220】ルトワック「私はこれが起こる、または起こるべきだと言っているのではありません。私が言っているのは、彼らは廊下に閉じ込められており、出口は1つだけであり、その出口は国民投票の出口であるということだけです。」(RFE)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537395326042406914

 コルニロフ氏は、続いて、「元RAND研究員で元米国欧州情報局将校のクリストファー・チブビス氏」が『ガーディアン』に書いた記事「この戦争をできるだけ早く終わらせることは、ウクライナと西側の最善の利益になる」を取り上げました。すごいタイトルを、米国の諜報員立った人物が書いたものです。タイミングがもう1ヶ月早ければ「ロシアの二重スパイか」と言われかねなかったでしょう。

 チブビス氏の論説の一部を抜粋して、ご紹介します。

 「ウクライナは、戦場でこの戦争に勝つことはない。ウクライナは、繁栄した紛争後の民主主義を自ら構築することによって勝つ。

 ウクライナは、より多くの武器ではなく、経済、インフラ、民主主義の再構築のために、現在享受している善意を使うことを好むべきである」。

 チブビス氏は「分割されたウクライナの事実上の受け入れは(略)、ウクライナの指導者たちに、これが彼らの最善の選択肢であると納得させるのは難しいだろう」が、「ウクライナの本当の勝利は戦場ではなく、紛争後の再生にある。開始が早ければ早いほど良い」と、早期の停戦と、東部の割譲を勧めています。

※【速報8226】RIA、14日「元RANDと米国諜報員のクリストファー・チブビスは、現在カーネギー国際平和基金の米国政府プログラムの責任者であり、ガーディアン紙に次のようなタイトルの記事を書いた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537395888196583429

※【速報8227】GUARDIAN、14日「(チブビス氏)この戦争をできるだけ早く終わらせることは、ウクライナと西側の最善の利益になる。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537395921377718273

 コルニロフ氏は、「西側のエリートは、ウクライナ人の手でロシアを打ち負かしたり、大幅な弱体化によってロシアを国際舞台から排除したりすることの不可能性を徐々に理解し始めている」とし、バイデン大統領ですら、「ウクライナへの領土譲歩の可能性」に直接言及したと主張しました。

コルニロフ氏「ニューヨーク・タイムズの最近の記事で、米国大統領は、多くの領土を放棄する問題についてウクライナ当局に圧力をかけないことを明らかにした」。

 コルニロフ氏が指摘しているバイデン発言は、5月31日の『ニューヨーク・タイムズ』に発表されたバイデン氏の記事にあります。

 バイデン大統領は「私はウクライナ政府に対して、公私を問わず、領土の譲歩を迫ることはしない。そうすることは間違っているし、確立された原則に反する」と述べています。バイデン氏の発言は、先に紹介したドイツのヘーベシュトライト報道官の「いかなる国も機関も、ウクライナに対して平和の条件について忠告を行う権利は有していない」という発言と、裏返しの表現ながら、重なります。

 『ブルームバーグ』(15日)によると、ブリンケン米国務長官は、バイデン大統領よりももっとストレートに「ウクライナの領土割譲について決定するのはゼレンスキー政権」であり、「米国は同盟国およびパートナー国と共に、ロシア軍と戦うウクライナに必要な支援を届ける決意」だと述べています。

※【速報8235】バイデン大統領「私はウクライナ政府に対して、公私を問わず、領土の譲歩を迫ることはしない。そうすることは間違っているし、確立された原則に反する。」(NYT、5月31日)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537396434852790274

※【速報8239】ブルームバーグ、15日「ブリンケン米国務長官はウクライナの領土割譲について決定するのはゼレンスキー政権だとし、米国は同盟国およびパートナー国と共に、ロシア軍と戦うウクライナに必要な支援を届ける決意だと語った。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537396746481188864

 コルニロフ氏は、最後に「ウクライナの平和はその領土の譲歩を犠牲にして可能であるというNATO事務総長イェンス・ストルテンベルグの最近の承認は非常に示唆的であった」とストルテンベルグ氏の12日の発言について言及しました。ストルテンベルグ氏は12日、フィンランドのサウリ・ニーニステ大統領との記者会見で、以下のように述べています。

ストルテンベルグ氏「ウクライナの平和は可能だ。問題は、この平和のためにどれだけの代償を払うかだ。領土、独立、主権、自由、民主主義を犠牲にする覚悟がどれだけあるのか。そして、これは非常に難しいモラルジレンマである」(RIA、12日)

※【速報8237】RIA、12日「NATO事務総長のイェンス・ストルテンベルグは、フィンランドのサウリ・ニーニステ大統領との記者会見で、キーウが平和を確立するために領土の一部を譲らなければならないことを認めた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537396566159654913

 『ポリティコ』は15日、チャールズ・A・クプチャン氏の「ウクライナ戦争を終わらせるための交渉は宥和ではないーバイデンが話し合いのテーブルを設定する時が来た」という論説を出しました。

 クプチャン氏は、「ウクライナは、ロシアをその領土全体から追放するための戦闘力を欠いている可能性があり、戦場での勢いはロシアに有利にシフトしている」と戦況を分析し、ウクライナ紛争が長引けば、世界の経済と食糧危機が深まるとし、バイデン大統領には交渉のテーブルを設定する責任があると論じています。

クプチャン氏「この紛争が長引くほど、死と破壊は大きくなり、世界経済と食糧供給の混乱は深刻になり、ロシアとNATO間の本格的な戦争へのエスカレーションのリスクは高くなる。

 フランス、ドイツ、イタリア、その他の同盟国は、特にインフレの上昇を背景に、長期にわたる戦争の可能性に不安を感じており、大西洋横断の統一は崩壊し始めている。

 ワシントンには、戦争の目的についてキーウと話し合う権利があるだけでなく、義務もある。この紛争は、間違いなく、キューバのミサイル危機以来の最も危険な地政学的瞬間を表している。

 何年にもわたって争う紛争を回避し、代わりに停戦と領土の和解を締結することを目的としたその後のプロセスを交渉することは、ウクライナ自身の利益になる。

 米国、そのNATOの同盟国、ロシア、そして世界の他の国々は、これと同じ結果を確保することに関心を持っている。まさに今、バイデンが交渉のテーブルを設定する時が来たのだ」。

※【速報8240】POLITICO、15日「ウクライナは、ロシアをその領土全体から追放するための戦闘力を欠いている可能性があり、戦場での勢いはロシアに有利にシフトしている。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537396776348831744

 ロシアメディア、欧米メディア、そして欧米の政治家や分析者が一斉に、ウクライナの領土分割と早期停戦について言及し始めました。マリウポリが陥落し、東部の支配権を決すると見られるセベロドネツクも陥落は時間の問題と見られる中で、大きくムードが変わってきています。

 『AFP』は13日、フィンランドの独立系研究機関エネルギー・クリーンエア研究センターによる調査結果として、「ロシアはウクライナ侵攻開始からの100日間で、化石燃料の輸出により930億ユーロ(約13兆1300億円)の収入を得た」と報じました。そのうちの61%、約570億ユーロ(約8兆400億円)相当は欧州連合(EU)向けだった、ということです。

 ロシアの原油輸出量そのものは減少していても、米国がタクトを振ったロシア制裁による、かつてない原油高騰のおかげで、ロシアは戦費を十分稼いでいます。

 あまりに皮肉が過ぎます。米国の言う通りにしていたら、戦さに負ける、という厳然たる事実です。もっとも対米従属の度合いのはなはだしい日本こそは、早く「日米同盟基軸」幻想から目覚めるべきです。

※【速報8246】AFP、13日「ロシアはウクライナ侵攻開始からの100日間で、化石燃料の輸出により930億ユーロ(約13兆1300億円)の収入を得たとする調査結果を、フィンランドの独立系研究機関エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)が13日公表した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537397065504141312

 『ガーディアン』も15日、「ロシアは5月、原油輸出により約200億ドル(166億ポンド)の収入を得た。ウクライナ侵攻後、ロシア経済を封鎖しようとする欧米の動きを阻止し、収入は戦前の水準に回復したため」だと報じました。

 国際エネルギー機関の月報によると、ロシアの原油輸出量は3%減少したにもかかわらず、原油と石油製品の出荷による収入は前月比で11%増加した、ということです。

 欧米諸国はロシア産原油の禁輸に向かっていますが、「中国やインドなどのアジア諸国は、ブレント原油の30%以上という記録的な値引きを魅力に、ロシア産燃料の輸入を増やしている」います。ブレント原油価格の高騰がこの値引きを可能にしていると『ガーディアン』は指摘しました。

 欧米諸国が対露制裁に熱中していた間に、非欧米の国々では、経済が動き始めています。

※【速報8248】GUARDIAN、15日「ロシアは5月、原油輸出により約200億ドル(166億ポンド)の収入を得た。ウクライナ侵攻後、ロシア経済を封鎖しようとする欧米の動きを阻止し、収入は戦前の水準に回復したためである。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537397216423583745

 『TASS』(15日)は、プーチン大統領と中国の習近平国家主席の電話会談について、「モスクワと北京の間の前例のない高水準の関係に自信を持っており、協力を発展させる予定である」と報じました。

 「両首脳は、『ロシアと中国の関係は前例のない高水準にあり、絶えず改善していると述べた』とクレムリンの報道機関は水曜日にプーチンと習近平の間の電話での会話の内容を報告した。

 クレムリンは、『西側の非合法制裁政策により複雑化した世界経済の状況を考慮し、エネルギー、金融、産業、運輸などの分野で協力を拡大することが合意された』と強調した」。

 『TASS』によると、プーチン大統領と習近平国家主席は、「軍事的および軍事的技術的関係のさらなる発展の問題」でも協力していくことを確認したということです。

※【速報8253】TASS、15日「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平大統領は、モスクワと北京の間の前例のない高水準の関係に自信を持っており、協力を発展させる予定である。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537397518002421764

 16日、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相、イタリアのドラギ首相がウクライナの首都キーウに到着しました。マクロン大統領とショルツ首相のキエフ訪問は初めてです。『ロイター』によると、「ウクライナの大統領顧問、オレクシー・アレストビッチ氏は今週独紙ビルトで、3首脳がロシアのプーチン大統領に有利な平和協定を受け入れるようウクライナに圧力をかけることを懸念していると述べた」ということです。

 欧州の3大統領・首相とウクライナのゼレンスキー大統領の会談について、16日深夜に速報が出ました。

 『朝日新聞』(17日)によると、マクロン大統領は会談後の共同記者会見で「欧州は、ウクライナが(ロシアに)勝利するまで支える」と表明しました。さらに、ウクライナが望むEU加盟について、「加盟候補国とただちに位置づけることを支持する」ことで一致したことを明らかにした、ということです。

※【速報8257】ロイター、16日「フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相、イタリアのドラギ首相がウクライナの首都キーウ(キエフ)に到着した。仏大統領府が16日に発表した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1537398187291721728

※独仏伊首脳がキーウ初訪問 ゼレンスキー氏と会談、EU加盟支援表明(朝日新聞、2022年6月17日)
https://www.asahi.com/articles/ASQ6J6JTBQ6JUHBI02F.html

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、城石裕幸、中村尚貴)

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