日刊IWJガイド・非会員版「全国の新規感染2万3917人過去最多! 日本の新規感染数は世界ワースト8に!都の街中の陽性率では、都民5万人以上が感染!」2021.8.19号~No.3262号


┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━━
■はじめに~全国の新規感染2万3917人と過去最多! 日本の新規感染数は世界ワースト8に! アジア人はコロナに感染しない・重症化しない・致死率が低いとの「ファクターX」は失われた!? 東京の新規感染は史上2番目5386人! 都の街中スクリーニングの陽性率では、都民5万人以上が感染!?

■【中継番組表】

■タリバンは国際社会の懸念払拭に奔走? 連日国内外へ向けて全国民への恩赦、女性の人権などのメッセージの発信! しかしFacebookやYouTubeはタリバン関連アカウント、コンテンツを削除へ!

■「ラムダ隠し」、「五輪関係者隠し」に失望と怒りの声が集まる! 米国紙に指摘されるまで「ラムダ隠し」を五輪終了まで厚労省は隠し通すつもりだった!? 小池都知事の「東京五輪成功」発言も火に油!

■神奈川県川崎市で陽性率が42.9%!検査さえすれば2人に1人が陽性!感染経路不明割合が79%と、もはや制御不能状態!それでもなお、PCR検査を拡充しようとしない態度はもはや理解不能!その影には、PCR検査抑制方針をとる黒幕、岡部信彦氏がいた!

■<IWJ取材報告>人権NGO代表らが出入国在留管理庁へ全データの遺族、代理人、国会議員への開示を要求!「徹底的な国会審議なしに真の意味の再犯防止は不可能」!~8.17ウィシュマ・サンダマリ氏の死亡事件調査報告書に対するNGO合同会見

■<新記事紹介1>【特別寄稿】横浜市長選は小此木八郎氏、山中竹春氏、林文子氏の三つ巴の戦いに! カジノ誘致予定地では「米中戦争」が勃発!「隠れカジノ推進派」候補でほとぼりが冷めたら米系カジノを誘致か!?

■<本日のタイムリー再配信>本日午後8時より2014年5月収録「『米軍とタリバンを仲裁できるのは日本だけ』――。集団的自衛権の行使で積み上げてきた信頼が崩壊する日」を再配信します!
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■はじめに~全国の新規感染2万3917人と過去最多! 日本の新規感染数は世界ワースト8に! アジア人はコロナに感染しない・重症化しない・致死率が低いとの「ファクターX」は失われた!? 東京の新規感染は史上2番目5386人! 都の街中スクリーニングの陽性率では、都民5万人以上が感染!?

 全国の新規コロナウイルス感染者数が、8月18日に2万3917人と、過去最多を記録しました。

 8月13日に2万361人と過去最多を記録後、1週間足らずのうちに、これを上回る感染者数となりました。

※8月18日 新たに確認された感染者数(NHKまとめ)(NHK、2021年8月18日)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/

 worldometerによると、8月18日19時45分現在、日本の累計感染者数は117万9176人となり、とうとう世界28位にまで順位を上げてきています。

 同じくworldometerによれば、8月16日時点の1日あたり新規感染者数1万8381人は、米国(10万5942人)、イラン(4万1194人)、英国(2万8363人)、インド(2万4725人)、タイ(2万1157人)、ロシア(2万765人)、マレーシア(1万9740人)についで、世界8位と、こちらも連日、順位を繰り上げています。9位と10位は、トルコ(1万8163人)とインドネシア(1万7384人)です。

※COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMIC(worldometer、2021年8月18日閲覧)
https://www.worldometers.info/coronavirus/

 世界ワースト10位内を、日本やインドを含めた南アジア・東アジア・オセアニアの諸国が半分を占めるようになるとは、1年前は想像もできませんでした。

 アジア諸国は新型コロナでは欧米のように重症化率や致死率が高くならず、これは遺伝的な理由があるか、社会的な要員が原因なのか、原因は不明なので、「ファクターX」と呼ばれ、それがアジア諸国を守ってきたと考えられてきました。

 しかし、デルタ株の登場で、その「ファクターX」は突破されてしまいました。実は、上昌広医師は、7月19日の岩上安身のインタビューで以下のように予測していました。

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◆中継番組表◆

**2021.8.19 Thu.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】14:00~「遺骨を含む土砂を使用しないよう求める意見書採択に向けて~沖縄からの現地報告~」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「基地のない沖縄をめざす宗教者の集い」、「平和をつくり出す宗教者ネット」共催の集会を中継します。これまでIWJが報じてきた沖縄戦関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e6%b2%96%e7%b8%84%e6%88%a6
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【タイムリー再配信 976・IWJ_YouTube Live】20:00~「『米軍とタリバンを仲裁できるのは日本だけ』――。集団的自衛権の行使で積み上げてきた信頼が崩壊する日」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2014年5月に収録した、「許すな!憲法改悪・市民連絡会」主催の市民憲法講座を再配信します。これまでIWJが報じてきた集団的自衛権関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e9%9b%86%e5%9b%a3%e7%9a%84%e8%87%aa%e8%a1%9b%e6%a8%a9

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/140427

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◆中継番組表◆

**2021.8.20 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】18:30~「岩上安身による 青木正美医師・前田佳子医師 インタビュー」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「岩上安身による 青木正美医師・前田佳子医師 インタビュー」を中継します。これまでIWJが報じてきた新型コロナウイルス関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e6%96%b0%e5%9e%8b%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e3%82%a6%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%82%b9

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

人権NGO代表らが出入国在留管理庁へ全データの遺族、代理人、国会議員への開示を要求!「徹底的な国会審議なしに真の意味の再犯防止は不可能」!~8.17ウィシュマ・サンダマリ氏の死亡事件調査報告書に対するNGO合同会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495337

【特別寄稿】横浜市長選は小此木八郎氏、山中竹春氏、林文子氏の三つ巴の戦いに! カジノ誘致予定地では「米中戦争」が勃発!「隠れカジノ推進派」候補でほとぼりが覚めたら米系カジノを誘致か!?
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495355

「憲法13条に規定される命の尊厳を今日こそしっかりと考えなければならない!」第二次世界大戦の敗戦から76年目を迎えた千鳥ヶ淵戦没者墓苑追悼集会で誓う!~8.15戦争犠牲者追悼 平和を誓う8・15集会
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495310

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■タリバンは国際社会の懸念払拭に奔走? 連日国内外へ向けて全国民への恩赦、女性の人権などのメッセージの発信! しかしFacebookやYouTubeはタリバン関連アカウント、コンテンツを削除へ!

15日にアフガニンスタンの首都カブールを掌握したタリバンは、アフガニスタン全土の制圧が目前となり、統治を本格化させ、表舞台での活動を活発させています。

 トルコの国営メディア「TRT」は17日付の記事で、タリバンのアブドル・ハク・ハマド広報担当がアフガニスタンのTV局トロ・ニュースの番組に出演し、「パンジシール州が近く投降するという知らせを受けており、これが実現すればタリバンはアフガニスタン全土を制圧することになる」と述べたことを報じました。

 また組閣について、ハマド広報担当は「今後の組閣に対しては(カタールの首都ドーハで)交渉が続けられている。恐らく評議会が設立されるであろう。今後憲法が議論の対象となる」と語ったとのことです。

※タリバン広報担当がTV番組で女性キャスターのインタビューに応じる(TRT、2021年8月18日)
https://www.trt.net.tr/japanese/shi-jie/2021/08/18/taribanguang-bao-dan-dang-gatvfan-zu-denu-xing-kiyasutanointabiyuniying-ziru-1692887

 混乱が続く国の体制について、ハマド広報担当は「わずかこの20年間で国を搾取し、外国に売り、国家を裏切った者は恐れているか逃亡した」としたうえで、「タリバンは閣僚や長官を除く全国家公務員が仕事に復帰することを望んでいる」と述べました。

 ハマド広報担当は「タリバンは前政権のような泥棒や裏切り者ではない。誰かの財産や貞操に触れない。復讐に躍起になっていない。我々は安全を確立するためにやって来た」と述べ、一方で国外逃亡する際に6000万ドル(日本円で約66億円)を持ち逃げしたガニ大統領を非難しました。

 同じ17日、タリバンのザビフラ・ムジャヒド報道官はアフガニスタン制圧後初めての記者会見を開き、戦争の終結と、全国民に対する恩赦を宣言しました。また、間もなく政権を樹立するとしました。

※タリバンが記者会見、アフガニスタンをテロの温床にしないと言明(Bloomberg、2021年8月18日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-17/QXZSKMDWLU6E01

 18日付ブルームバーグは、ムジャヒド報道官は「国際社会、特に米国や近隣国への攻撃にアフガニスタンが利用されることはないと保証する」と述べ、また、「イスラム法の範囲内で女性の権利を守る意向を表明した」と伝えています。

 女性の権利に言及したのは、一部の女性たちが享受している自由がタリバン復権で失われる可能性があると国内外で憂慮されていることへの応答と思われます。

 16日、タリバンによる首都カブール掌握を受けて会見を行ったジョー・バイデン米大統領は、「『アフガニスタンの人々の基本的な権利を守るために声を上げ続ける』と述べて国際社会から懸念が出ている女性の人権問題などについて支援を続ける考え」を示したことを、17日付NHKが伝えていました。

 米軍を撤退させることで、タリバンが政権を奪還するであろうことを見越しておきながら、海の向こうから「声」だけを上げるとは、どういうことなのかと、首をひねりたくなります。

 米軍は嵐のようにアフガンへミサイルを撃ち込み、アフガン国内に部隊を上陸させ、全土を戦場としてきました。そうまでしてでもタリバンを壊滅させなければ得られなかったはずの「女性の人権など」について、海の向こうから声を上げるだけですむ話だったのなら、なぜここまで莫大なコストをかけ、多数の人を殺し、米国の威信と覇権をかけて、侵攻と武力支配を続けてきた20年間は、何だったのでしょうか!?

 「声を上げ続ける」だけで事足りるなら、米国防総省の今年4月段階の報告で、双方の戦闘員と民間人含めて約16万人近くとされる死者を出した戦争は、はじめからする必要がなかったのではないでしょうか。

※米 バイデン大統領 “アフガニスタン撤退後も人権重視し支援”(NHK、2021年8月17日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210817/k10013207341000.html

※アフガン戦争で、民間人3万1000人以上が死亡(パーストゥデイ、2021年4月19日)
https://parstoday.com/ja/news/asia-i75518

 また17日には、スイスにある国連のヨーロッパ本部で行われた記者会見で、アフガニスタンで活動する国連の各機関が現地の状況を説明。18日付NHKは、「人権高等弁務官事務所の報道官が『特に女性や少女を対象にした権利の制限の報告があった』と述べ、(中略)タリバンに対して今後の政権づくりに向けて、市民を保護し人権を尊重するようくぎを刺すとともに、国際社会にも可能なかぎりの支援を求め」たと報じていました。

※国連 アフガニスタン情勢めぐり国際社会にも支援求める(NHK、2021年8月18日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210818/k10013209001000.html

 タリバンによる女性の人権への言及は、こうした懸念を払拭することで、タリバン政権を国際社会に認めさせることが目的と見られます。

 タリバンは、国内へ向けた発信も行っており、17日付TRTは、タリバン文化委員会のアナムッラー・サマンガニ委員が、タリバンが掌握した国営アフガン・テレビ局で、全国民に「恩赦」を出し、女性に政府に参加するよう呼びかけたことを伝えています。

 記事によると、サマンガニ委員は、「(タリバンは)女性が犠牲になることを望んでおらず、政府に参加することを望んでいる」と述べたとのことです。

※タリバン、全国民に恩赦・女性の政府参加を呼びかけ(TRT、2021年8月17日)
https://www.trt.net.tr/japanese/shi-jie/2021/08/17/tariban-quan-guo-min-nien-she-nu-xing-nozheng-fu-can-jia-wohu-bikake-1692793

 タリバンは、国連による人道支援の継続も認めたようです。

 18日付ロイターは、アフガニスタンで国連の人道支援活動の責任者を務めるラミズ・アラクバロフ氏が17日「タリバンが国連に人道支援活動の継続を認めた」と明らかにしたことを報じました。現地では人口の約半分にあたる1850万人が支援を受けながら生存するのにぎりぎりの生活を送っていることから、アラクバロフ氏は、人道支援活動への寄付継続を呼び掛けています。

※タリバンが国連にアフガンでの人道支援継続許可、干ばつ被害深刻(ロイター、2021年8月18日)
https://jp.reuters.com/article/afghanistan-conflict-un-envoy-idJPKBN2FJ0E3

 なおタリバンは、国外へ脱出する人々の安全も約束したようです。米国務省のプライス報道官が17日の記者会見で、「イスラム主義勢力タリバンから、国外脱出を図る米国人やアフガニスタン人ら市民が首都カブールの空港に向かうための『安全な通路』を確保する保証を得たことを明らかにした」と18日付朝日新聞は報じています。

※アフガン脱出に「安全な通路」、タリバンが保証 米政府(2021年8月18日)
https://digital.asahi.com/articles/ASP8L33M3P8LUHBI001.html

 ところが、タリバンによる穏健な対応が目立つ中、SNS大手のFacebookと動画サイトYouTubeでは、タリバンをあくまでも「テロ組織」として、関連するアカウントを停止し、コンテンツを削除する方針を明らかにしています。

 17日付のBBCの報道によると、Facebookはアフガニスタンの情勢に詳しい専門家によるチームでタリバンに関連するコンテンツを監視しており、アカウントの削除に加え、タリバンを支援・称賛する投稿を禁止する方針とのことです。また、Facebook傘下にあるInstagramも同様の措置を受けるとのことです。

※Afghanistan: Facebook continues ban of Taliban-related content(BBC、2021年8月17日)
https://www.bbc.com/news/business-58239786

 YouTubeについては、17日付ロイターが「YouTubeは17日、タリバンが所有・運営していると思われるアカウントを禁止すると発表」したと報じています。

※YouTube says it bans accounts believed to be owned by the Taliban(Reuters、2021年8月18日)
https://jp.reuters.com/article/afghanistan-conflict-socialmedia/youtube-says-it-bans-accounts-believed-to-be-owned-by-the-taliban-idUSL4N2PO3J9

 FacebookとYouTubeの対応は不可解です。これまで禁止されていなかったものが、政権奪取を機に禁止される理由はどこにあるのでしょう?

 現地の特派員らがカブール陥落後、空港で喜ぶ市民の姿を現地からSNSを用いて動画を配信していました。

 タリバンが血に飢えた狼のように、米軍撤退後のアフガンで殺戮を始める模様を期待していた人々にとって、武装していない、女性や子供と混じる市民の「笑顔」の映像は都合の悪いものだった、ということでしょうか。 

 残虐な映像や差別的な言動、デマの拡散等に制限がかかるのは当然ですが、特にFacebookの対応のように、タリバンへの称賛をすべて禁止するとなると、極端な言論統制となりかねません。

 タリバンによる発信はすべてデマであり、彼らの掲げる寛容な統治はすべて偽物であるという事実や証拠をすでにつかんでいるのでしょうか? そうであればそのエビデンスを示すべきでしょう。

 タリバンが蛮行を働くならば、その事実を、タリバンが自国民に対して(これまで敵対していた親米勢力に対してまでも)、寛容な統治を行い、市民も歓迎しているなら、その事実を、ありのまま伝えるべきです。

 日刊IWJガイドでは15日以降、タリバンが「無血開城」を行ったことを批判的ではなく伝えたり、本記事でも、国際社会が今後のアフガニスタンにおける人権への憂慮を示していることに対し、タリバンがその懸念を払拭するメッセージを発していることを伝えています。

 他方、NHKは18日付の記事で「テレビ局の多くは、政権崩壊前は歌番組や外国のドラマなどの娯楽番組を放送していた時間帯に、今ではイスラムの教えを解説するなどの宗教色の強い番組を放送していて、メディアの統制が始まっているものとみられます」と報じています。

※タリバン 女性の就労など認める考え示すも メディア統制開始か(NHK、2021年8月18日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210818/k10013209051000.html

 実際に今後のアフガニスタンにおいて、タリバン政権がどのような統治を行うかはまだわかりません。公に発したメッセージは口先だけのもので、実情は異なる結果になるかもしれません。また、メッセージそのものは本気だったとしても、理想をすべて実現できるかどうかはわかりません。

 20年間も戦場にされてきた傷跡が、一朝一夕に癒えるはずはありませんし、いくらタリバンの政権トップがおさえこもうとしても、国内で対立していた親米勢力の残党への憎悪が果たして、一夜にして消えるものなのか、疑問です。

 最貧国の大統領でありながら、巨額のカネを持ち出して逃げたガニ大統領に代表されるように、親米政権の腐敗と汚職は凄まじいものだったと、これまでも言われてきました。

 これまで制限されてきた情報が、今後は開示されてくるものと思います。そうした時期に、SNSによる情報発信に制限をかける、というのは理解しがたいものがあります。

 今は、タリバン政権とアフガンの社会を静観すべきです。以下の内藤教授のツイートに我々も共感を覚えます。

 「タリバン広報官による記者会見を見たが、彼らが繰り返したのは、外国軍の撤退により国は解放され、外国軍協力者を含め報復はしない。女性にはイスラムの枠組みのもとで社会的貢献、専門的職業など活躍して欲しいという点→今の段階で、予断を持たず、これから何をしていくかで判断すべきだろう」

※内藤正典同志社大学大学院教授のツイート(2021年8月18日)
https://twitter.com/masanorinaito/status/1427658105270112261

  賛否両論、様々な角度から意見を述べることは表現の自由の原則中の原則です。発信そのものを封じることは、自由主義社会が、全体主義国家に向けて抗議してきた言論と情報の統制そのものではないでしょうか?

■「ラムダ隠し」、「五輪関係者隠し」に失望と怒りの声が集まる! 米国紙に指摘されるまで「ラムダ隠し」を五輪終了まで厚労省は隠し通すつもりだった!? 小池都知事の「東京五輪成功」発言も火に油!

新型コロナウイルスの変異株、ラムダ株が日本国内で7月23日に確認されました。

 しかし、この国内初のラムダ株の確認を、8月8日の五輪閉会式直前の6日まで2週間も政府は公表せず、隠蔽し続けていました。

 さらに、ラムダ株に感染した女性が東京五輪関係者であったことは8月13日まで明らかにされていませんでした。この件は、8月15日の日刊IWJガイドでもお伝えしました。

※米日刊IWJガイド・日曜非会員版「2018年の西日本豪雨を超える雨量を記録! 20日まで続く大雨とコロナが重なり避難所での感染拡大に懸念!東京都のコロナ新規感染者数は3度目の5千人台、大阪府は過去最多となる1828人! 国内初のラムダ株感染者は東京五輪関係者と判明!」2021.8.15号~No.3258号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/49256

 ラムダ株は感染力が強く、ワクチンの効果を低減する可能性があるのではないかと懸念されていますが、まだ実態はよくわかっていません。しかし、危険な変異株であり、用心すべきことは言うまでもありません。

 ここまでの情報をまとめると、ラムダ株に感染した女性は30代で、ペルーに滞在歴があり、7月20日に羽田空港に到着しました。羽田空港の検査で陽性が判明しましたが、無症状であったため、ホテルなどの療養施設に移送されたとされています。国立感染症研究所(NIID)が変異株の分析をして、23日にラムダ株と特定しました。感染研は23日中に厚生労働省に報告、26日には新型コロナの遺伝情報が共有される国際的なプラットフォームである「GISAID(Global Initiative on Sharing Avian Influenza Data、鳥インフルエンザデータ共有の世界的先導)」にも報告していました。

 日本で初めてラムダ株が検出されたのに、厚生労働省が国内において広く公表せず、隠していた事実をすっぱ抜いたのは、米国紙『The Daily Beast』でした。その8月6日の記事をご紹介します。

 『The Daily Beast』は、8月4日にGISAIDのウェブサイトでラムダ報告を見つけて、厚生労働省と国立感染症研究所(NIID)に問い合わせたところ、厚生労働省は回答せずに6日まで待つように指示したが、国立感染症研究所の職員が、ラムダ株の検出を「オリンピックが終わるまでは発表しない」と語ったと、同記事は以下のように報じています。

「日本政府は詳細を発表しませんでしたが、NIID(国立感染研究所)の職員が『The Daily Beast』に語ったところによると、この変異株(ラムダ株)は空港の検査で発見されたものであり、野生のものではないとのことです。この関係者によると、変異株の検出を発表する予定はあったが、オリンピックが終わるまでは発表しないとのことです」

 国立感染研究所の職員は、『The Daily Beast』に、「厚労省では、この情報はオリンピックが終わってから報告したほうがいいというコンセンサスがあった」とも述べたということです。

 米国紙に指摘され、6日にすっぱ抜かれる直前に、やっと厚労省はラムダ株の初検出をはじめて認めたことになります。そうでなければ、8月8日の閉会式の後に発表していた可能性が高いと思われます。

 国民の健康を守ることより、政権が力を入れている五輪の「成功」を優先させた厚生労働省の姿勢は問題外です。

 厚労省の中の、誰の判断だったのか、国会を開き(閉会中審査だけでなく)、国会に厚労省の責任者を呼んで追求すべきです。厚労省だけの判断ではなく、たとえば官邸など、政治権力の上位からの「指示」があったのかどうかも、明らかにすべきです。

 と同時に、このようなきわめて政治的な判断に易々と同意し、共謀して重要な情報の隠蔽をはかった国立感染症研究所の「政治性」も、きわめて悪質であり、不誠実であって、信用がなりません。国立感染症研究所には、直接、メスが入れられるべきだと思います。解体的見直しが必要です。

 つけ加えれば、海外紙に指摘されるまで気づかなかったり、声を上げることがなかった日本のメディアにも反省すべき点があります。我々自身も見逃していました。猛省したいと思います。

※Tokyo Covered Up Arrival of Deadly New COVID Variant Just Before the Olympics(The Daily Beast、2021年8月6日)(東京都、オリンピック直前に致命的なCOVIDの新種の到着を隠蔽)
https://www.thedailybeast.com/tokyo-covered-up-arrival-of-deadly-lamda-covid-variant-just-before-the-olympics

 東京新聞の望月衣塑子記者は「隠蔽」を批判しています。

 「五輪期間前にラムダ株が初確認というのに、米メディアが追及するまでずっと隠蔽か。酷い」(望月衣塑子
@ISOKO_MOCHIZUKI、午後8:34 ・ 2021年8月11日)
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1425420288448106496

 自民党の佐藤正久議員は、12日、BS―TBS「報道1930」に出演、「早く発表すべきだったが、政府の中でも情報が共有されていなかった。(8月6日に厚労省が明らかにしたのは)報道機関から問い合わせがあったから答えた」と、発表が遅れたのは「隠蔽」ではなく、いわば不手際によるものと弁明しました。

※高致死率ラムダ株2週間報告せず「(検疫は)もっと早く問い合わせがあれば答えたという感覚」自民党外交部会長が番組で説明(東京中日スポーツ、2021年8月12日)
https://www.chunichi.co.jp/article/309964

 望月記者は、佐藤議員の弁明に反論しました。

 「こんな言い訳が通ると思ってるのか。

 自民・佐藤正久参院議員 ラムダ株が7月に確認され、国際機関に報告しながら、8月6日まで公表しなかったことに『早く発表すべきだったが情報共有されてなかった。答えたのは報道から問い合わせがあったから』」(望月衣塑子@ISOKO_MOCHIZUKI、午後9:58 ・ 2021年8月17日)
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1427615705654915078

 自民党の佐藤正久参議院議員が、ごまかしの弁明に終始していると言うことは、彼らに、情報隠蔽に対する罪の意識や反省がまるでない、ということです。

 さらに8月13日には、この30代女性が東京五輪の大会関係者だったと共同通信が報じました。政府が「言われるまで黙っていた」ことについて、「隠蔽ではないか」という批判の機運がこの頃から高まり始めました。

 小池知事が「皆様のおかげで成功し、無事にやり遂げることができた。水際対策、健康管理、行動管理、検査など協力してもらったことで、感染拡大の抑止につながった」と、13日の記者会見で「東京五輪は成功」という認識を示したことも批判に輪をかけています。

 五輪開催強行によって、東京発で感染大爆発の引き金を引いておいて、何が「成功」なのでしょうか。

※ラムダ株、公表遅れに批判 確認2週間後 「五輪そんたく」臆測も(毎日新聞、2021年8月15日)
https://mainichi.jp/articles/20210814/k00/00m/040/134000c

 Twitterで、「ラムダ株隠し、五輪関係者隠し」に対して失望と怒りの声が上がっています。いくつかの声をご紹介します。

 「政府が隠蔽していた国内初のラムダ株は五輪関係者だった。これが判明していたのは東京五輪が始まる前。あまりに悪質な隠蔽です」(Dr.ナイフ@knife900、2021年8月13日)
https://twitter.com/knife900/status/1426085092867276811

 「感染力や重症化リスクの高いラムダ株が五輪の大会中に日本に入ってきたのを政府は隠蔽していた。なぜ国民に知らせなかったのか。それは感染した女性が五輪関係者だったからだ。五輪とコロナ感染拡大の関係はないと言い張っていたのは誰だ。小池知事、五輪中のコロナ感染は想定内とはよく言えたものだ」(鳩山友紀夫(由紀夫)Yukio Hatoyama@hatoyamayukio、2021年8月14日)
https://twitter.com/hatoyamayukio/status/1426212085998837762

 「『国内ラムダ株初感染は五輪関係者』そうと知り、やはりと納得した。羽田空港で確認されたのが開会式直前、報道が8月6日、五輪開催への影響を考えてまたも隠蔽したのだ。発表の遅れに佐藤正久議員は『聞かれなかったから』と答え、自民党菅政権は隠蔽体質を維持したままパラリンピックに突入するのだ」(立川談四楼@Dgoutokuji、2021年8月15日)
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1426754158636388353

 「オリンピック期間を通じて半ば『隠蔽』されていたオリンピック関係者のラムダ変異株国内初確認について、言うに事欠いて『問い合わせ』が無かったから公表しなかったなどと嘯く自民党は、今すぐ政権を降りるべきです。民主主義社会において積極的な情報公開は必要不可欠です。言い訳にもなりません」(異邦人@Narodovlastiye、2021年8月15日)
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1426872075050913793

 「コロナ病床・宿泊施設の圧倒的な確保不足、更には五輪関係者ラムダ株感染の隠蔽…感染爆発のほぼ全ての要因は菅首相と小池都知事らにあると思う」(ケイ@ESmdcre、2021年8月18日)
https://twitter.com/ESmdcre/status/1427846466286931971

 8月18日、国会の閉会中内閣委員会で、立憲民主党の吉田統彦(つねひこ)議員は、厚労省の「ラムダ隠し」について「なぜこの事実が速やかに公表されなかったのか」と問いました。

 西村康稔コロナ担当大臣は、「国立感染症研究所では、WHOがVOCに位置づけたものを公表しているということでありまして、ラムダ株については現時点では感染研では『VOC』とも『VOI』とも位置付けていないため、この検出例については厚労省では公表を行なっていなかった」などと答弁しました。

 吉田議員が「大臣は、ラムダ株は安全だから公表しなかったんだよって、今、言ったんですよ。それで責任持ってくださいね、大臣」と畳みかけると、西村大臣は、ラムダ株の危険性はまだ検討中だと抗弁しました。

 「1点だけ付け加えると、ラムダ株はこれまで知見の蓄積がないということで、感染研において引き続き検討が進められているということで聞いています」

 「危険性がまだわからないから危険ではない」という判断は、菅政権のコロナ対策に顕著な特色です。「危険性がわからない」からと言って何もしなければ、危険性が明らかになる頃には感染は蔓延してしまいます。菅政権のコロナ対策がいつも後手後手になり、有効な対策を打てないできた原因の一つがここにあります。

※内閣委員会(衆議院インターネット審議中継、2021年8月18日)
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=52754&media_type=

 加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、現在入国者には全員検査をしており、陽性者がいた場合は全例国立感染症研究所でゲノム解析をしていると述べ、感染研でVOCまたはVOIと認定した変異株が出た場合には公表していると説明しました。

 ラムダ株はVOCまたはVOIとは位置付けられていないため、公表する予定にはなっていなかった、厚労省の手順には問題がなかったと主張しました。しかし、加藤長官は以下のように補足しました。

 「ただ、新型コロナウイルス感染症については国民の皆様がさまざまな関心やご不安を持っていらっしゃるわけであります。そう言った意味において、変異株にかかる情報の公表のあり方がそれに沿ったものなのかどうか、という観点で、今、厚労省において検討が行われていると承知しております。早急に結論を得て、それに則って、国民の皆様の不安解消につながるような形で公表されるようにしていきたい」
 
※令和3年8月18日(水)午前(首相官邸、2021年8月18日)
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202108/18_a.html

 ラムダ株は、ペルーで2020年8月に初めて確認された変異株です。WHOは2021年6月14日に、ラムダ株を「注目すべき変異株(VOI, Variant of Interest)」 に指定しました。このことを厚労省、感染研が知らなかったわけがありません。これまでに日本で「VOI」に指定されなかった理由は、まだ日本国内で見つかっていないことが大きな要素であったはずです。

 国立感染症研究所によると、南米で過去60日間の検出割合の増加が見られており、2021年7月4日時点で、チリ(30%)、ペルー(50%)、エクアドル(11%)となっています。

※感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第10報)(国立感染症研究所、2021年7月6日)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/10501-covid19-48.html

 「GISAID」によると、ラムダ株は、南アメリカで2020年12月28日ごろから増加、5月3日に南アメリカ全体の9.7%を占めるに至りました。

 その後、南米ではやや減少し、8月16日時点で6%となっています。その他の地域では、8月16日時点でオセアニアの0.6%が最も多い地域となっており、たしかに世界的な大流行にまではなっていません。

 世界では、チリで1432例、ペルーで1197例、米国で843例、エクアドルで187例、メキシコで177例、スペインで116例、アルゼンチンで111例、ドイツで87例、フランスで53例、コロンビアで46例イスラエルで25例、カナダで22例、イタリアで12例など、中南米、北米、欧州などで幅広く検出されています。

 オセアニア・東アジアで確認されたのは、オーストラリア1例と日本の1例だけです。

 しかし、WHOが「VOI」と認定したラムダ株が国内に入ってきたのですから、ただの変異株が入ってきたということですませるわけにはいきません。西村大臣、加藤官房長官の説明には、WHOがすでに「VOI」と認定している、という要素がすっぽり抜け落ちています。日本が警戒しなくていい理由はどこにあるでしょうか。五輪の続行に不都合な情報は隠蔽したいというきわめて「政治的な動機」が、そこに働いていたのではないでしょうか。

 世界では過去4週間で、チリで35例検出されたのが最多で、チリ全体の17.3%を占めています。その他、エクアドルで2例、3.4%、フランスで3例0.3%、メキシコで1例0.2%となっています。最初にラムダ株を検出したペルーでは0例0%、米国で13例検出されていますが母数が大きいため、0.0%となっています。

※VOI Lambda GR/452Q.V1(C.37)first detected in Peru(GISAID、2021年8月18日閲覧)
https://www.gisaid.org/hcov19-variants/

 朝日新聞は、ラムダ株を初めて報告したペルーのカエタノ・エレディア大学の分子遺伝学者パブロ・ツカヤマ博士(42)の言葉を引き、「わずか3カ月で急速に広まった。感染力が強いことは確実だ」と紹介しています。

※ラムダ株は「感染力強い」 ワクチン効きにくい可能性も(朝日新聞、2021年8月14日)
https://digital.asahi.com/articles/ASP8G53F1P8FUHBI03J.html

 英国では、2020年11月ごろから英国発の変異株であるアルファ株が増加しはじめ、2月14日から5月3日の間、全体の80%以上(3月22日から4月位5日は96.8%)を占めていましたが、その後急速に減衰、インド発のデルタ株に置き変わっていきました。

※VOC Alpha 202012/01 GRY(B.1.1.7)first detected in the UK(GISAID、2021年8月18日閲覧)
https://www.gisaid.org/hcov19-variants/

 変異株には、上昇期と、ピークアウトしてから減少してゆく下降期の波があることがわかってきています。

 英国のデルタ株は5月上旬から急速に増加、5月3日から9日の間は11.2%でしたが、6月14日から20日にかけて78%、8月22日現在98.9%を占めています。このデルタ株が秋から冬にかけてラムダ株に置き換わっていく可能性があります。

※VOC Delta G/478K.V1(B.1.617.2+AY.*)first detected in India(GISAID、2021年8月18日閲覧)
https://www.gisaid.org/hcov19-variants/

 ラムダ株はまだその感染力の強さや重症化・入院リスクなどが明らかになっていませんが、世界的に広がりつつあることは事実であり、今後注意を払っていく必要があります。

 デルタ株がピークアウトしても、次の変異株を放置し、備えなければ、パンデミックの谷がなくなり、次々登場する変異株の流行の連鎖によって、感染のピークが山脈のように連なっていってしまうでしょう。

 そうなると、医療も、公衆衛生も、経済も崩壊してしまいます。パラリンピックは中止し、もてる資源を感染拡大の抑制に傾注していくべきです。国民の声が政権交代を本気で望むまでに高まれば、政府の方針は変わらざるを得なくなるでしょう。

 しかし、それでも国民の声を聞かない、一部の五輪ムラの利権を優先する、ということであれば、あとは倒閣しかありません。

■神奈川県川崎市で陽性率が42.9%!検査さえすれば2人に1人が陽性!感染経路不明割合が79%と、もはや制御不能状態!それでもなお、PCR検査を拡充しようとしない態度はもはや理解不能!その影には、PCR検査抑制方針をとる黒幕、岡部信彦氏がいた!

 神奈川県川崎市の感染状況と医療の逼迫が、深刻になっています。

 川崎市のホームページによると、8月8日から8月15日の1週間で、陽性率が37.9%から42.9%と、半数近くまで上昇しています!検査さえすれば、2人に1人が陽性と判明するところまで感染拡大してしまっています。

※(川崎市)新型コロナウイルス感染症モニタリング状況
https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000118267.html

 去年4月のニューヨークでは、感染爆発が起き、医療崩壊が起きていました。その時のニューヨークの陽性率が48%なので、今回の川崎市の陽性率は、状況が最悪だった当時のニューヨークに劣らない数字なのです!

 医療逼迫も深刻です。

 先週の8日時点で、確保病床数288床に対して、病床使用率は70.1%となっています。しかし、15日までに、病床を7床追加確保して、合計で確保病床数295床になったにも関わらず、病床の使用率は80%と逆に悪化しているのです。つまり、病床を増やしても入院が必要な、病状の重い患者がどんどん現れてきて追いつかないのです。

 重症患者に対しての医療逼迫は、さらに深刻です。

 8月8日の時点で、すでに重症者用の確保病床数は30床で、使用率は140%と病床のキャパシティを越えています。15日までに、重症者用の床を15床増やしたものの、病床使用率は120%となっており、まだ100%を越えており、深刻な医療逼迫は継続しています。

 言うまでもなく、陽性率がこれほど高ければ、PCR検査で拾えていない陽性者がいることは容易に想像が尽きます。PCR検査を広く行い、感染状況の全体像を把握するとともに、感染の自覚が本人になく、活発に動いて感染を広げてしまっている軽症あるいは無症状の陽性者を早く捕捉して、隔離・治療をして、感染拡大を食い止めなくてはいけません。

 しかし、川崎市は、PCR検査の拡大をしてきませんでした。

 川崎市健康安全研究所所長で、新型コロナ分科会のメンバーでもある岡部信彦氏は、7月30日に行われた川崎市議会の健康保険委員会で、共産党の渡辺学委員の質問に対して以下のような発言をしています。

 渡辺委員「一気に(PCR検査を)拡大をするという、繰り返し必要だと思うんですけど、そのへんについては、見解ありますでしょうか」

 岡部所長「PCR検査について、ある施設、ある学校とかですね、大学生とかの、そういった単位でやっても0.0何%くらいの陽性率しか出てこないので非常に効率はよくないというデータがあります。ただ、私達も早期発見という重要性を非常に大きく訴えております(略)」。

 このように、分科会メンバーとして、政府の政策にも影響力のある岡部は、「陽性率」が低いことを、「効率が悪い」として、PCR検査の拡大には否定的な意見を述べていました。

 健康保険委員会で発言した岡部氏は、PCR検査抑制方針を主導してきた主要な人物の一人として知られています。

 2021年7月19日、岩上安身が上昌広氏にインタビューを行った際に、上氏は、岡部氏について、以下のように批判しています。

 上氏「この人こそ『感染症村』の人ですよ。この人がPCRやらなくていいって言った人ですよ。(中略)この方々がA級戦犯ですよ。お前たちがちゃんとしなかったからイギリスのようにできなかったんで、PCR検査抑制の張本人です」

※デルタ株拡大、「第5波」のなかで迎える東京五輪の開催決行 懸念される日本の脆弱な検査体制とワクチン接種の遅れ~岩上安身によるインタビュー 第1046回 ゲスト 医療ガバナンス研究所理事長・上昌広医師(IWJ、2021年7月19日)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/494484

 これまで日本は、PCR検査を拡充して、感染状況の全体像を把握するといった政策は行って来ませんでした。

 その背景には、上氏が述べているような、PCR検査抑制方針をとる岡部氏のような人が、かつての専門家会議や新型コロナウイルス分科会に在籍し、政策を提言していたからです。

 しかし、彼らの主導してきたPCR検査抑制という方針をとった日本は、感染拡大のただ中です。間違いなく、その責任の一端は岡部氏らPCR検査抑制派にあります。

 さらに、そのリーダーシップをとった、岡部氏が川崎市健康安全研究所の所長をつとめる、彼のお膝元の川崎市では、検査抑制してきた結果、感染拡大が制御不能なレベルに陥り、医療崩壊真っただ中です。

 なぜ、低い陽性率が出ることを、「効率が悪い」というのか。これは歪んだ新自由主義的な「効率優先」の理屈を、公衆衛生という公共政策の分野にあてはめるから、こんな馬鹿気た理屈が出てくるのです。

 陽性率のパーセンテージが低いと、検査にかける予算の効率が悪い、というならばパーセンテージが良いほど、効率がよい、ということになります。つまり、彼らのロジックが帰着するところは「陽性率100%の状態になったら一番効率的だ」という話になるのです。「検査した全員が陽性」という、状態が最も効率が良い、という理屈です。

 これがいかに馬鹿気ているか、少し考えてみれば誰にでも理解できるはずです。「効率が悪い」「効率優先」、という論理を金科玉条のごとく、効率がすべてに優先するわけではない分野にまで打ち出す「新自由主義者」や、そうしたドグマに洗脳されている人間ほど始末におえないものはありません。

 川崎市の惨状は、PCR検査抑制方針が、いかにおそろしい間違いであったか、その証明に他なりません。日本各地を川崎市のようにしてはいけません。

 PCR抑制論を唱えるような人物は、分科会だけでなく、厚労省の医系技官の中にも、テレビでコメンテーターをしているような、世論に影響を与える人物にもいます。そうした人々を一掃し世論を変え、政策を変えないと私達は救われません。

■<IWJ取材報告>人権NGO代表らが出入国在留管理庁へ全データの遺族、代理人、国会議員への開示を要求!「徹底的な国会審議なしに真の意味の再犯防止は不可能」!~8.17ウィシュマ・サンダマリ氏の死亡事件調査報告書に対するNGO合同会見

 2021年8月10日、出入国在留管理庁が、3月6日に名古屋出入国管理局の収容施設で死亡したウィシュマ・サンダマリさんに関する「最終調査報告書」を公表しました。これを受けて、8月17日、東京都千代田区の参議院議員会館で、外国人人権法連絡会、恣意的拘禁ネットワーク(NAAD)、特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)など、人権問題で活動するNGOの代表者ら6名が合同で記者会見を行いました。

 会見の冒頭、移住連副代表理事である鈴木江理子弁護士は「公表された調査報告書は到底受け入れられるものではない」と述べ、「抜本的な真相究明をするためには、まず全データをご遺族、そして代理人、そして国会議員に開示すること」と求めました。

 鈴木弁護士は「それにもとづいて徹底的な国会審議がなされること、それをなくしては真の意味の再犯防止ということは不可能だと思う」と訴えました。

 詳しくはぜひ、全編動画を御覧ください。

※人権NGO代表らが出入国在留管理庁へ全データの遺族、代理人、国会議員への開示を要求!「徹底的な国会審議なしに真の意味の再犯防止は不可能」!~8.17ウィシュマ・サンダマリ氏の死亡事件調査報告書に対するNGO合同会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495337

■<新記事紹介1>【特別寄稿】横浜市長選は小此木八郎氏、山中竹春氏、林文子氏の三つ巴の戦いに! カジノ誘致予定地では「米中戦争」が勃発!「隠れカジノ推進派」候補でほとぼりが覚めたら米系カジノを誘致か!?

 今週末22日日曜日に投開票日を迎える横浜市長選は、菅総理が全面支援をする小此木八郎・前国家公安委員長と、立憲民主党推薦の山中竹春・元横浜市立大学教授(共産・社民支援)、そして現職の林文子市長との、三つ巴の戦いになりつつあります。

 大手メディアの分析では、先行する小此木氏を、山中氏と林市長が猛追しているとされていますが、フリージャーナリストの横田一氏は「菅首相の小此木氏への全面支援が追い風になるどころか、逆に票を減らす要因になっている可能性すらある」と見ています。

 横浜市長選のポイントは、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致への賛否です。

 誘致を推進してきた林市長は賛成、山中元教授は反対。そして誘致の張本人である菅総理と昵懇の小此木氏が突如、反対を表明して出馬し、世間を驚かせました。

 しかもその小此木氏を、カジノ推進の旗を振り続けてきた菅総理が全面支援するというのですから、「驚くべき状況」(畑野君枝・衆院議員・共産)と言われるのも当然で、「これには裏があるな」と疑われる「面妖」な事態なのです。

 横浜市長選の取材を続ける横田氏によると、「ハマのドン」こと「横浜港ハーバーリゾート協会」の藤木幸夫会長は、山中氏への応援演説で、「トランプの使いが来て『(カジノ予定地の山下埠頭を)絶対に中国(系カジノ)には貸さないで』と言った」と述べました。すなわち山下埠頭で「米中戦争」が起きているというのです。

 さらに、立憲民主党の江田憲司代表代行も、藤木会長と符合する話をしました。江田代行は6月29日の山中氏の出馬会見で、「本当はアメリカ系カジノ業者を誘致したかった。中国系(カジノ業者)ばかりが申請している」と述べて、「隠れカジノ推進派」の小此木氏が当選すると、ほとぼりが冷めた頃に、林前市長がそうであったようにカジノ誘致賛成にコロッと「転向」するのではないかと疑っているとし、「もう騙されないぞ!」と語りました。

 小此木氏が本当の反カジノ候補であると信じられるのか、それとも「隠れカジノ派」であると疑うのか。こうした点が、結果を左右する要因になりそうです。

 菅首相の命運を左右する横浜市長選から、目が離せません。

 横田氏による特別寄稿をアップしましたので、詳しくはぜひ、記事をご一読ください。

※【特別寄稿】横浜市長選は小此木八郎氏、山中竹春氏、林文子氏の三つ巴の戦いに! カジノ誘致予定地では「米中戦争」が勃発!「隠れカジノ推進派」候補でほとぼりが覚めたら米系カジノを誘致か!?
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495355

■<本日のタイムリー再配信>本日午後8時より2014年5月収録「『米軍とタリバンを仲裁できるのは日本だけ』――。集団的自衛権の行使で積み上げてきた信頼が崩壊する日」を再配信します!

 日刊IWJガイドでもお伝えしているように、8月15日、米軍の撤退が進むアフガニスタンで、急速に勢力を拡大しているタリバンが、ついに首都カブールに入り、大統領府を掌握。アシュラフ・ガニ大統領は隣国タジキスタンに出国し、ガニ政権は事実上崩壊しました。

 2001年、「9・11」の同時多発テロの後、米ブッシュ政権が始めた「対テロ戦争」により、米軍はアフガニスタンに侵攻。当時のタリバン政権は崩壊しました。

 その後、新生アフガニスタン政府が誕生し、それを米国が支える構図となりました。しかし、アフガン政府・米軍とタリバンとの戦いは20年にわたって継続。昨年、トランプ政権はアフガン撤退を決め、今年5月から本格的な米軍の撤退が始まっていました。

 そうした中でのタリバンによる首都カブール掌握でしたが、予想外だったのは、タリバンがカブールに「無血入城」したことです。また、懸念されていたような武力による弾圧や新米政権残党とタリバンとの激戦は今のところ報じられていません。

 そこで本日は、アフガニスタンに駐留していた米軍の実情について振り返るため、2014年5月17日収録「『米軍とタリバンを仲裁できるのは日本だけ』――。集団的自衛権の行使で積み上げてきた信頼が崩壊する日」を再配信します。

 2014年5月17日、1999年の憲法記念日に発足して以来、護憲を訴えて活動してきた市民団体「許すな!憲法改悪・市民連絡会」が第86回目となる市民憲法講座を文京区で開催しました。日本国際ボランティアセンター(JVC)の代表理事・谷山博史氏が講師として招かれ、「国際協力NGOの活動の経験から考える集団的自衛権問題」というテーマで講演を行いました。

 谷山氏は、NGOの活動を28年間も続け、カンボジアやタイ、アフガンなどで人道支援にあたってきました。2014年当時、安倍政権が集団的自衛権を行使できるよう調整していたことを受け、「自衛隊が支援で海外に行くだけでなく、武力も行使しようという方向になる中、NGOは現場でどう動くべきかが問われている」と語ります。

 谷山氏は2002年にアフガニスタンに入国し、同時多発テロ事件以降、米軍の攻撃を受けていたアフガニスタンで、JVCの現地代表として活動。谷山氏は国際シンクタンク「治安と開発の国際審議会(ICOS)」のデータを引用し、アフガニスタンにおける、タリバンと米軍の関係性を紹介します。

谷山氏「地域ごとに見ると、タリバンの勢力が濃い土地ほど、米軍との戦闘が行われていることがわかる。タリバンがいるから戦闘が起こるのか、米軍が活動するからタリバンが勢力を伸ばすのか、どちらか(決めるのは)難しい。

 しかし、私たちが医療活動している村には、タリバンはほとんど侵入してこない。同時に、米軍も入ってきていない。ちょっと離れると違う。スポット的に平和で、米軍もいないからタリバンも入ってくる理由がない。私たちはそういう感覚がとても強い」

 米軍が入ってきた場合、「なぜあなたたちが入ってくる必要があるのか」と谷山氏らは抗議したといいます。

 2008年、診療所にきて米軍が食料を配ったことがあったが、その時も谷山氏は、「あなた方の領域ではない。勝手に援助する必要はない。逆に地域の人たちの不安を煽るだけだ」と米軍に抗議しました。

 その後、米軍がミサイルを村に落とすようになり、JVCの診療所の壁も被害を受けたといいます。

谷山氏「診療所を狙うことは本当に許されない。明確に抗議した。NGOと米軍の会議の場で抗議し、初めのうちは米軍は否定したが、写真と、小型のロケット弾の破片を集め、次の米軍とのミーティングで提出した。最終的な回答は、『訓練をしていた』ということでした。

 JVCだけでは多勢に無勢なので他のNGOや国連の人を巻き込み、米軍は、ようやく『もうJVCのところでは(活動)しない』と約束した。その後、村人たちは、『JVCが米軍を追い出してくれた』と話していたそうだ」

 谷山氏は「そこで米軍に抗議したことが安全につながった」「逆に米軍と行動していたら我々の危険につながる」「治安が悪いから軍隊が必要だ、という論理はとても危険だ」と話します。

 この「米軍とタリバンを仲裁できるのは日本だけ」というロジックを、「米国と中国を仲裁する立場に日本も諸外国とともに立つべき」と読み換えて考えると、アフガニスタンの20年間の悲劇的な経験を、ただの不孝な出来事だった、というだけでなく、有益な教訓を読みとれるはずです。

 午後8時からの再配信を、ぜひご視聴ください。

 仮に、その日の都合で見られなくても、会員になっていただければ、一般会員なら2ヶ月以内、見逃し配信を自由な時間に見られますし、サポート会員ならば、いつまでも、いつでも好きな時にコンテンツを無期限で視聴できます!

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【タイムリー再配信 976・IWJ_YouTube Live】20:00~
「米軍とタリバンを仲裁できるのは日本だけ」――。集団的自衛権の行使で積み上げてきた信頼が崩壊する日
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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※「米軍とタリバンを仲裁できるのは日本だけ」――。集団的自衛権の行使で積み上げてきた信頼が崩壊する日 2014.5.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/140427

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 それでは、本日も1日よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20210819

IWJ編集部(岩上安身、城石裕幸、富樫航、仲川正紀、六反田千恵、渡会裕)

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