日刊IWJガイド・非会員版「沖縄『医療崩壊』! 東京7日連続重症者過去最多!『野戦病院を!』 タリバン『無血入城』は米国から中国への覇権一部『譲渡』!?」2021.8.17号~No.3260号


┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━━
■はじめに~15日、沖縄県でついに「医療崩壊」! 「重症」と「中等症2」用の病床がすべて埋まったことが明らかに! 東京都は7日連続で重症者が過去最多を更新、268人に! 東京都医師会の尾崎治夫会長は「早急に野戦病院を!」と政治・行政に訴え! 他方、臨床医が、検査で10人のうち7人が陽性(デルタ株)と悲痛な主張!
■【中継番組表】
■米軍撤退開始とともに決まっていたも同然だったカブール陥落! アフガン脱出を急ぐ米大使館! アフガン人ジャーナリストは「米国に裏切られた」と米メディアに寄稿! 米国と米軍を信じた者たちを、あっさりと見捨てて去った! 取り残された者たちに身の保証はない! 日米同盟も同じ!
■タリバンによる首都カブールへの「無血入城」と大統領府掌握は、米国から中国への覇権の一部の「譲渡」!? 7月末に天津で開かれた米中外交対談、続けてその直後に中国とタリバン代表団が会談をもったその内容と意味は?
■緊急事態宣言を6都府県から13都府県に拡大し、9月12日まで延長! 危機的状況にもかかわらず、8月24日からのパラリンピックを無観客で強行!
■基礎疾患のない若年層の男性が、自宅療養中に新型コロナで死亡の事例が相次ぐ!!
■<本日のタイムリー再配信>本日午後8時から2019年5月16日収録「『戦後国体』は『尊米攘夷』!? 戦後の対米従属の構造は戦前の天皇制支配から引き継がれた!? 岩上安身によるインタビュー 第939回 ゲスト 京都精華大学人文学部専任講師・白井聡氏」を再配信します! 白井聡氏とは岩上安身が近日中にインタビューを行う予定です!
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■はじめに~15日、沖縄県でついに「医療崩壊」! 「重症」と「中等症2」用の病床がすべて埋まったことが明らかに! 東京都は7日連続で重症者が過去最多を更新、268人に! 東京都医師会の尾崎治夫会長は「早急に野戦病院を!」と政治・行政に訴え! 他方、臨床医が、検査で10人のうち7人が陽性(デルタ株)と悲痛な主張!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 東京と沖縄でのコロナ感染爆発の勢いが止まりません!

 東京都は16日、新型コロナウイルスの新規感染者を2962人と発表しました。月曜日としては過去最多です。

 また、重症者は268人となりました。過去最多を7日連続で更新しました。

※新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(第2350報)(東京都福祉保健局、2021年8月16日)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/corona2350.html

 一方、人口あたりの感染者が全国最多の沖縄県でも、新規感染者数が月曜日としては過去最多となりました。

 16日付け沖縄タイムスは「沖縄県は16日、新たに339人の新型コロナウイルス感染者を確認したと発表した」「月曜日の感染者としては過去最多となった」と報じました。

※沖縄で新たに339人感染 月曜最多 1人死亡【8月16日夕】(沖縄タイムス、2021年8月16日)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/805163

 その沖縄県では、15日についい「重症」病床も「中等症2」の病床もすべて埋まってしまいました。

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◆中継番組表◆

**2021.8.17 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】14:00~「ウィシュマ・サンダマリ氏の死亡事件調査報告書に対するNGO合同会見」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「外国人人権法連絡会」、「恣意的拘禁ネットワーク(NAAD)」、「特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」、「認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)」による合同会見を中継します。これまでIWJが報じてきた難民関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e9%9b%a3%e6%b0%91
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【タイムリー再配信 974・IWJ_YouTube Live】20:00~「『戦後国体』は『尊米攘夷』!? 戦後の対米従属の構造は戦前の天皇制支配から引き継がれた!? 岩上安身によるインタビュー 第939回 ゲスト 京都精華大学人文学部専任講師・白井聡氏」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2019年5月に収録した、岩上安身による白井聡氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた白井聡氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%99%bd%e4%ba%95%e8%81%a1

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/448795

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◆中継番組表◆

**2021.8.18 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 975・IWJ_YouTube Live】20:00~「安倍政権が2021年まで戦後最長不倒政権という記録を残す!? 民主主義国家ではありえない!~『白金猿(はっきんさる)』出版記念シンポジウム 白井聡・金平茂紀・猿田佐世『ポスト安倍政権の対抗軸』」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2018年5月に収録した、「かもがわ出版」主催のシンポジウムを再配信します。これまでIWJが報じてきた白井聡氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%99%bd%e4%ba%95%e8%81%a1

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/421497

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

立憲民主党・石橋通宏参議院議員が怒る!「『因果関係わかりません、責任もわかりません。でも、改善します』って、それで改善できるわけがない!」~8.13第28回 難民問題に関する議員懇談会 総会
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495260

指宿昭一弁護士「ビデオの中に真実がある。ビデオを見れば入管に殺されたという事がわかる」~8.13名古屋入管ウィシュマさん死亡事件の真相究明のためのビデオ開示、再発防止徹底を求めるオンライン署名提出後記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495279

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■米軍撤退開始とともに決まっていたも同然だったカブール陥落! アフガン脱出を急ぐ米大使館! アフガン人ジャーナリストは「米国に裏切られた」と米メディアに寄稿! 米国と米軍を信じた者たちを、あっさりと見捨てて去った! 取り残された者たちに身の保証はない! 日米同盟も同じ!

 昨日のこの日刊IWJガイドでもお伝えしましたが、米軍が撤退を進めるアフガニスタンで、タリバンが首都カブールを包囲する中、ガニ大統領が隣国タジキスタンに出国し、15日夜、タリバンが大統領府を掌握しました。

※米軍が撤退を進めるアフガニスタンでタリバンが首都カブールを奪還、アフガニスタン政府・ガニ大統領はタジキスタンへ出国、ガニ政権は事実上崩壊!ハートランドである「アフガニスタンを攻略しようと侵攻した帝国はことごとく滅び去った。大英帝国しかり、ソ連しかり、そして米帝国しかり。帝国の墓場で米国は自国の覇権の墓穴を掘った」と岩上安身はツイート!
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/49267#idx-5

 カタールの衛星テレビアルジャジーラ英語版は16日、「タリバンはアフガニスタン戦争の終結を宣言した」と報じました。

※Taliban says Afghanistan war over as president flees(ALJAZEERA、2021年8月16日)
iplomats-flee?taid=6119cdaa029ed3000190db11&utm_campaign=trueAnthem%3A+Trending+Content&utm_medium=trueAnthem&utm_source=twitter

 一方、カブール市内は、国外脱出を求める外国人や、アフガニスタン市民で混乱しています。

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■タリバンによる首都カブールへの「無血入城」と大統領府掌握は、米国から中国への覇権の一部の「譲渡」!? 7月末に天津で開かれた米中外交対談、続けてその直後に中国とタリバン代表団が会談をもったその内容と意味は?

 タリバンが8月15日にアフガニスタンの首都カブールに「無血入城」し、大統領府を掌握したという一報が入ってから1日が経ちました。タリバンを恐れて、カブールから脱出しようとする人々や預金をおろそうと銀行に詰めかけた人の長蛇の列ができるなど、生活の混乱はありますが、懸念されていたような武力による弾圧や新米政権残党とタリバンとの激戦は今のところ報じられていません。

※米軍が撤退を進めるアフガニスタンでタリバンが首都カブールを奪還、アフガニスタン政府・ガニ大統領はタジキスタンへ出国、ガニ政権は事実上崩壊!ハートランドである「アフガニスタンを攻略しようと侵攻した帝国はことごとく滅び去った。大英帝国しかり、ソ連しかり、そして米帝国しかり。帝国の墓場で米国は自国の覇権の墓穴を掘った」と岩上安身はツイート!(日刊IWJガイド、2021年8月15日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/49267#idx-5

 岩上安身は、この「カブール陥落」と、かつてのベトナム戦争における「サイゴン陥落」を重ね合わせる見方について、両者は似て非なるものだと、ツイートしています。

 「サイゴン陥落と、カブール陥落は似て非なるものと思います。サイゴンが陥落しても、米国の覇権は揺るがなかった。しかし、今度はそうではない。米国の絶対的な覇権は終わる。問われているのは日本。アフガンもイラクも米国に負けても主権を手放さなかった。日本は主権国家として溶解している」
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1427003135482949634

 「RT @iwakamiyasumi: カブールの陥落は、米国の覇権の、中国への一部譲渡であると考えられます。7月26日に米中の外交トップレベルの会談があり、その2日後の28日には、中国の王毅外交部長とタリバン代表団が会談。『落城後のアフガン』の再建と中国からの投資、テロ対策まで話し合っています。その半月後の無血開城です」
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1427319587830308905

 タリバンのカブール入城と同じ日、中国問題グローバル研究所所長・筑波大学名誉教授であり、理学博士でもある遠藤誉氏が『ニューズウィーク』で、「米軍撤収宣言と同時に中国とタリバンは急接近」していると指摘、「習近平はアルカイーダ復活を認めないだろう。となると、アメリカができなかったことを中国が成し遂げ、中国が世界の趨勢を握ることにつながる」という見解を示しています。

※タリバンが米中の力関係を逆転させる(2021年8月15日)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/08/post-96906.php

 遠藤氏によると、7月26日にアメリカのウェンディ・シャーマン国務副長官が訪中、天津で王毅外相らと会談、そして7月28日にアフガニスタンのタリバンを代表する一行が同じく天津を訪問して王毅外相と会談しているということです。

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■緊急事態宣言を6都府県から13都府県に拡大し、9月12日まで延長! 危機的状況にもかかわらず、8月24日からのパラリンピックを無観客で強行!

 新型コロナ感染拡大が止まらない中、政府は16日、東京、大阪、神奈川、埼玉、千葉、沖縄の6都府県の緊急事態宣言を、8月20日から茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県に拡大する方針を示しました。と同時に、宣言の期間を8月31日までから9月12日まで延長するとのことです。

※「緊急事態宣言」7府県を追加へ 6都府県の宣言も延長の方針(NHK、2021年8月16日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210816/k10013206461000.html

 さらに、まん延防止等重点措置は、新たに宮城、山梨、富山、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県に適用、これらの期間も8月20日から9月12日までとする方針と報じられています。

 これらの方針は、17日に、専門家による「基本的対処方針分科会」に諮り、正式決定するとのことです。

 しかし、こうした「宣言」だけでは、感染拡大を阻止することができないことは、この7月から8月にかけて、十二分に証明されたはずです。政府は東京に7月12日に4回目の緊急事態宣言を発出しました。その一方で、同時に五輪を強行開催したため、「宣言」の効果はまったくなくなり、デルタ株中心の感染爆発を食い止められませんでした。

 東京五輪の強行が感染拡大の第5波を促し、緊急時多宣言を出し続けなければならない状況を招いたことは明白です。

 しかし、菅総理は、「感染拡大と東京五輪は無関係」と8月6日に言い放ち、その発言を今に至るまで修正していません。その発言を維持しなければ、パラリンピックを開催できないからでしょう。

 7月に国内で初めて確認された「ラムダ株」感染者の女性が、東京五輪関係者だったことが8月13日に判明し、五輪のコロナ対策が「不完全」だと改めて証明されたことをふまえ、日刊IWJガイドでは、8月24日開始予定のパラリンピックは即刻中止すべきだと訴えました。

※東京都のコロナ新規感染者数は3度目の5千人台、大阪府は過去最多となる1828人! 国内初のラムダ株感染者は東京五輪関係者と判明! パラリンピックは中止を!(日刊IWJガイド、2021.8.15号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/49256#idx-3

 岩上安身は「パラリンピックを開催してはいけない!我々の生存がかかっている」「パラリンピックは中止の一択!強行するなら倒閣!」とツイートしました。

※岩上安身のツイート(2021年8月15日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1426603101193072640

※岩上安身のツイート(2021年8月15日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1426597395547123713

 ところが8月16日、大会組織委員会とIPC=国際パラリンピック委員会、政府、東京都の4者会談が、パラリンピックを無観客で実施すると決定したのです。

※東京パラリンピック「原則すべての会場で無観客開催」4者会談(NHK、2021年8月16日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210816/k10013206541000.html

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■基礎疾患のない若年層の男性が、自宅療養中に新型コロナで死亡の事例が相次ぐ!!

 一人暮らしの若い男性が、人知れず、新型コロナのために亡くなるケースが相次いでいます。

 TBSは、東京・江戸川区で基礎疾患のない、一人暮らしの30代男性が、自宅で容態が急変し、新型コロナで死亡していたのを、8月2日に発見されたことを報じています。男性は1日に「軽い肺炎」と診断されてPCR検査を受けたばかりだったとのことです。

※【独自】基礎疾患ない30代男性 自宅で容体急変 コロナで死亡(TBS NEWS、2021年8月16日)
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4337935.htm

 こうした基礎疾患のない比較的若年層の男性のコロナによる死亡が、相次いで報告されています。

 前出の記事によれば、都内では7月6日と8月6日にもコロナに感染した基礎疾患のない30代男性が自宅で死亡していたとのことです。

 さらに、8月11日にも都内で、基礎疾患がなく、軽症と判断されて自宅で療養していた30代男性宅を、家族が訪ねたところ、死亡していたことが報じられています。

※軽症と判断された30代男性、自宅で死亡…基礎疾患なし(読売新聞、2021年8月12日)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210811-OYT1T50191/

 現在、新型コロナに感染すれば、若く、基礎疾患がない健康体だった人でも亡くなってしまう危険性が高まっています。

 政府が入院制限を打ち出し、自宅療養を余儀なくされた結果、単身世帯が約半数を占める東京では、家族の見守りや助けを得ることもできず、急変に際して、おそらくは先に意識を失い、119番もできず、誰にも最期を看取られることなく、息を引き取っている若い人たちが続出しているのです。

※「東京都世帯数の予測」の概要(東京都HP、 2019年03月28日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/28/33.html

 こうした悲劇が繰り返される危険性は、これから高まりこそすれ、減ってゆく可能性は少ないでしょう。

 そうした中で、感染拡大に拍車をかけるであろうパラリンピックを、政府はなぜ、強行するのでしょうか。

■<本日のタイムリー再配信>本日午後8時から2019年5月16日収録「『戦後国体』は『尊米攘夷』!? 戦後の対米従属の構造は戦前の天皇制支配から引き継がれた!? 岩上安身によるインタビュー 第939回 ゲスト 京都精華大学人文学部専任講師・白井聡氏」を再配信します! 白井聡氏とは岩上安身が近日中にインタビューを行う予定です!

 本日午後8時から、岩上安身による白井聡氏インタビューを再配信します。2019年5月16日(木)14時より東京都港区のIWJ事務所にて、岩上安身による京都精華大学人文学部専任講師・白井聡氏インタビューが行われました。白井聡氏は、早稲田大学政治経済学部から一橋大学大学院社会学研究科へ進み、博士(社会学)を取得されています。『永続敗戦論―戦後日本の核心』で、石橋湛山賞等を受賞されてからのご活躍は広く知られているところです。

 このインタビューが行われたのは、天皇の代替わり、新元号を迎えるタイミングでした。白井氏はインタビューの1年前、2018年4月に『国体論―菊と星条旗』を上梓されています。白井氏は「『国体論』は去年(2018年)の4月、天皇の『お言葉』が出てきた時に本のコンセプトは固まっていた。びっくりしたが、『なるほどな』と思った」と振り返りました。

 ここで白井氏が言う天皇の「お言葉」とは、生前譲位を表明した平成天皇の「象徴としてのお務めについて」です。

※象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(宮内庁、2016年8月8日)
https://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/12

白井氏「『国体論』の趣旨は、今や日本、日本人にとって事実上の天皇とはアメリカでしょう、と」

岩上「『尊米攘夷』ですね。私もピンと来ると思いました」

白井氏「一番立場を失うのは誰であろうかと、それは天皇と皇族。まさに、今の日本が置かれている状況への危機感が『お言葉』に現れていた。それで、本のコンセプトは変わらなかったが、ああ、やっぱりと、背中を押される気がした」

岩上「白井さんはずっと、対米従属の問題に大きな関心を持っていらっしゃる。対米従属は戦前の天皇制の構造をそのまま引き継いだ、と。鳩山政権が誕生した時、一部の新聞で『日米同盟を見直す』といった鳩山さんの発言に対して、防衛省の高官などが匿名で『日米同盟をなんと心得る』と言っている」

白井「それは、反国体的言説だということですね?」

岩上「そうです。『我が国体をどう心得る』という。日米同盟は『国体』だったんですよ」

白井「まさに(日米同盟は)タブーなんですよね。戦前は治安維持法をもって、国体を批判するような結社を組めば、最高刑は死刑というほどの極限のタブーとされていました。

 それとまったく同じ話で、日米同盟に疑いを挟む・相対化するなどすれば、それだけで死刑にはならないですけれど、ある世界では確実に出世を妨げられるとか。ある世界というか、政財官全部と言っても過言じゃないと思いますね」

岩上「反米は反日以上にタブー、ということになりかねないですね。今、地上波のテレビで、もし日米同盟に疑いを挟むようなコメントをしたら、『ええっ。放送事故か』ということになるかもしれない。それぐらい変わってきています。60年代、70年代の安保闘争が可能だった頃と今とまったく違ってきています」

白井氏「不思議なのは1960年代の日米の国力差って、圧倒的にアメリカの方が上。その後日本は経済成長して、国力差は相対的に縮まっているはずなのに、1960年代には反米感情が発露されるのが当たり前のこととしてあったのに、現在ではタブーになってしまった」

岩上「反米って、要するに独立志向です。独立の気概を、戦前戦中の世代がまだ持っていた。それがなくなってしまった。教育、メディアの影響は恐ろしい」

白井氏「アメリカを頂点とする国体の構造が打ち固められて、もはやその外側がまったく見えないような状態になってきています。トランプさんさえ、日本を気遣ってくれるならそれでよしと。全然気遣ってなんかくれていないんですけどね」

岩上「あれをみていると本当にDV男と、それにすがり付いている共依存の女性という関係が見て取れます。私は日米関係について、DVとか、戦後国体、ストックホルム症候群という言い方をしてきました。そういう倒錯した感情を感じるんです」

白井氏「戦争直後の状況を考えてみると、いろんなアンビバレントがあったと思うんですね。まず、日本の軍部による日本の総奴隷化と、GHQによる占領、生活者の感覚として、そのどちらがマシだったかというと、アメリカ軍による統治の方がよっぽどマシである、というのがあった」

岩上「『ギブミーチョコレート』ですからね」

白井氏「アメリカの占領とともに、アメリカの文物が洪水のように入ってくるわけですが、アメリカという存在は暴力を担保にした支配者であるという側面と、圧倒的な憧れの対象という側面があった。そのアンビバレントに引き裂かれる、葛藤があった。この葛藤が日本の戦後の文化を全体として支えてきたと思います。

 しかし、僕が思うには、アメリカに対する反発は60年安保という形でわかりやすい形で爆発しますが、こうしたアンビバレントを大概の日本人が皮膚感覚としてわかっていたのが、ベトナム戦争までだったのではないかと。あれだけベトナム反戦運動が大きくなったのは、暴力としてのアメリカに対する恐怖感、嫌悪感であり、怒りが支えていました。

 ベトナム戦争が終わってからですよね。象徴的だなと思うのは、東京ディズニーランドができたのが1984年(1983年開園)だったか」

岩上「日本が一番景気良くなっていく時でしたね」

白井氏「海兵隊としてのアメリカとディズニーランドとしてのアメリカがあって。1980年代になると、もう海兵隊としてのアメリカは忘れて、沖縄に押しつけて、いないことにして、ディズニーランドとしてのアメリカを楽しく消費するようになっていったと思うんです。

 東京ディズニーランドが象徴しているのは、ベトナム戦争以降に成立した、日本が妄想として抱いている日米関係なんです」

 上述したようにインタビューが行われたのは、「令和」改元の「狂騒」の頃でした。白井氏は「安倍晋三は新元号発表を徹底的に政治ショー化した。その異様さが頂点に達したのは(略)、新時代を『1億総活躍社会』などの自分の政権の具体的な政策と結びつけたとき」だと指摘、「主権者たる国民と、『国民統合の象徴』であるはずの元号と、それが表彰する時間が私物化された」と批判しました。

 白井氏が「平成の改元は極めて静かに事務的に行われたのに対して、令和改元は大騒ぎ」と言うと、岩上は「平成の改元は、民主主義社会へと転換した戦後日本にとって最初の改元でした」と補足しました。

 白井氏は「戦前でさえ元号の発表を自らの政策に結びつけるなどという『不敬』は行われなかった。ましてや戦後の民主主義社会では、元号は天皇の元号であるとともに国民の元号、時間でもある。(令和の改元を取り巻く安倍政権の動きには)、一言で言ってしまえば『慎みがない』」と切り捨てました。

 さらに白井氏は「今回は(平成の改元と違って)、最初からいろんな案が出てきて、最終的に閣議決定で、安倍さんが私が決めましょうといって、『令和』を滑り込ませた。『令和』は安倍晋三のイニシアチブで導入された元号だということをわざわざ表に出した」、「『言霊』信仰からすれば、これが最後の元号、日本滅亡ですよ」と批判しました。

 5月1日の新天皇の即位に合わせて、トランプ大統領が5月25日から28日に来日、新天皇が初めて会見する国賓となる予定が組まれました。

 来日の際に、トランプ大統領は相撲を枡席に椅子を持ち込んで観覧し、天皇杯の代わりにトランプ杯を授与することになっていました。実際、トランプ大統領はメラニア夫人と共に4人横並びの椅子席で安倍晋三夫妻と共に大相撲を観覧、土俵に上がって、初優勝の朝乃山に米国政府特注の杯を贈呈しています。

※米大統領、大相撲・優勝力士に「トランプ杯」授与 首相とゴルフも(ロイター、2019年5月26日)
https://jp.reuters.com/article/trump-sumo-idJPKCN1SW0A0

岩上「これは、天皇に大統領が謁見するはずなんですが、大統領に天皇が謁見するのかのような構図にみられかねない。すごく嫌な感じがする」

白井氏「これは国体化した対米従属の状況を客観的に映し出してくれているんじゃないでしょうか」

岩上「天皇の上に王様がいる」

白井氏「昭和天皇とマッカーサーの会見、そこで始まった菊と星条旗の結合が、ここでワンサイクルとして完結するのかもしれない」

 ご著書『国体論』の解題、明治以降、日中戦争太平洋戦争に突っ込んできた歴史、戦後の対米従属へのアンビバレントな関係と、独立への気概をまったく失った小泉政権・安倍政権からの「アメリカ政府の出先政党」となった自民党の堕落、舌鋒鋭い白井氏のお話の続きは、ぜひ今夜、以下のURLから御覧ください。

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【タイムリー再配信 974・IWJ_YouTube Live】20:00~「『戦後国体』は『尊米攘夷』!? 戦後の対米従属の構造は戦前の天皇制支配から引き継がれた!? 岩上安身によるインタビュー 第939回 ゲスト 京都精華大学人文学部専任講師・白井聡氏」
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※「戦後国体」は「尊米攘夷」!? 戦後の対米従属の構造は戦前の天皇制支配から引き継がれた!? 岩上安身によるインタビュー 第939回 ゲスト 京都精華大学人文学部専任講師・白井聡氏 2019.5.16
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 これまでIWJが報じてきた白井聡氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。

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 それでは、本日も1日よろしくお願いします。

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、田上壮彌、城石裕幸、木原匡康、 中村尚貴)

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