日刊IWJガイド「本日14時から、永井幸寿弁護士による『緊急事態条項』反対記者会見を再配信します!小林多喜二に宮武外骨、戦前日本の『偉人』に学ぶこと多し!」2016.2.22日号~No.1257号~


■■■ 日刊IWJガイド「本日14時から、永井幸寿弁護士による『緊急事態条項』反対記者会見を再配信します!小林多喜二に宮武外骨、戦前日本の『偉人』に学ぶこと多し!」2016.2.22日号~No.1257号~ ■■■
(2016.2.22 8時00分)

 おはようございます、IWJ学生記者の城石エマと申します!

 先日の小春日和以来、急に花粉が舞い始めたのか、ここ数日花粉症の症状に悩まされております。目に見えない小さなアイツらに目と鼻を攻撃され、辛いったらありません。世の中に憧れや羨望にはいろいろあると思いますが、私は何より花粉症でない人というのが本当に羨ましい!!

 さて、日刊IWJガイドをお読みのみなさまに、IWJからのお願いです。

 昨日、IWJの原佑介記者からもお願いをさせていただきましたが、この度、オランダに暮らすIWJの鈴木樹里記者が、ドイツ入りをしてベルリンとフランクフルトで取材をすることになりました。

 ベルリンでは、核戦争防止国際医師会議(International Physicians for the Prevention of Nuclear War:IPPNW)という団体が、2月26~28日の3日間「5年後の福島と30年後のチェルノブイリ」というイベントを行います。IWJはその様子を取材します。ベルリン取材でかかる経費の概算見積は、合計164,808円で、その内、通訳料として84000円かかります。

 さらにフランクフルトでは、核兵器の廃絶をめざす法律家協会(Intl. Association of Lawyers Against Nuclear Arms:IALANA)や、ドイツの連帯福音宣教会(Evangelical Mission in Solidarity:EMS)などが主催する3月9日~11日のイベント、「原子力リスクに反対する正義と信仰」を取材します。核の危険について、国際的に様々な視点から議論を行うそうです。

 また、フランクフルト取材最終日の3月11日には、SEALDsの奥田愛基さんがフランクフルト大学の学生と対話集会行う予定で、この模様も取材予定です。フランクフルト取材でかかる経費の概算見積は、合計160,895円です。

 ベルリン取材とフランクフルト取材、合計で345,703円の経費がかかります。常にみなさまのお支えでここまでなんとか来られたIWJにとって、この出費は決して軽くはありません。しかし、我々IWJがやらなくて誰がやるのか、という使命感もまた、我々にはあります。

 この日刊IWJガイドをお読みのみなさまの中で、もしまだIWJの会員になっていないという方がいらっしゃいましたら、ぜひ、会員にご登録いただき、IWJの運営をお支えください!

 会員は、一般会員とサポート会員があります。一般会員であれば、会費は月に1000円、一年間おまとめでお支払いいただくと1万円です。サポート会員であれば、月に3000円、一年間おまとめですと3万円です。

 もし、もうすでにIWJの会員です!という方であれば、どうぞ、一般会員からサポート会員への移行もご検討ください!そしてそして、周りの方々にもぜひ、IWJを広めてください!

※IWJ定額会員へのご登録はこちらから
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

 IWJのこうした取材活動は、残念ながら現在の規模の活動だと、現在の会員数5613名の方々の会費だけではまかないきることができません。不足分は、みなさまからのご寄付・カンパでお支えいただいています。

 理想的には会費だけですべての活動運営費をまかなえたら、都度都度、ご寄付・カンパのお願いで煩わせなくて済むのですが、それにはまだまだせめて7千人には届かないと、と思います。会員がもっと増えるよう、スタッフ一同頑張ってまいります!どうか、IWJがアグレッシブな取材活動を続けられるよう、ご寄付・カンパもお願いいたします!

※ご寄付・カンパもどうぞお願いいたします!
http://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 また、本日14時からは、「緊急事態条項はいらない!」と主張してきた永井幸寿弁護士が、昨年5月、安保法案が強行採決される前に行われた記者会見を再配信します!

 緊急事態条項に関して、被災現場をよく知る実務派弁護士の立場から最も早く警鐘を鳴らしていたのが、永井弁護士です。その永井弁護士が、同志の方々と、はじめて公に声を上げたのがこの会見であり「原点」ともいえます。IWJは、まだ無名(失礼!)だった永井弁護士のこの会見をきっちりおさえていました!! 岩上さんがインタビューをし、大きな反響をいただきました。また永井先生への岩上さんによるインタビューは、やはり緊急事態条項を知るのに欠かせません。これは関心をもった方、全員に見ていただきたいインタビューです。ぜひ、ご視聴ください!

・2015/12/19 2016年最大の喫緊のテーマ!「国家を守り、人権を制限するのが国家緊急権。多くの国で権力に濫用されてきた過去がある」 ~岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/279662

★本日の日刊IWJガイドは以下の内容でお届けします!

┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━

┠■【中継番組表】

┠■2月20日「今こそ憲法改正を! 神奈川県民大集会」の取材に行ってきました!安倍総理、菅官房長官が二人そろって堂々と祝電メッセージ! 改憲勢力の一民間団体に、尋常ではない肩入れ!(安道幹)

┠■注目の米大統領選予備選第3ラウンドは、ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏が勝利――トランプ氏有頂天! 元大統領の弟ジェブ・ブッシュ氏は、支持を得られず大統領選から脱落!(城石エマ)

┠■安倍総理とメディアの会食は「業務妨害罪」「贈収賄罪」!? 権力によるメディア規制の「犯罪性」に迫る!岩上安身による刑事法学者・高山佳奈子氏インタビュー、明日です!(原佑介)

┠■「電波停止」の高市総務大臣に「逆風」? 民主党と維新の党が放送法改正法案提出で一致! 謎のネトウヨ団体「視聴者の会」の「援護射撃」もむなしく!(城石エマ)

┠■「拷問及び残虐な刑罰」に道を開く自民党憲法改正草案の危険性に迫る!~「多喜二忌」をきっかけに、『前夜』をぜひお読み下さい!(平山茂樹)

┠■わとはぷ~What happened today?~反骨のジャーナリスト・宮武外骨の誕生日!(城石エマ)

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◆中継番組表◆

本日のIWJの中継番組表をお送りします。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2016.2.22 Mon.**

【Ch6】13:30~「守ろう !築地市場パレード実行委員会による築地市場移転問題に関する記者会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=6
※内容は、1,公開質問状について 2,昨年8月11日に明らかにした、豊洲用地の土壌汚染問題のその後の調査結果等について 3,築地市場の事業者有志より、築地市場の移転の現場からの報告。

【Ch5】13:30~「『TPP交渉差止・違憲訴訟』第3回口頭弁論期日・東京地方裁判所門前集会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
※「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」主催。TPP交渉差止・違憲訴訟 第3回口頭弁論前に東京地方裁判所前で行われる集会の模様を中継します。

【Ch4】14:30~「TPPフォーラム『日本の農業と食の安全、協同組合の行方-海外の専門家が指摘する影響と問題点とは-』」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※「公益財団法人生協総合研究所」主催。米国から格差問題と政治情勢に詳しい専門家2名を迎え、それぞれの立場からTPPの与える影響と抱える問題点について講演及びパネルディスカッションが行われます。基調講演を行うサーニャ・リードスミス氏は、開発問題や南北問題を主に取り扱う「サード・トレード・ネットワーク」のリーガル・アドバイザー兼シニア・リサーチャー。パネルディスカッションでは、国際コンサルタントであり、米国政治の事情に詳しいトーマス・カトウ氏が登壇します。

【Ch4】17:30~「『TPP交渉差止・違憲訴訟』第3回口頭弁論期日・報告集会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」主催。 TPP交渉差止・違憲訴訟 第3回口頭弁論終了後に開催される報告集会の模様を中継します。

【Ch2】17:30~「東京電力 定例会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=2
※東京電力による定例会見を中継します。

【Ch6】18:00~「安保法の適用・運用の危険性と問題点の解明 ~PKO活動・IS空爆を素材に~」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=6
※「日本弁護士連合会」主催のシンポジウム。パネルディスカッションでは、内藤正典氏(同志社大学大学院教授)、松井芳郎氏(名古屋大学名誉教授)、半田滋氏(東京新聞論説兼編集委員)が登壇します。

【IWJ_HYOGO1】18:30~「高浜原発再稼働に抗議する2.22パレード」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-hyogo1
※「原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会」「ゼロこねっと」「さよなら原発神戸アクション」が呼びかけ団体となり開催される、高浜原発再稼動に抗議するパレードを中継します。

【録画配信・Ch5】19:30~「袴田巖さんの再審無罪を求める2・13全国集会 ~再収監を許さないために今何をすべきか~」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
※2月13日(土)に収録した、「袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会」主催の集会を録画配信します。

【再配信・Ch4】20:00~「自民党が憲法改正で盛り込む『国家緊急権』はナチス以上!? 大震災の被災地で動いた弁護士らが全権委任法も含まれた国家緊急権の『正体』に迫る!」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/244316
※2015年5月1日に行われた、「災害対策を理由とする『国家緊急権』(緊急事態条項)の創設に反対する被災地弁護士会による共同記者会見」を再配信します。永井幸寿弁護士は、自民党が創設を目指す「国家緊急権」は「ナチス以上」の強権性を帯びていると指摘しました。

【再配信・IWJ_KYOTO1】20:00~「社会を変えるためのデータ分析、座間宮ガレイさんに聞いてみよう!戦争はイヤや!憲法を守らない嘘つき政府はいらん!でもどうしたらええの?」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-kyoto1
※座間宮ガレイ氏が講師を務めた「宇治から始める考えるネットワーク」主催のお話会を 再配信します。

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◆明日の中継番組表◆

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2016.2.23 Tue.**

【Ch4】10:30~「料理研究家枝元なほみさんと“味わう”憲法カフェ」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※「ママの会@神奈川」主催の憲法カフェを中継します。講師は太田啓子弁護士、特別ゲストは料理研究家の枝元なほみ氏。

【Ch1】13:00~「岩上安身による高山佳奈子・京都大学教授インタビュー」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
※京都大学教授の高山佳奈子氏に岩上安身がインタビューします。

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 本日のトップバッターは、おととい、「日本会議」系団体の集会に取材を挑んできた、安道幹(あんみちまさ)記者です!

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■2月20日「今こそ憲法改正を! 神奈川県民大集会」の取材に行ってきました! 安倍総理、菅官房長官が二人そろって堂々と祝電メッセージ! 改憲勢力の一民間団体に、尋常ではない肩入れ!

 おはようございます。IWJで記者をしております安(あん)と申します。

 2月20日(土)、横浜の関内ホールで行われた「今こそ憲法改正を!神奈川県民大集会」の取材に行ってきましたので、ここで少しご報告したいと思います。

 同会を主催した「憲法改正を実現する神奈川県民の会」は、日本最大の右派組織である、いわゆる「日本会議」系の団体です。日本会議神奈川や神奈川県神社庁長、神道政治連盟、新しい歴史教科書をつくる会など、右派系の政治・宗教団体によって構成されているようです。関内ホールの大ホールが参加者でほぼ埋め尽くされていましたので、1000人ほどが来場したものと思われます。

 同会の主張は、憲法改正によって「天皇を国家元首に位置づけること」「9条2項を改正し、自衛隊を軍隊として明記すること」「緊急事態条項を新設すること」「家族保護の規定を入れること」などです。

 さらに同会のイベントに、なんと、安倍総理と菅官房長官の二人から祝電メッセージが届けられていました。これまでも日本会議の主催する改憲集会に、安倍総理は露骨に動画メッセージを送っていましたので、ここで改めて驚くべきことではないかもしれません。ですが、今回は、総理と官房長官という、一国のナンバー1,2がそろって民間団体の改憲集会に祝電メッセージを寄せたのですから、もはや尋常なことではありません。

 日本会議と安倍政権とのつながりについては、これまでIWJでも報じていますので、こちらも是非ご参照ください。
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・2015/11/10 今こそ憲法改正を!武道館一万人大会(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/274494

・2015/11/12 「ついに野心むき出しに! 『偽装愛国集団』日本会議と安倍政権がいよいよ憲法破壊に向けて宣戦布告! 『自民党改憲阻止』こそ野党連合の大義名分ではないのか!?
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/274700

・【IWJブログ】境内に櫻井よしこ氏の改憲ポスターが!全国各地の神社で起きている「異変」 ~日本会議・神社本庁・安倍政権が一体となって「政教分離」を定めた憲法に違反する、改憲署名を推進!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/281360

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 今回のイベントの内容について指摘したい点は、もう山ほどありますが・・・、まずは平和憲法護持を党是とするはずの公明党の衆議院議員・上田勇氏が、露骨な改憲勢力である日本会議に「祝電メッセージ」を寄せていたことは、ここに特筆して明記しておきたいと思います。今や公明党は、「反戦平和の党」の片鱗もなく、自民党とともに改憲へ、戦争遂行体制の確立へ、一直線に突き進む、極右政党に完全に変貌した、と言っていいでしょう。

 また神奈川県知事の「特別秘書」として千田勝一郎氏が登場したことも、別の意味で驚きでした。なぜなら千田氏は、現在、病院開設事業を狙うパチスロ精器製造企業への「口利き」疑惑が報じられている、まさにスキャンダルの渦中の人物だからです。こういう人物が堂々と登場するあたり、日本会議の倫理感の鈍さを感じさせられます。

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・神奈川知事特別秘書「口利き」問題(2016年1月13日 毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160113/ddm/005/070/016000c

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 続いて、本会の登壇者たちは、そもそも「憲法」をどのように理解しているのか? ここでいくつか登壇者の言葉を引用してみたいと思います。

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○三原じゅん子氏(自民党参議院議員)

 「憲法とは国の仕組みや決まりを定めるものでございますが、それと同時にその国の成り立ちや理念、いわばお国柄を示す拠り所でもあると思っております。

 例えば神武天皇が、奈良の橿原に国の都をお作りになるときの『橿原建都の詔』(かしはらけんとのみことのり)には、(略)日本の国柄というものは、上からの力で統一するような国ではなく、人々の幸せを願う、徳の心、心による統治の国なのだということがはっきりと示されている」

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 あの「八紘一宇」発言で物議を醸した三原氏ですが、ここでも「橿原建都の詔(みことのり)」を持ちだして、これを日本の「お国柄」だと断定し、憲法はその「お国柄を示す拠り所」だと言ってのけました。

 「橿原建都の詔(みことのり)」って、神武天皇が大和を中心に畿内の豪族を攻めて、征服と建国の宣言とされるものですよ。しかも、歴史的事実ではない、神話上の話であると考えられています。まじめに憲法の話をしているときに、神話の話をしだしたら、普通は正気かどうか疑われます。

 九州在住の集団が、関西地方へ征服戦争に出た、いわゆる神武東征が、史実であったかどうか、確認はされていません。「日本書紀」や「古事記」はどちらも7~8世紀当時すでに失われかけていた古い文書を集め、編纂するなどして編んだものであり、この時点ですでに上代の出来事については、「神話」性が強く、史実であるかどうか確信できるようなものではありませんでした。言い伝えられてきた「口伝」や「物語」の集成であり、史実ではない、というのが現実に即しているでしょう。

 神武が建国を宣言したという、紀元660年、皇紀元年のその時代、日本は考古学的に見れば実は縄文時代だった(1万5000年前から2300年前=紀元前4世紀頃まで)わけで、日本人(当時は日本という国名はなく、日本人という国民意識ももちろんありません)の多くが狩猟採集生活を営み、竪穴式住居に住んでいた時代です。

 この「橿原建都の詔(みことのり)」の中に、「八紘(あめかした)を掩(おほ)ひて宇(いへ)に為す」という表現があります。これは、武力によって征服した地域に、大君を権力者として奉り、諸部族の集まりだった各地域をひとつの家のように上から下へ垂直に統治する、「帝国」を作ったことを宣言したものです。これこそが、日本の帝国主義におけるアジア侵略の理念となった「八紘一宇」の語源です。

 日本列島の内部で、諸部族を征服して服属させたという「神話」を、今度は列島の外へ、蝦夷、琉球、台湾、韓国・朝鮮と広げて、大和の帝国を拡大しようとしたのが明治維新以降の日本のアジア侵略の歴史であり、「八紘一宇」はその侵略と帝国主義のスローガンでした。三原じゅん子氏は、このようなことを再三表明することで、国内・海外の戦争犠牲者にどのような印象を与えるのか、分かっているのでしょうか。

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○田尾憲男氏(神道政治連盟首席政策委員)

 「国家ができると、大体そこにいろんな性格が固まってきます。性格とは体質という意味です。したがって憲法というものは国家の体質、すなわち国体という意味なんですね。したがって憲法を守ることは国体を守ることです」

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 軍国主義時代に声高に唱えられていた「国体」という言葉を持ち出し、憲法と結びつけるという議論は、メチャクチャです。史実かどうかきわめて怪しい武力征服による建国宣言という「神話」を持ちだしてきて、現代においてそれを憲法改正する際の規範として考えるなど、正気とは思えません。この発言にも本当に驚きました。今どきこんなことをいう人が本当にいるのかと、恐ろしくて身震いします。

 神武の建国の詔をそんなにありがたくおしいだく、ということは、神武天皇の存在も建国も事実だと信じこんでいるんでしょうね。でも、神武天皇が存在したとしたら、その4代前のおじいさんは、ニニギノミコトということになります。で、この人も生身の人間として実在した、という話になりますよね。

 そうすると、天孫降臨について、どう考えたらよいのでしょうか。天照大神(アマテラスオオミカミ)、これはもちろん高天原(たかあまはら)という天上にいる神話で、人間ではありません。そして、この天照大神には、ニニギノミコトという孫がいて、ある日、「この豊葦原瑞穂(とよあしはらのみずほ)の国を治めなさい」と命じられて、天から降臨したことにされています。

 お聞きしたいんですけど、どこにあるんですか、高天原は?誰ですか、アマテラスオオミカミにニニギノミコトって?抽象的な概念(たとえば太陽を神格化したのがアマテラスであるとか)としての神ではなく、生殖をして、子どもや孫を産み、それらがまた生殖をして次世代をつくって、天上の神様と地上の生身の人間がシームレスにつながっているって、冗談もほどほどにしてください。古代人の妄想、あるいは8世紀頃、記紀編纂にあたり、王朝の権威の再確立のため、時の王朝の支配の正統性を大げさに宣伝すべく作られた、天の神様の子孫であるぞという荒唐無稽なフィクションをくっつけたというのが、妥当な見解でしょう。

 現代において、アマテラス―ニニギ―神武が生物として(セックスして子孫をつくるんだから生物そのもの)ひとつの系譜をなしていた、と考えるのは、マンガチックどころかはっきり言って頭がおかしい、と言わざるをえません。

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○櫻井よしこ氏

「我が国は、神話の時代から、ずっと権力とは無縁の、私達の心の支えである皇室を中心に、皇室の権威と、世俗の権力とが相補い合いながら、国や国民を守ってきた。

 穏やかな文明、でもいざというときには雄々しく戦ってきました。この国を守るために、私たちは、いざというときは雄々しく戦える日本人であります。その私達を、なんで憲法はひとことも書いてないの。

 日本国憲法をみたら、『平和を愛する国民の、公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した』とある。

 アホとちゃいますか?こんな他力本願の、無責任なことで、政府も国民を守ることはしなくていいのよと。国民はどこかの国に頼っていなさいと。よかったら、あの金正恩にお頼りなさいと。習近平にお頼りなさいと書いてある。こんな憲法破り捨てようではありませんか」

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 桜井氏は、現代の日本が「神話」時代から連続していると言い切っています。皇室が神話の時代から権力とは無縁だったとは、なんという嘘八百でしょう。「日本書紀」「古事記」も、上代から中世、近世、近代に至るまでの日本の歴史をまったく勉強していないか、事実でないことを平気で言える人なのだなと、驚愕します。そして憲法に「いざというときに雄々しく戦える日本人だ」ということを書くべきだと・・・。現在の日本国憲法の前文を「他力本願」「無責任」として「アホ」だと言ってのけました。

 私は、どの登壇者の憲法理解も、傍若無人で、反知性主義的で、歴史に対して傲慢だと感じました。私たちは昨年9月に可決された安保法制から、憲法とは本来権力を縛るものであること、「立憲主義の要」だということを、学んできたはずです。ですが、憲法についてのこの基本的な認識について、ついに誰の口からも聞くことができませんでした。

 この日の集会と、登壇者の驚くべき発言について、書くべきことはたくさんありますが、詳細はまた改めて記事にする予定です。どうか、そちらを読んでいただければと思います。今しばらくお待ち下さい!

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 安記者、ありがとうございました!

 「日本は神の国」「国体を守る」といった、戦前の神がかった軍国主義の強烈な臭気を放つ発言者たちの集まりに、総理大臣と官房長官が祝電を送る。日本の軍国主義は「足音が聞こえてくる」という段階を通り越し、もうすぐ目の前で行進している姿が見えてくるようです。いや、そのときには、私たちも行進を強いられ、隊列に巻き込まれているのでしょう。

 そうならないように、参院選まであと4ヶ月強ですが、断じて改憲勢力に3分の2の議席を与えてはなりません!

 続いては、こちらも不穏な空気が流れる米大統領選挙予備選の結果について、私からお伝えします。

■注目の米大統領選予備選第3ラウンドは、ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏が勝利――トランプ氏有頂天!元大統領の弟ジェブ・ブッシュ氏は、支持を得られず大統領選から脱落!

 米現地時間の2月20日に行われた大統領候補指名争いの第3選は、民主党がネバダ州、共和党がサウスカロライナ州で投開票されました。

 ヒラリー・クリントン氏とバーニー・サンダース上院議員が一騎打ちをかける民主党の指名候補争いでは、ヒラリー・クリントン氏が勝利。とは言え、クリントン氏はサンダース氏の追い上げからかろうじて逃れた形で、ハフィントンポストUS版(http://goo.gl/6X6NU3)によると、クリントン氏の得票率が52.7%、サンダース氏の得票率が47.2%という僅差でした。ここまでで、クリントン氏は、初戦のアイオワ州に続き、2勝目になります。

 一方のサンダース氏は、前回のニューハンプシャー州で若者の圧倒的な支持を得て、クリントン氏に20ポイント以上の大差をつけ勝利しましたが、今回は惜しくも敗北。ネバダ州は、有権者人口の約17%をヒスパニック系の移民が占め、このヒスパニック票が鍵を握ると言われていましたが、NHK(http://goo.gl/9IV2QZ)の報道によると、ヒスパニック系有権者の支持は、サンダース氏がわずかにクリントン氏を上回ったものの、サンダースの勝利には結びつきませんでした。

 サンダース氏がクリントン氏を大差で破った前回のニューハンプシャー州選については、IWJの安道幹(あんみちまさ)記者がお伝えしています。ぜひ、以下の記事をご参照ください!

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・【注目の米大統領予備選】第2ラウンドのニューハンプシャー州は予想外の展開に! 民主党は、サンダース氏支持が61%で、クリントン氏30%にダブルスコアでリード!!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/286486

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 他方、第3ラウンドの共和党選は、ドナルド・トランプ氏が勝利。投開票前の2月18日には、トランプ氏が移民排斥のためにアメリカとメキシコの間に壁を作るとしていることを非難して、ローマ法王が「壁を作ることだけを考えている人はキリスト教徒ではない」と発言し、大きな話題を呼んでいました。

 ローマ法王の発言後、トランプ氏の支持者たちは、「法王が誰かを嫌うわけない!」と打ちひしがれたそうです。このあたり、支持者らには、可愛げもありますが、可愛げのまったくなかったのは、当のトランプ氏で「宗教指導者が個人の信仰を疑問視するのはみっともない」「もしISが教皇を捕らえたら、教皇は私が大統領だったらよかったのにと思うだろう。私が大統領だったら、ISを破壊しているからな」などと発言し、この発言がまた非難を呼びました。

 ところがトランプ氏、カトリック教徒の支持を失うことを恐れたのか法王との戦闘姿勢を後退させ、「法王とは口論したくない。法王の人柄も、彼が体現していることも好ましく思っているんだ。素晴らしい人だよ。これは口論じゃない。きっとメディアが法王の発言を誇張したんだ」と語ったのです(CNN、2月19日付:http://cnn.it/20OkVmg)。

これは珍しいことではありますが、トランプ氏は昨年の12月にイスラエルのネタニヤフ首相と衝突した際も衝突を避け、イスラエル訪問を延期しています。

 そのせいか、ローマ法王の発言は、カトリック教徒に絶大な影響を与えると言われていましたが、今回のサウスカロライナ州では、トランプ氏への逆風とはならず。ハフィントンポストUS版(http://goo.gl/6X6NU3)によると、今回の選挙では、トランプ氏が42.0%を得票し勝利、テッド・クルーズ上院議員が20.7%、マルコ・ルビオ上院議員が18.7%の得票でした。

 勝利の報を受けたトランプ氏は、Facebookへの投稿で、「ありがとう!再びアメリカを偉大な国にするぞ!」とすっかり有頂天。もう、大統領になったも同然と思っているのでしょうか?

 しかしトランプ氏はこれまでの政策案を撤回したわけではありません。大統領になった暁には、ローマ法王からどう非難されようと、メキシコとの国境で大きな壁を建設し、世界のイスラム教徒の米国への入国を全面的に禁止し、昨日の日刊で原記者が書いていた、米国が生んだ最も偉大なスーパースターの一人、モハメド・アリ氏も含めて全米のイスラム教徒をデータベースに登録させて監視体制を実現するのでしょうか?

 なお、これまで共和党候補として本命視されてきた元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏は、今回のサウスカロライナ州で4位以下に終わりました。結果を知ったブッシュ氏は、ここで大統領選候補指名争いから脱落することを発表。これでトランプ氏の暴走に歯止めをかけられる有力候補は、クルーズ議員とルビオ議員だけになりました。

 来週3月1日は、いよいよスーパー・チューズデー。10以上の州で予備選が行われ、大統領選の一つの山場となります。バーニー・サンダース氏やドナルド・トランプ氏など、既存勢力の破壊に挑む候補者の動きに、要注目です。

 続いては、IWJの中では岩上さんと並ぶほどの帽子愛好者・原佑介記者より、岩上さんインタビューのお知らせです!

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■安倍総理とメディアの会食は「業務妨害罪」「贈収賄罪」!?権力によるメディア規制の「犯罪性」に迫る!岩上安身による刑事法学者・高山佳奈子氏インタビュー、明日です!

 おはようございます。記者の原です。

 昔はテレビなどほとんど観ていなかったのですが、最近はちょこちょこバラエティやスポーツ番組を録画して観ています。地上波ではアメフトの放送がほとんどないので、オードリーの「NFL倶楽部」(日テレ)は貴重な情報源として重宝していますし、最近ではラッパーがスキルを競う「フリースタイルダンジョン」(テレ朝)、そして「あの騒動」以降、「スマスマ」(フジテレビ)も毎週チェックしています。

 慌ただしい日常生活に「娯楽」を提供してくれる、という意味でテレビの存在はありがたいものですが、報道番組は本当にもう、何と言ったらいいのか、いただけません、としか言いようがありません。「やる気あんのか!権力にベタベタ擦り寄って、情けないわ!」と、皿の1枚や2枚投げつけてやりたいと思っている皆さんも少なくないことでしょう(※テレビに向かって皿投げは危険ですので、紙のお皿にしときましょう)。

 「安倍首相と大手メディアの要職の方々との夕食会は、場合によっては、『刑事罰の対象になる行為』であることも考えられる」――。

 こんな重要な指摘をしたのは、京都大学大学院法学研究科教授(刑事法)の高山佳奈子さんです。2015年7月20日に行われた「安全保障関連法案に反対する学者の会」の会見後、岩上さんの直撃インタビューに応じた高山さんはさらに、「嘘の情報を意図的に流すということが実際に行われている。真実を解明する必要がある」と訴え、安倍総理とメディアとの会食は「業務妨害罪」「贈収賄罪」にあたる可能性があると指摘しました。

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※【緊急アップ!】安倍総理とメディアの会食は「業務妨害罪」「贈収賄罪」の可能性!? 学者の会で刑事法学者・高山佳奈子氏が指摘!元共同通信・浅野健一氏も批判「御用メディアと闘わないといけない」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/254388

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 もともと総理とメディアの度重なる会食は「道義的にどうなのか」と疑問視されてきたと思いますが、刑事法の専門家である法学者の高山さんが「法的にアウト」である可能性を指摘しているのですから、これは注目しなければなりません。そこで明日2月23日、岩上さんが高山さんに単独インタビューし、詳しくお話をお聞きすることになりました!

 先日は、高市早苗総務相が、テレビ局の「電波停止」について、「『政治的公平性』に違反を繰り返し、まったく改善がされなければ、まったく将来にわたって『ない』とお約束することはできません」と回答し、「言論弾圧だ」と批判を集めたばかり。

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※2016/02/12 電波停止は「テロの呼びかけ」があったような場合――政権批判は「テロ」扱いに!? 高市早苗総務相の不自然な釈明! 会見ではマイナンバー法の「抜け穴」についてノーコメント!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/287006

※2016/02/09 メディア規制を強める安倍政権・高市大臣がテレビへ「電波停止」の恫喝的発言!BPO委員長代行の是枝裕和氏が「放送法」のカラクリを暴く!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/286707

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 メディアを飲食で懐柔し、放送法をチラつかせてさらに萎縮させることで、「政治的公平性」をという名の「大本営発表」を実現しようとしているように思えてなりません。安倍政権による、あの手この手を尽くした「メディア規制」の異常性、あるいは犯罪性について、岩上さんが高山さんのご見解をうかがいます。ご注目ください!

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 原記者、ありがとうございました!!

 岩上さんのインタビュー予定は、まだまだたくさんあります。詳細は、後ほどまとめてお伝えします!

 さて、原記者がちらりと触れていますが、総務省・高市大臣の「電波停止」発言は、どんどん波紋を広げています。続いては、私から、この続報をお伝えいたします!

■「電波停止」の高市総務大臣に「逆風」?民主党と維新の党が放送法改正法案提出で一致!謎のネトウヨ団体「視聴者の会」の「援護射撃」もむなしく!

 「電波停止」発言で批判を浴びた高市大臣へ「追い風」を吹かすかのように、先週、2月13日の読売新聞朝刊に、「放送法遵守を求める視聴者の会」という市民団体が、「視聴者の目は、ごまかせない」と打ち出した意見広告を出しました。フルカラーで2つの目がこちらを見つめ、「ストップ!『テレビの全体主義』」「誰が国民の『知る権利』を守るの?」などと、「それらしいこと」を主張しています。

 「視聴者の会」の賛同者を見ると、自称経済評論家の上念司氏、もはやジャンル分け不可能なケント・ギルバート氏(※)、そしてアベ政権大プロパガンダ係の小川榮太郎氏。ずらりと、ネトウヨ論者が並んでいます。

※2月19日の日刊ゲンダイ(http://lite-ra.com/2016/02/post-1992.html)によると、ギルバート氏は、保守系雑誌「Voice」(PHP研究所)15年12月号に寄稿した「チベット人虐殺こそ世界記憶遺産に」を「ゴーストライター」に書かせていたことが発覚しました。同文書はギルバート氏が2016年1月28日に発表した発表した『やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人』にも収録されていたため、同書は回収・刷り直しされることになるという、マヌケっぷりです。

 団体は、秘密保護法や安保法案をめぐる放送に際して、反対派の意見が多くの時間を割いて報道されているとして、「偏向報道のような言葉では到底手ぬるい、驚くべき放送法4条に対する違法的な状況が蔓延している」!!と憤慨していました。

 もっとも、この団体が根拠としている放送時間の調査を請け負った「一般社団法人日本平和学研究所」というのは、他でもない小林氏が代表理事を務めており、「調査自体が偏向しているだろ!」と突っ込みたくなります。実際、調査には、安倍総理を出演させ、安保法案の意義を語らせた「ミヤネヤ」の読売テレビは含まれていません。ふざけるな!と言いたいですね。

 意見広告を出したこの変な団体について、弁護士の澤藤統一郎さんがこれをおちょくった痛烈なブログを書いています(http://article9.jp/wordpress/?p=6447)。

 「もちろんボクたちアベ政治の応援団で、そのことはバレバレなんだけど、ロジックとしてはアベ政権応援は前面に出さないことにしたの。ホントは、テレビ局がアベ政権に反抗していることが怪しからんので、『アベに代わって局を打つ』の気概なんだけど、それじゃアベの人気をまた下げちゃうことになる。そこで頭をひねってね。政権ではなくて、視聴者が批判しているという形にしたの。アタマいいでしょ。」

 あまりに見え透いた政権ヨイショの団体が出した「援護射撃」が、高市大臣の助け舟になり得たとは到底思えません。むしろ、ここに来て、メディア圧力を強める安倍政権には「逆風」が吹き始めています。

 2月18日、読売新聞が報じたところによると、民主党と維新の党が、今国会で放送法改正法案を提出することで一致したのです。改正内容は、放送法の法文の中に、放送法が「倫理規定」であることを明確に盛り込むとしたもの。これが通れば、高市大臣は「電波停止もないとは言えない」などと言うことはできなくなります。

 高市大臣は、前述の自身のサイトに書いたコラムの中で、「(放送法)第4条の『法規範性』を問題視する立場ならば、民主党内で統一した見解をまとめていただき、議員提出法案として『放送法』と『電波法』の改正案を提出されるという手段もあるかと思います」と高飛車に語っていましたが、民主党と維新の党は本気でカウンターに動きましたね。

 もちろんこれだけで安倍政権のメディア圧力がなくなるなどとはこれっぽっちも期待できませんが、ようやく動き出した野党には、このまま頑張ってもらいたいです。まだまだ高市大臣を追い詰める手を緩めるわけにはいきません。2月19日には、IWJの高橋敬明記者が高市大臣の定例記者会見で舌戦を交わしてきましたので、こちらの動画をぜひ、ご覧ください!(記事アップも急いでおります。いましばらくお待ちください!!)

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※2016/02/19 高市早苗・総務大臣 記者会見(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/287887

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 続いては、パソコンの隣にご飯のふりかけパックを大事に携えている、IWJの平山茂樹記者よりお伝えします!(ときどき原記者がこっそり平山記者のふりかけを頂戴していることは、内緒です)

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■「拷問及び残虐な刑罰」に道を開く自民党憲法改正草案の危険性に迫る!~「多喜二忌」をきっかけに、『前夜』をぜひお読み下さい!

 おはようございます。IWJで主にテキスト関連の業務を担当している平山と申します。

 先日、2月20日は、作家・小林多喜二の命日である「多喜二忌」でした。小林多喜二は、1929年に「蟹工船」を発表したプロレタリア文学の代表的な作家です。他にも、「党生活者」「一九二八年三月十五日」など、戦前の日本における労働運動とそれに対する特高警察の弾圧などをテーマに、多数の作品を発表しました。

 1933年2月20日、多喜二は特高警察によって逮捕され、そのまま築地警察署内に拘留。取り調べの際にステッキで殴打されるなどの暴行を受け、死亡しました。戦前の日本における、共産党への苛烈な弾圧を象徴する事件でした。

 岩上さんによるインタビューの中で、この小林多喜二の最期に言及したのが、梓澤和幸弁護士でした。梓澤弁護士は、岩上さん、澤藤統一郎弁護士とともに行われた、自民党憲法改正草案を徹底検証する鼎談シリーズの中で、「拷問及び残虐な刑罰の禁止」について規定した憲法36条に関連して、多喜二の死に触れています。

 現行の日本国憲法第36条は、「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」となっています。しかし、自民党憲法改正草案の第36条では、「絶対に」という文言が削除され、「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、禁止する」となっているのです。「絶対に」をあえて削除しているという点から、この憲法草案を作成した自民党には、場合によっては、戦前に多喜二が受けたような「拷問及び残虐な刑罰」が行われても構わない、という思想が共有されていることがうかがわれます。

 梓澤弁護士は鼎談の中で、怒りのあまり涙を見せながら、「なぜ『絶対に』を抜くんですか!この自民党改憲草案は!許せないですね、僕は!これを書いた人たちが!」と、叫ぶように語りました。

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※2013/05/02 「加害者の側が人間じゃなくなる」 梓澤弁護士、改憲草案第36条に怒りと涙の訴え ~自民党の憲法改正案についての鼎談 第6弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/77025

梓澤弁護士のこの『叫び』は、ハイライト動画として、YouTubeにアップしています。ぜひ、下記URLからご覧ください! こちらは会員以外の方にもフルオープンにしていますので、どうぞ、拡散、シェアもお願いします!

※130502 自民党の憲法改正案についての鼎談 第7弾
https://www.youtube.com/watch?v=wCV5QBPQPG0&feature=youtu.be

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 12回にも及んだこの憲法鼎談シリーズは、詳細な注釈を付したうえで、『前夜~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』にまとめられています。昨年末の12月には、安保法制の成立を受けて行われた緊急鼎談を収録した『前夜・増補改訂版』も発売されました。「増補改訂版」では、現在の安倍政権が創設を狙う「緊急事態条項」の危険性についても言及しています。

 『前夜・増補改訂版』は、もちろん全国の書店やAmazonでもお買い求めいただけますが、「IWJ書店」でもお求めいただけますので、ぜひ、ご利用ください。

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※【増補改訂版・岩上安身単独サイン入り】『前夜~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=171

※【増補改訂版】『前夜~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=169

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 他にも「IWJ書店」では、岩上さんと鹿児島大学教授の木村朗氏、政治経済学者の植草一秀氏、元衆議院議員の川内博史氏との共著『米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす』や、岩上さんが母校の早稲田大学で行なった講義録を収録した『「今を伝える」ということ』も発売していますので、ぜひ、お買い求め下さい!

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※【岩上安身単独サイン入り】『米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす』
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=159

※【岩上安身単独サイン入り】『「今を伝える」ということ』
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=194

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 平山記者、ありがとうございました!

 拷問さえ例外的に許容しようとする安倍政権に貫かれているのは、「国民を国家に服従させよう。そうでないと、戦争もできない。従わせるためには、手荒なことをするのもやむをえない」という思想でしょう。

 昨日、朝日新聞が報じたところによると、岐阜大学の森脇久隆学長が、卒業式などで国歌斉唱をしない方針を示し、これについて馳浩文科大臣が、「国立大として運営費交付金が投入されている中であえてそういう表現をすることは、私の感覚からするとちょっと恥ずかしい」などと述べたと言います。

 「国がお金をやってるんだから、国歌斉唱しろ」などと言えてしまう馳大臣の方がよっぽど恥ずかしいと思うのですが。「金をやってるんだから、言うことを聞け」というのは、古今東西どこにでもある、そしてどこでも「サイテー」と言われるゲスの極みの思想ですね。しかもその金、国民の税金ですよ?自分の金のように言わないでもらいたい。あつかましいにもほどがあります!

■わとはぷ~What happened today?

 2月22日は、明治・昭和の反骨のジャーナリスト・宮武外骨の誕生日です!

 宮武外骨は、1867年2月22日、江戸時代末期の香川県に生まれ、17歳からジャーナリストとして活動を始めました。「外骨」というのは、17歳のときに改名した本名だそうです。それまでは、「亀四郎」という名前でした。

 『頓智協会雑誌』『滑稽新聞』『スコブル』『面白半分』『震災画報』など、風刺雑誌や新聞を次々と発表し、生涯に出した出版物は、40点以上に上るといいます。

 1887年、20歳のときに発表した『頓智協会雑誌』は、明治の大日本帝国憲法を風刺したために不敬罪で発禁処分、宮武自身も投獄され、3年以上も刑務所生活を送りました。その経験が原因となったのか、宮武はその後、一貫して権力風刺を貫き、生涯に入獄4回、罰金刑15回、発行停止・発売禁止14回と、めちゃくちゃワイルドに権力と戦っています。

 そんな宮武の姿勢を表すのが、8万部の売上をほこる成功を収めた『滑稽新聞』の方針に書かれた次の言葉。

 「威武に屈せず富貴に淫せずユスリもやらずハッタリもせず、天下独特の肝癪(かんしゃく)を経(たていと)とし色気を緯(よこいと)とす、過激にして愛嬌あり」

 権力への怒りを、「まともな言葉」だけで語っても、十分に読者には届かないと考えたのでしょう。「ユーモア」を通して語ったことで、宮武の権力批判は、市井の人々にうけたのです。当時の大新聞でさえ10万部の売上だったというので、『滑稽新聞』が8万部も売れていたというのがどれほどすごいことか、わかると思います。

 宮武の批判は、政治家や官僚だけにとどまりません。その矛先は、マスコミにも向けられました。当時のマスコミは、1875年に制定された新聞紙条例により、政府を批判すれば取り締まられるようになったことを背景に、政府批判を行わず、政治権力と結びつくようになりました。

 このあたり、まるで今の状況を彷彿とさせます。『滑稽新聞』の方針に書かれた「ユスリもやらず」には、そうした権力と結びついたマスコミの記者たちを、徹底非難した宮武の思いが反映されています。このあたり、権力に「ごっつぁんです!」を繰り直している今の記者クラブの記者たちに言って聞かせてやりたいですね、特に安倍政権の寿司とも連中には。

 明治~昭和を代表するジャーナリストの宮武ですが、その日本政府批判は、今の安倍政権にも痛烈なパンチを食らわせます。

 第二次世界大戦後、1946年5月3日の東京裁判開廷日に出版した『アメリカ様』では、「鬼畜米英」を叫んでアメリカとの戦争にひた走った日本政府が、敗戦後、手のひらを返したようにアメリカを「ご主人様」と祭り隷従する姿を皮肉に描き出しました。本書は、GHQの検閲に引っかかり削除命令を受け、宮武自身は日本政府とGHQの両方から弾圧を受けたそうです。

 まるで、対米隷属を続け、メディア圧力をかける今の日本政府をそのまま批判しているようですね。あの時代から、全然変わっていないのだ、とも言えそうです。「戦後レジームからの脱却」と勇ましいことを言いながら、安倍政権のやっていることはさらなる対米隷属の深化です。

 『アメリカ様』は、一昨年の2月にちくま学芸文庫から再版されているのですが、巻末には立教大学大学院特任教授の西谷修さんが解説を書いています。その中で西谷さんは、宮武の戦後日本政府の風刺を現在の安倍政権に重ねています。安保法案の強行採決前、秘密保護法のときに書かれたこの文章が、またすごく良いので、ちょっと長いですが、引用します!

 「国民全体がアメリカに自発的に隷従しているわけではない。そうではなく、『自発的隷従』とは、権力に与る(くみする)者たちが自らの権力を守るために国民を売ってでも強者に媚びる、という事態を言うのだ。『アメリカ様』へ好みの『ご進物』を差し出して、自分たちが日本の統治者として居座ることを許してもらう。『お役にたちますぜ』というわけだ。それを『代官』という(中略)。

 いい加減にわれわれも『アメリカ様』から自立したいものだが、『自立』とは戦後のもたらした資産を一掃して旧体制のゾンビたちが生き返ること(「戦後レジームからの脱却」?)ではない。そうではなく彼らを生き延びさせた『アメリカ様』への『自発的隷従』を断ち切って、グローバル世界に新しい地歩を作り出すことだ。その自立の胎動はいま、『ご進物』として久しく差し出され続け、もはやその運命に甘んじまいとする沖縄から最も力強く起こっている」

 西谷さんへは以前、岩上さんがインタビューを行っています!昨年4月にIWJへお越しいただいた際には、戦争と自由主義経済の災禍を世界中に広げる「アメリカ化」の恐ろしさを語ってくださいました。ぜひ、以下の記事をご参照下さい!

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・2015/04/27 「自由」と「戦争」をめぐって アメリカを駆動するメカニズムの正体とは~岩上安身による立教大学特任教授・西谷修氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/243795#afterwar

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 安倍政権のもとでメディアへの圧力は着実に高まり、明治時代の新聞紙条例も復活するのではと疑いたくなりますが、こんなときほど、宮武外骨のモットーを胸に刻みつけたいと思います。

 「威武に屈せず富貴に淫せずユスリもやらずハッタリもせず、天下独特の肝癪を経とし色気を緯とす、過激にして愛嬌あり」

 今日も1日、IWJをよろしくお願いいたします!

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岩上安身サポーターズクラブ事務局
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